インタビュー:中道 大輔(東京)~進撃の王者~

晴れる屋メディアチーム

旅路の果て

長かった…本当に長かった。「草の根の王者」と呼ばれ、ありとあらゆるフォーマットで安定感と強さの双方を兼ね備えた中道 大輔にとって足りなかったのは、たった1回のグランプリでのトップ8入賞だった。それは本人だけではなく、周囲のプレイヤーも今か今かと待ちわびていたことだった。

だが、2019年の夏は中道にとっても、我々にとっても忘れられない年になるに違いない

中道 大輔

圧倒的な強さでスイスラウンドを勝ち進んだ中道はトップ8で立ち止まることなく、そのまま頂点を射止めたのだ!

The Last Sun 2019にも参戦している中道に、忙しいトーナメントの合間に今年の話を聞いてみた。

中道 大輔

2019年を振り返って

ーー2019年は中道選手にとって忘れられない年になったのではないでしょうか。グランプリ・千葉2019では念願のトップ8入賞…を通り越して、見事優勝されましたね。今年を振り返ってみての率直な感想をお願いします。

できすぎの1年でした。ここ何年か目標としてグランプリトップ8を掲げていたので、ある意味マジックの目標は完遂してしまいました(笑)

ーー公式のカバレージでは「草の根の王者」とも表現されていましたが、プレミアイベントでは後1勝が遠かった印象がありますね。

「そうなんです。これまでPTQ(ミシックチャンピオンシップ予選)にはじまり、あと1勝というところで負けることが多くありましたこの結果に満足はしています。ただ……」

ーーただ?

「ただ、グランプリ千葉2019以外は勝っていないんですよね。優勝したことはもちろん嬉しいのですが、自分はアベレージを高く保ちたいんです。勝てる時は徹底して勝ちたいと考えています」

貪欲さと誠実さ

ーーついにその壁を打ち破られたわけですが、これまでと何か変化があったのでしょうか?

「今回のグランプリ・千葉2019に関していえば、練習環境と『基本セット2020』のリミテッドというフォーマットにも恵まれたと思っています。練習環境ではドラキチ合宿斉田君主催のドラフト会でかなりの数こなしましたし、そこで一度も0-3をしなかったんですよね。『基本セット2020』リミテッドも肌に合っていたと思います」

「自分は勝つためには練習は必須だと思っています。練習しなければ環境を理解できず、環境理解がなければ最適解がわかりません。今後も勝ち続けられるプレイヤーであり続けたいので、日々精進しかありません」

グランプリ優勝の先

ーーグランプリ・千葉2019で獲得した権利で自身2回目となるミシックチャンピオンシップ、2019ミシックチャンピオンシップⅥ(リッチモンド)へ参加されましたね。MCで勝つにはどんなことが必要だと考えますか。

中道 大輔

「ミシックチャンピオンシップを体験して思ったのは言語の壁ですね。コミュニケーションをとる必要もありますし、ある程度英語ができる必要はあるなと思いました

「MCはお互いのデッキリストが公開性だったのですが、確認時間も短く全て英語のため、苦戦しました。サイドボードのこの1枚何のカードだろう、わからないままこれが敗着手になったら嫌だな、と」

ーーデッキ公開性が自分にだけ不利に働いてしまっていたのですね

「完全に情報戦で負けてしまっていたので。マジックの対戦に限らず海外行くなら英語は必須だろうと改めて思いました」

「マジックに関してもリミテッドはまだまだ練習が足りていないと思いました。3-3という結果に終わったんですが、戦略が浅かった。得意なアーキタイプを見つけるのは当然として、被った時に別の戦略ももてるようにする必要がありました。引き出しをいくつももたなければ、MCのドラフトは勝ちきれないんですよ」

ーー得意なアーキタイプを一つ見つけるだけでも大変だと思いますが、いくつももっていなければいけないとは。いやはや、MCは奥が深いですね。

次の目標

ーー最後になりますが次の目標についても教えてください。

「2つありまして、まずはグランプリでもう一度トップ8に入賞し、プレイヤーズツアー(現ミシックチャンピオンシップ)へ参加する。そしてプレイヤーズツアーでも一定の成果を残したいと思います」

ーー一定の成果といいますと?

「(これまで2回参加した)ミシックチャンピオンシップでの成績は10勝以下だったので、次回のプレイヤーズツアーへの参加権利が手に入る11勝を目標とします」


グランプリチャンプとなっても中道の思考には一切の妥協や甘えを感じることはなかった。立ち止まる時間などない、見据える先は今よりもっと高く、そして遠くに定められていたのだから。

プレイヤーズツアーやマジックプロリーグといった我々は画面越しでしか知らない世界がある。中道なら我々がまだ見ぬ世界を彼自身の言葉で語ってくれるのではないか、そう期待させてくれるインタビューであった。

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