優勝者インタビュー:パイオニア王、津曲 周平

晴れる屋メディアチーム

未開の地

昨年末より新設されたフォーマット、パイオニア。開拓者を意味するこのフォーマットへ多くのプレイヤーたちが果敢に挑みつづけている。度重なる禁止カードをものともせず、新たな鉱脈を探しあて、今現在もデッキは生まれ続けている。

そんな中、晴れる屋においてパイオニア環境の王を決める大会、パイオニア王2020冬が開催された。参加者181人によるスイスドロー8回戦及び決勝3回戦が行われ、見事パイオニア王となったのは津曲 周平

興奮冷めやらぬ中、初代パイオニア王へインタビューを実施した。

津曲 周平

謙虚な王者

ーー優勝おめでとうございます。今の率直な気持ちをお願いします。

「嬉しいです。対戦していてパイオニアは楽しくて、大会も予想以上に勝つことができました」

ーー準決勝、決勝とストレートで勝負を決められましたけれども、本大会に対してある程度自信はあったのでしょうか?

「練習はしてきましたが、実は負けた場合の予定を考えていたくらいなんです。なので本当に予想以上に勝てたな、という気持ちが正直なところですね」

王への歩み

ーーそれでは津曲さんはいつくらいからマジックを始められたのですか?

電結の荒廃者曇り鏡のメロク

「中学時代、ちょうど『ミラディン』や『神河物語』のころでしたね。友達同士で遊んでいました。ありがちな話ですけど進学と同時に学生生活が忙しくなり、一度辞めることになりました」

ーー復帰のきっかけはどのようなことでしたか?

秘密を掘り下げる者ヴェールのリリアナ高原の狩りの達人

「復帰のきっかけはちょうど社会人になったタイミングです。社会人の友達ができる趣味が欲しいと思っていたところで、マジックに再会しました。ちょうど『イニストラード』でしたね。地元のカードショップへ通っているうちに同年代のプレイヤーとも仲良くなって、そこから店舗以外でも一緒に調整したり飲みにいったりするようになりました。それがチームたかしです」

チームたかし

ーープロフィール欄にも記載してありましたが、チームたかしとはどのような集団なのでしょうか?

「今でこそ20名くらいのメンバーがいるんですけど、元々はお店の大会で知り合ったのがはじまりですね。週末にメンバーの家や晴れる屋へ集まり、調整しています。フォーマットもスタンダードやモダン、レガシー、今ならパイオニアと多岐にわたります」

「グランプリが近ければみんなで調整して大会へ参加する。マジック自体も楽しみますし、飲みにもいきます。チームというよりコミュニティーかもしれませんね」

ーーでは、今回の赤単ミッドレンジもチームたかしの成果であり、みなさん使われたのですね?

「いえ、使っているのは自分だけなんです(笑)

ーーえ!?

「チームたかしは各人が好みのデッキを持ち寄って、調整します。その過程でアドバイスをもらったりしていくんですけど、大会で使用するデッキは各々で決めます。なので一つに絞って、みんなで共有するわけではありません」

大谷 洋介

「一緒に活動しているプレイヤーには現パイオニア神・大谷 洋介がいますが、彼が神就任の際に使用したシミックフードもそうです。個人的に気に入ったから選択したわけで、チームの答えとしてのデッキではありません。あくまで自分の使いたいデッキをアップグレードする場所がチームたかしなんです。ね?(頷くパイオニア神)」

ーーなるほど。因みにチーム名にもなっているたかしとはどなたでしょうか?

「うちの精神的支柱ニシヤマ タカシのことです。今日の大会でも14位に入賞してますよ!」

王の素顔

ーーデッキの選択理由に赤が好きだからとありますが、どのフォーマットでも赤を使われるのですか?

「他のカードもありますので使おうと思えば使えるんですけど、結果がでるのは赤いデッキばかりなんですよ。なので自然とどのフォーマットでも赤いデッキを使うことが多いですね」

ーーなぜ津曲さんはそこまで赤に惹かれるのですか?

津曲 周平

「多角的に攻められて一発逆転できる、常にトップデッキでワンチャンあるのが魅力ですね。火力しかり、《エンバレスの宝剣》しかり

エンバレスの宝剣

ーー確かに準決勝、決勝では《エンバレスの宝剣》が見事な活躍をしましたね。勝利後の生放送では来週末のグランプリ・名古屋2020へ参加を表明されていましたが、使用デッキはやっぱり赤単ですか?

浮気はできないでしょ

ーー世の中の男、いや全てのマジックプレイヤーへ聞かせたいお言葉ですね。男の中の男、いや漢。赤単ミッドレンジが本当に似合いますね。

王として

ーー王に即位された津曲さんにとって、パイオニアの魅力ってなんでしょうか?

「一言で表すなら、常に新しい発見があるですね。対戦のたびに違うデッキにあたり、懐かしいカードや全く知らないカードがプレイされる。ほかのフォーマットは相手が使ってくるカードもある程度わかってしまうんですが、パイオニアの場合はそこが新鮮なんですよね。知らないカードで負けた場合も悔しいというよりも、よく見つけたなと感心してしまいます。まだまだ研究のしがいがある、新鮮なフォーマットですね」

ーー次回のパイオニア王も楽しみですね。個人的には、チームメイトであるパイオニア神との対戦も見てみたいですが。

神討ち

「次は王と神の二冠を狙いにいきますよ。《神討ち》してみせます」

ーー王と神、お二人の対決の実現を楽しみにしております。


インタビューを終えると、津曲はチームたかしの面々と合流し、足早に晴れる屋を後にしていった。聞けば、これからパイオニア王即位の祝勝会とのことだった。

三十路といえば世間的には働き盛りであり、仕事と時間に追われる立場だ。Magic Online、そしてMTGアリーナという便利なツールができた今、特定のプレイヤー同士が定期的に顔を突き合わせて調整することに意味を見出すことは難しいと考えていた。自宅で自由に調整時間がとれるMTGアリーナこそ、行き着く未来なのかとも思っていた。

しかし、津曲の言葉を聞き、友の勝利を喜び祝勝会へ向かうチームたかしの面々を見て、血の通った素晴らしいコミュニティーなのだと納得した。同時にテーブルトップの素晴らしさ、仲間たちが実際に集まることの意味も教えられた。

もしかしたらテーブルトップはデジタルMTGよりも非効率かもしれない。それでも、道に迷い出口がわからないときに、信じた仲間たちが手を差し伸べてくれる。勝利を自分のことのように祝い、共有できる仲間たちがいる。悔しさは半分に、喜びは倍に。仲間との歩む先には常に道がひらけている。

最後にもう一度、この言葉を送り、インタビューの締めとしたいと思う。

津曲 周平、パイオニア王2020冬優勝おめでとう!

津曲 周平

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