新ファイレクシアの動向を追う!
こんにちは、若月です。それではファイレクシアのおさらい、速やかに続きです!
前回の記事
- 2022/07/20
- 第127回 新ファイレクシアの現状2022 その1
5. ウラブラスク in ニューカペナ
『ニューカペナの街角』事前情報で確認されていたプレインズウォーカーは、オブ・ニクシリスとエルズペスでした。が、早速のメインストーリー第1話にて。
『ニューカペナの街角』メインストーリー第1話「安住の地へ」より引用
「そうか、ならばついて来い。ウラブラスクは喜んでお前に会うだろう」
男は再び歩き出し、だがビビアンは動かなかった。「で、貴方の名前は?」
彼は立ち止まり、そして振り返らずに答えた。「テゼレットだ。待たせている相手がいる。だから急いだほうがいい」
ビビアンは急ぎはしなかった。動きすらしなかった。顔を合わせたことはなかったが、その名は確かに聞いていた。テゼレット。あの「灯争大戦」にて敵の側にいた相手であり、次元橋を今も利用できるのではと彼女はずっと訝しんでいたのだった。テゼレットは侮っていい相手ではない。ここにいるというのであれば、もっと深くで何かが流れている。間違いなく。
!!??
まずニューカペナにビビアンが来ているという意外な事実に驚き、ウラブラスクの名前が出てさらに驚き、神河に続いてのテゼレット登場にも驚き。『カルドハイム』のヴォリンクレックスから『神河:輝ける世界』のギタクシアスまでは結構な間が空きましたが、神河のすぐ次のセットであるこちらにも引き続いてファイレクシアの気配。これには多くの人が身構えたかと思います。
それだけでなく、続く第2話ではエルズペスも「対ファイレクシアの手がかりを探しに」この次元を訪れたと明らかになりました。ファイレクシアの再始動に対し、プレインズウォーカーたちもいよいよ具体的な行動に出はじめたということです。
何よりも驚きだったのは、ここでウラブラスクが出てきたという点です。赤の法務官ウラブラスクは、新ファイレクシア法務官の中でももっとも異質です。赤という色が表すのは自由、感情、混沌。それらは統制された「All is one」のファイレクシアとは根本的に相容れません。赤のファイレクシア人たちはその自己矛盾に悩み、さらには感情から得る「共感」を知ったために苦境のミラディン人たちをかくまう、とまでは行かないまでも少なくとも排除はしないまま、自分たちの縄張りに引きこもっています。まさかほかの次元に出張してくるとは思いませんでした。
そんなウラブラスク(とテゼレット)の動向については、サイドストーリー「自由の側」にて明らかになりました。サイドストーリーって体裁だけど全然サイドじゃないよ!ある意味ニューカペナストーリーで一番重要だよこれ!!!
ビビアンは好奇心もあってテゼレットを追いますが、彼がファイレクシアのために動いていることを知り、警戒と敵意を強めます。ビビアンにとってファイレクシアの認識は、この回の表現を借りると「害毒であり脅威」「ファイレクシアの恐怖を解き放つ、多元宇宙においてそれ以上に重大な罪はない」。
とはいえ、どうやらテゼレットも完全にファイレクシアの味方ではないらしいとわかると、ここまで知ったのだからと腹をくくったようにニューカペナの奥底へと同行します。そして目にしたのは、酷い傷を負って息も絶え絶えな怪物でした。
ふたりは下り続け、幾つものトンネルを抜けていった。そして不意に広大な空間が開け、突き当たりには傷を負った獣がいた。縮こまりながらもかなりの巨体で、ぎらつく嘴で苦しく息をしていた。テゼレットの次元橋が放つ真紅の光の中、その獣の身体は更にひどく傷ついて見えた。その肉は恐るべき精密さで無機質の骨格から焼かれて剥ぎ取られていた。かつての姿は堂々として、かつ極めて危険だったのだろう。頂点捕食者。その失われた雄大な姿へと、ビビアンは哀れみの視線をひとつ投げかけた。
圧倒されるビビアンへと、ウラブラスクは新ファイレクシアの現状と自分の考えを説明します。元記事ではカタカナ喋りでまあまあ読みにくいため要点を箇条書きにしますと、
実のところ、上のふたつは特に新しいものではありません。ほぼ同じ内容は2013年の公式記事「失われし告白」に出ていました。ただ、この記事はエルズペスがアジャニに向けて記した手紙という形式をとっており、つまり私たちにとっては伝聞のような形で得た情報です。それが、今回実際にファイレクシアのキャラクターから語られた。これは大きいですよ。
ノーンは多元宇宙のすべてをファイレクシアとし、すべてのファイレクシアを支配下に置こうとしています。ですがウラブラスクはノーンに仕える気も、縄張りを明け渡す気もないと言います。それは進歩とは言えないのだと。ウラブラスクはノーンの支配に対抗するための挑戦を――ファイレクシアにない表現で言うなら、革命を――率いるつもりのようです。
そしてここで同時に、法務官たちはテゼレットの《次元橋》を用いて次元を渡ってきたと正式に判明しました。まあ、ヴォリンクレックスの時点でほとんど誰も疑っていなかったと思いますが。
ヴォリンクレックス・ウラブラスクともに身体がボロボロになっていたことから、本来は無生物しか通れない次元橋を「強行突破」してきたというのは確実でしょう。無茶しやがって……。ギタクシアスは身体がボロボロになったような記述がありませんが、ヴォリンクレックスが奪ってきた世界樹の樹液かそれを用いた何らかの手段で守られてきたのか、あるいはすでに回復済みだったのか。
それにしても、下っ端ではなく各派閥のトップである法務官たちがわざわざ他次元に出向しているのは何なんでしょうかね。法務官くらい丈夫でないと耐えられないんでしょうかね。ヴォリンクレックスが渡る前にも、数多くのファイレクシアンが次元橋通過の実験台にされて死んでいったのかもしれない。
また、ウラブラスクの赤派閥はその縄張りから他派閥を締め出しています。エリシュ・ノーンに叛意を抱いていますし、おそらくニューカペナにはテゼレットの力だけを借りて内密にやって来たのだと思います。まあ、テゼレットが他派閥にそれを明かしていないという保証もないのですが。だからこそ世界樹の樹液を使えずボロボロになっていた……と予想。
一通りの話を聞いたビビアンは、危険な好奇心と、内なる味方を得られるかもしれないという考えからウラブラスクへの協力に合意します。思えばイコリアのルーカといい、ビビアンは何だか赤のはぐれ者と縁がありますね。
そして、ビビアンはウラブラスクが要望する光素を集めながらニューカペナの情勢を探り、同時にエルズペスとの接触を試みました。それは成功し、ファイレクシアを敵視するプレインズウォーカーふたりは首尾よく面識を得ることができました。
エルズペスは続けた。「それよりも。脅威が迫りつつあって、その情報を手に入れようとしているんです」
「それは間違いないし、どうやら動機は同じのようね」エルズペスはウラブラスクの存在を全く知らないと見え、それはビビアンにとっては驚きだった。とはいえテゼレットに遭遇しければ自分も知ることはなかったのだが。加えてウラブラスクは言っていた、テゼレットは「既知の間柄」ゆえにエルズペスを避けていると。
ともに誠実な性格のふたりは、すぐに相手が信用に値すると判断します。ビビアンがゲートウォッチの名前を出したことも大きかったのでしょう。このときはほぼ顔合わせだけで別れますが、後にニューカペナに抗争が勃発した際には協力して戦いぬき、《敵対するもの、オブ・ニクシリス》をこの次元から追い出しました。
最終的にビビアンとエルズペスは、《蒐集家、ザンダー卿》の書庫にあった文献から過去にこの次元に起こった出来事の詳細を把握しました。かつてこの次元はファイレクシアの侵略を受けた。けれど天使と悪魔が手を携え、ファイレクシアを退けた。その鍵となったのは天使の精髄である魔法物質、光素。これはきっと、これから先のファイレクシアとの戦いでも重要なものになるかもしれない――この情報と、同じく書庫に少量ながら蓄えられていた光素を貰い、ふたりはドミナリアへ向かいました。
一方のウラブラスクについてはサイドストーリー以降には一切登場せず、特に言及もありませんでした。そのためどこまで回復したのか、そもそもどうなったのかはわかっていません。ビビアンがウラブラスクの名前を出したときも、エルズペスが何か警戒したような様子はありませんでしたので、会わせはしなかったにしてもある程度詳しい話はしたのだとは思います。テゼレットもつきっきりではいられないでしょうし、ウラブラスクがニューカペナにひとり置き去りにされていなければいいのですが。
ところで気になることがあります。ウラブラスクは新ファイレクシアの現状を説明した際、黒派閥のトップについて法務官のシェオルドレッドではなく「黒ノ族長ノ多ク」と言及していました。黒派閥では法務官以外にも、実力者である「族長」たちが権力を争っています。といいますかシェオルドレッドも「族長」であり、トップとして法務官の地位に就いているというのが正しいでしょうか。
2022年7月現在、シェオルドレッド以外には《大霊堂の王、ゲス》がカード化されており、また《四肢切断》《狂気コウモリ》のフレイバーテキストに登場している「悪魔の長、アザックス=アザグ」も族長のひとりです。
今でこそ新ファイレクシアは5色に発展し、白の法務官が支配していますが、もともとのファイレクシアは黒から派生しました。新ファイレクシアは旧ファイレクシアの伝統を尊重しているとかそういうわけではないのですが、白と黒は本来仲の悪い色です。白に支配される側となった黒の法務官は現状をどう思っているでしょうか。まったくの仮定ですが、シェオルドレッドもエリシュ・ノーンに反発しているとしたら……?
2022年7月22日追記
なんてことを書いていたら『団結のドミナリア』の新情報が公開されたじゃないですか。
《シヴの壊滅者》フレイバーテキスト
シェオルドレッドの征服先としてシヴの優先順位が高くないのには多くの理由があった。それこそ大きな、火を噴くような理由が。
「シェオルドレッドの征服先」。いきなりもう関わりを確定させてくるー!?いや、実際にドミナリア次元に本人が来ているとはまだ確定できないけれど。上記の通り赤はファイレクシアと相性の悪い色です。色の思想的にもそうですが、単純に考えて「油は燃える」のですから。
それにしても神河→ニューカペナ→ドミナリアと3連続で法務官が……我々が思う以上にファイレクシアの拡大は速く、そして大規模なのでしょうか。
6. 肉の庭
『ニューカペナの街角』ストーリーが終了して少し経ったある日のこと。突然、1本のストーリー記事が掲載されました。一応カテゴリは『ニューカペナの街角』に含まれていますがニューカペナ要素は微塵もなく、なんと新ファイレクシアの物語でした。
【ストーリー】 ここは新ファイレクシア、穢れなき機械聖典。その式典が堕落を撒き散らして失敗し、「機械の母」エリシュ・ノーンに疑念と不安が忍び寄る…… 『肉の庭』 https://t.co/UsglGVLaOj #mtgjp pic.twitter.com/RsM1NFY8Gu
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) May 4, 2022
正しくは「機械正典」です。清浄な金属と機械の新ファイレクシア、それを汚染する有機体という不浄。「肉の庭/A Garden of Flesh」という異質なタイトル、そして描写だけでなくその視点の違いもまた異質な……。冒頭に「この物語には残酷、衝撃的、グロテスクな描写が含まれます」という編訳注が入っていますが、まったくもってそのとおりでした。ちなみに2014年の『タルキール覇王譚』からストーリーのウェブ掲載が始まりましたが、こうして新ファイレクシアの様子が直接描かれるのは初めてだったかもしれません。
公式記事「肉の庭」より引用
そこに、あのミラディン人の血が高座から庭園へと流れ下った場所に、小さく黒い草が、敷石の割れ目から芽生えていた。その茎はねじれ、緑と茶の斑模様をしていた。完全な有機体。忌まわしい。不快だ。
清浄な庭園を汚す有機体。エリシュ・ノーンがそれを抜くと、現れたのは腐りかけた人間の腕。更にその先にも雑草は生えており、引き抜くたびに人間の臓器や肢が現れます。根を張る異端。このような堕落はありえない。「機械の母」である自分に何かが起こった?ノーンは苛立ち、怯えます。不可解、ですがどこか現実味の欠けた様から、彼女は心当たりに至りました。悪夢を操るプレインズウォーカー、アショク。
アショクは『テーロス還魂記』にてエルズペスの悪夢からファイレクシアを知り、そこへ向かったとされていました。このセットは詳細なストーリーが語られなかったのでその事実以外はわからなかったのですが、少なくとも本当に新ファイレクシアにいることが今回ようやくわかりました。
同記事より引用
「彼女と出会ったのは、テーロスにて作品を手がけていた時でした」
煙がその人間の頬や額を撫でる中、アショクの言葉は柔らかくもどこか威圧感があった。「エルズペス・ティレルというのがその名です」まるで初めて味わうかのように、アショクはその名を舌で転がした。「彼女は私の注意を惹きました。そして彼女を死の国にて追跡しました。ファイレクシアに対する彼女の恐怖は素晴らしいものでした。息を飲むほどに。好奇心を刺激されないわけがありましょうか?自分の技術を磨くこれほどの機会を逃す芸術家はいません。貴女のような存在を試すというのは。私は単純に、見つけ出さねばならなかったのですよ。ファイレクシアの悪夢とは、一体どのようなものかを」
人間とは違う精神構造を持つファイレクシア人に、それもそのトップであるエリシュ・ノーンに悪夢を見せる。アショクは自分の「芸術」をそのように試していたのでした。怖れを知らず、大胆に、実に楽しそうに。ノーンはアショクの不遜な行為に激しく怒り、実力でアショクを追い払おうとします。ですがアショクはエルズペスの似姿の悪夢を作り出し、ノーンへの挑発を続けました。
エルズペスについてはノーンも覚えていました。かつて機械正典を攻撃して失敗し、けれど逃げおおせていた弱き肉の生物。けれど、そんな取るに足らない存在が自分たちから逃げ延びたという事実は、ノーンの記憶の片隅に残っていたのでした。
アショクはエルズペスの悪夢を、ノーンの白磁と赤いローブをまとわせた姿に変えてみせました。ノーンの目に、それは恐ろしいほど人間に似た自身の姿として映りました。ファイレクシアンにとっては、あまりに不純で不完全な。ノーンは実力をもってその悪夢を追い払います。それを見たアショクは逃げ去り、似姿のエルズペスも消えました。機械正典を汚していた肉は跡形もなく、ですがノーンの心にはこれまでにない不可解な感情が残っていました――不安。恐怖。
同記事より引用
そして悪夢が真に世界から消えると、エリシュ・ノーンは聖堂の庭園を注意深く歩き、石に触れた。エルズペス・ティレルが生えていた場所は今や清く純粋、神聖だった。彼女は精神からエルズペスを消し去ることができなかった。その哀れみを無視することはできなかった。人間的な何かが自分をこんなにも不安にさせる、その考えが我慢できなかった。
そして機械聖典への信奉と同じほどの確信をもって、エリシュ・ノーンは悟った。この新たな感情を、この恐怖と不安を粛清するためには、あの人間を見つけ出さねばならない。エルズペス・ティレルを、あの女を多元宇宙から取り除かねばならない。
……『ニューカペナの街角』にて、ウラブラスクがこんなことを言っていました。
「エルズペス」ビビアンは口に出し、その名前を記憶した。「その人の何を求めているの?」
「ノーンハ、ソノ女ヲ怖レテイル。私ガ知ルノハソレガ全テダ」
ノーンはエルズペスを恐れている。これまでの情報にある限り、ノーンとエルズペスの接点はごくわずかでした。これは一体何が……と多くのプレイヤーが疑問に思っていましたが、ここで理由が明らかに。アショクの仕業とか誰も思いませんって!でもウラブラスクはそれをどうやって知ったんですかね。テゼレット経由?
しかしこの回でアショクが見せた肉の悪夢、そのリアリティや気持ち悪さは物語を読んだならひしひしと伝わってくるものでしたが、ノーンすら不安にさせるものだとは。アショクの不気味さ、空恐ろしさを感じずにはいられませんでした。
そんなアショクですが、実はかなり物語展開に恵まれないキャラクターです。初出の『テーロス』では短編記事1本のみの登場、後にダク・フェイデンのコミック(第81回参照)にて敵として登場するもコミック自体の刊行が途中で止まってしまいました。
『灯争大戦』で再度カード化されるも物語での出番は一切なく、『テーロス還魂記』はそもそもストーリーがごく大まかなあらすじでしか展開されず……そう、『灯争大戦』の小説を読み終わって少ししたところで気づいたんですよ。「アショクいなくね?」見逃したか、と思って(電子書籍なので)検索をかけるもたしかに本人の登場はなく、海外掲示板の感想を見てもやはりアショクの不在について疑問が上がっていて、うん、いなかったよな……と。背景が瞑想領土ですが、ボーラスやウギンと何か接点でもあったの?それもわかりません。
7. 団結のドミナリアへ
次のセットは『団結のドミナリア』。こうしてファイレクシアの気配が濃くなる中、かつてファイレクシアが大規模な侵略戦争を仕掛けた次元へ、今一度の帰還です。きっと、いつか来るであろう最終決戦に向けて重要な物語が繰り広げられるのでしょう。今出ている情報は多くありませんが、少し探ってみます。画像は注記のない限り公式記事「『ダブルマスターズ2022』および『団結のドミナリア』の最新情報とその他の発表」に掲載のものです。
まずはパッケージ画像から。《ジョダー》と《シャナ》とカーン、そしてウェザーライト号。ジョダーは氷河期以前から生きる「永遠の大魔道師」であり、『ザ・ダーク』『アイスエイジ』『アライアンス』の物語における主人公です。とはいえカードでの登場機会はわずかであり、『ドミナリア』でカード化されるまでは《ジョダーの報復者》が存在するのみでした。インベイジョン・ブロックでもまったく姿はありません(まあこれは小説が書かれた時期的な問題なんだと思う)。
しかし、今回はどうやら大々的に登場のようです。動向が期待されるのは無論ですが、ジョダーはウルザの(『ドミナリア』の情報ではウルザの、だそうな)直系の子孫です。この先のセット『兄弟戦争』にも何か繋がっていきそうな気がしません?
セット・ブースターのパッケージにはリリアナとアジャニが。リリアナ、そんなところにいて大丈夫なんです?忘れがちだけど一応ラヴニカには死を偽装している身ですよ?
リリアナはドミナリア出身ですが、生まれたのはファイレクシアの侵略からだいぶ後です(年齢的に『スカージ』と『時のらせん』の間)。これまでもファイレクシアについてリリアナが何か言及していたような場面はありませんでした(私の記憶の限りでは)。
それでも、ドミナリア出身のプレインズウォーカーとしてほかにはない知識を持っているかもしれません。第二の人生を歩むリリアナがここで対ファイレクシアのために立ち上がるなら、それはどんな決意を抱いてのことになるのか。とても楽しみです。
こちらはコレクター・ブースター。この狂気の笑みと三つ編みとゴーグルは……かつての陰謀団の幹部、ブレイズだよな?
いや、あなたたしか『スカージ』で死亡したはずでは。『ドミナリア』にて陰謀団はベルゼンロックのもとで復活していましたが、その新生陰謀団の技術で蘇ったとかでしょうか。それだけならともかく、なんで腕増えてるんです?
2022年7月22日追記
新情報とともに、このブレイズらしき人物が描かれた新規アートも公開されました。
周囲の人々の服装は『ドミナリア』で見た新生陰謀団のもの。つまり、やはり陰謀団関連なのでしょう。しかし何が起こっているんだ……煙は旧陰謀団(オデッセイ・オンスロートブロック時代)がしばしば使用していたものではあるのですが。
Pack your bags, we're heading back to Dominaria in Dominaria United! Let's take a peek at the upcoming set symbols. pic.twitter.com/Omm2jcFrer
— Magic: The Gathering (@wizards_magic) May 12, 2022
『団結のドミナリア』のセットシンボルは『インベイジョン』のそれによく似ていますよね。世界のすべてが団結してファイレクシアと戦った、ドミナリア連合のシンボルに。
このシンボルはインベイジョン・ブロックの、「キッカー」を持つカードに描かれており、シンボルのどの部分(あるいは全体)が描かれているかはその色に対応しています。後のセットの登場ですが《連合の秘宝》には色付きで大きく描かれていてわかりやすいです。
何か大規模なものを指揮しているらしいカーン。左側で働いているメカは《ウルザの後継、カーン》から出てくる構築物・トークンによく似ています。
ほかにも、公式記事「見知らぬあなたへ」にて、サヒーリがドミナリアで何かを作っていることが判明しています。具体的なことはわからないのですが、それは「次元間の途方もない過ちを正す」ためであり、「ある友人のために進めている研究」であると。
そう、もともと次元橋を作ったのはサヒーリの友人ラシュミでしたね……
2022年7月22日追記
前回の情報公開には出ていなかったプレインズウォーカーも確認されました。ヤヤ、テフェリー、さらにディハーダ!!??
これで姿が見えているプレインズウォーカーはアジャニ・リリアナ・カーン・ヤヤ・テフェリー・ディハーダ。6人中4人が年齢4桁ってすごい。ディハーダは『モダンホライゾン2』よりも明らかに年老いています。これが現在の姿なのでしょうか。ヤヤの背景に見えるのはケルド人っぽいですね。カードも早速公開されていました。
《時の火炎嵐》はアートもそうですがテキスト見るに、ヤヤとテフェリーが協力して大がかりな魔法を放っているようです。それも「注目のストーリー」、これは熱いシーン待ったなし!!このふたりは前回のドミナリアでもともにカード化されていましたが、物語上であまり接点はありませんでした。けれど今回はドミナリアの歴史に名を記すプレインズウォーカーたちの共闘、期待してしまいますよ。
8. 今回はここまで
前回記事にて神河でのテゼレットの説明をした際、彼が過去にミラディン次元に出向していた理由をアートブックから訳しました。実はその解説には続きがありまして、こちらです。
書籍「The Art of Magic: The Gathering – War of the Spark」P.48より訳
ファイレクシアンはプレインズウォーカーたちを英雄的行動へと駆り立てる脅威となるかもしれない。やがて計画の最高潮において、彼らを罠へと誘い込むような――ボーラスはそう見ていた可能性がある。だが最終的にエルドラージの方がより効果的かつ確実であると証明された。
歴史が違ったなら、ボーラスの野望にファイレクシアが大きく関わっていたかもしれないということ。そしてそのボーラスが打倒された今、何人ものプレインズウォーカーが新ファイレクシアとの戦いに備えつつあります。
『灯争大戦』以降の物語には、かつての戦いを知らないであろう若きプレインズウォーカーもたくさん登場してきました。彼らも全員が全員、無関係とはいかないでしょう……まあこれはもう一度彼らの活躍を見たいという私個人の願望でもありますが。
少なくとも魁渡はタミヨウがさらわれた責任を感じ、彼女を探し出そうとしています。ほかにも自らの勇名を追い求めるタイヴァーなんかは、ファイレクシアの脅威を知ったら黙ってはいないんじゃないかなあ。私たちも来たる戦いに備えましょう。『アポカリプス』や『灯争大戦』のように、身構えながら。
(終)