片翼をもがれたはずのThe Spyがまさかの入賞!禁止改定後もトロンは大暴れ!!【USA Legacy Express vol. 277】

Kenta Hiroki

はじめに

みなさんこんにちは。

地底街の密告人

5月18日に禁止改定があり、レガシーではついに《地底街の密告人》が禁止になりました。

The Spyは、瞬殺コンボを1ターン目から《否定の契約》などを使い、問答無用で通してくるデッキです。

長い間、コミュニティ内では禁止を望む声が多かったため、今回の変更には賛成しています。

さて、今回の連載では『Legacy Showcase Challenge』の入賞デッキを見ていきたいと思います。

『Legacy Showcase Challenge』 -トロンのワンツーフィニッシュ-

禁止改定の直後にMagic Online(以下、MO)で『Legacy Showcase Challenge』が開催されました。

プレイオフ入賞者は、『Magic Online Champions Showcase』の予選イベントへ招待されるため、通常の『Legacy Challenge』よりもレベルが高くなる傾向にあります。

ウルザの塔Candelabra of Tawnos次元の結節点

今大会で高い勝率を出していたのは、禁止改定直前の環境で猛威を振るっていたトロンです。プレイオフに3名、決勝戦まで勝ち残ったのもトロンと、圧倒的な強さを見せました。

欄干のスパイ

また、《地底街の密告人》の禁止で衰退すると思われていたThe Spyでしたが、新たなバージョンが早くも入賞していました。

トロン

デッキリストページ

トロンは禁止改定前からMOで人気があり、驚異的な勝率を出していたため、禁止改定後の有力な選択肢の一つと目されていました。

強力なデッキですが、《Candelabra of Tawnos》が大変高額なカードのため、MOとは異なりテーブルトップでの使用者は少なくなりそうだと感じていました。

しかし、『第33期レガシー神挑戦者決定戦』では、19名のプレイヤーが同デッキを持ち込みました。

次元の結節点ウルザの塔

《次元の結節点》《ウルザの塔》の組み合わせで大量のマナを生み出す戦略は『モダンホライゾン3』の統率者がリリースされた当初から、カーンフォージなどで採用されていました。

ウルザの魔力炉ウルザの鉱山ウルザの作業場

最近は、3種のトロンランドに加え《ウルザの作業場》をマナ基盤の中心とした戦略が主流で、それらの土地を《Candelabra of Tawnos》によってアンタップすることで早い段階から《一つの指輪》《大いなる創造者、カーン》《嵐の目、ウギン》など強力な無色スペルを立て続けに唱えて対処を迫ります。

☆注目ポイント

嵐の目、ウギン一つの指輪コジレックの命令

《嵐の目、ウギン》は、このデッキなら3ターン目に安定してプレイすることが可能です。

たとえ《嵐の目、ウギン》を打ち消されたとしても、唱えた際の誘発型能力で有色のパーマネントを追放できるので、《濁浪の執政》などの脅威も対処することができます。

街並みの地ならし屋

最近のリストには、追加のパーマネント対策としてメインから《街並みの地ならし屋》が採用されています。

《嵐の目、ウギン》と似た能力を持ち、唱えたときと攻撃するたびに土地でないパーマネントを破壊することができます。

また、「蘇生」持ちのため青いフェアデッキにとって脅威となります。

虚空の力線大いなる創造者、カーン四肢切断

禁止改定前は、The Spyへ対抗するためサイドボードに4枚の《虚空の力線》を入れる必要がありました。

しかし、《地底街の密告人》の禁止によりThe Spyが弱体化したため、《大いなる創造者、カーン》の[-2]能力でサーチできる選択肢も広がり、除去の《四肢切断》も採用する余裕ができました。

The Spy

デッキリストページ

禁止改定により大幅に弱体化したThe Spyですが、なんと今大会でもプレイオフに入賞を果たしています。

欄干のスパイ地底街の密告人

しぶとく生き残ってはいるものの、《地底街の密告人》が抜けた穴は大きく、禁止改定前ほどの再現性を維持することは難しいようです。

そのため、安定して1ターンキルを狙うのはハードルが高い印象です。

それでも《意志の力》のような0マナで唱えられる妨害を採用していないデッキにとっては、変わらず脅威となります。

また、多くのデッキがサイドボードから墓地対策を減らしていたことも勝因の一つだったと思われます。

☆注目ポイント

地底街の密告人陽気な哀歌欄干のスパイ

《地底街の密告人》の代わりが務まるパーツは現時点で見つかっていないため、《陽気な哀歌》を採用し、《欄干のスパイ》の枚数を実質的に増加させています。

《陽気な哀歌》は、「放題」持つ2マナのソーサリーで、1つ目のモードは1マナの追加コストを払うことで自身のライブラリーから好きなカードを墓地に落とすことができます。

2つ目のモードは、2マナの追加コストで自身の墓地にあるクリーチャー最大2体を、マナ総量の合計が4マナ以下になるよう選びリアニメイトします。

2つのモードをあわせることで《欄干のスパイ》をサーチして場に出すまでをおこなうことが可能です。

否定の力狼狽の嵐

しかし、《陽気な哀歌》2つのモードをあわせて使うためには合計5マナが必要です。

また、《地底街の密告人》と異なり非クリーチャースペルのため《否定の力》《狼狽の嵐》などで打ち消されてしまう点には注意が必要です。

むかしむかし陰謀団の儀式

禁止改定前は、クリーチャーである2種8枚のスパイを《むかしむかし》で探すことは比較的容易でしたが、《地底街の密告人》の禁止により、それが難しくなったため、《むかしむかし》は不採用となっています。

空いた枠には《陰謀団の儀式》など追加のマナ加速を採用しています。《陽気な哀歌》の2つのモードを唱えるために、安定して5マナを捻出できる構築が必須になるでしょう。

イゼットテンポ

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没頭

元々『ストリクスヘイヴンの秘密』から新たな軽いアドバンテージ源である《没頭》を獲得したことで復権してきていたイゼットテンポでしたが、禁止改定による環境の変化で以前よりもさらに立ち位置が良くなった印象です。

溶融発展の代価

今大会でも最大勢力だったトロンに対しては、軽いクロックと火力で圧をかけることができ、《溶融》《発展の代価》を採用できるイゼットテンポのほうがディミーアテンポよりも強く出ることができます。

☆注目ポイント

コーリ鋼の短刀没頭ドラゴンの怒りの媒介者

軽い構成で《コーリ鋼の短刀》を軸にしたイゼットテンポのほうが、ディミーアテンポよりも《没頭》を強く使うことができます。

《没頭》の恩恵でロングゲームに対応しやすくなったため《秘密を掘り下げる者》は不採用で、1マナ域のクリーチャーは《ドラゴンの怒りの媒介者》のみとなっています。

《コーリ鋼の短刀》がメインから4枚採用されているなどミッドレンジに寄せており、対コンボよりもイゼットテンポミラーやディミーアテンポなど、フェアデッキとのマッチアップを想定していた構成になっています。

ブーメランの基礎厚かましい借り手プリズマリの魔除け

バウンススペルの《ブーメランの基礎》《没頭》のソーサリーカウントにもなるため、現在のイゼットテンポでは選択肢の一つとされています。

バウンススペルはこのデッキの自由枠であり、《厚かましい借り手》《プリズマリの魔除け》といったカードが採用されることがあります。

《ブーメランの基礎》はソーサリーですが、わずか1マナで《濁浪の執政》《バロウゴイフ》といった脅威をバウンスし、《コーリ鋼の短刀》のモンク・トークンが攻撃を通す助けとなります。

X=1で置かれた《虚空の杯》に対処できないのがネックとなりますが、現環境で《虚空の杯》を置いてくるデッキはエルドラージを除き比較的少数なため、問題となることは少なそうです。

否定の力自由の代価発展の代価

ミッドレンジに寄せているためコンボ対策として《否定の力》をメインから採用しています。

このリストで一番印象に残ったのは、サイドに2枚採用されている《自由の代価》です。

《発展の代価》よりも優先して採用されているこのスペルは、基本土地を採用していないトロンに対してはキャントリップのついた2マナの土地破壊として機能します。

《発展の代価》のような一発逆転の派手さはないものの、置物対策としても機能するフレキシブルさが魅力です。

ホガーク

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今大会で入賞していたホガークはレガシーでも珍しいデッキです。

禁止改定によりメタが変化し、墓地に対する警戒が下がったことで墓地利用デッキが活躍しやすい環境になっているようです。

月影

『ローウィンの昏明』で登場した、強力な黒の1マナクリーチャー《月影》を4枚採用しているのが特徴的です。

☆注目ポイント

月影縫い師への供給者甦る死滅都市、ホガーク

《月影》はこのデッキの多くのカードとシナジーがあり、驚異的なスピードで大きくなっていきます。

《縫い師への供給者》で墓地を肥やし、《月影》を成長させつつ《甦る死滅都市、ホガーク》を唱えます。

森を護る者エルフの開墾者聖遺のワイト

《森を護る者》はクリーチャーを除去から守るだけでなく、能動的に土地を墓地へ送ることができるため、《月影》を誘発させることも可能です。

マダラの鉤爪門ボジューカの沼

《エルフの開墾者》《聖遺のワイト》も、《ボジューカの沼》《マダラの鉤爪門》など必要な土地をサーチしつつ《月影》を育てることができます。

《没頭》が登場したことにより、墓地がより重要なリソースとなっているので、墓地対策の《ボジューカの沼》にメインからアクセスできることは、このデッキの強みです。

無のロッド溜め込み屋のアウフ

ゴルガリカラーなので、トロンの《厳かなモノリス》などのマナアーティファクトや《一つの指輪》を止めることができる《無のロッド》内蔵クリーチャーの《溜め込み屋のアウフ》を使えます。

The Spyが弱体化したとはいえ、リアニメイトや各種《没頭》デッキなど、墓地を使ったデッキは多く見られるため《虚空の力線》が4枚採用されていました。

総括

欄干のスパイ地底街の密告人

《地底街の密告人》が禁止になり、大幅に弱体化したThe Spyが環境の上位から姿を消すと思われていましたが、同デッキの愛好家たちは、この短い期間で禁止改定後の環境に対応したリストを完成させ結果を残しました。

Candelabra of Tawnos次元の結節点ウルザの塔

現在のレガシーでは、ここ最近人気が急上昇しているトロンが、多くの有力デッキに対し高い勝率を誇っていることを懸念する見方もあります。

このデッキが今後どうなっていくのか判断するためには時間を要するので、しばらく様子を見る、という公式の判断を筆者は支持します。

USA Legacy Express Vol. 277は以上となります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!

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Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら