最強統率者決定戦 in大阪カバレージ【コマンダーサミット】

いってつ

コマンダーサミットin大阪

12月25日、晴れる屋トーナメントセンター大阪。ここに166人の統率者戦プレイヤーが集結した。その目当ては「コマンダーサミット」である。

コマンダーサミットは朝から晩まで統率者戦のフリープレイや『統率者レジェンズ』のシールド戦が楽しめる催しで、東京での初開催は数時間で参加受付枠が完売するほどの盛り上がりを見せていました。

なかでも注目されているのは「最強統率者決定戦」でしょう。サイドイベントという立ち位置ですが、これを目当てに参加を決めたプレイヤーも多かったようです。競技イベントのない統率者戦では、何十人の中から1番を決めるようなイベントは珍しく、「腕試し」ができる数少ない機会なのです。

今回はそんなTC大阪での統率者決定戦の模様をお伝えします!

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環境感

TC東京で行われた前回同様、参加者にインタビューを行い、環境感を探りました。

前回は《むかつき》ターボ戦略が非常に強く意識されていて、スタックスデッキやクリーチャーコンボデッキが決勝卓へ勝ち残りました。《軍団のまとめ役、ウィノータ》のスタックスをかいくぐって優勝したのは《親指なしのクラーク》《千の顔の逆嶋》デッキでした。

予選での印象

今回のイベントではダブルエリミネーション形式の予選ラウンド+2回戦の決勝ラウンドという形式でした。その予選ラウンドでは様々なテーブルを回ってゲームの様子を観戦していたのですが、この時点で前回大会と大きな違いを感じました。

ウィノータが多い

軍団のまとめ役、ウィノータ

フリープレイの時点でも、予選ラウンドでも《軍団のまとめ役、ウィノータ》の姿をよく見かけました。

『イコリア:巨獣の棲処』での登場以来、スタンダードやパイオニアで目覚ましい活躍を見せた《軍団のまとめ役、ウィノータ》は愛好家も多く、「統率者戦に参入するなら《軍団のまとめ役、ウィノータ》を使いたい!」というプレイヤーも少なくありません。

前回大会でも《軍団のまとめ役、ウィノータ》はベスト4入りという好成績を残していました。積極的にコンボを仕掛けるようなデッキではありませんが、ターボ戦略に強く、ゲームがもつれたライフレースでも有利な統率者です。

毒の濁流

そしてそんな環境を意識してか、全体除去の採用枚数を増やしたというプレイヤーも多かったです。

いわゆるトップティアーが少ない

最強の統率者は何か?たびたびツイッターやネット掲示板をにぎやかす話題ですね。そんな議論の中で毎度名前が挙がるようないわゆる「トップティアー」な統率者がこのイベントでは少なく感じました。

織り手のティムナ鋭い目の航海士、マルコム帰還した王、ケンリス

《織り手のティムナ》との共闘、《鋭い目の航海士、マルコム》との共闘、《帰還した王、ケンリス》などの5色統率者は東京での前回大会と比べて少なかったのです。

その一方で、「強いとは言われているがトップとは言い難い」といった評価を受けがちな統率者を多く見かけました。「なぜこの統率者を?」と尋ねると、みんな口をそろえて「この統率者が好きで」「ずっと使っていたらいつの間にか強いデッキになっていた」とのこと。

環境を意識して統率者の選択をしていたプレイヤーが多かった東京大会と大きな違いと言えるでしょう。

「大阪はカジュアルが多いの?」いいえ、必ずしもそうではありません。研鑽されたデッキリストや巧みなプレイングで、一線級でない統率者でも他のプレイヤーを圧倒していたのです。

プロ選手の大会の振り返りのリポートでも「もっと強いアーキタイプがあることは理解していたが今回はそれは使わなかった。不慣れなデッキを使うとミラーマッチで絶対に勝てない。同じデッキを使うならより手慣れたプレイヤーのほうが強いからだ」といた文言を見かけます。

この大阪では「理論上最強」よりも「俺の好きな俺のデッキ」でイベントに挑戦するプレイヤーが多く見られました。長く連れ添った「よく手になじんだデッキ」を手にしていたのです。

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決勝戦デッキ紹介

まずは決勝に残った4デッキを紹介しましょう。

最高工匠卿、ウルザ汚らわしき者バルソー
原初の潮流、ネザール黒薔薇のマルチェッサ

ウルザから時計回りで進行。

※ターンプレイヤー順、敬称略

《最高工匠卿、ウルザ》 - Nakajima Otoji デッキリスト

《汚らわしき者バルソー》 – Fujisawa Suguru デッキリスト

《黒薔薇のマルチェッサ》 – Shibuya Yousuke デッキリスト

《原初の潮流、ネザール》 – Morigaki Keishi デッキリスト

決勝卓に単色デッキが3人!会場でも驚きの声が聞こえました。

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青単 ウルザ

最高工匠卿、ウルザ

《最高工匠卿、ウルザ》が戦場に出ればアーティファクトがすべて《Mox Sapphire》相当になるうえ、自身が無限マナの注ぎ口でもある強力な統率者です。

変身潮吹きの暴君

《最高工匠卿、ウルザ》はかつて《変身》を使ってたった1枚だけ採用されたクリーチャーである《潮吹きの暴君》を戦場へ送り込み、無限マナコンボを成立させるデッキを成立させましたが、《軍団のまとめ役、ウィノータ》の隆盛、クリーチャー主体のミッドレンジには押し切られてしまう弱点がありました。

心悪しき隠遁者セファリッドの女帝ラワン金粉のドレイク

今回のリストはクリーチャーを複数採用したものでした。レガシーでも活躍している《心悪しき隠遁者》は統率者戦でも本当によく見かけるようになりましたね。《セファリッドの女帝ラワン》《タッサの神託者》を止めることができる青のカード。

捜査員、ジェイコブ・ハーキン捜査員、ジェイコブ・ハーキン

特に印象的だったのは《捜査員、ジェイコブ・ハーキン》の採用です。『イニストラード:真紅の契り』で登場したこのクリーチャーは、ルーティングで捨てたカードを後でコストを払わずに唱えることができるのです。

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黒単 バルソー

汚らわしき者バルソー

《汚らわしき者バルソー》 (2)(黒)(黒)

伝説のクリーチャー – ゾンビ・ドワーフ

ミニオン(Minion)・クリーチャーは+1/+1の修整を受ける。

(黒)(黒)(黒),汚らわしき者バルソーを追放する:各プレイヤーは、自分の墓地にあるすべての黒のクリーチャー・カードとすべての赤のクリーチャー・カードを戦場に戻す。

2/2

《汚らわしき者バルソー》は自身の起動型能力で墓地の全ての黒もしくは赤のクリーチャーを戦場に戻します。

納墓生き埋めBazaar of Baghdad

墓地を肥し、統率者の能力で一気にリアニメイト。様々なコンボを用いて勝利します。豊富な墓地肥し手段とコンボルートを持ち、どっしりと構えられる統率者です。

墓掘りの檻死の国からの脱出軍団のまとめ役、ウィノータ

最近はブリーチコンボやウィノータ、緑の濃いデッキをケアした《墓掘りの檻》の採用が増えていて、そのあおりを受けてしまっていると言えるでしょう。

壊死のウーズ

《壊死のウーズ》を戦場に出すことができれば、墓地のクリーチャーを引っ張り出す必要がなくなります。墓地のクリーチャーの起動型能力を持つことは《墓掘りの檻》では妨害できません。

かつては《トリスケリオン》《Phyrexian Devourer》で有限の大量のダメージを対戦相手に飛ばすコンボが使われていましたが、これは自分のライブラリー枚数が減っていたり、大量のライフ回復をしているプレイヤーを倒しきれない可能性がありました。

アーチフィーンド、アスモデウススカージの使い魔

《アーチフィーンド、アスモデウス》の登場でそんな不安はなくなります。《スカージの使い魔》と合わせて墓地に置いておくと、「3マナで7枚ドロー」「手札を捨てると黒1マナ」というめちゃくちゃなウーズが誕生します。不要牌は捨ててマナに変えることで、大量の手札とマナを獲得して勝利が可能です。

《墓掘りの檻》《封じ込める僧侶》を置いたから大丈夫!と油断していると一気にまくられるかもしれません。

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青黒赤 黒薔薇のマルチェッサ

黒薔薇のマルチェッサ
タッサの神託者吸血の教示者波止場の恐喝者

青・黒・赤のグリクシスカラーと言えば統率者戦で最も強い三色の組み合わせの一つと言えるでしょう。青の打ち消しに特殊勝利、黒のサーチと《むかつき》、赤の奇妙なカードたち。この相乗効果は尋常ではありません。

しかし、グリクシスカラー統率者としては《黒薔薇のマルチェッサ》はややマイナーな印象です。事実、晴れる屋が提供するデータベースに《黒薔薇のマルチェッサ》は過去1年間に1度も掲載されていなかったのです。

ルーデヴィックの名作、クラム金線の打破者、アーミクスロフガフフの息子、ログラクフ求道の達人、サイラス・レン
反体制魔道士、ケスネファリアの災い、ジェリーヴァ儀式の大魔導師、イナーラ

共闘の組み合わせも強力なものがありますし、そうでなくても強力な統率者はたくさんいます。なぜこの統率者を選んだのでしょう。直接本人に聞いてみたところ――

「マルチェッサだからです。最初は《マルチェッサ女王》を組んで統率者戦を始めたんですが、強さに限界を感じてしまって。もう1枚のマルチェッサも試してみようと思ったんです」

なんて素敵な理由なんでしょう。好きなカードで遊んでこその統率者戦。ハイレベルなテーブルでは統率者の好みよりもカードパワーが優先されることが多いですが、このプレイヤーはマルチェッサにこだわりたいそうです。

それでも環境をまったく意識していないわけではないようで――

「ウィノータなどのスタックスを意識して全体除去《毒の濁流》やインスタントのバウンスを増やしました。(プレイングの面では)なるべく脅威はほかのプレイヤーに対応してもらうようにしています。こちらの統率者は敵の注意を惹きにくいので、有利な展開に持っていきやすいです」

とのこと。《黒薔薇のマルチェッサ》はただのカラーマーカーではなく、これが戦場にあれば《タッサの神託者》の誘発型能力を打ち消されても再チャレンジが可能。《波止場の恐喝者》といった強力な再利用することも可能です。

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青 ネザール

原初の潮流、ネザール

青緑など、ビッグマナを調達できるデッキに採用され、中盤以降のリソースを確保してくれます。

一方で、《激情の後見》のような「統率者ピッチ」の登場もあって「統率者はよりコストが軽いほうが強い」と言われることもしばしばあります。そんな中、7マナの統率者を選んだ理由とは何だったのでしょうか。

「昔から使っていたから。決定戦に参加するにあたって、早いゲーム展開に対応できるよう、マナ総量を軽めのものに変えてきました。《原初の潮流、ネザール》が出るまでにどうしても時間がかかるので、注目を集めすぎないようにしています」

タッサの神託者時間操作

リストを眺めてみると、《タッサの神託者》《神秘を操る者、ジェイス》が見当たりません。他方、追加ターンを得る呪文が大量に投入されています 。どうやら《原初の潮流、ネザール》をはじめとした大型サイズのクリーチャーでライフレースを制する構成のようです。

敏捷な妨害術師

《沈黙》《堂々たる撤廃者》《イーオスのレインジャー長》の影響下でも介入でき、打ち消し返されることもまずない《敏捷な妨害術師》も採用されています。

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決勝卓カバレージ

ウルザ、走る走る

ゲームはウルザからスタート。ウルザは予選ラウンドでは先行1ターンキルを成功させていましたが、このゲームでも《太陽の指輪》《稲妻のすね当て》をスピード展開。次のターンには《最高工匠卿、ウルザ》が着地し、《稲妻のすね当て》を装備して除去が困難になりそうです。

太陽の指輪稲妻のすね当て

続いてバルソー。こちらも《太陽の指輪》《水蓮の花びら》を展開。マルチェッサは《定業》をプレイ。占術2でトップ2枚を送り、ドロー。そのままターンを渡します。ネザールは《師範の占い独楽》を出してターンを渡します。

第1ターン、先手と二番手がマナアーティファクトを展開して大きなアドバンテージを取ったのに対し、三番手四番手はドローの質をよくするカードをプレイする、対照的な展開となりました。

第2ターン、ウルザはやはり《最高工匠卿、ウルザ》を繰り出し、《稲妻のすね当て》を装備します。さらに《稲妻のすね当て》から青マナをひねりだすと、《Mystic Remora》!マナアーティファクトの展開で失った手札を回復させる姿勢です。

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ウルザ(手前)、先手らしく高速展開してリード。
これにバルソー(奥)は……

バルソー、ターンを受け取るとなんと《生ける屍》を放ちます。《水蓮の花びら》を使ってまで。どの墓地にもクリーチャーがいなかったため、これは全体除去として機能したのです。これで《最高工匠卿、ウルザ》は統率領域へ戻ります。

リセットされた戦場にマルチェッサが《波止場の恐喝者》!5個の宝物を手に入れます。そのまま《悪魔の教示者》、手に入れたカードを覗くと、それは《汚れた契約》

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あとは《タッサの神託者》を見つけるだけ。

ネザールはマルチェッサの危険な気配を察知したのかすかさず《倦怠の宝珠》を戦場へ。《タッサの神託者》コンボを強くけん制します。

倦怠の宝珠

ウルザは《捜査員、ジェイコブ・ハーキン》を戦場へ. 《稲妻のすね当て》を装備させ、《心悪しき隠遁者》も送り込みます。かなり怪しい雰囲気。

捜査員、ジェイコブ・ハーキン心悪しき隠遁者

バルソーは《隻眼の将軍 夏侯惇》を戦場へ。どっしりと構えています。マルチェッサは《黒薔薇のマルチェッサ》を戦場へ送り込み静観。ネザールは《Mystic Remora》を設置してウルザにターンを返します。そのエンド前に《捜査員、ジェイコブ・ハーキン》を起動。

序盤からアクションが続くウルザ、《Mystic Remora》の維持はここでやめ、《捜査員、ジェイコブ・ハーキン》の能力でさらにもう1枚追放すると、そのまま6マナを支払って変身させます。

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追放されたカードを確認する手をのぞき込むと、そこには《運命のきずな》《アミナトゥの占い》が!どちらも踏み倒しがいのあるビッグスペルです。ウルザは《運命のきずな》を唱えます!バルソー、マルチェッサは優先権をパス。ネザールからは《白鳥の歌》が飛び出し《運命のきずな》を打ち消します。

ウルザは鳥トークンに《稲妻のすね当て》を装備してネザールに報復のアタック。これが口火となったか、コンバットの応酬が始まります。

マジックはライフを削りあうゲーム

バルソーからは《不浄なる者、ミケウス》が登場!黒の少ないこのテーブルではほぼブロックされない優秀なアタッカーです。これを着地させると《隻眼の将軍 夏侯惇》でウルザをアタック。

マルチェッサは《秘儀の印鑑》をプレイしたのみでターンを回します。ネザールも《Mystic Remora》を維持すると、少し悩んだ様子を見せながらもターンを返します。

ウルザは再びビッグアクション !《アミナトゥの占い》を放ちます。ネザールは優先権を得てフェッチランドを切りますが、そのまま優先権をパス。ネザールが打ち消しを握っていないと判断したのか、マルチェッサは虎の子であるはずの《汚れた契約》を放ち、妨害札を探します。《赤霊破》を獲得し、《アミナトゥの占い》を打ち消そうとしますが、ここでウルザが《心悪しき隠遁者》を起動。《赤霊破》をはじきます。これに対し《Mystic Remora》でドローしたネザール、《否定の力》《アミナトゥの占い》を打ち消すことに成功します。

アミナトゥの占い赤霊破否定の力

ウルザは《金粉のドレイク》をプレイ。《倦怠の宝珠》があるのでコントロール交換は行われません。しかしウルザ、そんなことは織り込み済み。《金粉のドレイク》《稲妻のすね当て》を装備すると戦闘へ!

どうやらこのゲーム、やはりライフのやり取りがかなり重要な展開になりそうです。

バルソーも《汚らわしき者バルソー》を戦場へ送り出します。墓地にクリーチャーはたまっていませんが打点を上げるためか、コンボが控えているのか。

マルチェッサは《汚れた契約》を失って、コンボパーツを集め直す羽目になってしまい、失速。ネザールはというと《心悪しき隠遁者》をプレイ。

ウルザは《ウルザの物語》第三章で《墓掘りの檻》をサーチします。「やるねえ!」バルソーから声が上がります。アーティファクトの除去が苦手な黒単には厳しい展開です。さらに《最高工匠卿、ウルザ》を再び戦場へ送り込みます。続いて現れたのは《セファリッドの女帝ラワン》!これではマルチェッサの《タッサの神託者》やネザールのクリーチャーが戦場に出れなくなってしまいます。

墓掘りの檻Llawan, Cephalid Empress

ビッグアクションを相次いで妨害されたウルザですが、今度は1ターンのうちに3方向を強力にけん制することに成功します。

黒単バルソーにとって最も現実的な《墓掘りの檻》の除去方法は「プレイヤーごと」除去です。《隻眼の将軍 夏侯惇》《不浄なる者、ミケウス》でウルザをアタック!

マルチェッサは動きなく、ネザールはそれならばと《さまようアルカイック》を繰り出します。《セファリッドの女帝ラワン》をものともしません。

さまようアルカイック

続くウルザ、《トーモッドの墓所》を唱えます。事実上の《Mox Sapphire》ですが、やはりバルソーにささります。さらに《最高工匠卿、ウルザ》の能力で《風化したルーン石》まで現れます。

「楽しくなってきたねえ!」バルソーはもう止まりません。積極的なコンバットでライフレースを制するべく、各方面へアタック。《納墓》内蔵クリーチャーである《墓破りのラミア》も4/4絆魂としてライフレースを有利にします。《むかつき》を警戒してか、マルチェッサ方向にもジャブを入れています。マルチェッサの残りライフは21点、ウルザは15点まで減らされてしまいます。

ネザール、ゲームを飲み込む

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我が道を征くウルザ(手前)の盤面を見つめるバルソー、マルチェッサ、ネザール。

マルチェッサ、ネザールはしばしゲームを静観してきました。口数が少ないのは疲労からか、あるいは計略を巡らせているからなのか。一方、ライフが残り少なくなりつつもゲームをリードするウルザ。大量のマナを調達し、何度も《最高工匠卿、ウルザ》 の能力を起動します。幸い、まだ有効牌を見つけていませんが、時間の問題です。少し悩んでいる様子ですが腹を決めたのか、ネザール、動く。7マナをひねり出します。

「サイクロンリフトを。超過で」

サイクロンの裂け目

《さまようアルカイック》も立ちはだかり、ウルザはこれを打ち消せない。《セファリッドの女帝ラワン》が引っ込んでいるうちに《原初の潮流、ネザール》を着地させます。

各人懸命に再展開しますが、ネザールに大量のドローを与えてしまいます。

ふたたびネザールにターンが返りますが、この時点で制限時間はわずか。ウルザ方向に殴り込みライフを詰めますが、ウルザにターンが返ったところでタイムアップ。こうなるといよいよライフが大きな意味を持ちます。追加の4ターンを行い、決着がつかなかった場合はライフが最も多いプレイヤーの勝利になります。

この時点でライフが最も多いのは高スタッツクリーチャーを展開し続けたバルソー。《墓破りのラミア》の絆魂で回復したのも手伝って、49点もありました。他方、ウルザは残り6点。マルチェッサは21、ネザールは23。

盤面だけを見ればクリーチャーを多数展開していた《原初の潮流、ネザール》が有利に見えますが、ここから勝利するにはコンボを決めるか、ライフ差を逆転させなくてはなりません。

船砕きの怪物殺戮の契約

ネザールは自身の最終ターン、《船砕きの怪物》を繰り出します!自身のコスト以上のマナを生み出すアーティファクトがあるのでこのまま無限マナへ突入――と思いきや、マルチェッサから《殺戮の契約》《船砕きの怪物》へ放たれます。

これに対しネザールはコンボを守るべく打ち消しを放ち、マルチェッサも打ち消しを放つカウンターの応酬に。この打ち消し呪文を唱えたことで《船砕きの怪物》の能力が誘発、バルソーのクリーチャーをバウンスします。

時間のねじれ

スタックが空になり、ネザールが再び優先権を得ると、唱えられた呪文は《時間のねじれ》!これには誰も対応できず、ウルザが得るはずだったラストターンをネザールが奪い取ります。《原初の潮流、ネザール》の7点クロックがバルソーを襲う!20点以上のライフ差をひっくり返し、最終ターンが終了。

コマンダーサミットin大阪の最強統率者決定戦、優勝はモリガキケイシ選手の《原初の潮流、ネザール》おめでとう!

勝者インタビュー

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ネザールことモリガキ選手。
その手には常に回答があった。

――優勝おめでとうございます。

「ありがとうございます」

――この優勝卓は単色デッキが3人もいる珍しいゲームになりました。なぜだと思いますか。

「5色や共闘の統率者は各色の強力カードを使用できる為、他の方から警戒されて妨害されやすいと思います。コンボが決まらず疲労したところで警戒されていない単色の統率者が仕掛けて勝利したからだと思います。2戦目の相手は共闘統率者が3人というゲームで、私が警戒されなかったので隙をついて勝利することが出来ました」

――決勝卓で最も苦しかった場面はなんでしたか。

「ウルザの《捜査員、ジェイコブ・ハーキン》から強力な呪文が連続で唱えられた場面です。ウルザが打ち消しを持っていなかったからなんとかなりましたが、解決されたらそのまま負けていたでしょう」

――ハイレベルな統率者戦の魅力は何だと思いますか。

「今回は私も初めてハイレベルの統率者戦のイベントに参加したのですが、やはり相手の妨害をかいくぐってコンボをする駆け引きが魅力だと思います。ライフ、盤面とマナ総量や墓地の枚数を計算してコンボが通ったときが一番嬉しいと思います。クリーチャー主体の統率者でもライフを減らすことでコンボするプレイヤーの計算を狂わせれるので一概に青が入っているから強いとは限らないと思います」

――これからハイレベルな統率者戦に参入するプレイヤーにメッセージをお願いします。

「私も今回初めてハイレベルな統率者戦に参加しました。卓のレベルが違うので速攻で終わるかと思いましたがそんなことはなく、高度な駆け引きが沢山あってとても勉強になりました。(これだけ多くのプレイヤーは)なかなか大きなイベントでないと集まらないので是非一度イベントに参加して欲しいです」

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コマンダーサミットin大阪を終えて

TC大阪でのコマンダーサミットが閉幕。丸一日遊んだはずなのに、まだ遊び足りず早朝まで営業しているTCGバーやショップで2次会も行われていたようです。

イベント参加者の楽しそうな顔!東京など遠方からわざわざ遠征したプレイヤーも多く、まさに「サミット」を思わせる、たくさんの出会いと発見があるイベントになりました。ご提出いただいたデッキリストは順次掲載予定です。ぜひこちらからご覧ください!

次回はTC東京、1/10(月・祝)に予定されています。現在事前予約も受け付け中です。

イベントにご参加いただいた方々、インタビューに応じていただいた方々、本当にありがとうございます。それではまた統率者戦のイベントでお会いしましょう! !

コマンダーサミット 1/10(月・祝)

晴れる屋TC東京で開催。事前予約受付中

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いってつ 晴れる屋メディアライターです。最近の悩みは記事執筆と動画出演で忙しくて統率者戦が1日2回くらいしか遊べないこと。 いってつの記事はこちら