インタビュー:ラファエル・レヴィ/Raphael Levy

晴れる屋メディアチーム

家庭から世界選手権2019へ

ラファエル・レヴィ/Raphael Levyを一言で表すなら、偉大なる父であろう。

1997年の初プロツアー参戦から2017年のプロツアー『イクサラン』まで、実に91回連続でプロツアーに出場し続けた驚異の経歴をもつ。誰よりも長く競技の舞台に立ち続けている殿堂表彰者は、息子が生まれた日に重なったプロツアーを1回だけ「出場辞退」したのみだ。これまでに築き上げてきた実績は数知れず、プロツアートップ8が3回、グランプリトップ8が23回(優勝6回)、その他にもワールド・マジック・カップ2013ではキャプテンとしてチームを優勝に導くなど、数々の輝かしい成績を残している。

また、彼の行動理念は個人にとどまらず、マジック業界全体の発展を考えてのことだろう。ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社とプレイヤーの中間に立ち、プロツアーベルリン08において、マジック界の発展と繁栄を見据え「スーツで参戦しよう!」とSNSで参加へ呼びかけを行った。昨年はセレブリティカップへ参加するなど、マジック:ザ・ギャザリングのプロモーションへも余念がない。

昨シーズンはコンスタントにミシック・ポイントを積み上げ、「挑戦者」の上位4名に入り、マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2019へ出場する。

フルタイムプロからフルタイムパパへ

――お子さんが生まれて、フルタイムプロとしての生活にどのような変化が生まれましたか?

 「変化はとてつもなく大きいものだったよ。私の人生自体が大きく変わった」

 「何よりも時間の管理が重要となる。ふざけている余裕はあまりないからね。プロツアーへ向けてしっかりと準備をする時間を作る必要があるし、家族と時間を過ごすことも大切だね」

 「もっとも重要なのはいつでも息子のために時間を割ける余裕を持ちながら、息子が育っていくのを見守ることだ」

最高のパートナー

――家庭をもつプレイヤーは日本にもたくさんいます。プロプレイヤーであり父親であるレヴィさんから、家族とマジックなど趣味を両立する工夫などはありますか?

 「秘訣はやはり最高のパートナーを見つけることだよ。妻は最高さ。彼女は大会への準備がどれほど重要か理解していて、中途半端にできないことを良く理解している。そのためプロツアーの準備をする間は、妻に家のことをすべて任せているよ」

 「もちろん大会が終わり家に帰れば、それまでのツケを返す時間さ。幸運なことに毎週末大規模なイベントがあるわけではないから、息抜きをする余裕があるね」

――仕事に理解があるわけなんですね。

 「そうなんだ。趣味の話だったね?私は柔術が趣味なんだ。主に昼休みに稽古をするよ、なんせ息子はデイケアに行っているからね。父親をやるとなれば、他の趣味とかを忘れる必要が出てくるんだよね。まあ子供とその辺は共有できるようになるだろうがね」

――将来子供にもマジックを教えるんでしょうか?また、子供が大きくなるまで第一線で活躍する姿を見せたいなどの夢はありますか?

 「マジックは私の25年分の人生の一部だった。そのうち知ることになると思っている

 「それこそ息子の中に自分を見ることが度々あるんだよ。だから息子が自分に似ていくなら、マジックに魅力を感じるはずだ。マジックでなくとも頭脳への挑戦をするなにかに挑むはずだと思っている」

マジックの引力

――なぜ、あなたはマジック界の一線を走り続けることができるのでしょうか?仕事であるという割り切り?マジックへの情熱?何でも教えてください。

ラファエル・レヴィ

 「継続してプレイできているのは自分がこのゲームにおいて上手いからだ。そして時には他の人よりもね」

 「実は25年のマジック人生の中で、(いろんな理由からは)何か他のことを始めようかなと考えたことがあるんだ。でもなにかこのゲームには私を引き戻す力があるようだ。だからマジックを代償に他のライフスタイルを得ることは考えていないよ」

適正な判断を行うには

――時にはデッキ選択やプレイで先入観により経験が邪魔することはありませんか?物事を正しく判断し続けるにはどうしたらいいのでしょうか?

 「間違いは起きてしまう、避けられないよ。 デッキを選ぶとき、何かプレイをする際、過去の経験は自然と入って来てしまう。そういった判断を正しく導くためには脳をしっかりケアすること。思考が完璧な状態で準備やプレイをすれば、自ずと頂点に立つことができるだろう」

 「これには健康的なライフスタイルが必要不可欠だ。健康的とは運動の質と正しい睡眠が鍵となる。ここは35歳を超えた父親としては一番の難関だよ」

 「これらは先ほど話したが、自然と達成できるわけではないからライフスタイルにちょっとした調整をして実現するのさ」

プロフェッショナル~競技の流儀~

――プロの中でも偉大な先輩であるあなたにお聞きします。MTGアリーナの登場により変革期を迎えているマジック、その中でプロプレイヤーはどういう役割を担っていくと思っていますか?

 「ストリーミングは1年ほど前から始めているが、いやはや楽しいものだよ。自分の経験をフォロワーに共有でき、逆にフォロワーから学ぶことも多い」

 「一点だけ普段とは異なることがあり、話しながらプレイするためにプレイへ100%集中できない点かな。MTGアリーナを通して最高峰のゲームと卓越したプレイをストリーミング配信し、謙虚でフレンドリーなところも同時に見せたいんだ」

 「我々プロプレイヤーがゲームをどの様に見ているか、どの様に攻略するかをこの長年の経験をもとに共有していることが多いね」

挑戦者

敗者グループから順当に勝ち星を積み重ねたレヴィだったが、ほんのわずかに及ばずトップ8入りを逃してしまう結果となった。それはたった1枚の土地であったり、クリーチャーであったり。

世界選手権はこれにて終了。セバスティアン・ポッツォとオータム・バーチェットとの手に汗握る戦いには負けてしまったが、ピオトル・グロゴゥスキには運よく勝つことができた。トップ8に残った同郷のガブリエル・ナシフとジャン=エマニュエル・ドゥプラを応援することしよう。

もう少し彼の話を聞きたいところだが、どうやらそろそろプロレヴィを止めて、パパレヴィへと戻る時間が来たようだ。次はMPLの舞台での活躍を期待しよう。

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