はじめに
みなさんこんにちは。
6月29日に環境を支配していたトロンの主力カードであった《Candelabra of Tawnos》が禁止になりました。
《Candelabra of Tawnos》は高額な再録禁止カードであるため、レガシーでトロンランドが使われる要因となっていた《次元の結節点》の禁止を予想していたプレイヤーも多くいました。それだけに、今回の公式の決定には賛否両論があるようです。
さて、今回の連載では、禁止直後の先週末にMagic Online(以下MO)で開催された、大規模なイベントである『Legacy Showcase Challenge』の結果を見ていきたいと思います。
『Legacy Showcase Challenge』 -『マーベル スーパー・ヒーローズ』の新カードが大活躍-
開催日:2026年7月3日
優勝 ロキウェルダー
準優勝 アゾリウステンポ
3位 黒単リアニメイト
4位 ボロスエネルギー
5位 アゾリウステンポ
6位 ファンタスティッカー
7位 ディミーアテンポ
8位 土地単
先週末にMOで開催された『Legacy Showcase Challenge』。今大会が開催された7月4日はアメリカの祝日(独立記念日)ということもあり、参加人数が200人を超えました。スイスラウンド9回戦+プレイオフという大変長丁場なイベントでした。
今大会直前にMOで実装された『マジック:ザ・ギャザリング|マーベル スーパー・ヒーローズ』(以下『マーベル』)の統率者セットの強力な新カード《ファンタスティッカー》がリーグやチャレンジで大活躍したこともあり、コミュニティー内でも注目を集めていたイベントでした。
今大会の上位はアゾリウステンポなど《ファンタスティッカー》に強いデッキが複数勝ち残っていました。また、ハンデスで妨害しつつ速度で勝負もできるリアニメイトも入賞しています。
《ファンタスティッカー》デッキのなかで上位まで残ったのは、トップ8に入賞していたディミーアテンポとのハイブリッドバージョンでした。
ロキウェルダー
今大会で見事に優勝をおさめたのは『マーベル』の新カードである《悪戯の神、ロキ》を採用したウェルダーコンボでした。
《ゴブリンの溶接工》と《監視亀ラ》のコンボを軸としたデッキです。《湖に潜む者、エムリー》で墓地を肥やしつつ、必要なカードを探し出すことができるため動きも安定しています。
☆注目ポイント
《ゴブリンの溶接工》と《監視亀ラ》を組み合わせることによって、好きなアーティファクトを墓地から無限に回収することができます。これを利用することで《オパールのモックス》から無限マナを得たり、《軍団の成形機械》で無限ダメージを与えて勝つことができます。
墓地対策などでコンボを妨害されても《ピナクルの特使》や《ウルザの物語》の構築物・トークンによるビートダウンで勝つことも可能です。トークンに速攻を付与しつつ対戦相手のブロッカーをタップすることができる《スケートボード》も採用されているため、アグロプランも実行しやすくなっています。
また、《ファンタスティッカー》対策として《金線の酒杯》と《漸増爆弾》も採用されています。
新カードの《悪戯の神、ロキ》は、このデッキの新たなアドバンテージ源です。《悪戯の神、ロキ》が場にある状態で《監視亀ラ》を出せばカードを引くことができます。また、《スケートボード》で対戦相手のクリーチャーや土地をタップすることでもドローが可能です。
《悪戯の神、ロキ》は《ミシュラのガラクタ》や《ウルザのガラクタ》とも相性が良く、複数のカードを引くことができるため、コンボパーツに辿り着きやすくなります。
アゾリウステンポ
今大会で準優勝したアゾリウステンポは《もみ消し》をメインから有効に使えるデッキであり、現環境で猛威を振るっている《ファンタスティッカー》に対して強い戦略を取れるとされています。
白と青2色のため、基本土地を多めに採用することで強固なマナ基盤を築くことができます。また、白の優秀な除去に豊富なサイドボードの選択肢、《量子の謎かけ屋》の圧倒的なカードアドバンテージなどバランスが取れた構成です。
《溌剌の牧羊犬、フィリア》のブリンク能力によって《量子の謎かけ屋》を速い段階から定着させ圧をかけることも可能ため、対戦相手を妨害しつつ能動的なプレイを実行しやすいです。これは現在のレガシーにおける強いフェアデッキの条件を満たしています。
☆注目ポイント
《もみ消し》と《記憶への放逐》は《ファンタスティッカー》の4体の4/4トークンを出す誘発型能力をカウンターすることができます。
《ファンタスティッカー》を分離させるためにはリソースを費やす必要があるため、トークンを出す誘発型能力をカウンターすることで再度仕掛けることが難しくなります。
また、《もみ消し》と《記憶への放逐》で《溌剌の牧羊犬、フィリア》の遅延誘発型能力をカウンターすると除去としても機能します。《量子の謎かけ屋》の「ワープ」も同様にカウンターすれば場に定着させることができるため、どちらも手札で腐ることが少ないカードです。
《もみ消し》はフェッチランドの起動型能力をカウンターすることもできるので《不毛の大地》と組み合わせて対戦相手のマナを縛り、《目くらまし》などソフトカウンターの有効期限を延ばすことができます。
《ファンタスティッカー》を分離させるためには、非クリーチャースペルを4回プレイする必要があります。なので、サイド後はスペルの回数を制限させる置物である《耳の痛い静寂》が刺さります。
1マナと軽いうえにエンチャントであるため対処されづらく、ストームなどのコンボデッキにも有効なので、白を使うなら必ず採用したいカードです。
《封じ込める僧侶》もリアニメイトや《実物提示教育》系デッキなど、複数のマッチアップで使える優秀なサイドカードです。また、《溌剌の牧羊犬、フィリア》と組み合わせることでクリーチャー除去としても機能します。
ただし《封じ込める僧侶》の効果は対戦相手のみならず自身にも適用されるので、うっかり自分のクリーチャーをブリンクしないよう注意しましょう!
ディミーアファンタスティッカー
ドゥームズデイやストームなどで話題の新カード《ファンタスティッカー》を使ったデッキは複数散見されましたが、今大会で成功をおさめたのはディミーアテンポとハイブリッドしたバージョンでした。コンボ戦略と青いフェアデッキとのハイブリッドはあのディミーアリアニメイトを彷彿とさせます。
《暗黒の儀式》や《水蓮の花びら》といったマナ加速から《ファンタスティッカー》につなげて最速で16点ダメージを与えることもできますが、《没頭》でアドバンテージを稼ぎつつ、《目くらまし》《意志の力》《思考囲い》といった妨害スペルのバックアップがある状態で《ファンタスティッカー》の誘発条件を満たすこともできます。
追加の勝ち手段として《濁浪の執政》、サイド後は《バロウゴイフ》などのクリーチャーをサイドインしてよりフェアに寄せることもできます。
☆注目ポイント
《バロウゴイフ》は《ファンタスティッカー》対策としてサイドインされる《記憶への放逐》や《否定の力》に引っ掛からないため、サイド後の有力な勝ち手段になります。
また、《暗黒の儀式》から《バロウゴイフ》を高速展開することもできるため、《ファンタスティッカー》対策させつつ、接死・絆魂持ちクリーチャーへの対処を迫ることもできます。
《バロウゴイフ》は能力で墓地を肥やせるので《濁浪の執政》との相性も抜群です。異なる対策を要求する脅威が複数搭載されているため、ほかの《ファンタスティッカー》デッキよりも対策されにくくなっています。
《思考囲い》や《強迫》といったハンデスはソーサリーなので、《没頭》の条件達成を助けます。《ファンタスティッカー》の誘発を妨害されても、《没頭》のおかげでリソースのリカバリーがしやすく、《濁浪の執政》や再度《ファンタスティッカー》の誘発につなげることも容易です。
《残響する真実》は、ミラーマッチなど対戦相手の《ファンタスティッカー》の構築物・トークン対策として機能しつつ、ほかのマッチアップでも役に立つバウンススペルです。
黒単リアニメイト
《納墓》が禁止されてからしばらく経ちましたが、リアニメイトというアーキタイプは廃れることなく現在のレガシーでも強力なデッキとして存在しています。
《納墓》が禁止後のリアニメイトは、《目くらまし》《意志の力》《不毛の大地》などを使ったテンポとハイブリッドしたバージョンよりも、ラクドスや黒単などマナ加速を使ったオールイン型が主流になっています。
高速リアニメイトは墓地対策に弱いので、たいていの場合はサイド後の墓地対策に対抗するためリアニメイトパーツの多くをサイドアウトします。《要塞の計略》のように墓地を使わずに大型クリーチャーを場に出す手段を投入することで、対戦相手の墓地対策を腐らせることができます。
☆注目ポイント
《トラブルメーカー、ラフとマイキー》は新たなリアニメイトの対象として定着しています。
速攻持ちなのでリアニメイトしたそのターンに攻撃でき、《偉大なる統一者、アトラクサ》や《グリセルブランド》を能力で場に出すことができればほぼ勝ちが確定します。
サイドの《要塞の計略》は墓地を使わない踏み倒し手段ですが、《暴露》などハンデスで対戦相手の手札から事前にクリーチャーを抜いておく必要があります。リアニメイトと実物提示教育系の両方に有効な《封じ込める僧侶》を使える白いデッキには注意したいところです。
クリーチャーを墓地に落とす手段としてラクドスバージョンは《信仰無き物あさり》が採用されていますが、黒単バージョンは《集団的蛮行》が採用されています。「増呪」でプレイすることで安全確認しつつリアニメイトするためのクリーチャーを墓地に落とすことができます。
追加の勝ち手段として《ウィザーブルームの初学者》+《煙霧の連鎖》のコンボもサイドに採用されています。対戦相手がサイドインして来る墓地対策や、《要塞の計略》対策としても機能する《封じ込める僧侶》など、ほとんどの対策カードの影響を受けない戦略です。
コンボパーツをサーチする手段として《大霊堂の戦利品》が採用されています。デッキリストが分かっていたとしても、リアニメイト側がどのようなサイドボーディングで来るかわからないため、対戦相手にとってはサイドインやマリガンの判断が難しくなります。
総括
6月29日の禁止制限告知で《Candelabra of Tawnos》が禁止になりましたが、ほぼ同時期に登場した新カード《ファンタスティッカー》が大きな話題になっています。
これにより、ドゥームズデイやストームといった非クリーチャースペルを多用するコンボデッキが大きく強化されました。また、ディミーアテンポとハイブリッドしたバージョンなども散見され、『Challenge』や『League』で結果を残し続けています。
公式も問題になるようなら将来禁止にする可能性があることを示唆しており、コミュニティー内でも8月10日に予定されている禁止制限告知で禁止になるのではないかと懸念されています。このまま《ファンタスティッカー》が環境を支配してしまうのか、それとも今後対策が進むのか要注目です。
USA Legacy Express Vol.279は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!















































