難波 直也。2018年のマジックシーンを追っていた人ならこの名前に反応するのではないだろうか。
人生初のプロツアー参加、グランプリ・千葉トップ8、日本選手権準優勝、ワールド・マジック・カップ5位。信じられないかもしれないが、これら全てが2018年というたった1年の間に起きた出来事なのだ。
時は流れ、2019年。世界の名だたるプレイヤーたちが集まる大会、ミシックチャンピオンシップ・ロンドンで初日のドラフトラウンド全勝を達成した。2回戦ではHareruya Pros所属であり、リミテッドマスターであるパスカル・フィーレン/Pascal Vierenを打ち倒している。
そして今回のミシックチャンピオンシップ・バルセロナ。またも彼は初日のドラフトを3-0で駆け抜けた。しかも相手に回してきたのは、リー・シー・ティエン/Lee Shi Tianやペトル・ソフーレク/Petr SochurekといったHareruya Prosたちだ。彼の実力が確かであることは間違いないだろう。
一体彼は今大会に向けてどのように取り組んできたのか。直接彼に伺ってみることにした。
MCロンドンと同様に今回のフォーマットはモダンですが、前回の結果を受けて何か練習方法や意識を変えましたか?
殿堂入りプレイヤーであるガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassifと戦う難波直也
意識して大きく変えたことはないですね。ただ、前回はモダンの結果が思うようにいかない部分もあったので、練習はモダンに比重を置くようにしましたね。
難波さんは昨年から急成長を遂げていらっしゃいます。練習方法について気になる読者も多いと思うのですが、今回はどういった方法で練習したのでしょうか。
一人でMagic Onlineでひたすら練習しました。しかし、ただ練習すれば良いというものでもありません。しっかりと対戦結果、勝率、または細かい変化などを記録してデータ化し、振り返るようにしています。何の要素が勝率を上げているのか、あるいは下げているのかをしっかり認識できるようして、反省を活かすことが重要ですね。
グランプリ・千葉トップ8や日本選手権準優勝など、構築だけでなくドラフトに関してもお得意であると認識しています。今回のドラフトは特殊セットですが、どういった意識をされましたか?また、この環境の雑感と戦略があれば教えてください。
特殊セットでありますが、特に何かを意識したということはありません。白と緑が弱いという情報とグリクシスカラーが強いというデータをもとに考えながら、卓に流れてくるものでデッキを作り上げていきます。白と緑が弱いと言いましたが、極端に弱いというわけではないです。白は緑よりもさらに見劣りしますけどね。
今回も見事に初日のドラフトを全勝されていましたね。おめでとうございます!どのようなデッキを組まれたのでしょうか。
ありがとうございます。今回も3-0でしたね。ピックについては先ほども言ったように、卓の流れを読んで空いている色を積極的に取りに行くようにしました。そうしたらカニが5枚も!こんなのめったに遭遇しません(笑)
やったことないタイプのデッキでしたが、木原 惇希さんがTwitterにあげていた氷雪ライブラリーアウトが頭の中にあったので、それをベースにイメージして組みました。
🦀🦀🦀3 – 0🦀🦀 pic.twitter.com/zEZVNGKiXi
— Naoya Nanba (@ur_usaani) July 26, 2019
話を伺う中で彼の3つの強さが見えてきたような気がした。
「ひたむきさ」。一人で黙々とMagic Onlineに打ち込み、データを集積し、反省し、成長する。並々ならぬ情熱がなければ到底できないことだろう。
「柔軟性」。確固たる考えを持ちながらも、周りの状況を読み解き、有利なポジションをとる。経験が十分でないアーキタイプをミシックチャンピオンシップ本番でできる対応力が彼にはあった。
そして「度胸」。彼は目の前に世界のトッププレイヤーがいても臆さない。世界で戦っていくには欠かせない資質だ。
これだけの魅力を持っている彼だが、なんとまだ21歳という若さである。今後もひたむきに、柔軟に、そして堂々と世界に立ち向かい、さらなる成長を遂げていくことだろう。今から彼の未来が楽しみで仕方がない。