Translated by Kohei Kido
(掲載日 2020/3/26)
(編集者注:この記事は『イコリア:巨獣の棲処』発売前に執筆されたものです。最新版のデッキリストはこちらの記事にてご紹介しています。)
俺のお気に入りデッキの紹介
こんにちは!ハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguezだ。
マジックプレイヤーならお気に入りデッキについて話を聞かされることが多いと思う。俺にとってはいつも脳裏に浮かぶあのデッキしかない!俺のレガシーのお気に入りデッキ「セファリッド・ブレックファースト」を紹介させてくれ!
どこで生まれたデッキなの?
むかしむかし……プロツアー・コロンバス2004が開催された。その大会のために俺は長年の友人になるアニオル・アルカラズ/Aniol Alcarazとジョエル・カラフェル/Joel Calafellとチームを組んでこのデッキを醸成した。
2 《ヤヴィマヤの沿岸》
1 《低木林地》
1 《コイロスの洞窟》
4 《真鍮の都》
4 《禁忌の果樹園》
3 《色あせた城塞》
1 《裂け岩の扉》
-土地 (18)- 4 《極楽鳥》
4 《コーの遊牧民》
4 《セファリッドの幻術師》
2 《コーのシャーマン》
1 《金粉のドレイク》
1 《古の法の神》
1 《縫合グール》
1 《クローサの雲掻き獣》
-クリーチャー (18)-
3 《陰謀団式療法》
2 《再活性》
1 《死体発掘》
1 《クローサ流再利用》
4 《吸血の教示者》
4 《俗世の教示者》
1 《ドラゴンの息》
4 《金属モックス》
-呪文 (24)-
3 《希望の壁》
3 《ファイレクシアの抹殺者》
1 《ウークタビー・オランウータン》
1 《死体発掘》
1 《クローサ流再利用》
1 《天啓の光》
1 《ドラゴンの影》
-サイドボード (15)-
今でもこれは俺が大会で使ったデッキで最高のデッキの一つだ。6人の友達グループで2人がベスト16に入り、ベスト32にはもう一人入れた。俺らの実力は当時のプロツアーのレベルと比べると本当に低かったんだ。でもプレイングスキルで対戦相手にかなり後れをとっていてもこのデッキは上位まで連れて行ってくれた。何が起こっているのかを対戦相手が理解していないのは、あの大会ですごいアドバンテージになった。
昔のマジックでは、コンボデッキにシリアルとかから名づけることがあったんだ。トリックス/Trixやチェリオス/Cheeriosなんかがそうだね。フル・イングリッシュ・ブレックファーストなんていうデッキもあったくらいだからこの名前になったんだ。
コンボはどういう仕組みなの?
ようこそ!セファリッド大学へ!
元祖のコンボは2つのカードでできている。《セファリッドの幻術師》と《コーの遊牧民》だ。
この2つのカードが戦場にそろうと何が起こるかというと、自分の《セファリッドの幻術師》を《コーの遊牧民》で何回でも対象にとれる。そして対象にとるたびに、自分のデッキを3枚削ることできるんだ。これはつまりこの2体のクリーチャーさえ戦場にいれば自分のデッキを全部墓地に落とせるってことだ。インスタントタイミングでね!自分のデッキが墓地に行ったら《ナルコメーバ》たちを生け贄に捧げて《戦慄の復活》で勝利条件を満たしに行くだけだ。
以前の勝利方法は《擬態の原形質》で《絶滅の王》と《歩行バリスタ》をコピーすることだった。そうすれば《擬態の原形質》は《歩行バリスタ》のコピーでありながら、《絶滅の王》のおかげですべての墓地にあるすべてのカードの数だけ+1/+1カウンターが乗った状態になる。ほとんどの場合これでその場で試合は終わりだった。でも、この勝利条件の部分にすごいアップグレードが来たんだ。
何が変わったの?
《タッサの神託者》だ。このデッキではすごいアップグレードと言えるほど強い。けっこう長い間、俺はこのデッキが大会での使用に耐えるレベルからそこまでかけ離れているわけではないと言ってきたけど、旧来の勝利方法では手札に来ては困るカードをデッキに大量に入れる必要があった。過去にはセファリッド・ブレックファーストのために刷ることができる最高のカードっていうのは、デッキに腐りやすいカードをたくさん入れなくていいような勝利方法のカードだってジョークを言ってきたこともあったけど、長らく待ち続けてついに『テーロス還魂記」が届けてくれたんだ。《擬態の原形質》とゆかいな仲間たちは、相手のクリーチャーカードをコピーしたりして、よくイカした状況を作ってくれたけど、《タッサの神託者》は試合を勝つためにはるかにいい方法だ。
2020年版
去年、レガシーは《王冠泥棒、オーコ》のように強力なカードがフォーマットに加わった。だけど、そういう新カードはセファリッド・ブレックファーストも強くしてくれて、このデッキはレガシーが始まって以来最高の状態だ。
今から俺のデッキリストを紹介するけど、完成形の75枚に至るにはまだ発展途上だってことは覚えておいてくれ。土地カードの枚数みたいにかなり自信がある部分もあるけど、打ち消し呪文の枠みたいにあまり確信を持てない部分もある。
デッキリスト
これが今の俺の2020年版セファリッド・ブレックファーストの構築だ。
4 《Tundra》
2 《Underground Sea》
1 《Tropical Island》
3 《霧深い雨林》
2 《溢れかえる岸辺》
2 《汚染された三角州》
2 《沸騰する小湖》
2 《魂の洞窟》
-土地 (19)- 4 《コーの遊牧民》
4 《セファリッドの幻術師》
4 《石鍛冶の神秘家》
3 《ナルコメーバ》
1 《タッサの神託者》
2 《護衛募集員》
-クリーチャー (18)-
カードの選択肢と基礎:メインデッキ
マナベース
19枚の土地に加えて《霊気の薬瓶》や《むかしむかし》のようなキャントリップを複数入れている。土地は減らしてはいけない。キャントリップはコンボパーツを探すために入っていて、コンボがそろっていない状況で土地を探すようでは、試合に勝つのは難しくなってくる。それを差し置いても、このデッキは比較的マナを多く必要とする。《Tundra》がフェッチしてくる基本のデュアルランドだけど、4色もあるとサーチする土地の判断が難しい時がある。
《魂の洞窟》
レガシーで一番よくある妨害は打ち消し呪文だからこのデッキの《魂の洞窟》はとてもいい土地カードだ。《コーの遊牧民》と《石鍛冶の神秘家》は「コー」のクリーチャータイプを共有していることは覚えておいて!ほかに2枚以上に共通していて意味のあるクリーチャータイプは、《セファリッドの幻術師》と《タッサの神託者》に共通の「ウィザード」だ。サイドボード後は「人間」や「ならず者」を宣言することもあるけど、「コー」と「ウィザード」を一番よく宣言する。
2枚と3枚の構成を試していたけど、2枚引くと動きが悪くなるしクリーチャーじゃない有色の呪文と相性が悪いから、《思案》の多いバージョンでは《魂の洞窟》の枚数は少ないほうが好みだ。対デルバー戦で《石鍛冶の神秘家》と《魂の洞窟》が手札にある場合、まず基本土地の《島》をセットしてから《魂の洞窟》で「コー」を宣言し、手札の白マナは温存しておくことがよくある。こうすることで《不毛の大地》から白マナ源を守り、《石鍛冶の神秘家》の能力を起動できるようになるんだ。
《コーの遊牧民》
デッキで一番弱いカードのひとつで、3枚や2枚ですら試したことがあるから4枚目は確定だとは思っていない。《コーの遊牧民》はコンボが成立しないならほとんど何もしないカードだけど、複数引いても完全に使い道がないわけではない。両方のクリーチャーがそろえばインスタントタイミングで自分のデッキを削れるようになるから、《コーの遊牧民》を2体戦場に出しておいて《セファリッドの幻術師》が戦場に着地した瞬間に勝利できるようにしておけばいい。
《渦まく知識》
《渦まく知識》はレガシーで最高のカードのひとつだと言われているね。手札に不要なカードが複数あるこういうコンボデッキでは確かに最高のカードの一つだ。《渦まく知識》は《戦慄の復活》や《ナルコメーバ》のような取り回しの悪いカードを処分させてくれるし、不要な土地カードを新しいカードと交換させてくれる。このデッキは《護衛募集員》と《石鍛冶の神秘家》がシャッフル効果をともなうから、フェッチランド以外にも追加のシャッフル手段を持っている。
他にできるイカしたプレイングは《むかしむかし》をゲーム最初の呪文として唱えてスタックで《渦まく知識》を唱えることだ。こうすると1ターン目に自分の手札を整えられる。
《思案》
俺は《思案》の大ファンではないけど、それでも十分合理的なキャントリップだ。コントロールデッキではないからキャントリップを連鎖させることはあまり意味がない。だから《思案》を入れすぎるのは好きじゃないんだけど、《意志の力》は十分な青いカードの枚数を必要としていて、この枠に使える青いカードで一番いいカードは今でも《思案》だ。《意志の力》をサイド後に抜いたら何枚かサイドアウトするのはかなり合理的だ。
《陰謀団式療法》
《陰謀団式療法》は墓地利用コンボの一部だから手札に来てほしくないカードのひとつだけど、コストとして消費してもいいクリーチャーがデッキに入っているから、この呪文単体として見ても悪くはない。
このデッキで《陰謀団式療法》を使いこなすコツは《陰謀団式療法》を《王冠泥棒、オーコ》のようなカードを指定して相手の脅威から自分を守るために使いたいのか、《稲妻》のようなカードを指定して相手の妨害を手札からなくすために使いたいのか決めることだ。その判断がつかないときは、解答となるカードを宣言して脅威は無視したほうがいいと思っている。このデッキのコンボは盤面がどうなっていようと勝てるだろうし、脅威を捨てさせたとしてもその隙に勝てなければフィニッシャーとなる脅威をいずれ引かれてしまうからね。
《陰謀団式療法》はデッキが全部墓地に落ちたあとにコンボパーツとして2つの役割がある。まず、《霊気の薬瓶》や《魂の洞窟》をコントロールしていたことで、それまでに相手が打ち消し呪文を使うタイミングがなかった場合、《陰謀団式療法》はその打ち消し呪文を捨てさせる役割を持つ。2つ目の使い方は引いてしまった《戦慄の復活》、場合によっては《タッサの神託者》を墓地に落とすことだ。もっとも、ひっ迫した状況でなければ《タッサの神託者》は手札から2マナで唱えてもいいけどね。
《霊気の薬瓶》
対フェアデッキでは、《霊気の薬瓶》でマナ基盤を安定させ、クリーチャーに打ち消し耐性を付ける能力が重要であるため、このアーティファクトはキーカードとなる。《霊気の薬瓶》が即決で4枚採用だったこともあるけど、メインデッキに重いカードが欠けているから3枚で十分だと今は思っていて、デルバー以外のフェアデッキがメタ上で増えたら2枚まで減らすことも視野に入っている。クリーチャーを多くサイドインする場合は、サイドボード後に一層価値が高まるカードだ。
《霊気の薬瓶》で可能な小技がいくつかある。
《手甲》
《手甲》は要するに《石鍛冶の神秘家》でサーチできる追加の《コーの遊牧民》だ。《ナルコメーバ》を《秘密を掘り下げる者》と戦える強さにすることもできる。既に《手甲》が《セファリッドの幻術師》に装備されていても対象にとることはできるからコンボ始動にほかのクリーチャーは必要ないけど、この装備品ではソーサリータイミングでしかコンボできないからデメリットがある。《石鍛冶の神秘家》 + 《殴打頭蓋》
デッキのフェア成分は《石鍛冶の神秘家》を中心に組み立てられているから、この小さな工匠はとても大事なカードだ。多くのコンボデッキは一次元的、つまり対戦相手にコンボを止められると優れた勝ち手段がなくなる。しかし《殴打頭蓋》をサーチする《石鍛冶の神秘家》がいることで、このお決まりの展開を避け、フェアデッキの対戦相手に《殴打頭蓋》の対応を余儀なくさせる状況を生む。そして多くの場合、コンボの引き金を引くための隙を作り出す。これは、コンボ自体よりも《殴打頭蓋》の方が大きな脅威となるデルバーのようなデッキに対して当てはまる。さらに《石鍛冶の神秘家》は2マナで《手甲》をサーチしながら《陰謀団式療法》の「フラッシュバック」コストにもなれる。割の良い話だね。
《石鍛冶の神秘家》は、その起動型能力によって《手甲》を打ち消し不能にすることも可能にしていて、《虚空の杯》にも打ち消し呪文にも対抗するのに役立つ。
《石鍛冶の神秘家》は複数引くと動きが悪くなることがあるけど、デッキの中で持っている役割はとても重要なので、メインデッキから枚数を減らすことには強く反対する。
念のために言っておくと、もし5マナあって《殴打頭蓋》を手札に戻して《石鍛冶の神秘家》でもう一度戦場に出したいなら、《石鍛冶の神秘家》を起動してからスタックで《殴打頭蓋》を手札に戻したほうがいい。これによって相手が《殴打頭蓋》起動に対応して《石鍛冶の神秘家》を除去してくることが問題になるのを回避できるからだ。繰り返しにはなるけど、重要になることは少なくても、状況を改善するデメリットのない方法だ。
《セファリッドの幻術師》
史上最高の(1)(青)クリーチャーは何かって?ごめん、《瞬唱の魔道士》、君ではない!
俺らのコンボの中心で、いつ初手にあってもうれしいカードだ。コンボで決められなければこの小さなセファリッドは大したことをしないけど、多くの場合はあと1度だけ良いドローができればゲーム終了という状況になる。
セファリッドでできる些細なことを挙げておこう。
《ナルコメーバ》 + 《戦慄の復活》 + 《タッサの神託者》
これが試合に勝つ方法だ。手札にこれらのカードがあるのは見たくないけど《戦慄の復活》だけがいついかなる場合でも引きたくないカードだ。(2)(黒)(黒)のマナコストは2枚目の《Underground Sea》をデッキに入れる理由だ。手札から唱える機会は少ないけど、コンボパーツをリアニメイトするときは大体勝てるだろう。
《ナルコメーバ》は引きたくない時もあるけど、青いカードだということは《意志の力》を使えるようになるということなので、その打ち消し呪文を引くたびに使い道があるということだ。また《ナルコメーバ》+《殴打頭蓋》で十分ゲームを終わらせられる。自分だけの《悪斬の天使》を作ろう!
《タッサの神託者》は普通に唱えられるカードで占術2のおかげで《ナルコメーバ》よりは引いてもマシなことが多い。《タッサの神託者》を普通に引いてくるのは、墓地対策カードを回避する方法なので、試合の勝敗に影響することがあり、旧来の勝利方法からの大きな進歩だ。対戦相手が《虚空の力線》等をもっているなら、デッキを0枚にしたあとに《タッサの神託者》を唱えるか《霊気の薬瓶》で出すかすれば、それで試合に勝利する。
《護衛募集員》
《護衛募集員》はブロックや《陰謀団式療法》の餌にも使える3マナのチューターとして機能する。このカードはかなり好きだったし、特に《堂々たる撤廃者》との組み合わせは好きだったけど、デッキとレガシー全体のカードパワーが上がってしまって、このカードをたくさん入れることを正当化できない。1ゲーム目はそんなに急がなくていいことが多いから、《護衛募集員》はデッキと整合性がある。2ゲーム目と3ゲーム目には《護衛募集員》が《真の名の宿敵》と《宮殿の看守》をサーチしてくることで、たとえそれがそこまで有効でなくても、違う角度から攻めることができる。複数枚引きたいことはあまりないカードだけど、なにか試合中に上手くいっていない時にとてもいい機能を果たすから枠を割くには値すると思う。
《むかしむかし》
複数のフォーマットで禁止されている《むかしむかし》は、クリーチャーと土地にしか興味がなければ単純にデッキのかみ合いを改善させてくれる。両方のパーツがクリーチャーの2枚であるコンボを使っているのだからこのカードは完璧だ。《セファリッドの幻術師》を入手できないことがデッキをうまく機能させられない一番よくあるパターンだから、《むかしむかし》はその1枚目を入手するためにデッキを掘ることで活躍してくれる。複数枚引くことは理想的ではないけどデッキに4枚と2枚でそれぞれしばらくプレイするのを経て、今は3枚が妥当な枚数だと感じている。4枚まで増やせば2ターンキルの確率は上がるけど、普通に唱えるのが簡単じゃないことから枚数を増やすにつれて1枚当たりのメリットが減衰して全体としてはデッキが弱くなると思う。もしデッキの速度を上げてコンボに強くしたいだけなら、2枚目の《護衛募集員》の代わりに4枚目の《むかしむかし》を入れるのは合理的な変更だろう。
《むかしむかし》はデッキに土地を足さなくても土地を得られる機会を増やすカードでもある。この種のデッキに大歓迎の単純にとても強いカードだ。
《意志の力》 + 《目くらまし》
このデッキは今の構築だと妨害呪文の枠が4つある。《意志の力》がここで抱える大きな問題は、《ナルコメーバ》を引かないとき、往々にしてコストを払いたくないことだ。コンボパーツか《セファリッドの幻術師》を追放することは理想的ではないからね。スニーク・ショーのような他のコンボデッキとの違いは、良好なゲームプランを維持するためには《石鍛冶の神秘家》を出したりしてリソースをたくさん使わなければならない点だ。つまりあまり手札がない状態で試合を進行することが多いということだね。さらに多くの青くないカードがデッキに入っている点も足を引っ張っている。しかし《意志の力》はそれでもデッキに入れないことにするには強すぎるし、コンボミラーで勝つ一番いい方法でもある。
コンボデッキに強いカードでありながら、フェアデッキ戦で活躍しやすいもの。その2つの要望に折り合いをつけるのが《目くらまし》だ。1ターン目に《霊気の薬瓶》を設置しようとすると、相手は打ち消し呪文を持っていれば打ち消そうとするため、1ターン目からスタック上で呪文の応酬がよく発生する。この場合、《目くらまし》は《霊気の薬瓶》を守りながらハンドも損しないから《意志の力》よりも良い。レガシーで最近見る別の大きな変化はフェアデッキに《王冠泥棒、オーコ》や《時を解す者、テフェリー》のような《目くらまし》にとっていい対象になるカードが増えていることだ。それらのカードパワーはこちらよりもはるかに強いが、相手のマナカーブも重いので、《目くらまし》はそれを咎める方法になる。
カードの選択肢と基礎:サイドデッキ
《宮殿の看守》
良き友人であるアンドレア・メングッチ/Andrea Mengucciは、以前にこう言っていた。「《宮殿の看守》は《精神を刻む者、ジェイス》よりも強い」とね。そして俺も彼の意見に賛同するよ。《宮殿の看守》はそれ単体で自己完結している立派な戦略のひとつであり、未だに《護衛募集員》がデッキに残ったままになっている大きな理由だ。《魂の洞窟》で「人間」を指定し、《護衛募集員》から《宮殿の看守》とマナカーブ通りに動けば、それだけで多くのゲームに勝利できるはずだ。また、「統治者」になるということは消耗戦に強くなることをも意味している。個々のカードの力比べでは対戦相手のそれに敵わないかもしれないが、「統治者」の能力で毎ターンカードを2枚引いていれば、相手がどんな動きをしてこようとも容易にそれらを手数で圧倒することができるだろう。
「統治者」の座を付け狙う厄介な《氷牙のコアトル》から身を守る際に、《ナルコメーバ》が非常に役に立つことは覚えておいてくれよな。
《真の名の宿敵》
《宮殿の看守》が戦略のひとつだとすれば、《真の名の宿敵》はその戦略をより確かなものにしてくれる存在とでも言えばいいだろうか。対戦相手がコンボを阻害しようとしてくるのに対し、こちらはそれに対抗するのではなく《真の名の宿敵》を使って別のアングルからの勝利を目論むわけだ。このカードは《戦慄衆の秘儀術師》を棒立ちにさせたり、プレインズウォーカーに睨みをきかせたりと、たくさんのマッチアップで多くの役割を担う。
《殴打頭蓋》と《真の名の宿敵》の組み合わせは、環境に存在するほぼ全ての脅威に打ち勝ちゲームに幕を下ろしてくれる。
《梅澤の十手》
《梅澤の十手》はサイドボードの中でもっとも脆弱な1枚だが、それと同時に他のカードでは決して逆転できないような状況に打ち勝つことができる唯一無二のカードでもある。フェアデッキ、特にエルドラージのような攻撃的なデッキにとって《梅澤の十手》と《真の名の宿敵》の組み合わせを乗り越えることは非常に困難だ。
《石鍛冶の神秘家》を有効活用するためにこの枠に他の剣を試したこともあったけれど、もしも3枚目の装備品を採用するなら《梅澤の十手》こそが《殴打頭蓋》、《手甲》に続く最高の装備品だと思うよ。
《霊気の薬瓶》
《霊気の薬瓶》はサイドボード後の《真の名の宿敵》/《宮殿の看守》パッケージの力を最大限に引き出してくれるし、《護衛募集員》をより一層使いやすくしてくれる。もしメインデッキに2枚しか採用しないのであれば、残りの2枚を必ずサイドボードに忍ばせておこう。サイド後にマナコストが重いクリーチャーを使う際に、このカードは重要な役割を担うからな。
《剣を鍬に》
コンボデッキに単体除去が入ってることに驚いた読者も多いかもしれないが、《秘密を掘り下げる者》デッキに対して最良の1枚だと考えている。デルバーデッキへの負け筋の多くは、こちらがやりたいことをやるだけの時間ができる前にデルバー側の脅威が着地してしまうことに起因する。《剣を鍬に》さえあれば、デルバー側の脅威を野放しにしてしまう可能性はグッと下がる。それに《聖遺の騎士》のような厄介なクリーチャーを繰り出してくるデッキに対しても有効だし、《真の名の宿敵》と単体除去を併用するプランには非常に満足している。
《意志の力》
サイドボードの《意志の力》は多彩なカードだ。コンボデッキ相手には間違いなく有用なカードで、それ以外にも《霊気の薬瓶》よりも前に着地すると致命的な《虚空の杯》対策になってくれる。以上の理由から、75枚に4枚採用すべきカードだと考えている。
《思考囲い》
《思考囲い》に関しては少し自信がない。これまでこの枠にはいつも《呪文貫き》を採用していたんだが、今のところ《思考囲い》への変更にはとても満足している。ストームや《最後の審判》といったコンボデッキと対峙する際に、対戦相手は手札破壊呪文からドロー呪文を唱えて着々とコンボの準備を整えるのに対し、こちらはコンボに備えてずっと《呪文貫き》用のマナを残したまま窮屈なゲーム展開を強いられる、というのはよくあるパターンだ。それならば、自分自身でも手札破壊呪文を試してみようと考えるのは理にかなった判断だと思うし、《思考囲い》は期待以上の活躍を見せてくれた。さらに、《思考囲い》は《陰謀団式療法》との相性も上々で、メタゲーム上にコンボデッキが多いと読むなら3枚目の採用も検討に値するだろう。
《タッサの神託者》
《タッサの神託者》は墓地対策カードへの解答だ。何度か試した結果、《厚かましい借り手》と《拘留代理人》には満足できなかったため、《安らかなる眠り》などの墓地対策を乗り越えて勝つには《タッサの神託者》の増量が一番だと結論付けた。墓地対策を無視する手段としてのみならず、青いカードカウントを増量することにも寄与するため、サイド後に《意志の力》を4枚に増やすコンボデッキ相手にサイドインしやすいカードだ。
どうしてこれを使わないの?
《夏の帳》
《夏の帳》は《呪文貫き》と同様の問題を抱えており、なおかつこのカードは4色目なのでキャストするのが難しいという難点もある。手札破壊呪文がメタゲーム上に増えたのなら1枚は採用してみてもいいかもしれないが、このカードが4色氷雪コントロールに対してあまりにも弱く、すぐさまサイドインしなくなったということはお伝えしておこう。ストームがメタゲーム上で重要だと考えるのなら1~2枚の採用は悪くないものの、そうでないのなら不採用をお勧めするよ。
《王冠泥棒、オーコ》
《王冠泥棒、オーコ》はこのデッキで光り輝くと予想していたが、実際にはそうではなかった。《護衛募集員》からサーチできたり、《霊気の薬瓶》や《魂の洞窟》から出すといったシナジーや柔軟性が欠けていたため、《真の名の宿敵》の方が優れていると結論付けたんだ。
《外科的摘出》
《外科的摘出》もまた、メタゲームの産物だ。もしもメタゲームがこのカードを必要とするのであれば1~2枚程度の採用は悪くないと思うが、墓地を使うデッキが明確に多いという特殊な情報でもない限りその必要はないだろう。では《甦る死滅都市、ホガーク》を使うようなデッキに対してどのように立ち向かうのかと言うと、純粋なスピード勝負に加えてこちら側にのみ《意志の力》と《目くらまし》があるという強みを生かしていくことになる。リアニメイトデッキを筆頭に、この戦略は全ての墓地を使うデッキに対して必ずしも有利を保証してくれるものではないが、この戦略がある限り圧倒的に不利なマッチアップになることもない。
追加のコツと小技
まず最初に、このデッキを正しく扱うのは本当に難しい。ゲームの敗北に直結するような小さな分岐点がたくさんあるし、それらは比較的咎められやすい。俺は長いことこのデッキを使っているものの、いまだに敗北に直結するようなミスを犯してしまうんだ。だけど、それこそがこのデッキの面白さでもある!どれだけ多くのゲームをこなしても、日々学ぶことがあるんだからな。
サイドボードガイド
墓地を使ったデッキで、なおかつ多角的な攻撃手段を持つこの手のデッキは、サイドボーディングが対戦相手のデッキの内容に依存する。枚数的にコンボパーツを全てサイドアウトすることが可能だとしても、コンボパーツを数枚は残しておくことを強くお勧めするよ。
ときおり対戦相手はこちらのクリーチャープランに備えたサイドボーディングを施し、実際にはサイドインしない方がいいと思われるカードを採用することがある。そのような状況下では往々にして《罰する火》や《罠の橋》といったカードと直面することになるものの、こちらはといえば《思考囲い》と《タッサの神託者》のみをサイドインしてコンボに希望を託すことになる。
デルバー/フェアなクリーチャーデッキ
対 デルバー/フェアなクリーチャーデッキ
フェアなノンクリーチャーデッキ
対 フェアなノンクリーチャーデッキ
エルドラージ/クリーチャーの入った《虚空の杯》デッキ
対 エルドラージ/クリーチャーの入った《虚空の杯》デッキ
スタックコンボデッキ(ストーム、TES)
対 スタックコンボデッキ(ストーム、TES)
スニーク・ショー/最後の審判
対 スニーク・ショー/最後の審判
まとめ
ここまで読んでくれてありがとう。最高に面白いこのデッキに挑戦するきっかけになれば嬉しく思う!
何か質問や提案があれば気軽にTwitterで聞いてくれ。セファリッド大学はいつだって新入生を歓迎するぜ!
またな!