はじめに
みなさんこんにちは。富澤です。
前回はプロツアーの振り返りを実施しました。Team Handshake製のラクドスミッドレンジは回してみましたか?カード選択、バランス、デッキパワーのどれをとっても申し分なく、まさに王者のデッキでした。しばらくはラクドスミッドレンジを使い続けることになりそうです。
さて、今回はオンラインの大会結果を振り返っていきます。
先週末の注目トピックは?
プロツアー以後、スタンダードのメタゲームは3つのデッキによって構成されています。本命はラクドスミッドレンジであり、対抗5色ランプが追う展開です。この流れを受けて増加しているのが第3の選択肢、アゾリウス兵士です。
本命であるラクドスミッドレンジは、高スタッツクリーチャーと除去によるボード捌きから構成されています。クリーチャーが主たるダメージソースですが、フィニッシャーには《絶望招来》と《希望の標、チャンドラ》の2種類の直接ダメージ手段がおかれています。相手視点ではボードを捌ききったとしても安心できず、ライフ回復手段がない限り長期戦は得策とはいえません。
続いてはミッドレンジ全般に強いランプ。《装飾庭園を踏み歩くもの》と《ゼンディカーへの侵攻》でマナを伸ばして早期に重いカードへと繋げ、カードパワーでもって制圧します。序盤はタップイン土地を処理しつつマナを伸ばす時間にあてるためノーガード気味ですが、ダメージソースの少ないミッドレンジ相手ならば十分間に合います。適度に除去を挟みながら7マナ到達を目指します。
最後はアグロを代表してアゾリウス兵士。ランプデッキが土地基盤を整備している間に淡々とクリーチャーを並べ、単体除去では処理しきれないダメージソースをそろえてビートダウンしていきます。最近は《スレイベンの守護者、サリア》よりも打ち消し呪文が優先される傾向にあり、全体除去に対する備えも万全です。
それぞれのデッキは追う追われるの関係にあります。サイドボードなどで改善の余地はあるものの、相性差ははっきりとしています。極端な話、最大母数をランプと想定するならばアゾリウス兵士こそがベストな選択肢となるでしょう。
この三つ巴の戦いはいつまで続くのでしょうか。それでは大会結果をみていきましょう。
5/13(土):Standard Challenge
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | ThaisM | アゾリウス兵士 |
準優勝 | rastaf | ラクドスミッドレンジ |
トップ4 | ElfKid | 5色ランプ |
トップ4 | pepeisra | ラクドスミッドレンジ |
トップ8 | Mogged | 白単ミッドレンジ |
トップ8 | 416FrowningTable | 5色ミッドレンジ |
トップ8 | solomonwolf | ラクドスブリーチ |
トップ8 | _Shatun_ | ラクドスミッドレンジ |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
5/13(土)に開催された『Standard Challenge』はThaisMがアゾリウス兵士を使用して優勝。ラクドスミッドレンジとの一騎打ちを制しています。
ラクドスデッキはトップ8に4つ残っていますが、どのデッキも《希望の標、チャンドラ》を採用しています。状況を選ばずに活躍できるプレインズウォーカーであり、新たな攻め札として定着しているようです。
メタゲーム
デッキタイプ | トップ32 | トップ16 |
---|---|---|
ラクドスミッドレンジ | 9 | 6 |
5色ランプ | 4 | 3 |
アゾリウス兵士 | 3 | 1 |
グリクシスミッドレンジ | 3 | 1 |
ラクドスブリーチ | 2 | 1 |
オルゾフミッドレンジ | 2 | 1 |
その他 | 9 | 3 |
合計 | 32 | 16 |
ラクドスミッドレンジが最多アーキタイプとなっています。各種ミッドレンジが多かったことが幸いし、ランプの選択者の大半がトップ16へ進んでいます。
トップ8デッキリストはこちら。
アゾリウス兵士
アゾリウス兵士は1マナ域からクリーチャーを展開し続ける由緒正しき白系アグロ。《徴兵士官》や《毅然たる援軍》から始まる軽量ビートダウンを《雄々しい古参兵》や《先兵の飛行士、ハービン》でバックアップしていきます。《徴兵士官》のおかげで中盤以降も手札が途切れる心配はありません。
軽いカードでまとめられたテンポに特化した構築であり、1、2マナを展開した後は《呪文貫き》と《かき消し》を構えて相手の行動を封殺します。単体のカードパワーではほかのデッキに劣るものの、戦略とデッキ全体の種族シナジーにより補っています。
アゾリウス兵士は限られたリソースで展開と妨害を両立させる必要があり、軽量除去の多いラクドスミッドレンジを苦手としていました。アドバンテージを稼ぐ手段が乏しく、一度ボードを崩されてしまうと立て直すことが難しかったためです。相手のデッキが本格的に動き出す前に攻め切らなければならず、《勢団の銀行破り》など起動する時間もマナもありません。
《イーオスの遍歴の騎士》は展開とリソース補充を同時にこなす戦略にフィットしたクリーチャーです。1、2マナ域展開から3ターン目に「召集」でプレイすれば、戦場に高スタッツクリーチャーを配置しながら次弾を装填できます。ボードにクリーチャーが多ければマナを一切使わずにプレイでき、打ち消し呪文と併用可能です。
アドバンテージ面ばかりに目がいってしまいますが、《削剥》を耐えるタフネスにも注目です。環境からグリクシスが減ったことで《かき消し》される心配がないことも追い風であり、仮に単体除去で処理されようとも交換枚数で得をしています。
《呪文貫き》や《かき消し》と合わせて自軍を守る側面が大きかった《微風の歩哨》。《イーオスの遍歴の騎士》が加わったことで、リソース拡充の役割も持つようになりました。中長期戦では狙っていきたいシナジーです。
白単人間
白単人間は1マナ域からクリーチャーを展開し続ける由緒正しき白系アグロ。クリーチャーを横に並べて《剛胆な敵対者》で強化し、数の暴力でビートダウンしていきます。アゾリウス兵士と比べてやや重く、代わりに《輝かしい聖戦士、エーデリン》や《包囲の古参兵》など単体で優れたクリーチャーが多いのが特徴です。
カードプールの都合によりクリーチャー強化と防御面に不安を抱えていた白単アグロですが、『機械兵団の進軍:決戦の後に』から《銅纏いの先兵》を得たことで一気に解消されました。
《銅纏いの先兵》は《スレイベンの守護者、サリア》と《雄々しい古参兵》を足して2で割ったような性能になっています。1枚で強化と「護法」による除去耐性の二役を兼ねており、デッキ全体のシナジーの到達点となります。
クリーチャーの数が多ければ多いほど打点が上がるため、2ターン目に出すのではなくある程度頭数が並んでからプレイしていきます。
さきほどのアゾリウス兵士と同じくこちらにも《イーオスの遍歴の騎士》が採用されています。《包囲の古参兵》や《粗暴な聖戦士》と3マナ域に強力なクリーチャーが多いため、うまく狙いたいところ。1マナクリーチャーや《輝かしい聖戦士、エーデリン》のトークンを「召集」に使っていきましょう。
ラクドスミッドレンジ
ラクドスミッドレンジは、単体除去や火力でボードを平らにしていく捌きに重きをおいたアーキタイプ。2マナ以下の軽量インスタントを多用しており、テンポ良く対処しながら《税血の収穫者》や《鏡割りの寓話》へ繋げてボードを切り返していきます。特定のカードに依存していないため構築の自由度が高く、メタゲームに合わせたカードチョイスが可能です。
ラクドスミッドレンジのメインボードは固定化されつつあるため、今回はサイドボードをみていきます。気になるのは2種類の色対策カード《石術の連射》と《ぎらつく氾濫》です。
限定的ではあるものの《切り崩し》と同じく序盤の防御の要である《石術の連射》。こちらはアゾリウス兵士とエスパーレジェンズ対策。《侵攻の伝令、ローナ》や《スレイベンの守護者、サリア》、「護法」を無視して《策謀の予見者、ラフィーン》を効率よく対処できるのです。
《ぎらつく氾濫》は横に戦線を並べるアグロやトークンデッキに効果的。しかも白か緑のクリーチャーには計-3/-3修正と一方的なリセット効果を持ちます。アゾリウス兵士などの白単アグロには《雄々しい古参兵》や《銅纏いの先兵》の上から一網打尽にできます。
そのほかの大会結果
5/14(日):Standard Challenge
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | Kritik | 5色ランプ |
準優勝 | Tunaktunak | 5色ランプ |
トップ4 | sMann2.0 | 5色ランプ |
トップ4 | Daking3603 | 5色ランプ |
トップ8 | J0SE | ラクドスミッドレンジ |
トップ8 | CSwicky97 | ラクドスミッドレンジ |
トップ8 | YungDingo | ラクドスミッドレンジ |
トップ8 | O_danielakos | グリクシスミッドレンジ |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
5/14(日)に開催された『Standard Challenge』は5色ランプを使用したKritikの優勝となりました。トップ8はランプとラクドスで埋め尽くされており、相性差を見せつけたランプがトップ4を独占しています。
メタゲーム
デッキタイプ | トップ32 | トップ16 |
---|---|---|
ラクドスミッドレンジ | 8 | 5 |
5色ランプ | 7 | 4 |
アゾリウス兵士 | 7 | 3 |
グリクシスミッドレンジ | 4 | 2 |
エスパーレジェンズ | 2 | 1 |
その他 | 4 | 1 |
合計 | 32 | 16 |
昨日に引き続きトップメタとなったのはラクドスミッドレンジ。それを予見していた5色ランプと、ランプの増加も折り込み済だったアゾリウス兵士の双方が次点で並びます。トップ16の内訳を見てもほぼ同数となっていますが、アゾリウス兵士のみトップ8に0名。当たりに恵まれなかったのかもしれません。
トップ8デッキリストはこちら。
おわりに
今回は白いアグロデッキのリソース獲得手段である《イーオスの遍歴の騎士》にスポットをあてて見てきました。ランプに依存している感は否めませんが、アゾリウス兵士はシナジー満載の素晴らしいデッキです。三つ巴のメタゲームである限りは存在感を表し続けるでしょう。
今週末には『 第23期スタンダード神挑戦者決定戦』が控えていますね。次回はそれらの情報をお届けしたいと思います。