Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2019/06/20)
はじめに
やぁみんな!また会えてうれしいよ!今回もリミテッドの記事をお届けだ!
この記事は『モダンホライゾン』が発売されて数日後に書いている。これまでに培った知識をみんなにも紹介しよう。
このセットは、主にモダンを対象とした構築向けのセットとしてデザインされている。でも、リミテッド目線ではかつてないほど複雑なセットのひとつなんだ。過去のセットに収録されたメカニズムがおよそ45個も入っているんだからね!だからマジック歴が浅いプレイヤーはちょっと苦労するかもしれない。過去のセットをあまりプレイして来なかった人は、事前にカードリストを何度か眺めておくことをおすすめするよ。
これだけメカニズムもシナジーもあるのだから、可能性が無限大であり、探求の余地が大きいことは察しが付くと思う。今回は、俺が実際にドラフトで使用したアーキタイプをいくつか取り上げながら、この素晴らしくも複雑な環境で、なぜそのアーキタイプをおすすめするのかを説明していこう。
環境の4大巨頭
赤緑土地
一番好きなアーキタイプのひとつだ。ドラフトで赤緑土地を狙っておくと、デッキが形にならない確率がとても低いというメリットがある。なぜかと言うと、脇を固めるカードが単体ですごく強いからだ。2マナ域には《母熊》とか《霧氷守り》みたいな奴らが揃っている。
それから、マナコストが低くて効率の良い除去がたくさんあるのも強みだ。具体的には《マグマの陥没孔》(実際には「探査」コストが必要になるけど、早いうちからリソースの交換をしていけば効率の良い除去になる)、《炎恐怖症》、《凶暴な一振り》とかだね。
《溶岩の投げ矢》は弱そうに見えるかもしれないけど、序盤のクリーチャーを除去できることも少なくないし、終盤にはデッキのテーマである「墓地に土地を置く」を達成できる。《春花のドルイド》もこのテーマの達成に役立つカードで、《ムラーサのビヒモス》とか《炎血の精霊》のようなカードをとてもパワフルにしてくれる。だって《炎血の精霊》が毎回4マナで唱えられるんだよ?赤の《ネクラタル》だ!
すぐに手を付けられなくなるコモンといえば、他にも《吠え象の群れ》がある。これは緑の《ベナリア史》だ!(いい加減にこの例え癖をどうにかした方が良いかな)
このアーキタイプは、全部のマナ域に強力な選択肢がたくさんある。現環境で最強クラスになれるだけのメンバーが揃っていると思うよ。
青黒忍者
環境の脅威だ。シナジーこそがすべてで、デッキが上手くまとまれば、ほぼ敵なしの状態になる。
そのようなデッキを作るには、回避能力を持つクリーチャーや、忍者の攻撃を通す手段を十分に確保することが必要だ。つまり、《煙の覆い》みたいなカードが有効なのさ。最初はこのカードを馬鹿にしていたんだけど、今や青黒忍者のキーカードだと思っているよ。《新月の忍者》も過小評価されていると思う。6点を叩き込めればダメージレースを大きく有利に運べるし、《煙の覆い》が機能し始めていれば、相手に対処を迫ることができる。そこで除去されなければ勝ちだ。
ここまで忍者と「忍術」について話したけど、こいつらを上手く使うには攻撃を通す必要があるよね?そこで1マナ域の出番だ。活きのいい奴らが2枚もある。
特に《フェアリーの予見者》は最高だ。飛行もあるし、占術でデッキの動きをスムーズにしてくれる。「忍術」でクリーチャーを何度も手札に戻せるデッキだから、戦場に出たときに誘発する能力はとても相性が良い。マナフラッドとは無縁の世界だよ。
その次に優秀な1マナ域は《変わり身ののけ者》だ。2番手とはいえ、《フェアリーの予見者》も攻撃を通せないときがあるから、ブロックされないのはかなりありがたい。
1マナ域のカードが手札に来なかったとしても、2マナ域にも《暴食するナメクジ》とか《ミルカイト》のような回避能力を持つ奴らがいるから大丈夫だ。
あと2枚だけ紹介しておきたいカードがある。《大クラゲ》と《風呼びのエイヴン》だ。こいつらがいれば邪魔なブロッカーがいる場合でも「忍術」を達成したり、忍者の攻撃を通したりできる。
こうやって見てみると、『モダンホライゾン』では青の層が厚いことがわかると思う。色々なアーキタイプを支える色だ。
黒赤サクリファイス / ゴブリン
黒赤は2つのタイプに分かれる。
ひとつは、昔からよくある、生け贄に捧げることにフィーチャーした黒赤だ。《山羊盗り》でクリーチャーを盗んで、《ボガーダンの龍心》とか《屍肉喰らい》の糧にする。もちろんトークンをエサにしても良いよ。
もうひとつは、古典的なアドバンテージデッキだ。攻撃的なクリーチャーと除去をバランス良く採用したようなやつだね。
どちらのタイプを組むにしても、《ゴブリンの戦闘隊》は素晴らしい活躍をみせてくれた。このセットの《英雄的援軍》だ!油断している相手を倒そう!
青緑氷雪 / 緑ベースの5色
欲張りデッキだ。大抵は青緑になるんだけど、《春花のドルイド》とか《アーカムの天測儀》みたいなマナサポートがあるから、ドラフトでピックできた強力なレアをタッチできる。
「氷雪」を必要とするカードは本当に強い。だけどそのほとんどがアンコモンなんだ。《針葉樹ワーム》はあっという間に相手を倒すし、《忌まわしきツリーフォーク》は巨大なサイズの《冷気をもたらす者》だ。《凍て虫》もフィニッシャー候補になるけど、ドラフトの終盤で取るようにしよう。
「氷雪」パーマネントを揃える間にも、序盤の地上防衛を怠ってはいけない。《フロストワラ》とか《冬の休眠》を何枚か使えば時間を稼げるだろう。
その他のアーキタイプ
ここまで紹介した4つのアーキタイプが、トップクラスのものだ。だけど、このセットにはまだまだアーキタイプがたくさんあるんだ!
赤白スリヴァーはかなり残念なものだった。強い動きをするには盤面にスリヴァーを大量に並べることが必須なのに、あっさり妨害されてしまうんだ。だからこのアーキタイプには手ごたえを感じなかったね。
でも、他にも超強力なデッキに仕上がる可能性があるアーキタイプはいくつかある。以下のデッキでは、各2色のテーマを象徴するアンコモンをピックすることが重要だ。
青赤ドロー
青赤ドローも良いアーキタイプだ。デッキの脇を固めるカードは誰も欲しがらないものだから、卓を1周してくることも多い。だから、ドラフトの序盤は主力級のカードをピックすることに専念できるんだ。《雷鳴のジン》はトップアンコモンの一角だから、ぜひとも入れたい。こいつが生き残った状態でターンが返ってくれば、その時点でほぼ勝ったようなものだ。
《多角ミノタウルス》もかなりデッキに合っている。《炎の拳》と組み合わせれば、ちょっとした《ティムールの激闘》コンボだ。《死の影》デッキが好きな人向けだね。
青白明滅
《魂寄せ》はかなり強いから、デッキの中心に据える価値があると思っているよ。《大クラゲ》と相性が良いのはもちろんだけど、《思案する魔道士》や《夕暮れヒバリ》、《変容の軍勢》ともコンボになる。このアーキタイプはアドバンテージこそがすべてであり、リソース差で相手を圧倒しながら飛行クリーチャーで勝利を目指そう。
《ロウクスの古参兵》を使うようなデッキには見えないかもしれないけど、実際には1枚で大きく勝利に貢献してくれる。どんなダメージレースも有利に運べるんだ。除去枠は《超現実的決着》が最高だ。大抵は相手のクリーチャーを追放しつつ、こちらのクリーチャーを「明滅」できるので、アドバンテージを獲得できる。
白緑トークン
最後に解説するのは、白緑トークンだ。
先に《吉兆の一角獣》を展開できると強い動きができる。でも、本筋のゲームプランは《吠え象の群れ》、《変容の軍勢》、《双子絹蜘蛛》でトークンを並べることだ。そこに《ロウクスの古参兵》が加われば、数ターンで決着をつけられるだけの戦力になる。
ただし、自分のデッキのことばかり考えていてもダメだ。トークンを並べていく過程でテンポロスした場合に備えて、《凶暴な一振り》のような軽い除去を何枚か入れておこう。
さいごに
この環境にはまだまだ未知の可能性がたくさんあると思う。今回は、俺が環境初期に感じたことを紹介したに過ぎない。だから何かおすすめのものがあったら、ぜひ教えて欲しい!
じゃあまたね!
マルシオ・カルヴァリョ (Twitter / Twitch)