はじめに
みなさん、こんにちは。
今月は北米で『Eternal Weekend』が開催されます。日本国内でも来月末に『Eternal Weekend Asia』が開催されるなど、レガシーのテーブルトップのイベントが充実しています。
さて、今回は『プレイヤーズコンベンション横浜2026』で開催された『レガシー選手権』、『DMV Legacy League S3 Invitational』『Legacy Challenge 32』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
『レガシー選手権 – プレイヤーズコンベンション横浜2026』 -ウェルダーコンボが秋のレガシー選手権を制する-
開催日:2026年10月3日
優勝 ウェルダーコンボ
準優勝 ディミーアムーンシャドウ
3位 イゼットデルバー
4位 ディミーア忍者
5位 ウェルダーコンボ
6位 黒単ネクロ
7位 スゥルタイ土地単
8位 スニーク・ショー
『プレイヤーズコンベンション横浜2026』の目玉イベントのひとつである『レガシー選手権』。
今大会のプレイオフは多様なアーキタイプが見られ、優勝を収めたウェルダーコンボ以外はすべて異なるアーキタイプが入賞していました。
ディミーアムーンシャドウ
最近主流のディミーアムーンシャドウは、《月影》と《ネザーゴイフ》という2種類の1マナクリーチャーを採用しているため、《不毛の大地》や《目くらまし》で相手を妨害しつつライフを詰めるテンポ戦略が実行しやすく、コンボデッキに強く出れるデッキになっています。
《月影》と《ネザーゴイフ》は速やかにゲームを終わらせることができ、相手はこれらのクリーチャーに除去を使うことになるので、《真夜中の盗人、ビルボ》が生き残る確率も上がります。
また、これらのクリーチャーと相性が良く、デッキの回りを円滑にできる《ミシュラのガラクタ》もフル搭載されるようになりました。
デッキの基本土地は《沼》のみで、《月影》を活用するためにフェッチランドも多めに採用されています。そのため、《血染めの月》や《不毛の大地》といったカードには弱く、それらを搭載した赤単プリズンや土地単を苦手とします。
☆注目ポイント
アドバンテージ源として採用されていた《没頭》ですが、現在は《真夜中の盗人、ビルボ》が優先される傾向にあります。
相手にブロッカーがいる場合でも、《真夜中の盗人、ビルボ》の能力で墓地のドロースペルをプレイし、除去を探しにいくといったプレイングも可能です。
《真夜中の盗人、ビルボ》が定着すればアドバンテージを稼ぎ続けられるので、フェアデッキとのマッチアップではこのカードを通したり守ったりするために積極的に《意志の力》を切っていきます。
このデッキが苦手とするデス&タックスや土地単、除去を多用する豆の木コントロールなどに対抗するために、除去耐性持ちのプレインズウォーカーである《悪夢滅ぼし、魁渡》がメインから採用されています。
また、このカードは墓地対策の影響を受けない勝ち手段としても機能します。
このデッキの主力である《月影》《ネザーゴイフ》《真夜中の盗人、ビルボ》は、墓地に関連した能力を持っているため、《虚空の力線》や《安らかなる眠り》は非常にやっかいです。そのため、サイドには《厚かましい借り手》が2枚採られています。
また、ムーンシャドウ型はほかのディミーアテンポと比べて1マナ域が多いので、《虚空の杯》をバウンスできるカードは必須となります。
単体除去では対処が追いつかないエネルギーやデス&タックスなどのクリーチャーデッキは苦手です。そのため、0マナで唱えられることによるテンポ面での優位性を評価し、《毒の濁流》よりも《虐殺》が優先されています。
特にエネルギーデッキは比較的デッキを組みやすく、フェアデッキに対しても強いため、増加傾向にあります。こうした現在のメタゲームを踏まえ、《虐殺》の2枚採用を推奨します。
『DMV Legacy League S3 Invitational』 -エルフのスペシャリストが今シーズンのInvitationalを制する-
『DMV Legacy League』は、アメリカのワシントンD.C.、メリーランド州、バージニア州を拠点に、レガシーのテーブルトップイベントを開催するコミュニティです。地元のレガシープレイヤーが中心となって立ち上げ、イベントの運営を行っています。
そして『DMV Legacy League S3 Invitational』は、各地で開催された予選を勝ち抜いたプレイヤーのみが参加できる招待制の大会です。
今大会のプレイオフでは、近年のレガシー環境を象徴するように、コンボからフェアまで多彩なアーキタイプが顔をそろえました。
そんななか、優勝を飾ったのは「エルフ」。決勝戦では不利とされる「TES」とのマッチアップを制し、見事頂点に立ちました。
エルフ
レガシーで長い間活躍している同族デッキの代表格「エルフ」。
クリーチャーベースのコンボデッキで、エルフのマナクリーチャーを並べ、《ガイアの揺籃の地》でマナ加速して《孔蹄のビヒモス》までつなげます。
《ワイアウッドの共生虫》+《エルフの幻想家》でアドバンテージを稼ぐこともできるため、除去を多用するデッキとのマッチアップでも粘り強く戦えます。
《オークの弓使い》が登場して以来、数を減らしたアーキタイプでした。しかし、《垣間見る自然》の代わりにサーチ手段や《オークの弓使い》を誘発させない方法でアドバンテージを得る手段を採用するなど、現代の環境に合わせて工夫がされています。
☆注目ポイント
《アナグマモグラの仔》は「土の技」によって《ガイアの揺籃の地》をクリーチャー化することで、《クウィリーオン・レインジャー》や《ワイアウッドの共生虫》でアンタップできるようになり、大量にマナを出すことができます。
たとえば、1ターン目に《ラノワールのエルフ》、2ターン目に《ガイアの揺籃の地》をプレイし《アナグマモグラの仔》を出して「土の技」で《ガイアの揺籃の地》をクリーチャー化させます。《ガイアの揺籃の地》をアンタップできる《ワイアウッドの共生虫》があれば、3ターン目には大量なマナから勝利できるでしょう。
また、《ティムールの剣歯虎》で《ワイアウッドの共生虫》をバウンスして再プレイし、《ワイアウッドの共生虫》の能力でマナエルフをバウンスしながら《ガイアの揺籃の地》をアンタップすることで、無限緑マナを得ることができます。
《アロサウルス飼い》は青いデッキに対して強力なカードで、カウンターされずにこちらのコンボを通すことができます。
《並外れた語り部》は《ワイアウッドの共生虫》などキーとなるクリーチャーをサーチする手段になります。エルフなので《ワイアウッドの共生虫》の起動能力でバウンスすることができ、再プレイすることで追加のクリーチャーをサーチ可能です。
『Legacy Challenge 32』 -『リアリティ・フラクチャー』の新カードがレガシーでも大活躍-
開催日:2026年10月8日
優勝 ドゥームズデイ
準優勝 ホガーク
3位 バント豆の木コントロール
4位 シミックポスト
5位 エルドラージ
6位 エルドラージ
7位 ジェスカイテンポ
8位 ラクドスリアニメイト
モダンでも活躍している『リアリティ・フラクチャー』の新カード、《暗黒物質の操り手》を採用した「ホガーク」が準優勝という好成績を残していました。
ホガーク
《月影》や《甦る死滅都市、ホガーク》といったクリーチャーを主力とした墓地を軸にした高速アグロデッキで、『リアリティ・フラクチャー』から登場した《暗黒物質の操り手》によって強化されたアーキタイプです。
切削を持つ1マナのクリーチャーが増えたことで、《月影》を強化しつつ《甦る死滅都市、ホガーク》の「探査」の下準備をしやすくなりました。
軽いクリーチャーが多く、フェッチランドを残しておけば《ドライアドの東屋》をいつでもサーチしてくることが可能で、一度にクリーチャーを2体場に出せる《オークの弓使い》も採用されているため、簡単に《甦る死滅都市、ホガーク》を出すことができます。
また、《マダラの鉤爪門》や《森を護る者》のおかげで除去にも耐性があり、ディミーアテンポなどフェアデッキに強く出れる点が魅力のデッキです。
ただ、墓地を使ったデッキなので《虚空の力線》や《安らかなる眠り》といった墓地対策には弱いです。
☆注目ポイント
《暗黒物質の操り手》はレガシーでもかなり強力なカードとして注目を集めています。《縫い師への供給者》と同様に場に出たときに1マナで3枚切削することができ、墓地にあるカード7枚ごとに+2/+0の修正を受けます。
《縫い師への供給者》と異なり死亡時の能力は持たないものの、「ゲームが進むにつれて強くなる」といういつ引いても強いカードです。
デッキの主力の多くが墓地の状況に依存するため、墓地対策されると大幅に弱体化を強いられます。そこで活躍するのが《大鎌猫の仔》です。
フェッチランドを多用するこのデッキでは2回目の「上陸」も狙いやすく、このクリーチャー自身もトランプル持ちなので、一度回り始めればゲームを速やかに終わらせることができます。
《エルフの開墾者》や《聖遺のワイト》などの土地をサーチできるカードや、回避能力持ちの《月影》とも相性がいいクリーチャーです。
このデッキの妨害手段は、小型クリーチャーに強い《オークの弓使い》や、《思考囲い》と《陰謀団式療法》によるハンデス、単体除去を無効化する《森を護る者》などがあります。
《陰謀団式療法》は《縫い師への供給者》を「フラッシュバック」のコストにしつつ、ライブラリーを掘り進むことも可能です。
《森を護る者》は主要なクリーチャーを除去から守りつつ、土地を墓地に落とすことで《月影》の強化も可能です。墓地も肥やすこともできるなど、このデッキのさまざまなカードとのシナジーがあります。
『Legacy Challenge 32』 -イゼットデルバーが復権-
日曜日に開催された『Legacy Challenge』は、普段のチャレンジよりも人数が多く、70名超えでスイスラウンド7回戦でした。
今大会の決勝戦はイゼットデルバーとイゼットテンポと、デッキのスタイルこそ異なるものの久々のイゼットミラーとなっています。
イゼットデルバー
イゼット系のテンポデッキは、最近なかなか良い立ち位置にあります。
ディミーアは依然として最も人気のあるデッキですが、《月影》型の流行により、イゼットが苦手な《バロウゴイフ》や《オークの弓使い》を採用したミッドレンジスタイルは減少傾向にあるのが理由です。
今回のバージョンは、一般的なイゼットデルバーのリストよりもカードの質やロングゲームを重視しているようで、多くのマッチアップでミッドレンジのようにも振る舞うことができます。
☆注目ポイント
《コーリ鋼の短刀》は高速コンボとのマッチアップでは遅いため、お世辞にも強いカードとはいえません。マッチアップによって強さが変動しやすいカードではありますが、除去を多用するフェアデッキとのマッチアップで真価を発揮します。
一般的なイゼットデルバーは3枚の採用になっていますが、フェアデッキとのマッチアップでは2ターン目に《コーリ鋼の短刀》を設置したいので、サイドに4枚目が採用されています。
デッキ名にもなっている《秘密を掘り下げる者》ですが、コンボ以外にはカードパワーが低く、変身前に《オークの弓使い》を合わせられると一方的に除去されてしまうため、2枚に減らされています。その空いた枠には、アドバンテージ源になる《知りたがりの学徒、タミヨウ》が採用されていました。
コンボ対策として、メインから追加の妨害として《否定の力》も1枚採用されています。
スペルランドの《朦朧への没入》は土地枠に入る妨害スペルで、デッキのスロットを圧迫せずに《否定の力》や《意志の力》のコストの青いカードを増やせる優秀なカードです。
総括
10月12日に禁止制限告知がありましたが、大方の予想通りノーチェンジでした。
前回の公式の発表からも、『Eternal Weekend』が目前に迫っていることを踏まえ、可能な限り新たな禁止カードを出さない方針がうかがえました。
実際、現在のレガシー環境では、ムーンシャドウをはじめとするディミーア系のテンポデッキが高い人気を誇る一方、エネルギー、オムニアルーレン、ウェルダーコンボ、トロン、多色コントロールなど、多彩なアーキタイプが活躍しています。
こうした環境の多様性を考慮すれば、今回の判断は妥当だったといえるでしょう。
これにより、『Eternal Weekend』は現在の環境で行われることが確定したので、安心して各イベントに向けて準備をすることができます。
以上、USA Legacy Express vol.284でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!


















































