はじめに
本記事は、2026年7月26日に晴れる屋高崎店で開催され、大好評のうちに幕を閉じた「【初心者歓迎】レガシー講習会」にて、当日講師を務めた倉成様が作成された資料をベースに、晴れる屋メディアで編集・再構成したものです。
これからレガシーを始めてみたいと思っている初心者の方はもちろん、すでにこのフォーマットを愛してやまない経験者の方まで、レガシーというフォーマットの「奥深い魅力」と「立ち回りの極意」を楽しんでいただける内容になっているかと思います。ぜひ最後までお付き合いください!
■講師
倉成(MO、MTGA Kuranari-Jackpa) X:@kuranariad
レガシー歴18年(2008年~)
▲大人気『晴れトーーク』ANT回にも出演
【主な活動場所】
Magic Online、晴れる屋高崎店、コミかる堂各店、Booksながしま、ほか
【実績】
Eternal Weekend Asia 2018 優勝、BMO トップ8数回、神決定戦 トップ8
【得意デッキ】
ANT、The SPY、テンポ系ほか
レガシー、それは最高峰の「意志の力」と「選択肢」が織りなすディープな戦場
レガシーとは、一部禁止カードを除き、過去に発売されたほぼすべてのカードを使える公式フォーマットです。
スタンダードなどのフォーマットには、一定の期間が経つと古いカードが使えなくなる「ローテーション」という仕組みがあります。せっかく集めたお気に入りのカードが使えなくなってしまうのは寂しいですし、また新しいカードを買い直すのも大変ですよね。
しかし、レガシーにはこの「ローテーション」がありません!
30年前のレジェンド級カードから、あなたが最新パックで引いたお気に入りのカードまで、「一度手に入れたカードは一生あなたの相棒として」同じ舞台で使い続けることができます。
同じくローテーションのないモダンやヴィンテージにも同様の魅力はありますが、両フォーマットに比べ、メタゲームの変遷が比較的穏やかで、パワーインフレによる”実質的なローテーション”も少ないのがレガシーの特徴です。
新セットが発売されても、環境に入るのは多くて数枚程度。ゆるやかにメタゲームが変遷していくため、お気に入りのデッキをじっくり育てることができます。
そして、「1ターン目でゲームが終わる世紀末環境」と誤解されがちですが、実はそうではありません。
レガシーには《意志の力》や《目くらまし》といった、「マナを支払わなくても相手の呪文を打ち消せるカード」が存在します。これがあるおかげで、どんな凶悪なコンボも1ターン目に好き放題には決められません。お互いに手札を読み合い、いつ、どの呪文を通すかという、まるで極上の人狼ゲームや格闘ゲームのような、濃密な心理戦が楽しめます。
もしあなたがモダンなどの他フォーマットをプレイしたことがあれば、レガシーにおける「土地」の価値とリスクに衝撃を受けるかもしれません。後述する《不毛の大地》の存在により、特殊地形がマナを別途払うことなくあなたのマナ基盤を攻めて来ます。これにより、簡単に土地を伸ばすことが難しいのもレガシー特有の緊張感です。
さらに、置いてタップするだけで無色2マナを出せる《古えの墳墓》や《裏切り者の都》といった「2マナランド(ソルランド)」の存在も、レガシー特有の高速展開を可能にしています。
また、0マナで唱えられる《金属モックス》や《水蓮の花びら》といった強力なマナアーティファクトも使用可能です。1ターン目から爆発的なマナを生み出す手段がある一方で、それを咎める青いピッチスペルが存在するため、レガシー独自の奥深いバランスが保たれています。
そして極めつけは、《思案》《渦まく知識》といった最高峰のドロー呪文たちです。これらにより「引きムラで負ける」ことが極端に少なく、自らのプレイ選択がダイレクトに勝敗へ直結します。
特に《渦まく知識》をいかに強く使えるかが勝率に大きく寄与する点も、レガシーというフォーマットの醍醐味といえるでしょう。
レガシーは《不毛の大地》が環境を定義している!
レガシーを理解する上で、絶対に避けて通れないのが《不毛の大地》です。
このカードは単なる土地破壊ではなく、環境の速度と構造を決定づける「法」であるといえます。
なぜ《不毛の大地》が環境を定義しているのでしょうか?
1. デュアルランド(多色化)への強烈なブレーキ
モダンではフェッチランド+ショックランドで3色~4色デッキが簡単に組めますが、レガシーでは《不毛の大地》でマナが足りなくなり動けなくなったり、特定の色マナだけ出なくなるカラースクリューに陥ることもあります。
《不毛の大地》があるからこそ、1色だけしか出すことのできない基本土地の価値が高まり、プレイヤーはマナベース構築に極限まで頭を悩ませています。
ゲームプランに落とし込むと、2ターン目以降のどの状況で多色が必要になるかを考え、基本土地からサーチすることも多いです。
例)
1ターン目:《島》から《知りたがりの学徒、タミヨウ》唱える。
2ターン目:フェッチランドセット、《知りたがりの学徒、タミヨウ》攻撃後に《渦まく知識》を唱えて変身させる。
同ターンに、
・《Volcanic Island》をサーチして《稲妻》。
・《Underground Sea》をサーチして《思考囲い》。
・フェッチランドを立てた状態で《紅蓮破》や《水流破》《狼狽の嵐》などを構えて《知りたがりの学徒、タミヨウ》を守る。
といった選択肢を取ることが可能です。
1ターン目にデュアルランドを《不毛の大地》で破壊されると、この動きができなくなるため、“2ターン目以降にデュアルランドをサーチする動き”が一部デッキで定石になっています。
フェッチランドとデュアルランドを使う場合、単純に土地破壊性能の高い、アゾリウステンポやクレイドルコントロール、デス&タックスなどとのゲームでは特に重要です。
2. 《目くらまし》との極悪シナジー
レガシーのテンポデッキ(デルバーなど)は、こちらの土地を《不毛の大地》で破壊しながら、《目くらまし》を構えてきます。実質的に「相手のマナを常に1~2マナでロックし続ける」動きが成立するため、モダン以上に「カツカツのテンポ戦」が発生します。
3. 特殊地形コンボへのストッパー
《暗黒の深部》+《演劇の舞台》のような強力な土地コンボへの対策
起動のタイミングは、
①《演劇の舞台》で《暗黒の深部》をコピー。
② レジェンド・ルールの状況起因処理で、オリジナルの《暗黒の深部》を墓地に置く。
③《演劇の舞台》が、氷カウンターの置かれていない《暗黒の深部》として能力が誘発する。
③のタイミングで《不毛の大地》を起動すると、《暗黒の深部》は破壊され、生け贄に捧げることができないので、2対1交換をしつつ、マリット・レイジ・トークンの生成を妨害できます。
《ウルザの物語》が動き出すのを防ぐ
《ウルザの物語》がプレイされ、I章が誘発したタイミングで《不毛の大地》を起動すると、《ウルザの物語》はマナ能力を得ることなく破壊されます。
1ターン目の《ウルザの塔》に対して起動する
この土地を採用しているトロンというアーキタイプは、2ターン目に《次元の結節点》をセットすると、土地2枚から恒久的に4マナの生成が可能になります。
このため《一つの指輪》や《大いなる創造者、カーン》など4マナ以上の脅威連打や、《目くらまし》をケアした《三なる宝球》などを許すことになってしまいます。
さらに、ほかのマナ加速にあるような”使い捨て”や”ライフロス”のリスクなくマナを増やせる動きになるため、このケースは実質的に《不毛の大地》を切らざるを得ない状況に近いです。
コンボデッキにリカバリーを許す速度を与えない
The Spyやスニークショー、ストームといったアーキタイプは、マナ加速の代わりに手札を複数消費するリスクを負います。
《欄干のスパイ》や《実物提示教育》《鏡に願いを》といった”通したら負ける可能性が高いコンボパーツ”を打ち消した場合、二の矢三の矢を引いて再び揃えるまで大幅に減速させることができます。
逆に、対戦相手が《不毛の大地》を使用してこなければ、「基本土地のサイドアウト」が頻繁に発生します。
キルターンの早いコンボデッキ相手の場合、1ターン目に1色しか出ないデメリットが大きいことがあります。
たとえば、TESと呼ばれるチェインコンボデッキ相手に、《Tundra》を立ててターンを返すことで、《鏡に願いを》や《暗黒の儀式》をにらんだ《狼狽の嵐》と、打ち消し呪文を無効化する《呪詛の壊し屋》に対応するための《剣を鍬に》の両方を構えたい場合などです。
レガシーの速度を歪める「異常なマナ加速」の全貌
モダンでは《金属モックス》や《猿人の指導霊》が禁止され、マナ加速への規制が非常に厳しいですが、 レガシーではMTG史上最高峰のマナ加速がそのまま許されています。この「高速化のエンジン」を理解することが、レガシーの洗礼を乗り越える鍵です。
1. 2マナランド(通称:ソルランド)による「恒常的な高速化」
レガシーを代表する特殊地形に《古えの墳墓》《裏切り者の都》という2枚のソルランドが存在します。
1ターン目土地セットから2マナが出る恐怖
これにより、1ターン目に《虚空の杯》(X=1)や、各種「イニシアチブ」クリーチャー、《血染めの月》といった、モダンなら3ターン目に出てくるロックパーツや脅威が飛び出します。
《古えの墳墓》の2点ダメージや《裏切り者の都》の自壊デメリットは、レガシーのゲームスピードが超高速だからこそ「踏み倒せる」リスクです。そして、このソルランドをベースにした「プリズン系」「イニシアチブ系」その他「ストンピィ系」アーキタイプが存在しています。
また、この2つの土地を兼ね備えつつ、打ち消し呪文や《渦まく知識》などのドロー呪文を装備したコンボデッキ「スニークショー」は、メタゲーム上位の一角です。
そのほかにも、《エルドラージの寺院》《ウギンの目》といった、一部のデッキでしか有効活用できないものの、恒久的に2マナを供給し続ける土地も存在しています。
2.
マナアーティファクトによる「手札を弾薬にした爆発力」
《水蓮の花びら》や《金属モックス》《モックス・ダイアモンド》のように手札枚数を失う代わりに、1ターン目の動きを強烈にサポートするカードが存在します。
モダンにはない「1ターン目からコンボを始動する」「ソルランドと合わせて1ターン目に3~4マナを生み出す」といった動きの原動力となります。
3. 奇襲性を高める”指導霊”と黒の特権《暗黒の儀式》
《エルフの指導霊》と《猿人の指導霊》は手札から追放することで
と
を生み出すことができるため、土地がフルタップ状態からでも対戦相手の計算を狂わせる奇襲性を持っています。
The Spy、ネクロドミナンス、カスケードクラッシュといったアーキタイプでは8枚フル投入されています。
《暗黒の儀式》は
が

に化ける、元祖にして最強のマナ加速呪文です。1ターン目のリアニメイトやストーム系コンボの始動、《最後の審判》のキャスト、《ゴブリンの放火砲》の設置を早期に完了させます。
4. 軽量マナアーティファクトによるマナ加速
《厳かなモノリス》《多用途の鍵》に代表されるマナ加速も存在します。これにより、レガシー最強と名高いアーティファクト《一つの指輪》の高速キャストも可能になります。
《三なる宝球》も、マナ加速している側が受ける影響はそこまで大きくなく、対戦相手だけを締め上げるゲームを組み立てることができます。
ブレストで差をつけろ!《渦まく知識》を強く使うポイント
《渦まく知識》とは、とどのつまり3枚引いて2枚戻すだけですが、ほかのカードとの組み合わせや、ゲームプランによってその強さは跳ね上がります。その活用方法のパターンを知れば知るほど勝利に直結するでしょう。
いくつか例を挙げてみましょう。
不要なカードの交換
《渦まく知識》で手札の不要なカード2枚をライブラリートップに戻して、フェッチランドを起動。こうすることで以降のドローでライブラリートップに戻した不要カードを引き込まないよう“フレッシュな”ライブラリーに更新できます。
スペルコンボなどのノンクリーチャーデッキとの対戦で除去は引けば引くほど実質的な手札枚数が減ってしまい不利になります。そこで《渦まく知識》を使い有用なカードと交換することで、手札の”濃さ”を大きく向上させることが可能です。
2枚はライブラリーに戻さなければならないため、手札が強いときには使わないで温存します。
手札破壊から隠す
手札破壊に対応して唱えることで、捨てられたくないカードをライブラリートップに隠せます。レガシーにおいては、ライブラリートップはもっとも安全な隠し場所です。
またコンボデッキなどで、ライブラリー内にあること(手札にないこと)のほうが有用であるカードを戻すことができます。
例)《ナルコメーバ》《戦慄の復活》《ガイアの意志》《石鍛冶の神秘家》でサーチする予定の装備品など。
デッキトップに積み込む
手札からカードをライブラリートップに戻すことで、《相殺》を使い打ち消したいマナ域の調整ができます。
諜報ランドの誘発中に唱え、能動的に任意のカードを墓地に落とすことが可能です。
リアニメイトデッキで《納墓》禁止後に、《俗世の教示者》でサーチしたクリーチャーを諜報ランドで墓地に落とすテクニックに加えて、手札に来たファッティを墓地に落とす手段として再評価されています。(2026-07-26現在は、諜報ランド+《渦まく知識》はディミーアリアニメイトを使用する上での必須テクでもあります)
必要以上に土地をセットせず、《渦まく知識》で戻すカードを確保するために土地を手札に抱え続けることもあります。マナフラッド気味で手札が少ないとき、マナコストを支払えるにもかかわらず《目くらまし》をあえてピッチコストで唱え、戻すカード2枚を確保するテクニックも存在します。
積み込んだカードを今すぐ使う
教示者系カードや、《最後の審判》で積み込んだカードを即座に手札に加えることが可能。
特に《最後の審判》においては、極めて重要なコンボパーツです。積み込んだ任意のカードを速やかに手札に加え、キャントリップや《ライオンの瞳のダイアモンド》と併用して即座にゲームを決める動きを可能にします。
タミヨウを変身させる
《知りたがりの学徒、タミヨウ》に対する除去にあわせて《渦まく知識》を唱えることで、除去を無効化しつつ変身させることができます。
■まとめ:
ほとんどの場合において、「温存して後から唱えた方が強い」とされています。
また、「土地が詰まったくらいでは唱えない方がいい」とも言われており、最初のうちは、”本当に今でいいのか”と自問自答しながら使うくらいがちょうどよいでしょう。
サイドボードだけは「絶対に」ちゃんと組むこと!
「メインはどんなローグデッキでもチャンスがある」。これは裏を返せば、「対策手段を持たない相手を文字通り一瞬で倒してしまうデッキがうごめいている」という意味でもあります。
レガシーにおいて、サイドボードを妥協することは敗北と同義です。
では、なぜサイドボードがそれほど重要なのでしょうか?
「触れないコンボ」への唯一の解答
1ターン目に《実物提示教育》から《全知》を出してくるデッキや、墓地から一瞬でファッティをリアニメイトするデッキに対し、メインで勝つのは相性次第です。
しかし、サイドから《紅蓮破》や《墓掘りの檻》《攪乱のフルート》《灰燼の乗り手》《ケイオス・ディファイラー》などを投入することで、一気にゲームをコントロールできるようになります。
ドロー操作で「サイドカードを引き込める」
レガシーには《渦まく知識》や《思案》があるため、「サイドボードから入れた1枚の強力な対策カード」を探し出せる確率が桁違いに高いです。つまり、サイドボードの質がそのままマッチの勝率に直結します。
メタゲームに合わせた「尖ったカード」の採用
「広く薄く効くカード」よりも、レガシーでは《無のロッド》や《耳の痛い静寂》《精神壊しの罠》《敵対工作員》《封じ込める僧侶》《虚空の力線》といった、特定の相手を機能不全にする尖ったカードや、1ターン目を生きて迎えるために必要なカードに正しくスロットに割く必要があります。
幅広い相手に有効なカードと併用はしますが、どの相手に何が効果的かを理解するとサイドボードが組みやすくなります。
サイドボードの組み方のケーススタディ「VS.ラクドスリアニメイト」
まずは、リアニメイト側のゲームプランを考え、そのあとで自身がどのような対策を講じるか検討します。
リアニメイト側のゲームプラン
1~2マナのカードとマナ加速から、1~2ターン目にファッティを出す動きに再現性がある。サイド後は、墓地を経由しないで《実物提示教育》《要塞の計略》からファッティを場に出す。
妨害の考え方
■墓地からリアニメイトさせない:リアニメイト系呪文そのものを打ち消す、墓地のクリーチャーを追放する、リアニメイト呪文を唱えられるマナを用意させない。
■各ターンのアクションを抑制する(初動を防ぐ)
■サイドに取られている 《実物提示教育》をケアして組み立てる
サイドインに必要と考えられるもの
以下から、自分のゲームレンジに合わせて採用します。
墓地対策
サイド後の《実物提示教育》《要塞の計略》対策
《封じ込める僧侶》《否定の力》《狼狽の嵐》など追加の打ち消し呪文
先手時の妨害
《耳の痛い静寂》《否定の力》《狼狽の嵐》(《動く死体》以外ほとんどのカードに有効)
《三なる宝球》(リアニメイトデッキの構成パーツのほとんどが低マナ域のため《水蓮の花びら》《暗黒の儀式》《信仰無き物あさり》《暴露》といったカードをそもそも使わせない。
ファッティが出ても、コンバットさせなければいいと考える
サイドアウトするカードの考え方
まず考えたいことは、アグレッシブサイドボードにも対応できるサイドアウトかということです。そのあとで以下に敷衍していきます。
単体除去
巨大クリーチャーを出させないことに集中すべきなので抜きます。
ただし、リアニメイト側のサイドボードに積まれている《ダウスィーの虚空歩き》や《呪詛の壊し屋》《黙示録、シェオルドレッド》に対処するカードがほかにない場合は残すことも検討します。
また、緑マナソース(《Bayou》など)が見えた場合、《煙霧の連鎖》と《ウィザーブルームの初学者》の組み合わせによる無限ドレインコンボを想定する。ほかに対応がない場合は除去を残すことも検討します。
タップインランドをはじめとする「土地」
ゲーム序盤に動けないリスクは負けに直結する。土地が1~2枚で止まろうとも、1~2ターン目に動けることの方が大切。そもそも何枚まで並べるゲームを想定するか。たとえばデルバーなどのテンポデッキの場合、クロックが間に合うならば少ない枚数で土地が止まってもまったく問題ないです。
対戦相手が墓地活用プランを継続するサイドボーディングをしてきた場合の後手は、そもそも《不毛の大地》を起動する暇があるかを考えると、2枚ほど減らすことはよくあります。しかも起動せずにマナとして使うこともしばしば。
《実物提示教育》プランなら、青マナ発生源の土地が2枚程度しかないはずなので《不毛の大地》を4枚入れたままでも問題はありません。土地を攻められることはないので、基本土地はサイドアウトしましょう。
自分のデッキを弱体化させすぎないか
特に同族デッキやアグロデッキを使う場合、サイド後に攻撃力が下がりすぎてゲームレンジが後退するリスクは許容しがたいです。
ゲームレンジから考えて対策カードになり得ているか
リアニメイト戦で白系アグロが、《安らかなる眠り》をサイドインしたところで1ターン目にフル展開されれば意味がありません。たとえば同カードであれば、アゾリウステンポのように打ち消しがしっかり搭載されているデッキであれば、リアニメイトの初動を防ぐことができ、《安らかなる眠り》を設置するまでの時間を稼ぐことが可能です。
有利状況を複数枚で確立していく《耳の痛い静寂》のようなカードであれば、《不毛の大地》や通常のアグロプランで押し切れるケースも多々あるため、2マナの墓地対策に比べて有用な場合が明らかに多いです。
*《安らかなる眠り》は、むしろディミーアテンポやイゼットテンポ戦で、クロックを減速させてゲームを長引かせることを意識するために必要となります。
《ネザーゴイフ》や《バロウゴイフ》《ドラゴンの怒りの媒介者》《濁浪の執政》などがビタ止まりするため、ほかのクロック(《コーリ鋼の短刀》《悪夢滅ぼし、魁渡》)に対して除去や打ち消しをあてることを想定し、ゲームを組み立てることができる。そのため、プランの確立が容易になります。
■まとめ:
モダンで培ったフェッチランド・ショックランドの技術、手札破壊やカウンターの「間合いの管理」は、レガシーでもそのまま活きてきます。
カードプールが広い分、最初は覚えることが多いですが、《不毛の大地》の「法」を学び、サイドボードの手を抜かなければ、これほどプレイヤーの知識とスキルに答えてくれる奥深いフォーマットはほかにないはずです。
【色別・ケース別】失敗しないサイドボードディング
サイドボードを組むためのポイントは以下の2点です。
①メタ上位の全てのデッキの動きを知る
②自分のデッキが使うカードが、相手のどのプランにどのように効果的を知る
おすすめサイドカード
2026年7月現在における受けの広いカード・特定デッキに有用なカードを紹介します。
白
《封じ込める僧侶》:比較的安価で、《実物提示教育》系やリアニメイト、ホガークにも効果的です。
《耳の痛い静寂》:1ターン目に、対コンボデッキ相手の選択肢として十分です。《コーリ鋼の短刀》に対しても有効といえます。
《無のロッド》よりもかなり安価。有色のため《嵐の目、ウギン》に弱いデメリットはあります。
リソースや速度で勝てない場合の仕切り直しができます。アゾリウステンポ系や豆の木コントロール系が利用することが多いです。
青
《否定の力》:《意志の力》だけで確定カウンターが足りない場合の追加。
《狼狽の嵐》:「ストーム」のマナ要求カウンター。対コンボ、カウンター合戦用。
《精神壊しの罠》:高速コンボの初動を抑えて、ゲームレンジの調整に役立ちます。パーマネント主体のデッキに対しては、手札破壊をサイドアウト傾向があるため、そのようなデッキは複数枚採用を検討します。
《溌剌の牧羊犬、フィリア》の遅延誘発、エルドラージ、《ファンタスティッカー》の設置および誘発、その無色呪文全般に有効です。
《血染めの月》《騙し討ち》《コーリ鋼の短刀》《呪詛の壊し屋》《紅蓮破》系。
汎用バウンス呪文かつ飛行クロック。
黒
《外科的摘出》:対墓地利用。手札破壊と組み合わせて、コンボパーツをねらい打ちます。
《フェアリーの忌み者》:リアニメイト相手に生きて1ターン目を迎えるために。
《虚空の力線》:1ターン目が来ないような対墓地利用デッキや、《ネザーゴイフ》《月影》のように墓地を利用したクロックに依存しているテンポデッキの一部に。
《虐殺》:対エネルギー、アゾリウステンポ、デス&タックスなど、横に並べるデッキ対策。
《毒の濁流》:上記に加え、エルドラージ、エルフなどの同族デッキに有効です。
実質無色の1マナ除去として使用可能です。
対コンボの定番。
クロックかつ、コンボデッキ側の別プランとして。
赤
打ち消し・キャントリップ全般に対して。《実物提示教育》《濁浪の執政》《知りたがりの学徒、タミヨウ》を1マナで対処できます。
打ち消しが嫌いなコンボ使いのあなたに。
デルバーやエネルギーが採用。最後の一押しに。
《溶融》:親和、《ウルザの物語》、TESのマナアーティファクト、《ファンタスティッカー》に効果的です。
《兄弟仲の終焉》:全体除去枠かつ、昨今増えているアーティファクト主体デッキへの対策。
緑
《花の絨毯》:主にコンボデッキ側(と豆の木コントロール)が対テンポのマナ否定戦略への対策として使用します。
《窒息》:青いデッキの手数を止める。土地単や緑系ビートダウンが採用します。
ピッチコストで唱えることができるため高速墓地コンボを妨害できます。
《虚空の杯》《ウルザの物語》《ファンタスティッカー》など、緑系が苦手としているカードに対処可能です。
マルチカラー
《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》:対高速コンボやカウンター合戦で、アゾリウステンポのお供に。相手だけ
マナファクトが置けなくなることも十分すぎるメリットです。
《ガドック・ティーグ》:セレズニアカラーが苦手とする、《仕組まれた爆薬》や《意志の力》《むかつき》《苦悶の触手》《空の怒り》《自然の秩序》《戦慄の復活》《コジレックの命令》《一つの指輪》といったカードに効果的。
《灰燼の乗り手》:《実物提示教育》が嫌いな土地単使い、同族デッキ使いのあなたに。
無色
使用デッキに合わせて選択する墓地対策。
《実物提示教育》などスペルのコストを増加させたり、《騙し討ち》、プレインズウォーカー各種、土地などを指定することで起動型能力を封殺できます。
1~2色で十分な場合が多い。《虚空の杯》《ファンタスティッカー》も対策可能です。
色を選ばずカーンフォージを大幅に減速できます。親和にも効果的ですが、手札を消費し脅威を展開するのが早いため、2マナ出るまでに(打ち消しや除去など)別の手段での妨害をセットに考えたいです。
デッキの動かし方で困ったら
フェッチランドを切るタイミング…マナを確保したいとき以外
①相手のアップキープに起動して《もみ消し》をケアする。
相手のターンにマナを使わせることで、その後のメインフェイズで使えるマナを減らせます。
②相手ターンの終了フェイズにフェッチランドを起動し、諜報ランドをサーチする。
③《目くらまし》をケアするときに、フェッチランドを起動し終わってから呪文を唱える。
例)未起動フェッチランドを1枚立てた状態で呪文を唱えた際
→ それにスタックで”未起動フェッチランドに対し相手が《不毛の大地》を起動”
→ 対応してフェッチランドを起動しようとした際に《目くらまし》をスタックで唱えられる。
→ フェッチランドの能力解決前のため《目くらまし》で要求される
マナを支払うことができない。
アーティファクト系デッキで打ち消す対象をマナ加速にすることを視野に入れてプランニング
ヴィンテージやモダンだと大量マナの使い先が定石ですが、レガシーだとテンポを稼ぐため《金属モックス》や《厳かなモノリス》打ち消すことも少なくありません。また、土地単の《モックス・ダイアモンド》についても同様です。
《渦まく知識》や《思案》はフェッチランドと組み合わせて使い、見られるカード枚数を多くできるように唱える
欲しいカードが明確でなければ温存することが重要になります。特に《思案》は、《悪魔の教示者》と同じ感覚で使うべきという考え方を持ちましょう。
デッキが相手にばれていないときは、ほかのデッキに擬態して動くことを意識する
たとえば、ディミーアオムニテルは基本土地と手札破壊、軽量除去、《知りたがりの学徒、タミヨウ》で序盤のゲームプランを組み立てることが多いですが、この動きがディミーアコントロールと酷似しています。
ディミーアコントロールは2026年6月末に、《基本に帰れ》搭載型のデッキが一時期Magic Onlineを中心に流行したため、擬態するデッキとして頭に入れておくとよいでしょう。そうすると、本命である《実物提示教育》ではない部分、《知りたがりの学徒、タミヨウ》に打ち消しを使用させることができるかもしれません。
サイド後は、特に「負けないように」立ち回る
サイド後は、負け目を潰すようなプレイングを心がけます。
レガシーデッキを持ってない……
デュアランを買うより先にフェッチランドを揃えよう
ここまでの流れから分かるように、マナベースは重要です。
特に青いテンポデッキで《目くらまし》を使った後にショックランドで毎回2点失っていては、本来と違うゲームになることは否定しようがありません。
デッキによっては、必須級のデュアルランドですが、基本土地から伸ばすゲームも往々にしてあるため、最初に揃える優先度はフェッチランドがもっとも高いです。
どのデッキから入ればいいでしょうか……
比較的(金額的に)揃えやすいと言われているのは
・デス&タックス
・黒単ミッドレンジ
・オムニテル(青単、シミック、ディミーア)
・ボロスエネルギー
・ネクロドミナンス
・青単テンポ
・親和
・エルドラージ
・The Spy
といった候補があります。
ただここでは、金額の安さで選ばないことを推奨します。有名な話では、ビートダウンだと思って揃えたデス&タックスが、実際に使ってみると「ビートダウンもできるテクニカルなボードコントロール」ということがわかった、などのミスマッチが起こりうるからです。
レガシーの魅力として軽量呪文の応酬や、《実物提示教育》から《全知》を設置するといった、レガシーならではの豪快な動きそのものを楽しみたいという側面もあります。経験者の方は、フェッチランドを《もみ消し》したあの日も思い出してみてほしいです。初めて《意志の力》でコンボを止めたあの日も……。
「使ってみたいデッキを使う」「コンボデッキで対策を潜り抜けて勝ちたい」「盤面の展開、コントロールを駆使して戦いたい」といった、やりたいゲーム体験からデッキを決めるのもよい思います。
様々なデッキを見て、対戦して、(場合によってはMagic Onlineを活用してカードを買う前に試して)このやりこみフォーマットを楽しんでもらいたいと思ってます。
選択肢は無限大!様々なデッキにチャンスがある
レガシーは「先行1ターンキルがある世紀末環境」と誤解されがちですが、実際はMTGの中でも多様性があり、どんなデッキ(ローグデッキ)にも勝機があるフォーマットです。そして、無数のアーキタイプと職人(スペシャリスト)の世界でもあります。
・イゼット、ディミーア、アゾリウステンポ系(デルバー、イゼットコーリ鋼、アゾリウス石鍛冶を含む)
・ビートダウンや同族(エネルギービートダウン、ゴブリン、マーフォーク、エルフ) ・各種ストンピィ(赤単ストンピィ、エルドラージ、イニシアチブ) ・超コントロール(4C豆の木コントロール系、ジェスカイコントロール) ・ボードコントロール(土地単、ニックフィット、クレイドルコントロール、マーべリック) ・各種コンボ(ドゥームズデイ、リアニメイト、ストーム、The Spy、《実物提示教育》系、《魔の魅惑》、セファリッドブレックファースト)など、Tier1からTier3以下まで無数のデッキが存在します。
「相棒(愛着のあるデッキ)」を何年も使い続けられる
モダンは環境の変化(禁止やモダンホライゾンシリーズ)でデッキが霧散することもありますが、レガシーは《意志の力》や《不毛の大地》という絶対的な守護神がいるため、ある程度メタゲームは変遷するものの、多少の新カードで愛着のあるデッキの根底はなかなか崩れません。
「1つのデッキを5年、10年と調整し続けた職人」が、環境トップのデッキをプレイングや構築次第でなぎ倒せるのがレガシーの美学ともいえます。
~おまけ~
私はANTというアーキタイプを手を変え品を変えながら17年くらい使ってます。
強いデッキとしての時期も長かったものの、昨今のパワーインフレにより今ではTierが下がっているのは事実です。別のアーキタイプをメインに使用したシーズンもそれなりにあります。
むしろ土地単とエルフ(両方とも難しすぎる)以外はだいたい使ってきており、私のキャラ付けと関係なく、強いデッキを使うことのほうが増えたくらいです。
ただ、ANTは「プレイングの仕上がりが一番良かったから選んだ」ときもあれば「ただゲームとして好きだから使っている」ときもあり、今は後者の時間が長くなってきました。
好みではない動きのデッキ、苦手な強いデッキに振り回されるよりも、自分が強さを引き出せる、あるいは使っていて楽しいデッキを選ぶのも上達のための重要な要素であり、楽しみでもあると思います。
これを忘れず、環境にあわせてチューンアップした相棒でトーナメントを戦うことで、“勝利を目指すこと”と”好きなカードを使うこと”は必ずしも矛盾しないものであると確信しています。
ロマンを追い求めろ。せっかくのゲームなんだから。
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