Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2020/4/17)
高まる期待感
みなさんこんにちは!マティアス・レヴェラット/Matias Leverattoです。
『イコリア:巨獣の棲処』が発売されましたが、このセットへの期待はすでに最高潮に達しました。正直なところ、初めてカードが公開されたときはここまで興奮していませんでした。イラスト違いのカードや収録されているメカニズムに少々困惑し、このセットにはあまり期待できていなかったのです。しかし、カードが続々と公開され、セットのテーマを少しずつ理解し始めると、この第一印象は次第に変化し、再び期待を抱くようになりました。今や未来に希望を感じているほどです。
私はスタンダードが好きですし楽しんできましたが、同じマッチアップをプレイすることに少々退屈感、疲弊感を覚えるようになっていました。そんな最中に発売された『イコリア:巨獣の棲処』は環境を揺るがし、カードプールに新鮮さをもたらしてくれることでしょう。
期待の新カード – 《創造の歌》
ではその新セットへと飛び込んで行きましょう。今回の記事のテーマは、私がこのセットで特にお気に入りの1枚、《創造の歌》です。
特に目新しい選択ではないと思われたことでしょう。これもまた派手な動きができる強力な4マナのエンチャントなのですが、私がこのカードを選ぶのも無理はありません。このカードの興味深さは並大抵ではないのですから。
まずはその効果を1つ1つ見ていきましょう。
こうやって全体像を見てみると、《創造の歌》はむやみやたらにデッキに入れられるものではないことがわかります。このカードのためのデッキを作らなければならないのです。しかし問題は……そんなデッキが作れるのでしょうか?
《創造の歌》デッキに必要な要素
デッキに求められる要素を挙げてみましょう。
(1) マナ加速
どちらも最初の数ターンでマナ加速するには最軽量・最高効率の呪文です。《創造の歌》をできるだけ早く設置するうえで非常に便利な2枚であり、このエンチャントがすでに戦場に出ているときでも土地を伸ばしつつ2ドローに変換できます。
(2) 手札以外のリソース
《創造の歌》の弱点は、手札を全て捨てなければならない点です。そのため、このエンチャントを着地させた次のターン、特に次のターンに土地を引いてしまった場合のゲームプランを用意する必要があります。
《マーフォークの秘守り》
デッキの必須パーツです。まず、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の「脱出」コストを確保し、《急進思想》を墓地に落とす役割があります。次に「出来事」である点も重要です。追放領域から唱えられるため、《創造の歌》で手札を捨てても次のターンに予備の呪文となり、2ドローすれば呪文を連鎖させられる可能性があります。
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
このカードも抜群の働きをします。ランプ呪文でありながら、ありがたいライフ回復をし、手札を空で迎えるターンでも唱えられる確かな脅威です。《急進思想》
補助的なカードです。序盤に引き込みたいカードを探し出してくれます。しかし何よりも魅力的なのは、《創造の歌》が戦場に出ているときです。2マナを払って手札を1枚捨てると、なんと3ドローです。なんて素晴らしいのでしょう。
《伝承の収集者、タミヨウ》
必要性が自明のカードでしょう。このデッキで必要とすることをすべてやってのけます。《創造の歌》をライブラリーから探し出す、ライブラリーから墓地に落ちた/破壊された《創造の歌》を墓地から回収する、墓地から唱えられる呪文を墓地に落とす。しかもパーマネントですから、リスクを覚悟で《創造の歌》を唱えても場に残ります。
《模写》
調整をするなかで《模写》は1枚必要だと感じました。《タッサの神託者》を早々に出したとしても、その他の《タッサの神託者》や《伝承の収集者、タミヨウ》が墓地に落ちてしまう心配をしなくて済みます。
(3) 土地
このデッキは土地を多めに採用する必要があります。マナ加速したいですし、呪文を連鎖させるには戦場に土地を並べることが求められるからです。29枚で十分だと言いたいところですが、適正な枚数を知るにはまだ調整が必要でしょう。ありがたいことに、『イコリア:巨獣の棲処』には《ケトリアのトライオーム》が収録されています。このトライランドはマナベースを整えてくれるだけでなく、「サイクリング」することで手札の入れ替えにも使えるのです。
(4) 勝利条件
肝心な部分を忘れてはなりません。何枚もドローし、墓地から呪文を唱えることがいくら魅力的であっても、勝てなければ意味がないでしょう。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》で十分なこともありますが、彼に過度な負担はかけたくありません。これには他にも多くの仕事がありますから、少し負担を軽くしてあげるべきでしょう。このデッキは派手にドローし、派手にライブラリーを削っていきますから、《タッサの神託者》が良いのではないかと考えつきました。序盤でブロッカーになったり、必要なカードを探しにライブラリーを操作したりと、デッキと噛み合った勝利条件だと思います。
(5) 《創造の歌》
これも4枚入れ忘れないようにしましょう。デッキのエンジンであり、キーカードです。
では、完成したデッキをご紹介しましょう。
デッキリスト
2 《島》
1 《山》
4 《繁殖池》
4 《蒸気孔》
4 《踏み鳴らされる地》
4 《ケトリアのトライオーム》
3 《寓話の小道》
3 《神秘の神殿》
2 《天啓の神殿》
-土地 (29)- 4 《樹上の草食獣》
4 《マーフォークの秘守り》
4 《タッサの神託者》
4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
-クリーチャー (16)-
おそらく完璧なデッキリストではありませんが、調整の出発点としては素晴らしいものになったと思います。これからも調整を重ね、メタゲームの発展に合わせていく必要があるでしょう。さて続いては、他の検討に値するカードがいくつかご覧いただきましょう。
他の採用候補
《願いのフェイ》
メインデッキに2枚入れ、サイドボードに魅力的なカードを仕込んでおく構成が考えられます。サイドボードの候補としては《目覚めた猛火、チャンドラ》《嵐の怒り》《次元を挙げた祝賀》《集団強制》《死の国からの脱出》などが良いでしょう。
《神秘を操る者、ジェイス》
優秀なカードであり、《タッサの神託者》の代わりも務められます。《願いのフェイ》を入れる構成であれば、間違いなくサイドボードに搭載すべきです。
《不吉な海》
非常にマナコストが軽い脅威であり、《タッサの神託者》に取って代わる勝利条件となります。理論上は《タッサの神託者》の方が優勢ですが、このカードも絶対に試してみたい1枚です。
《砕骨の巨人》/《厚かましい借り手》
この2種に興味を惹かれたのは、「出来事」でプレイすれば《創造の歌》で手札を捨てた後でも唱えられる呪文だからです。また、このデッキは相手に干渉できる手段がありませんから、いつか必要になる日がくるかもしれません。ただ、今のところは採用に踏み切るほどではないでしょう。
《創造の歌》デッキを活躍させたいと心から願っていますが、今のメタゲームには合っていない可能性はあります。とはいえ、新セットが導入されて環境が変われば《霊気の疾風》をメインデッキに入れる流れは収まるかもしれませんし、あるいは今の環境で通用するほどのデッキパワーを示してくれるかもしれません。
ボーナストラック:イゼットフェニックス
もしもの時のために、もうひとつデッキリストをご紹介しましょう。非常にパワフルなデッキで、現在のメタゲームでも憂いなく戦えるはずです。
おわりに
今回の記事はここまでとなります。ぜひみなさんも『イコリア:巨獣の棲処』に胸を躍らせ、新しいカードを試してみて下さい。きっとスタンダードの変化を感じ取れるはずです。ここまで読んでいただきありがとうございました。
ではご自宅で楽しいひと時を。