Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2021/05/18)
はじめに
マジックプレイヤーのみなさん、こんにちは!
前回の記事から時間が経ちましたが、お元気だったでしょうか?「集まってプレイする」日々がもう間もなく帰ってきそうですね。
しかし、まだまだ安全と健康に気をつけて生活せねばなりません。マジックをするならモダンにちょっと触れてみるのも良いかもしれないですよ。生後11か月になる私の子供がいるのでめっきりマジックをする時間が減ってしまいましたが、私は自由時間さえあれば何よりも優先してモダンのリーグに参加するようにしています。
崩壊したティムールスケープシフト
最後にモダンを競技レベルでプレイしたのはMagic Onlineチャンピオンシップ2019のこと。本大会のモダン部門にはティムールスケープシフトを持ち込みました。
このデッキは本当に素晴らしく、私が史上もっとも愛しているモダンのデッキ、《欠片の双子》コンボを彷彿とさせるものでした。どちらもコントロールとして立ち回り、突如として相手をコンボキルするデッキです。
しかし、ティムールスケープシフトは2月の禁止告知で深刻な被害を受けました。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》に鉄槌がくだり、対アグロに非常に頼もしかった存在が消失。勝ち筋は《風景の変容》に大きく依存するようになりました。
しかも、《風景の変容》に頼ろうにも《神秘の聖域》の禁止によってそのプランは脆弱になっています。《差し戻し》で実質的に《Time Walk》を連鎖させたり、《成長のらせん》でマナをすくすく伸ばしていったり、《謎めいた命令》ループで相手をハメることも今はできません。相手の《思考囲い》を1枚のフェッチランドで水の泡にしてドヤ顔をすることもできませんね。
立役者、DoomSwitch
まずはDoomSwitchという男について少しお話させてください。彼はここ3年のモダン環境を定義してきた中心的人物の1人であり、禁止カードを出すほど支配的なデッキを創作/チューニングしてきました。
その実力によって本人がMagic Onlineのチャンピオンシップ予選を通過しただけでなく、彼のデッキによってグループメンバーからも予選突破者が多く輩出されています。バント氷雪で彼とほか3名が同じチャンピオンシップの権利を獲得したのは記憶に新しいところです。
幸運にも私は彼と同じDiscordグループに属しており、彼の最新作を本人から授かることができますが、彼はPatreonを定期的に更新していますし、Twitterで無料のコンテンツを豊富にリリースしていますから、コミュニティのみなさんも彼の情報に触れることができます。
今年、彼はライバルズガントレットに出場しますが、絶対に私は彼を応援します!記事を読み進める前に、どうか彼のTwitterをフォローしてあげてください。よろしくお願いします。
デッキリスト:5色白日
DoomSwitchに「禁止後のティムールスケープシフトのデッキリストはない?」と尋ねてみると、彼の返事は「あるにはあるよ」と返事をしてくれました。
打ち消し呪文で《風景の変容》までの時間を稼ぐティムールスケープシフトとは違い、こちらは《白日の下に》/《創造の座、オムナス》ミッドレンジと呼ぶべきものでしょう。《風景の変容》は《白日の下に》からサーチできるフィニッシャーとしてピン挿しされているのみです。
さて、それではカード選択について詳しく見ていきましょう。
マナベース
土地は30枚です。かなり多い枚数ですが……本当にこれぐらい必要なんです!
《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》4枚
《イリーシア木立のドライアド》と《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》が揃うと、毎ターン土地を2枚置いて、土地1枚から6~12点ダメージ与えているだけで勝てることがあります。決して聞き間違いじゃないですよ。
《イリーシア木立のドライアド》と2枚の《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》が戦場に並んでいれば、フェッチランド1枚から12点のダメージが飛びます。《イリーシア木立のドライアド》は追加の土地が置けますから、《イリーシア木立のドライアド》1枚と土地を引いているだけでも5ターン目に勝てる計算です。
《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を絶対にフル投入すべき理由はここにあります。《イリーシア木立のドライアド》との相性が良すぎるのです。
フェッチランドは最低でも12枚
このデッキではフェッチランドが非常に重要です。トライオームと合わされば無敵のマナ基盤となり、《レンと六番》と合わさればカードアドバンテージ源となり、《創造の座、オムナス》と合わされば……どうなるかご存知でしょう。
山は9枚
《風景の変容》を安定して運用するには9枚が最低ラインです。ひとつ注意点を挙げると、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》が2枚しかなかった従来の構築とは違い、デッキ内に山が6枚なくても《風景の変容》でライフを削り切れます。今回の構成は《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を追加でサーチすることで山のカウントを埋め合わせられるのです。
たとえば山が戦場に3枚、ライブラリーに3枚しかないとしましょう。このとき、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》と山を3枚ずつサーチすれば27点入ります。
《沼》以外の基本土地4種
アグロ相手にはライフ損失なしでアンタップインできる土地をサーチできるようにすべきです。また、《血染めの月》をすり抜ける土地は必要でしょう。
ただ、《沼》は必要ないですし、欲しいこともありません。《創造の座、オムナス》が手札にいるときに引いてしまうと裏目ですし、アンタップイン土地が《沼》でなくてはならない状況もほとんどありません。
キーカード
デッキ内のほかのカードを変更する可能性はあると思いますが、以降のキーカードは変更してはいけません。
先に解説したとおり《イリーシア木立のドライアド》は《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》と組み合わせることで十分すぎる働きをします。文句のつけようがありません。
《白日の下に》はデッキに安定性をもたらします。《風景の変容》を複数引いたときの「ぎこちなさ」をなくしつつ、致死量のダメージを与えられるマナが揃ったら《風景の変容》を唱える選択肢を用意してくれるのです。4色を要求する《創造の座、オムナス》との噛み合わせも良く、「収斂」に必要な色マナに困ることはほぼありません。
その《創造の座、オムナス》については、《レンと六番》と一緒に縁の下の力持ちとなっています。どちらもカードアドバンテージをはじめとしたリソースを供給し、アグロ・ミッドレンジ・コントロールに対して頼りになる脅威となるのです。
《嘘の神、ヴァルキー》は《白日の下に》と組み合わせたときの挙動にルール変更がない限り《白日の下に》デッキで必ずピン挿しされていくでしょう。現状のルールではクリーチャー面をサーチしたときにプレインズウォーカー面で唱えられます。
《創造の座、オムナス》を出す、フェッチランドを置く、《白日の下に》を唱える、《星界の騙し屋、ティボルト》をサーチする。この動きをすると糖尿病になるかもしれません。お気をつけあれ。
マナ加速
初期の構成ではこの枠に《成長のらせん》が入っていましたが、このデッキは相手のターンにマナを構える必要があまりありません。《探検》に差し替えれば色拘束が緩くなる利点があります。また、《探検》は《創造の座、オムナス》が生み出したマナから唱えても、《時を解す者、テフェリー》のキャストに必要な青マナを残しておけます。実際、この強みが出た状況は何度かありました。
《探検》ではなく《遥か見》を採用する選択肢もあるでしょうが、これだけ土地を多く入れているデッキですから《探検》がベストだろうと思いますし、これ以上マナ加速呪文を入れる必要もないでしょう。
妨害
2種類の1マナ除去はデッキの脇を固めるカード。《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》をフル投入しているうえに、《風景の変容》で直接相手のライフを狙うプランですから、1マナの除去枠に《稲妻》を4枚入れるのは当然のように思います。《稲妻》は《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》で唱えられるのでマナベースに優しく、相手にダメージを与えればコンボキルを1~2ターン早めることができますからね。
軽い除去枠を埋めるのが《流刑への道》です。《致命的な一押し》を選ぶのもアリですが、できるだけ《創造の座、オムナス》の色拘束と親和性の高いものを選択したいところです。
カードパワーがあまりにも高いので、今さら採用する価値を強調するまでもないですが、デッキのプランとは非常に噛み合っています。このデッキが苦手とするのは打ち消しが多いデッキであり、そういったデッキに対して《時を解す者、テフェリー》はボムカードになります。ヘリオッドカンパニーやジャンド相手にもバウンス能力でテンポを稼いでくれるでしょう。
最後の枠は《ケイヤの手管》です。このカードだけ《創造の座、オムナス》の色マナに優しくないですが、その点を妥協しても良いほど環境の立ち位置が良いカードです。
《ケイヤの手管》を含めるとデッキの除去は合計8枚になり、その内の4枚は《死の影》のような大型クリーチャーを対処できます。墓地対策とライフ回復が1枚に詰まっているカードをメインデッキに入れられるのは非常に好ましいことで、便利な場面も多々あります。
とはいえ、このカードを抜いてもっと軽い呪文にしたり《白日の下に》のサーチ先を増やしたりする可能性は十分にあるでしょう。
押さえておくべき知識
サイドボードガイドに移る前に、一見しただけでは見逃しやすいテクニックや知識を解説しましょう。
《白日の下に》
《白日の下に》がサーチできるのはクリーチャー・ソーサリー・インスタントのみです。《星界の騙し屋、ティボルト》が例外的にプレイできるのは、表面の《嘘の神、ヴァルキー》がクリーチャーだからこそ。《時を解す者、テフェリー》や、サイドインしたエンチャント・アーティファクトはサーチできないので気をつけてください。
また、相手に《時を解す者、テフェリー》を出されると《白日の下に》は完全に無力化されます。
《イリーシア木立のドライアド》
《イリーシア木立のドライアド》と《血染めの月》の関係はタイムスタンプによって処理されます。つまり、後出しされたほうの効果が適用されます。そのため、《血染めの月》を使う相手には基本土地である《森》を優先的にサーチしましょう。ただし《血染めの月》が出るとフェッチランドを起動できず、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を誘発させることもできません。それを念頭にプレイしていきましょう。
それから《イリーシア木立のドライアド》がいれば追加で土地を置けます!この能力は本当に頭から抜け落ちやすく、私は何度も忘れました。私の二の舞にならないように!
《ケイヤの手管》
マナが余っていれば「双呪」にマナを充てましょう。「キッカー」呪文もあれば同様です。
サイドボード
アグロとの相性はもともと良好です。ほかのアーキタイプに対してサイドボードの枠を多く使いましょう。さて、これでみなさんが好きなパートへと自然な流れで移って行けそうですね!
サイドボードガイド
イゼット果敢
対 イゼット果敢
ヘリオッドカンパニー
対 ヘリオッドカンパニー
白日スケープシフト
対 白日スケープシフト
アミュレットタイタン
対 アミュレットタイタン
ボロス果敢
対 ボロス果敢
エルドラージトロン
対 エルドラージトロン
ドレッジ
対 ドレッジ
イゼット《裂け目の突破》
対 イゼット《裂け目の突破》
エスパーコントロール
対 エスパーコントロール
グルールミッドレンジ
対 グルールミッドレンジ
バーン
対 バーン
5色ニヴ
対 5色ニヴ
ハンマータイム
対 ハンマータイム
ジャンドシャドウ
対 ジャンドシャドウ
スゥルタイ白日
対 スゥルタイ白日
トロン
対 トロン
赤単オボシュ
対 赤単オボシュ
リビングエンド
対 リビングエンド
おわりに
いつも私の記事を読み、応援してくれてありがとうございます。素晴らしいデッキリストと知見を与えてくれたDoomSwitchには改めて感謝します。
マジックの最新情報が知りたい方はぜひ私のTwitter(@u_mad_bro_MTGO)をフォローしてくださいね!
ではまた!
ゴンサロ・ピント (Twitter)