【前回】はモダマスドラフト解説と言ったが、ドラフトで0-3を連発してしまったため、解説は【津村ブログ】に任せたいと思う。
その代わり、【GP千葉の開催案内】を見ていたら、金曜日のサイドイベントに面白そうなフォーマットを見つけた。
「禁止解除レガシー」
ルールをまとめると、「パワー9」・「アンティに関するカード」・「策略カード」・「《Chaos Orb》《Falling Star》《Shahrazad》」が禁止で、
それ以外は全部4枚使える!!!
そもそもマジックで禁止・制限カードが存在する理由は以下の3つだ。
・1枚で圧倒的なアドバンテージ (《Ancestral Recall》《宝船の巡航》《ネクロポーテンス》《ヨーグモスの意志》など)
・プレイのマナコストを無視 (《修繕》、《精神の願望》)
・早すぎるマナ加速 (《Black Lotus》、MOXシリーズ、《トレイリアのアカデミー》)
・プレイのマナコストを無視 (《修繕》、《精神の願望》)
・早すぎるマナ加速 (《Black Lotus》、MOXシリーズ、《トレイリアのアカデミー》)
禁止解除。つまり「パワー9」を除いた、なんでもアリの無差別級の戦い。
イベント名を聞いただけでワクワクしてこないかい?
歴代のあらゆる強力デッキの競演。デッキッ!考えずには、いられないッ!!
そこで今回は趣向を変えて、禁止解除レガシーのデッキ案を述べて行こうと思う。
■ 環境を考える
おそらくコンボデッキが多いだろうし、序盤の3ターンで大きな駆け引きがある。先手が圧倒的に有利だ。
先手後手の差をひっくり返す仕組みが必要なので、なるべくなら後手でも動ける《精神的つまづき》や《Force of Will》を使いたい。
または《宝石の洞窟》や《Mishra's Workshop》のように、後手でも爆発力のあるデッキ構成にしたい。
また、後述する《変幻の大男》や発掘デッキの存在を考えると墓地対策は取りたいし、アーティファクト対策も欠かせない。
■ 「ハルクフラッシュ」デッキ
4 《Underground Sea》 2 《Tropical Island》 4 《霧深い雨林》 4 《新緑の地下墓地》 1 《宝石の洞窟》 -土地(15)- 4 《悪性スリヴァー》 1 《ハートのスリヴァー》 4 《変幻の大男》 -クリーチャー(9)- |
4 《渦まく知識》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《精神的つまづき》 4 《思案》 4 《吸血の教示者》 2 《陰謀団式療法》 2 《強迫》 4 《閃光》 3 《Demonic Tutor》 1 《ハーキルの召還術》 4 《Force of Will》 -呪文(36)- |
4 《三角エイの捕食者》 4 《虚空の力線》 2 《狼狽の嵐》 1 《突然の衰微》 1 《無のロッド》 1 《虐殺》 1 《恭しき沈黙》 1 《森》 -サイドボード(15)- |
1. 《閃光》で《変幻の大男》を出す。その効果で《変幻の大男》を生贄に。
2. 《変幻の大男》の誘発で、コスト合計6以下の《悪性スリヴァー》4体と《ハートのスリヴァー》を場に出す。
3. 「有毒4」・「速攻」を持ったスリヴァーたちで攻撃。勝利。
2. 《変幻の大男》の誘発で、コスト合計6以下の《悪性スリヴァー》4体と《ハートのスリヴァー》を場に出す。
3. 「有毒4」・「速攻」を持ったスリヴァーたちで攻撃。勝利。
【以前のブログ】で、「勝つのに必要なマナと枚数」について述べたが、このハルクフラッシュの勝利条件は「2マナ+2枚」で、マジック歴史上どのコンボよりも必要数が少ない!
モダンの「欠片の双子」がそうであるように、必要枚数が少ないコンボデッキは他の部分を「妨害」や「ドロー」に充てられるという利点がある。
このデッキは《ハートのスリヴァー》を引いてしまうと出せなくて負ける逸話があったが、今回は《渦まく知識》が4枚使えるから大丈夫!
デッキを組むにあたって、まず《閃光》+ドロースペルの青は確定として、補色を何にするかが問題だった。
《悪性スリヴァー》を4枚入れている以上、素で引いたときもプレイできるように《Tropical Island》は入れたい。緑は確定。
サーチ手段は《召喚士の契約》、《商人の巻物》といった候補があったが、これらは《閃光》か《変幻の大男》の片方しかサーチできないため、《変幻の大男》、《召喚士の契約》と手札にくると無駄になってしまう。
せっかく禁止解除で歴代最強のサーチ手段である《吸血の教示者》と《Demonic Tutor》が使えるなら、これを入れない手はない!3色目は黒に決定!
黒を足したことで、引いてしまった《悪性スリヴァー》を《陰謀団式療法》で有効活用できるメリットも生まれた。
● サイドボード解説
・《虚空の力線》
《変幻の大男》は死亡誘発型能力なため、《虚空の力線》や《安らかなる眠り》があると効果を発揮しない。同系対決、および発掘デッキへの対策だ。また、《墓掘りの檻》もハルクの「ライブラリーから探す」能力を封じることができる。
・《恭しき沈黙》
サイド後は相手の《虚空の力線》を考えなければいけないので、0マナで破壊できる《恭しき沈黙》は必須パーツだ。ただ《吸血の教示者》で持ってくる用なので、1枚で十分だ。
・《三角エイの捕食者》
後述するMUD対策。コンボデッキは《抵抗の宝球》・《三なる宝球》が苦手なのでアーティファクト対策はぜひ入れたい。
《三角エイの捕食者》は継続的なアーティファクト対策であり、フィニッシャーにも成り得る。茶単系に相性を変える1枚だと思う。《不毛の大地》されないように《森》もセットでサイドインしよう。
■ 「茶単」デッキ
4 《Mishra's Workshop》 4 《古えの墳墓》 4 《不毛の大地》 4 《露天鉱床》 3 《トレイリアのアカデミー》 -土地(19)- 4 《磁石のゴーレム》 4 《カルドーサの鍛冶場主》 1 《ファイレクシアの変形者》 1 《鋼のヘルカイト》 1 《トリスケリオン》 1 《ワームとぐろエンジン》 1 《隔離するタイタン》 1 《荒廃鋼の巨像》 -クリーチャー(14)- |
4 《Mana Crypt》 4 《太陽の指輪》 4 《虚空の杯》 4 《抵抗の宝球》 4 《アメジストのとげ》 4 《三なる宝球》 3 《世界のるつぼ》 -呪文(27)- |
4 《ファイレクシアの破棄者》 4 《墓掘りの檻》 2 《ワームとぐろエンジン》 2 《四肢切断》 1 《ファイレクシアの変形者》 1 《トリスケリオン》 1 《幽霊街》 -サイドボード(15)- |
ヴィンテージで一大勢力となっているMUD(Mono-Brown Mud).
《Mishra's Workshop》から妨害アーティファクトを連発し、先手でブン回ると相手が何も呪文をプレイできないまま勝つこともある、爆発力のあるデッキだ。
MOXシリーズと《Black Lotus》が使えないことによる制約を受けるかと思いきや、《Mana Crypt》・《太陽の指輪》・《トレイリアのアカデミー》が禁止解除なためマナ加速は健在。
ヴィンテージで強力過ぎるため制限されてしまった《三なる宝球》も4枚使用可能。《Mishra's Workshop》→《三なる宝球》は実質1ターンキルに近い!
さらには《露天鉱床》が4枚使えるため、《不毛の大地》や《世界のるつぼ》と組み合わせて相手の土地をロック状態にすることができる!
前述のハルクフラッシュには《トリスケリオン》が効果的で、《閃光》で出てきたスリヴァー達を3体除去してしまえば、相手はほぼ勝ち手段がなくなる。
《Force of Will》が使えないため相手の1ターンキルを防げないことが欠点だが、それ以外は妨害力・展開力ともに申し分ないデッキだ。
このデッキはヴィンテージから少し変えただけで組みやすいので、本戦でも多いのではないだろうか。サイドボードにアーティファクト対策は欠かさないようにしよう!
■ 「《修繕》」デッキ
3 《教議会の座席》 4 《トレイリアのアカデミー》 4 《Mishra's Workshop》 -土地(11)- 1 《荒廃鋼の巨像》 -クリーチャー(1)- |
4 《Mana Crypt》 4 《オパールのモックス》 4 《夢の掌握》 4 《魔力の櫃》 4 《精神的つまづき》 4 《太陽の指輪》 4 《通電式キー》 4 《Time Vault》 4 《記憶の壺》 4 《修繕》 4 《意外な授かり物》 4 《Force of Will》 -呪文(48)- |
4 《精神壊しの罠》 4 《虚空の力線》 3 《蒸気の連鎖》 2 《防御の光網》 2 《ハーキルの召還術》 -サイドボード(15)- |
《修繕》というカードが大好きだ。
「ティンカー」といえば【ジョン=フィンケルが世界選手権で優勝したデッキ】だ。
エクステンデッドというフォーマットをやるきっかけも《修繕》だった。
【プロツアーニューオリンズ優勝のTinker Stax】は今でも回すくらい好きだ。
禁止解除で《修繕》が4枚使えるなら、最速のアーティファクト・コンボデッキを考えてみよう。
MOXが禁止されている代わりに《Mana Crypt》・《魔力の櫃》・《太陽の指輪》で無色マナは大量に生み出すことが出来る。《通電式キー》はマナ加速と相性が良いし、これを主軸にデッキを考えよう。
大量の無色マナから勝てるコンボ……あった!《Time Vault》《通電式キー》は無色4マナで無限ターンで、両方とも4枚使える!
無限ターンさえ決まってしまえば、あとは勝ち手段は極端に少なくても良い。《荒廃鋼の巨像》をカウンターでバックアップするだけだ。
最速のコンボデッキを目指すなら、大量ドロー/大量マナが不可欠。
・大量ドロー
無色マナに困ることはないので、《記憶の壺》は2ターン目までにはプレイできる。
・大量マナ
《トレイリアのアカデミー》を何度も使う?アンタップ、アンタップ、アンタップ……?《ぐるぐる》?いや、上位互換がある。《夢の掌握》だ。《Time Vault》をアンタップすれば1マナの《Time Walk》になる!
■ おわりに
さて、コンボデッキとアーティファクトデッキという、なんとも下品なデッキ紹介になってしまった。
他にも《ネクロポーテンス》+《ヨーグモスの意志》入りのストームコンボや、《Fastbond》+《噴出》など、考えるだけでワクワクしてくる。
未知のフォーマットのデッキを考えることが、マジックで一番楽しい時間だ。
本戦ではコンボ、アーティファクトあるいはメタデッキ(《無のロッド》・《石のような静寂》メインなど)、どれが勝つのだろうか。デッキリストがアップされるのを楽しみに、この記事を終える。
ではまた。
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