はじめに
みなさん、こんにちは。スタンダード担当の紳さんです。
「Just Nowスタンダード!」では、主なスタンダードの大会結果をまとめてお伝えします。入賞したデッキを紹介しながら、注目のカードやメタゲームの様相、デッキテクニックなどに触れていきますので、参考になれば幸いです。
いよいよ今週、2月2日(金)から『カルロフ邸殺人事件』のプレリリースが始まり、新環境がスタートします!
今回は『イクサラン:失われし洞窟』環境で行われた最後の大会の結果をお伝えしながら、環境の覇者デッキはなんだったのか、振りかえりながらまとめていきます。
1/27(土)『Standard Challenge 32』
まずはマジックオンライン上で行われた『Standard Challenge 32』の結果です。
- 優勝 エスパーミッドレンジ
- 準優勝 赤単
- 3位 赤単
- 4位 ゴルガリミッドレンジ
- 5位 ラクドスミッドレンジ
- 6位 毒性アグロ
- 7位 版図ランプ
- 8位 赤単
『イクサラン:失われし洞窟』環境、最後の大会はメタゲームの縮図といえる結果となりました。ここにアゾリウス兵士を加えればTier1のデッキがすべて揃います。
優勝こそエスパーミッドレンジでしたが、準優勝を含めてTOP8に3名を送り込んだ赤単が圧倒的なパフォーマンスを見せました。
優勝 「エスパーミッドレンジ」
ドロー、除去、打ち消し、全体強化となんでもできるエスパーミッドレンジ。インスタントタイミングで動ける選択肢も多く、とてもバランスが良いデッキです。
『イクサラン:失われし洞窟』からは新戦力として《大洞窟のコウモリ》を獲得し、デッキをさらなる高みへと引き上げました。ハンドへの干渉、飛行、絆魂とすべての能力がデッキと噛み合っていて、あまりにも高性能すぎるクリーチャーです。
《大洞窟のコウモリ》はラクドスミッドレンジ、ゴルガリミッドレンジなど黒を含むデッキにはほぼほぼ4枚採用されているカードですが、スタッツを強化できるエスパーミッドレンジが一番、このコウモリの性能を活かしているデッキだと感じます。
《不穏な投錨地》は《忠義の徳目》との組み合わせが強力で、アタックをしたターンの終了時に+1/+1カウンターが乗りながらアンタップする様子を初めて目撃したときには腰を抜かしてしまったほどです。この動きをしながら《かき消し》や《否認》を構えられるのは詐欺ではないでしょうか。
ゴルガリミッドレンジの《眠らずの小屋》と並び、環境で一番使われたミシュラランドでしたね。《太陽降下》などの全体除去に巻き込まれない点も強かったです。
《ティシャーナの潮縛り》も活躍しました。《魂の洞窟》の庇護をうけた《偉大なる統一者、アトラクサ》のETB能力を打ち消してバニラ化させるなど、さまざまな使い方が発見されております。
プレインズウォーカー対策になるのも素晴らしいですね。
トップメタ同士である赤単との戦いは最後まで互角だったように思います。《石術の連射》と《痛烈な一撃》はお互いにベストサイドカードだったのではないでしょうか。
エスパーミッドレンジVS赤単といえば、『第25期スタンダード神決定戦』が思い出されますね。
- 2023/12/02
- 第25期スタンダード神決定戦カバレージ
- 晴れる屋メディアチーム
絆魂クリーチャーを多く採用し、《策謀の予見者、ラフィーン》&《黙示録、シェオルドレッド》という超回復エンジンを搭載してなお、赤単は止められませんでした。
しかし、勝負は時の運。巡りあわせ次第ではエスパーミッドレンジ側が圧勝してもおかしくないマッチアップだったと思います。
1/28(日)『第12回スタンダード提督決定戦』
つづいて『第12回スタンダード提督決定戦』の結果です。
- 優勝 赤単
- 準優勝 エスパーミッドレンジ
- トップ4 毒性アグロ
- トップ4 毒性アグロ
- トップ8 ディミーアデルバー
- トップ8 エスパーミッドレンジ
- トップ8 ゴルガリミッドレンジ
- トップ8 版図ランプ
赤単、エスパーミッドレンジ、毒性アグロ、版図ランプとTier1デッキの競演となり、環境を象徴するメタゲームのなか、少し珍しい「ディミーアデルバー」の入賞などもありました。
ちなみに『スタンダード提督決定戦』とは神奈川の覇者を決める大会で、おもに晴れる屋横浜店や川崎店で開催されています。提督になると神奈川県エリアの晴れる屋における大会参加費が無料になるなど、地元プレイヤーたちから愛されている大会です。
優勝 「赤単」
エスパーミッドレンジとのライバル対決(?)を見事に制し、環境最後の覇者として神奈川に君臨したのは赤単です。
環境を振りかえってみると、意外にも赤単は『イクサラン:失われし洞窟』で新戦力を獲得していなかったんですね。
『エルドレインの森』で《魅力的な悪漢》《擬態する歓楽者、ゴドリック》《魔女跡追いの激情》という優秀なパーツを獲得しているので十分なのかもしれません。《魔女跡追いの激情》は少し強すぎるぐらいです。
毒性アグロも『ファイレクシア:完全なる統一』以降、まったく新カードが入っていないデッキですが、完成されたリストゆえに新カードが入らないことは「マジックあるある」ですね。
ひとえに赤単といっても、デッキ構築やプレイングの幅は広く、その扱いは見た目ほど簡単ではありません。
例えば、今回の提督(神奈川の覇者)は《フェニックスの雛》を不採用でしたが、《フェニックスの雛》を4枚採用した赤単もよく入賞しています。
環境にはアンチカードも多く、赤単というデッキ自体が周知されているため、サイド後は対策カードを連打されたり、辛い展開になることも多いデッキのはずです。
ところが赤単は常にトップメタであり、常に勝ち続け、常に環境の覇者でした。
「速さ」という絶対的な武器が、すべての対策を無効化してしまうのかもしれませんね。
とくにマジックは土地事故というほかのカードゲームにはない魅力(?)がありますので、あらゆる要素を考えたときに赤単が安定して勝つのは、とてもよく理解できます。
注目デッキ 「ディミーアデルバー」
トップ8に少し変わった構築のデッキを発見しました。
《秘密を掘り下げる者》と《傲慢なジン》を攻撃の軸に据えたディミーアカラーのクロックパーミッションデッキです。
土地の枚数を19枚に絞り、メインボードは《傲慢なジン》以外、すべて1マナ~2マナの呪文で構成されています。
低マナ域の飛行クリーチャーと《地底のスクーナー船》で攻め立てるアグロ寄りのデッキはこれまでにもありましたが、このデッキにはいずれも不採用。
《ヨーグモスの法務官、ギックス》や《漆月魁渡》なども相性は良さそうですが、《秘密を掘り下げる者》を序盤から確実に変身させるためには不要であったようです。1枚でも多くのソーサリーとインスタントをデッキに採用したいという狙いが見てとれます。
《傲慢なジン》が定着して殴り始めると、あっという間にゲームを終わらせる爆発力がありそうですね!
クリーチャーを守る手段として《とんずら》や《渦巻く霧の行進》を採用するのではなく、《下支え》を選択しているのも殺意の表れといえるでしょう。
こちらの攻撃にあわせて除去を使われたとき、《下支え》ならばダメージを通しながらクリーチャーを守ることができます。フェイズ・アウト系の呪文は《集団失踪》や《太陽降下》などの全体除去をかわすのに重宝しますが、戦闘から除外されてしまうのがネックだったようです。
序盤に《秘密を掘り下げる者》を手札に引き込めなかったときの展開が気になりますが、ドロースペルや除去、打ち消しなどで「受け」にまわるのも楽しそうなデッキですね!
『イクサラン:失われし洞窟』環境を振りかえる
「落魄」「発見」という新しいメカニズムが登場した『イクサラン:失われし洞窟』環境でしたが、「落魄」はそこまで活躍せず、「発見」はめちゃくちゃ使われたという印象です。
- 2024/1/26
- ラクドスミッドレンジ
「発見」コンビでアドを稼ぐ、王道ミッドレンジ!
とくに「発見」はラクドスミッドレンジ(8 Discover)という新しいアーキタイプを生み出しました。下環境ではそれなりに悪さをしたようですが、スタンダードの《地質鑑定士》は今日も元気です。
再録された《魂の洞窟》もしっかりと活躍し、存在感を示しましたね。《偉大なる統一者、アトラクサ》や《原初の征服者、エターリ》など豪快すぎるクリーチャーがしっかりと暴れまわり、アグロからランプまでさまざまなデッキが活躍する、とても多様性のある環境であったと感じています。
(打ち消しを軸としたコントロールデッキには少し辛い環境だったかもしれませんが)
そして、なんといっても環境に一番のインパクトを与えたのは《大洞窟のコウモリ》でした。
スタンダードの採用枚数ランキングでも常にトップ争いをしており、黒いデッキにはだいたい4枚採用されていたのではないでしょうか。
このように『イクサラン:失われし洞窟』で登場した新カードも活躍しましたが、総合的には赤単・エスパーミッドレンジ・毒性アグロ・版図ランプといった前々環境、前環境から存在したデッキが変わらずメタゲームの中心でありつづけたという印象です。
- 2024/01/26
- スタンダードデッキ紹介【MTG】
- 晴れる屋メディアチーム
『イクサラン:失われし洞窟』環境で活躍したおもなデッキに関しては、こちらの記事をご参考ください。
おわりに
ありがとう、『イクサラン:失われし洞窟』環境。
こんにちは、『カルロフ邸殺人事件』環境。
新環境についてですが、まずは2月11日(日)~12日(月)に開催される『プレイヤーズプレイヤーズコンベンション横浜2024』にて
という2つの賞金制大型大会が行われます。
多くのプレイヤーが目標とするこの大会の結果で、最初の『カルロフ邸殺人事件』環境が定義されることになりそうです。
どんなデッキが活躍するのか本当に楽しみですね!それでは、また。