さよなら《ウーロ》
みなさんこんにちは。
9月28日の禁止制限告知により、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》がスタンダードから去りました。発売当初から《荒野の再生》デッキを筆頭に、シミック+αのランプやフラッシュ、コントロールデッキに幅広く採用され、マナを伸ばすと同時に、アグロデッキに対する壁として立ちはだかってきました。
しかし、もうスタンダードに《ウーロ》は存在しないのです。1対1交換を繰り返し、墓地へ溜まったカードを「脱出」コストにあてて、エルダージャイアントを呼び出すことは叶いません。《ウーロ》を採用していたデッキたちは、リソース獲得手段も確保しなければならないでしょうし、《創造の座、オムナス》で「上陸」を重ねることも難しくなりました。
スタンダードはどのように変化したのでしょうか?今回は《ウーロ》亡き後に開催された2つの大会Red Bull Untapped Online Qualifier FranceとCFB Clash Qualifier 1を中心に、新環境を確認していきたいと思います。
Red Bull Untapped Online Qualifier France
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | Noham Maubert | ラクドスエスケープ |
準優勝 | Santosvella | 白単アグロ |
トップ4 | Julien BERTEAUX | ボロスサイクリング |
トップ4 | Louis Guichard | 4色アドベンチャー |
トップ8 | Eric Ausseil | 緑単アグロ |
トップ8 | Arnaud VILAIN | ラクドスエスケープ |
トップ8 | Rémi ROUDIER | 4色アドベンチャー |
トップ8 | Kevin Vanden Bossche | ディミーアコントロール |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
参加者149名で開催された本大会はラクドスエスケープを使用したNoham Maubert選手が制しました。トップ8には白単/緑単やボロスサイクリングといったアグロ、ディミーアコントロール、そして「出来事」と《創造の座、オムナス》をミックスした4色アドベンチャーと、多種多様なデッキが残りました。
Julien BERTEAUX選手のボロスサイクリングは構造こそ以前と変わりませんが、マナベース部分に調整が見られます。『ゼンディカーの夜明け』より加わった呪文/土地の両面カード(以下、スペルランド)を採用することで、土地詰まり(以下、マナスクリュー)のリスクを負わずに実質的に土地の枚数を減らしているのです。
これまでのボロスサイクリングの土地枚数は18枚であり、マナスクリューと安定性を天秤にかけたギリギリの枚数となっていました。ですが、「サイクリング」の特性上、カードを引けば引くほど土地を引く確率は高まるため、土地ばかりの手札になってしまうこともあります(以下、マナフラッド)。また、盤面に干渉する手段も乏しく、序盤にクリーチャーを展開できない、もしくは除去されてしまった場合は盛り返すことが難しく、ひたすら「サイクリング」を続け《天頂の閃光》による逆転勝利を狙うしかありませんでした。
《髑髏砕きの一撃》や《棘平原の危険》を採用したことで多少のタップインのリスクはあるものの、盤面にも干渉できるようになり、マナフラッド対策にもなっています。《セジーリの防護》は《繁栄の狐》と相性が良く、除去呪文を回避するだけではなく、巨大になった《狐》がブロッカーを突破する手助けともなるのです。
さらに注目すべきは3種類の《小道》です。ボロスカラーの《針縁の小道》はさておき、《平地》と《山》の代わりである《陽光昇りの小道》と《河川滑りの小道》は新たな可能性を示唆しています。それは、「サイクリング」付きのカードを実際にプレイできるかもしれないということ。特に《記憶漏出》はミッドレンジやコントロールなど遅いデッキに対して効果的な手札破壊であり、シングルシンボルのため使いやすく、これまでボロスサイクリングが干渉できなかった部分に選択肢が生まれたことで戦略の幅が広がっています。
理論上、『ラヴニカのギルド』『ラヴニカの献身』にあったショックランドでも運用可能でしたが、赤単/緑単アグロやウィノータなど、強力なアグロデッキが多かったため、ライフ損失による不利益が大きかったため不採用だったのだと思われます。しかし、ライフ損失のない両面土地の登場によりメインカラーの2色を供給しながら、余剰土地が出た場合には青や黒マナを提供することが可能となり、ライフ面や色事故のリスクを負わずにデッキパワーの上昇に成功したのです。
Eric Ausseil選手の緑単アグロは定番の《カザンドゥのマンモス》や《探索する獣》をメインボードから抜くことで、スペルランドを含めた土地枚数の切り詰めに成功し、一回り軽い構成となっています。代わりを務めるのは《群れのシャンブラー》と《オラン=リーフの軟泥》であり、+1/+1カウンターのシナジーを組み込むことで単体除去に強く、サイズアップもできるためクリーチャーデッキ同士でも押し負けないようになっているのです。
元々、緑単アグロには《漁る軟泥》《石とぐろの海蛇》《グレートヘンジ》といったかみ合うカードもあり、単体のカードパワーではなく、シナジーを優先してデッキ全体を底上げしているのです。
メタゲーム
デッキタイプ | 人数 |
---|---|
ディミーアローグ | 24 |
4色オムナス | 21 |
4色アドベンチャー | 19 |
緑単アグロ | 13 |
グリクシスコントロール | 13 |
グルールアドベンチャー | 8 |
ラクドスエスケープ | 8 |
赤単アグロ | 7 |
その他 | 36 |
合計 | 149 |
ディミーアローグを筆頭に、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》をランプ呪文に置き換えた4色オムナスや《創造の座、オムナス》を組み込んだ4色アドベンチャー、アグロデッキと大きく偏ることなく続きます。なかでも、新鋭ラクドスエスケープは勝率6割を誇り、今回の勝ち組といっていいでしょう。
トップ8デッキリストはこちら。
ラクドスエスケープ
4 《山》
4 《寓話の小道》
4 《悪意の神殿》
1 《ロークスワイン城》
-土地 (19)- 4 《死の飢えのタイタン、クロクサ》
4 《マグマの媒介者》
4 《ぬかるみのトリトン》
4 《砕骨の巨人》
2 《残忍な騎士》
2 《悪ふざけの名人、ランクル》
2 《峰の恐怖》
-クリーチャー (22)-
2 《棘平原の危険》
2 《無情な行動》
1 《切り裂かれた帆》
3 《髑髏砕きの一撃》
2 《ハグラの噛み殺し》
1 《アガディームの覚醒》
4 《ティマレット、死者を呼び出す》
1 《死者を目覚めさせる者、リリアナ》
-呪文 (19)-
3 《夜鷲のあさり屋》
3 《苦悶の悔恨》
2 《切り裂かれた帆》
1 《エンバレスの盾割り》
1 《アゴナスの雄牛》
1 《塵へのしがみつき》
1 《魂標ランタン》
-サイドボード (15)-
《血の墓所》が落ちたことで、ラクドスカラーのクリーチャーベースのデッキは構築不可能と思われていました。しかし、Noham Maubert選手はマナカーブを重い方へシフトすることで序盤のタップインによるもたつきを軽減し、《悪意の神殿》を採用してマナベースを整えたのです。
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と対極の効果を持つ《死の飢えのタイタン、クロクサ》は、カードパワーこそ素晴らしいものの、思ったほど活躍してきませんでした。今回は効率よく墓地へカードを溜めて「脱出」する、《クロクサ》が主役のラクドスエスケープをみていきましょう。
《ぬかるみのトリトン》や《ティマレット、死者を呼び出す》を使って盤面にクリーチャーを並べて同時に墓地を掘り進むことで、アグロデッキに当たり負けしないようになっています。新加入の《マグマの媒介者》は余剰土地が呪文になるだけではなく、手札に来た《クロクサ》を捨てることで「脱出」コストさえあれば4マナでいきなり戦場へ出すことも可能なのです。
2対1交換を狙える「出来事」コンビや《無情な行動》、《血の長の渇き》など豊富な除去呪文が採用され、クリーチャーデッキに強い構成となっています。なかでも《髑髏砕きの一撃》はプレインズウォーカーも狙える火力であり、マナが余る中盤以降はゲームを決める1枚となりそうです。
4種8枚のスペルランドが採用され、19枚の土地と合わせることで土地総数27枚となります。27枚という枚数はミッドレンジにしてはやや多く、《死の飢えのタイタン、クロクサ》や《悪ふざけの名人、ランクル》、フィニッシャー《峰の恐怖》をストレートに出したい場合は問題ありませんが、マナフラッドのリスクが高まってしまいます。
8枚採用されたスペルランドは、マナフラッド/スクリューのリスクを抑えながら、重いカードが手札に集中した際もデッキが円滑に動くことを助けます。特に除去の対象が少ないコントロールマッチでは土地として、多いアグロには呪文として使い分けることになりますね。
サイドボードで目を引くのは《スカイクレイブの影》と《アゴナスの雄牛》の2枚。ともにデッキコンセプトに沿った消耗戦に強いカードであり、遅いゲームで活躍します。ただし、今後気をつけなければならないのは墓地対策です。《塵へのしがみつき》や《魂標ランタン》は使いやすいカードであり、ラクドスエスケープには効果抜群です。
興味深いカードとしては《切り裂かれた帆》があげられます。ディミーアローグと《幸運のクローバー》を狙った1枚であり、「サイクリング」があるため無駄になりません。新たな《削剥》となるのでしょうか?
白単アグロ
3 《アーデンベイル城》
-土地 (21)- 4 《尊い騎士》
3 《巨人落とし》
3 《無私の救助犬》
4 《光輝王の野心家》
4 《歴戦の神聖刃》
4 《スカイクレイブの亡霊》
2 《群れの番人》
2 《エメリアのアルコン》
2 《軍団の天使》
-クリーチャー (28)-
2 《エメリアのアルコン》
2 《ラバブリンクの冒険者》
2 《軍団の天使》
2 《悪斬の天使》
2 《存在の破棄》
2 《忍耐の偶像》
1 《ガラスの棺》
-サイドボード (15)-
《敬慕されるロクソドン》を失って以来おとなしかった白単アグロが準優勝に輝きました。Santosvella選手が使用したものは、『ゼンディカーの夜明け』のカードも多く、スペルランドを使用することでマナフラッド/スクリューのリスクを軽減しています。
《尊い騎士》、《歴戦の神聖刃》といった1~2マナ域から展開するアグレッシブな構築は変わらず、脇を支えるカードが強化されています。《光輝王の野心家》は2マナ域を埋めると同時にクリーチャーを強化してくれるカードであり、自分以外のクリーチャーに+1/+1カウンターを配置すれば、除去されたとしても役割を果たしたことにもなります。自分よりも軽いマナ域のクリーチャーと相性が良いため、1マナクリーチャーは10枚採用されています。今後の白単アグロでよくみかける1枚になりそうです。
《拘留代理人》が単色カードとしてリデザインされた《スカイクレイブの亡霊》は、4マナ以下と制限こそあるものの、パーマネント全般を対象にとることができます。さらにこのカードの優れているところは、自身が除去された際に追放していたパーマネントが戻らないことにあります。《幸運のクローバー》の代わりに2/2クリーチャー・トークンが戻るのでは割に合いません。アグロ相手ではブロッカーを除去することもできますし、想像以上に強力なカードです。
このデッキは1マナから展開するアグロデッキに位置づけられていますが、スペルランドを採用することでミッドレンジ帯のカードまで採用することに成功しています。《戦隊の鷹》を彷彿とさせる《軍団の天使》は、序盤に稼いだダメージを勝利に直結させるダメ押しとなる1枚です。サイドボードの枠を圧迫してしまいますが、1枚が3枚分となり、貴重なアドバンテージを稼ぐカードでもあります。
もう1枚のフィニッシュブローもみていきましょう。《スカイクレイブの大鎚》はサイズアップとともに飛行を付与してくれる1枚であり、《創造の座、オムナス》など地上を固められた場合は、これにより最後の一撃を生み出すことでしょう。先制攻撃もあるため、守りにも強いカードになっています。
《群れの番人》は序盤から3点を刻むハードパンチャーですが、中盤以降、特にマナフラッドしたゲーム展開では役割が変わってきます。呪文面には「あなたがコントロールしているパーマネントを手札に戻す」とあり、《巨人落とし》の再利用や土地として置いたスペルランドを手札に戻すこともできるのです。《エメリアの呼び声》はアグロデッキには重すぎるため基本的には土地なりますが、コントロールされつつあるゲームを打破できるカードでもあるのです。
また、《スカイクレイブの亡霊》とのコンボも見逃せません。《スカイクレイブの亡霊》を召喚して追放する対象をとったところで、スタックして《安全への導き》で《スカイクレイブの亡霊》を手札へと戻します。すると戦場を離れた効果が先に解決することになり、除外されたカードが存在していないためイリュージョン・トークンを生成しません。ぜひ、覚えておきましょう。
CFB Clash Qualifier 1
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | Franche Tan | ディミーアローグ |
準優勝 | piroki | 4色アドベンチャー |
トップ4 | hasegawa takato | 4色オムナス |
トップ4 | Matthew Aprim | 4色オムナス |
トップ8 | Brett Fox | ティムールアドベンチャー |
トップ8 | Omar Lopez Cabrera | 4色オムナス |
トップ8 | Josh Schulteis | 赤単アグロ |
トップ8 | Zach Ashton | 4色アドベンチャー |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
参加者451名で開催された本大会はディミーアローグを使用したFranche Tan選手の優勝となりました。トップ8には「出来事」とハイブリッドした4色アドベンチャーを含めると《創造の座、オムナス》を使用したデッキが5つあり、オムナスの進撃は止まらなそうです。
Franche Tan選手のディミーアローグはかなり洗練された構築であり、マナベースとマナカーブへの強いこだわりを感じます。スペルランドは《アガディームの覚醒》1種類に絞られており、タップインによりテンポを損なわないようになっています。また、打ち消し呪文は《高尚な否定》、除去呪文は《無情な行動》、そして両役割を持つ《湖での水難》と2マナのインスタントのみに絞っています。
これまでは築いたリードを保ち続けて完走を目指すデッキであるため、ひとたびボードがクリアになると覆しにくくなっていました。そのための後詰めが《トリックスター、ザレス・サン》でしたが、今回は新たなカードが追加されています。《物語への没入》はデッキとかみ合った1枚であり、わずか4マナで、しかもインスタントタイミングで4枚ものカードが引けるのです。《絶滅の契機》などで複数交換されてしまった場合でも、盤面を立て直すことが可能となりました。
メタゲーム
デッキタイプ | 人数 |
---|---|
4色オムナス | 109 |
4色アドベンチャー | 87 |
ディミーアローグ | 35 |
グリクシスコントロール | 26 |
赤単アグロ | 25 |
緑単アグロ | 25 |
ティムールアドベンチャー | 13 |
ラクドスエスケープ | 11 |
その他 | 120 |
合計 | 451 |
Red Bull Untapped Online Qualifier Franceとは打って変わり、CFB Clash Qualifier 1では半数近くが《創造の座、オムナス》を軸としたデッキに溢れていました。全18ラウンドの長丁場ということもあり、デッキパワーが高く、安定したものを選択したプレイヤーが多かったようです。《創造の座、オムナス》を選択したプレイヤーたちもミラーマッチやディミーアローグへの意識が高く、インボードから《神秘の論争》を採用しているデッキもあるほどでした。
トップ8デッキリストはこちら。
4色アドベンチャー
3 《島》
2 《山》
1 《平地》
4 《寓話の小道》
3 《ラウグリンのトライオーム》
1 《ケトリアのトライオーム》
4 《岩山被りの小道》
3 《枝重なる小道》
1 《河川滑りの小道》
-土地 (26)- 4 《エッジウォールの亭主》
2 《巨人落とし》
4 《願いのフェイ》
4 《砕骨の巨人》
3 《恋煩いの野獣》
2 《厚かましい借り手》
4 《創造の座、オムナス》
4 《豆の木の巨人》
-クリーチャー (27)-
2 《神秘の論争》
1 《レッドキャップの乱闘》
1 《厳格な放逐》
1 《原初の力》
1 《否認》
1 《自然への回帰》
1 《カズールの憤怒》
1 《過去と未来》
1 《嵐の怒り》
1 《僻境への脱出》
1 《エルズペス、死に打ち勝つ》
1 《精霊龍、ウギン》
-サイドボード (15)-
ティムールアドベンチャーへ《創造の座、オムナス》をドッキングした4色アドベンチャー。《幸運のクローバー》+「出来事」を主力エンジンとして、《創造の座、オムナス》は攻防に優れ、その存在によりさまざまなアーキタイプに強くなっています。
ティムールアドベンチャーは土地27枚を除くと、クリーチャー24枚、《幸運のクローバー》+《僻境への脱出》7枚と58枚が固定化されており、フリースロットは2枚しかありませんでした。このデッキでは土地1枚、《恋煩いの野獣》1枚を削り《創造の座、オムナス》のスロットを捻出しています。《恋煩いの野獣》はアタッカーである以上に、元々アグロへの壁役であったため、色拘束の強さと1マナ重いことを天秤にかけたとしても、継続的なライフ供給と追加のカードをもたらす《創造の座、オムナス》へと入れ替わりました。
《幸運のクローバー》から爆発的なアドバンテージを売りにしてきましたが、《創造の座、オムナス》を加えたことで、さらに強化されています。《豆の木の巨人》は単なるマナ加速要員でしたが、《創造の座、オムナス》が加わったことで多重「上陸」できるカードとなり、評価のあがった1枚です。
白を加えたことで新しい「出来事」も採用されています。《巨人落とし》はミラーマッチをはじめ、《帰還した王、ケンリス》《峰の恐怖》《探索する獣》と多くの対象があり、《幸運のクローバー》があればまとめて複数体のクリーチャーを除去できることになります。その分《厚かましい借り手》が減っていますが、環境にはクリーチャーベースのデッキが多く、元から絶つ意味でもこちらに軍配が上がったようです。
直近の大会結果
9月29日から10月4日までの大会結果(最低参加人数8人以上)になります。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が去ったことで、大会結果はガラリと変わったようです。4色オムナスは抜けた穴にマナ加速要員として《イリーシア木立のドライアド》や《ケルドの心胆、ラーダ》を採用したり、《耕作》の枚数が増加しています。ただし、リソース面での追加策はなく、消耗戦の末手札が尽きてしまうことも増えるようになりました。デッキパワーは高く、安定感こそあるものの、支配的な強さは薄れています。
そこで、単純にマナ加速を増やすだけではなく、新たな勝ち手段として《遺跡ガニ》を採用したリストも増えています。マナソースが多いデッキであるため相性が良く、序盤に召喚した場合はかなりの枚数を削ることができます。《ウーロ》がないため墓地に置かれたカードを悪用されることもなく、安心して「上陸」していくことができますね。タフネスが3なのも嬉しく、主力火力の《ショック》《砕骨の巨人》で除去されません。
代わりに、アドベンチャー系が数を伸ばしています。《創造の座、オムナス》を採用した4色アドベンチャーは環境の新たな顔となり、4色オムナスの《発生の根本原理》のようなわかりやすいフィニッシュブローはないものの、《幸運のクローバー》+《願いのフェイ》によるカードアドバンテージが動き出せば、相手に逆転の可能性はほとんど残されていません。
ローグを筆頭としたディミーアカラーも入賞率が高く、4つのイベントで優勝しています。環境の変化による立ち位置の向上もありますが、マナベースの安定化と《物語への没入》の採用により、序盤から終盤まで隙がなくなったことも大きいでしょう。
赤単アグロも多数入賞しています。クリーチャーはマナカーブに沿って入れ替えが行われていますが、注目すべきは火力呪文とサイドボードにあります。出鼻を挫く《ショック》《棘平原の危険》、主力クリーチャー対策の《轟く叱責》《乱動の噴火》とメタゲームに合わせてさまざまな火力選択があり、特に1マナ火力は自分の展開を阻害せずに《水蓮のコブラ》を処理できる優秀な火力となっています。
サイドボードではミッドレンジやコントロールに強い《秘宝荒らし》が光ります。毎ターン1ダメージを与えるクリーチャー・トークンを生成するため短期戦では効果は薄いものの、ロングゲームとなれば話は変わってきます。ターンを重ねるごとにダメージは蓄積するため、序盤にブロッカーをどかしながら2体ほどクリーチャー・トークンを生成できれば、かなり有利となるでしょう。
今後のスタンダード模様
《創造の座、オムナス》を主軸としたデッキは存在するものの、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が抜けたことで多くのデッキが台頭してきています。ディミーアローグやアグロデッキといった早いデッキたちの活躍に期待していきましょう。
今週末には2020年シーズン・グランドファイナルが控えていますね。次回はそれらの情報をお届けしたいと思います。