Translated by Ryosuke Igarashi
(掲載日 2019/08/23)
「死のグループ」
ある日、俺は「死のグループ」(サッカーのワールドカップで使われている言葉だ)へ配属されるという通知を受けたんだ……。そう、とてつもないプレイヤーしかいないグループだ!
Emerald Division Info
— Magic Esports (@MagicEsports) August 1, 2019
Round Robin: Aug 12-14th
Top 4: Aug 17 streamed at https://t.co/glt0VbITBL at noon PT/3 p.m. ET/7 p.m. UTC
Competitors:@PVDDR @jesstephan @efropoker @InsayneHayne @MartinJuza @SethManfield @LuisSalvatto @yaya3_ pic.twitter.com/fycVqXJlb1
スケジュールは以下のようになっていた。
スケジュール | 対戦相手 |
---|---|
月曜日 10時 | マーティン・ジュザ |
月曜日 12時 | セス・マンフィールド |
月曜日 13時 | エリック・フローリッヒ |
月曜日 14時 | アレクサンダー・ヘイン |
火曜日 15時 | 八十岡 翔太 |
火曜日 16時 | ジェシカ・エステファン |
水曜日 10時 | パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ |
前週のPearlディビジョンは6人が吸血鬼、あとはスケープシフトとディミーアコントロールが1人ずつと吸血鬼まみれの結果になった。当時は吸血鬼、スケープシフトがスタンダードのベストデッキで、今週はそれを考慮した上でのメタゲームになるだろうと考えていた。熟考を重ねた末、俺は忘れられていたデッキ、ジェスカイプレインズウォーカーに決めたんだ。各プレイヤーのリストはここから見られるようになっている。
1 《平地》
4 《神聖なる泉》
4 《聖なる鋳造所》
4 《蒸気孔》
4 《氷河の城砦》
2 《断崖の避難所》
1 《硫黄の滝》
4 《次元間の標》
-土地 (25)- -クリーチャー (0)-
4 《ショック》
4 《轟音のクラリオン》
3 《不可解な終焉》
4 《覆いを割く者、ナーセット》
4 《時を解す者、テフェリー》
3 《崇高な工匠、サヒーリ》
2 《謎めいた指導者、カズミナ》
2 《ウルザの後継、カーン》
3 《主無き者、サルカン》
2 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
-呪文 (35)-
3 《丸焼き》
2 《敬虔な命令》
2 《イクサランの束縛》
2 《スランの崩落》
1 《凶兆艦隊の向こう見ず》
1 《浄化の輝き》
1 《不可解な終焉》
-サイドボード (15)-
なぜジェスカイプレインズウォーカー?
この週に最も多いと予想したデッキは、《山》が20枚入ったデッキだった。まさしく吸血鬼の天敵だからね。そんな赤単との相性が段違いに良かった、というのがジェスカイプレインズウォーカーを選んだ理由だ。
対戦相手のデッキ選択については、スケープシフト、吸血鬼や赤単がそれなりにばらけるだろうとも考えていた。だがここで最も重要なのは、だれもコントロールデッキを使わないだろうし、もし使用するにしろ《古呪》をたくさん採用したりはしないだろうということだ。《古呪》がなければ、ジェスカイプレインズウォーカーには手を焼くことになるだろうね。全てのプレインズウォーカーが自分の役割を果たし、最後には《主無き者、サルカン》がゲームを決めてくれる。
メタゲーム予想には自信があったものの、この読みはそこまで当たってもいなかったね。とはいえ、非常に相性のいいマッチアップが2つ、それなりのマッチアップ(エスパーヒーロー)が3つ、悪いマッチアップ(エスパーコントロール)が2つという結果になった。
コントロール相手は諦めることにしたよ。ライフを回復できる《次元間の標》を4枚マナ基盤に採用したかったため、マナベースの観点から《ドビンの拒否権》を採用する余裕がなく、代わりに予測していたデッキへの対策カードを入れていたんだ。《軍勢の戦親分》を採用しなかったのはミスで、4枚採用するべきだったと思っているよ。
「どうしてジェスカイプレインズウォーカーを今になって?」という質問をたくさんもらったが、《古呪》を何度も唱えられさえしなければこのデッキは本当に強いんだ。プレインズウォーカーたちが初めてみんなで力を合わせたときからそれは変わっていないね。だがこの記事はデッキについてではなく、いかにメタゲームへと取り組むかについて書いていこうと思う。
また、「フォーマットXの最強デッキって何?」と頻繁に尋ねられるが。その答えはほとんどいつも同じだ。モダンでは、自分が一番知っていて、安心できるデッキ。そしてスタンダードでは、メタゲームが全てだ。時には1週間、数日でメタが変わってしまうこともあるし、現在のスタンダードはいまだに解明されていないから、それゆえに実に多くの戦略からデッキを選ぶ必要がある。そこそこ、もしくは良質な成績を収めたたくさんの候補の中からね。
デッキの名前を出す必要もないのだが、スタンダードを最初から追ってるわけではない、という人たちのために説明しておこう。
アーキタイプ | 該当のデッキ |
---|---|
単色 | 赤単 白単 青単 緑単 |
シミックカラー | 《運命のきずな》 ランプ エレメンタル |
ミッドレンジ | エスパーヒーロー ボロス/ナヤ/マルドゥ 《贖いし者、フェザー》 バントランプ スケープシフト ジャンド恐竜 |
コントロール | エスパー ジェスカイ アゾリウス グリクシス |
(ある種の)コンボ | 「探検」パッケージと《戦慄衆の指揮》 (ああ、まだリーガルだし実戦級だ!) イゼットフェニックス |
そして、マスターであるスタニスラフ・ツィフカ/Stanislav Cifkaによる新星、《隠された手、ケシス》コンボがここに加わった!
4 《湿った墓》
3 《神聖なる泉》
2 《寺院の庭》
1 《神無き祭殿》
3 《氷河の城砦》
1 《水没した地下墓地》
3 《疾病の神殿》
3 《静寂の神殿》
1 《神秘の神殿》
-土地 (25)- 4 《精励する発掘者》
4 《迷い子、フブルスプ》
4 《万面相、ラザーヴ》
4 《隠された手、ケシス》
-クリーチャー (16)-
2 《祖神の使徒、テシャール》
2 《軍団の最期》
2 《漂流自我》
1 《狼の友、トルシミール》
1 《古呪》
1 《ウルザの殲滅破》
1 《不滅の太陽》
1 《夢を引き裂く者、アショク》
1 《神秘を操る者、ジェイス》
1 《伝承の収集者、タミヨウ》
-サイドボード (15)-
どのように新たなメタゲームへ取り組むべき?
熟達したプレイヤーはみな同じことを言うだろう。「何を予想すべきか分からないときは、攻める側にまわって対処を迫るようなデッキを選ぶべきだ。攻めるのは簡単だが、未知のメタゲームで相手に対応するのは難しいのだから」と……。
では、現在のように移り変わっていくメタゲームではどうだろう?ああ、まずはどのデッキがTier1かを知り、その中から1つを選ぶか、それらのデッキに少なくとも互角に戦えるようなデッキを組み上げよう。みんなが張り切って回しているような、流行りのデッキがあるかどうかを知っておき、それに勝てるようにするのも非常に大事だ。
『基本セット2020』で様々なカードがもたらされたから、今なら特定のデッキを倒すのも容易になったね。このセットの個人的なベストカードは、わずか緑1マナしかかからない令和の《謎めいた命令》だ。
Emeraldディビジョン、リーグ戦レポート
初日となった月曜日は非常にいいスタートを切ることができた。読者諸君はこのスプリットでの結果をもうご存知かもしれないが、それぞれのマッチについて少しずつ言及しておこう。
1戦目:マーティン・ジュザ(赤単)
初戦の相手はジュザの赤単、相性のいいマッチアップの一つだ。《実験の狂乱》がジェスカイに勝てる唯一のカードで、 敗北を喫したゲームはまさにそのカードに負けてしまった。
いい勝負が見たいなら、このマッチの2ゲーム目がお勧めだ。俺は《実験の狂乱》を止められなかったものの、ジュザのデッキが残り9枚になるまで生き延びたんだ。赤単がこの量のプレインズウォーカー、そしてライフゲインに対処するのがどれほど難しいか想像できることだろう。
2戦目:セス・マンフィールド(エスパーコントロール)
1 《沼》
4 《神無き祭殿》
4 《神聖なる泉》
4 《湿った墓》
4 《水没した地下墓地》
4 《氷河の城砦》
4 《孤立した礼拝堂》
-土地 (26)- 1 《永遠神ケフネト》
-クリーチャー (1)-
4 《思考消去》
1 《喪心》
1 《灯の燼滅》
2 《吸収》
2 《肉儀場の叫び》
1 《屈辱》
2 《ケイヤの怒り》
2 《ヴラスカの侮辱》
2 《アズカンタの探索》
2 《ケイヤの誓い》
3 《時を解す者、テフェリー》
2 《覆いを割く者、ナーセット》
3 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
2 《戦慄衆の将軍、リリアナ》
-呪文 (33)-
2 《見栄え損ない》
2 《強迫》
2 《敬虔な命令》
2 《害悪な掌握》
1 《ドビンの拒否権》
1 《永遠神の投入》
1 《戦慄衆の指揮》
1 《イクサランの束縛》
1 《覆いを割く者、ナーセット》
-サイドボード (15)-
2戦目はセス・マンフィールドと相まみえた。こちらは手札破壊呪文も打ち消し呪文もないため厳しいマッチアップだと分かってはいたものの、これもまたマジックだし、俺は最善を尽くそうとした。だが、運は彼に味方した。もちろん彼にとって相性の良いマッチアップではあったし、そもそも彼は優れたプレイヤーだ。加えて引きもよかったとなると……俺は木端微塵にされてしまったってわけだ。
3戦目:エリック・フローリッヒ(エスパーヒーロー)
3戦目はエリック・フローリッヒだったが、非常に簡単な試合だった。危ういカードは《ボーラスの城塞》のみで、彼は2ゲームとも引き込むことができなかった。
4戦目:アレクサンダー・ヘイン(エスパーヒーロー)
アレクサンダー・ヘインとの4戦目、《ボーラスの城塞》2枚に《古呪》1枚が採用されていたものの、非常に有利なマッチアップなため難なく勝利することができた。
5戦目:八十岡 翔太(エスパーコントロール)
1 《沼》
4 《神無き祭殿》
4 《神聖なる泉》
4 《湿った墓》
4 《水没した地下墓地》
4 《氷河の城砦》
2 《孤立した礼拝堂》
2 《静寂の神殿》
-土地 (26)- 3 《聖堂の鐘憑き》
-クリーチャー (3)-
1 《強迫》
4 《思考消去》
2 《喪心》
1 《灯の燼滅》
1 《ドビンの拒否権》
1 《古呪》
2 《肉儀場の叫び》
1 《漂流自我》
1 《戦慄衆の指揮》
3 《ケイヤの誓い》
1 《ボーラスの城塞》
3 《覆いを割く者、ナーセット》
3 《時を解す者、テフェリー》
4 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
-呪文 (31)-
2 《強迫》
2 《霊気の疾風》
2 《夢を引き裂く者、アショク》
1 《聖堂の鐘憑き》
1 《灯の燼滅》
1 《ドビンの拒否権》
1 《古呪》
1 《ボーラスの城塞》
1 《覆いを割く者、ナーセット》
-サイドボード (15)-
5戦目はコントロールマスター、八十岡 翔太との試合だ。1ゲーム目に1枚挿しの《古呪》を引かれ、2ゲーム目は完封されてしまった。悲しきかなこの0-2というスコア、そしてジュザに負けた1ゲームによってタイブレイク争いで最下位となり、トップ4の足切りをくらってしまったんだ。本当に悲しかったけれど、結局は公平だから仕方がないね。
6戦目:ジェシカ・エステファン(エスパーヒーロー)
6戦目もなかなか手痛い試合だった。ジェシカ・エステファンのエスパーヒーロー(《覆いを割く者、ナーセット》なし)とのマッチだったのだが、MTGアリーナは俺も《覆いを割く者、ナーセット》を採用していないと勘違いしたのだろうか?2ゲーム目は《覆いを割く者、ナーセット》を引かなかったために敗北しかけ、3ゲーム目もデッキの上20枚に《覆いを割く者、ナーセット》が見つかることはなく敗北してしまった。
こちらが有利なマッチアップと感じていたため、非常に堪えたね。だが、この後に最高のマッチアップと戦える最後のチャンスが残っていた。
7戦目:パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ(赤単)
最終戦はパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ、そして再びの赤単が相手だ。非常に楽なゲームだったね。2ゲーム目は白マナを引き込めず敗れてしまったが、最終的には勝利することができた。
最終戦績
最終戦績は4-3。タイブレイカーでトップ4に残れなかったのは悲しいものの、デッキ選択、プレイには満足しているよ。
💔💔💔 pic.twitter.com/YQoIuHbYRl
— Luis Salvatto (@LuisSalvatto) August 14, 2019
おわりに
さて、ここまで読んでくれてありがとう!忘れないでほしいのだが、このゲームで、そして人生で学ぶための最善策は新しいことを試し、失敗することだ。俺は自分で試す時間がないときのみ、デッキリスト、サイドボーディングガイドに従うことを勧めている。各マッチアップでのカードの評価を学び、理解することはできるからね。
ただ、ネットでデッキを探したとしても、それは異なったメタゲームで成功を収めたものだ。仮に当時の最強デッキであったとしても、1週間も経ってしまえば以前の輝きは失われてしまうだろう。