Translated by Yoshihiko Ikawa
(掲載日 2017/06/26)
初めに
長い間、俺はレガシーのことが好きじゃなかった。
グランプリ・パリ2014のためにレガシーを始めたんだが、初めてレガシーをプレイしたとき、まったくうまくプレイできないことを思い知った。それ以来ANTとShow&Tellを触ってはきたが、毎回大したことない結果で終わっていた。
このルーチンはしばらく続いたが、レガシーの愛好家であり、様々なバリエーションのGrixis Controlで優秀な成績を残している(そして昨年はMiraclesでGP準優勝も果たしている)ニコラス・ソランスに出会って変わったんだ。
グランプリ・リール2015に向けて俺たちは一緒に練習し、最終的には《若き紅蓮術士》4枚、《陰謀団式療法》4枚、そして《ギタクシア派の調査》4枚のイカしたGrixis Controlにたどり着いたんだ。この組み合わせは完璧なんだぜ。速くて、妨害ができて、プレッシャーをかけられて、そして時には1T目に複数枚のカードを捨てさせてイージーウィンすることもできるんだからな。
俺たちは、《時を越えた探索》をフル搭載した上で、メインから3枚も入れた《紅蓮術士の昇天》でMiraclesを倒せることを発見したんだ。このデッキはこれまでプレイした中でも一番イカしたデッキだったし、すぐにこれこそが自分の相棒だと実感したもんだった。
だが残念なことに《時を越えた探索》は(至極真っ当な理由で)禁止になり、そしてMiraclesが支配的なレベルに達してしまった。率直に言うとMiracles以外のデッキを使うのはバカらしく感じるほどに。俺には楽しくもないMiraclesをプレイするか、もしくはバカな選択肢だと自覚しながらも他のデッキを使うかの選択肢が残された。
そして俺は3つめの選択肢を選んだ。そう、単純にレガシーをプレイしないことにしたのさ……ウィザーズが最終的にクソったれな《師範の占い独楽》を禁止にするまでね!そしてMiraclesがいなくなった今、どんなデッキでも勝利を掴むチャンスがある環境になったんだ。
デッキの調整と発想について
俺は禁止改定の報が入ってすぐ、ニコラスと、”Lejay”というMOアカウントでレガシーマスターとして知られているジーン・メアリー・アカートに連絡を取った。彼らはこのGrixisを使いたいと思ってる。俺はグランプリ・ラスベガス2017に行こうと思ってる。てなわけで一緒に調整することになったんだ。
《若き紅蓮術士》《ギタクシア派の調査》《陰謀団式療法》を4枚ずつ入れるところからスタートすることは分かっていたけど、俺たちは2つの全く違うパターンを考えていたんだ――ニコラスと俺は《騒乱の歓楽者》にぞっこんで、ジーンは《グルマグのアンコウ》を全開で入れた形が好みだった。
この選択はデッキを作る上で大きな意味がある――《騒乱の歓楽者》の(赤)(赤)は、フェッチで《島》を持ってくるのが難しくなるし、カウンターをプレイすることも難しくなる。また、もし《騒乱の歓楽者》を選ぶのであれば、黒を最小限にする必要があり、それはサイドボードにおけるEldraziのような大型クリーチャー対策を《弱者の石》に依存することになる、という意味でもある。
一方、《グルマグのアンコウ》を安定してプレイするためにはもっと多くのキャントリップが必要になり、また複数枚の《不毛の大地》や《血染めの月》に対抗するためにも基本地形の《沼》を入れなければならなくなる。またサイドボードだが、《タルモゴイフ》が4/5より大きくなることが滅多にないレガシーでは、《グルマグのアンコウ》が戦場で一番強いクリーチャーになることがほとんどなので、カウンターの価値も上がるのである。
最終的に、ジーン・メアリーが正しく、俺とニコラスが間違っていたことが分かった。《騒乱の歓楽者》はロングゲームには強くなるが、その性質上カウンターを減らしている上に、《陰謀団式療法》で手札を落としたあとにトップデッキの機会をたくさん与えてしまうんだ。
言い換えると、せっかく手札破壊した上で盤面を制圧しても、カウンターが不足しているせいで相手のトップデッキによって負けてしまうだろう。コントロールデッキはそうあるべきじゃないよな。
勘違いしないで欲しい。《騒乱の歓楽者》のバージョンもまともなデッキだったし、カウンターを必要としないデッキ相手には絶対的に強かったんだ(特にEldraziにはカウンターが必要ではないし、カウンターの代わりに《弱者の石》と《血染めの月》が手札に来てくれる。満足だろう?)。だがモダン並に多様であるフォーマットであるレガシーをコントロールしようとするには、柔軟性が欠けていた。
今回のリストを作る上で2番目の大きな決断は、俺が議論したプロプレイヤーのほとんどがビックリしていた、《死儀礼のシャーマン》との決別だ。
「《死儀礼のシャーマン》はレガシーにおけるベストカードである」という共通認識があるようだな。《渦まく知識》が禁止されない限りそれは間違いなく嘘だが、それでも優秀なカードであることには俺も同意しよう。それでも、こういったデッキでは力不足なんだ。たとえば《死儀礼のシャーマン》が提供してくれる能力が不必要だったり、「1T《死儀礼のシャーマン》、2T《若き紅蓮術士》→《ギタクシア派の調査》→《陰謀団式療法》」といった夢のようなパターンが唯一のマナ加速の使い道だったりする場合はな。実際、ベガスのときに色んなプレイヤーから「入れるべきだ」とった意見を散々聞いたが、俺はいまだに納得はしていない。
《死儀礼のシャーマン》を採用しなかった理由の1つに、1ターン目のアクションとして《ギタクシア派の調査》からの《陰謀団式療法》には劣っているから、というのもある。何もしないクリーチャーを貪欲に出して相手から罰される危険を冒すよりは、安全のために1ターン目に《陰謀団式療法》をプレイするマッチアップが実際にいくつもあるからな。
だが、俺が《死儀礼のシャーマン》を好きじゃない本当の理由は、達成しようとしているすべてのことと矛盾するからだ。まず初めに、《死儀礼のシャーマン》をプレイするということは、本当は《若き紅蓮術士》や《グルマグのアンコウ》に対してはあまり効果的じゃない《稲妻》《致命的な一押し》《突然の衰微》といったカードのいい対象を作ってしまうということである。
二つ目に、《死儀礼のシャーマン》は「探査」のために墓地を貯めることと相性が悪いし、クリーチャーであるがゆえに《若き紅蓮術士》でのスペル連鎖を遮りさえする。結論としては、同じ1マナであれば《定業》の方がより柔軟なカードでありデッキに適しているし、《秘密を掘り下げる者》が入っていないGrixisカラーのデッキに《死儀礼のシャーマン》を入れるのは、UW Controlに《貴族の教主》をタッチしているようなもんだ。
そして最後に、《死儀礼のシャーマン》の3つ目の能力を使うには《Tropical Island》を入れる必要があり、そのためにマナベースを犠牲にすることはまったく望んでいないのだ。
大量のテストプレイとオンラインでの討論の後、最終的にジーン・メアリーのリストと酷似した以下のリストをプレイすることに決めた。
2 《島》 1 《沼》 4 《Volcanic Island》 2 《Underground Sea》 4 《汚染された三角州》 4 《沸騰する小湖》 1 《血染めのぬかるみ》 -土地 (18)- 4 《若き紅蓮術士》 1 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《グルマグのアンコウ》 -クリーチャー (9)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《定業》 4 《稲妻》 4 《陰謀団式療法》 1 《コジレックの審問》 1 《思考囲い》 1 《コラガンの命令》 4 《意志の力》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文 (33)- |
2 《悪意の大梟》 2 《外科的摘出》 2 《対抗呪文》 2 《悪魔の布告》 2 《紅蓮破》 2 《血染めの月》 1 《コラガンの命令》 1 《苦い真理》 1 《毒の濁流》 -サイドボード (15)- |
見ての通り、メインデッキは《若き紅蓮術士》《陰謀団式療法》のディスカードコンボに専念していて、大体のコントロールデッキがカウンターと除去を6枚ずつ搭載しているのに対して、このデッキは《稲妻》《意志の力》4枚ずつのみとなっている。
俺たちは代わりにキャントリップ呪文を優先することに決めた。なぜかって言うと、メタゲームが多岐に渡り過ぎてるからだ。あるマッチアップでは2枚目の《稲妻》はとんでもなく酷いカードだし、他のマッチアップでは《意志の力》は引きたくない……だから俺たちは、除去もカウンターも「1枚目」だけを引いて、2枚目を引きに行くかどうかを後で決断するようにしたんだ。カウンターや除去が相手に依存する一方、手札破壊はLandsとDredgeを除いた大体のマッチアップで有用だな。
俺たちはさらに《仕組まれた爆薬》と《コラガンの命令》を採用することによって、より広く戦えるようにした。最終的に、どのマッチアップでも完全に捨て牌になるカードがないメインボードになったから、俺は満足している。しょっちゅう目にする《虚空の杯》「X=1」で負けづらくなったのもポイントだ。
そしてデッキを丸くするために、”ジェイス”を1枚ずつで採用することにした。
《精神を刻む者、ジェイス》がこのデッキにはちょっと重いってのが一つの理由ではあるが、主な理由はこのデッキのベストムーブは1T目に相手の除去を捨てさせて2T目の《若き紅蓮術士》を定着させることであり、そして《ヴリンの神童、ジェイス》は《若き紅蓮術士》の5枚目として活躍してくれるからなんだ。ロングゲームになるマッチアップにおいて、《コラガンの命令》で回収できるってのも大きいな。
《若き紅蓮術士》だったら勝てなかったであろうマッチアップ(特にUW Controlだな)を《ヴリンの神童、ジェイス》は勝たせてくれたし、次にこのデッキをプレイするときも《ヴリンの神童、ジェイス》を使うことは間違いないね。
このデッキのサイドボーディングはちょっとややこしい。なぜかっていうと、典型的なコントロールデッキに比べてかなり細くて、何を抜けばいいかが難しいんだ。頭に入れておいてほしい基本的な考えとしては、早いマッチアップではちょっと手札破壊を減らして、代わりに専用のヘイトカードを入れるってことかな。
難しいのは、《血染めの月》と《悪意の大梟》をサイドインするかどうかだな。
《血染めの月》を運用するのは本当に大変だ。通常にプレイしているときよりも早く2枚目の《島》と《沼》をフェッチして来なきゃならないからな。だがこの《血染めの月》をサイドから抜くと、Landsと当たったときに相手にBye(不戦勝)をあげるようなもんだし、Eldraziにも簡単に喰われちまう。
4Color DelverやSultai系のデッキには、相手が《死儀礼のシャーマン》を使っているのもお構いなしに1枚はサイドインすることにしている。手札破壊や《目くらまし》を避けながら早いターンに着地させることは期待できないが、後半でも《真の名の宿敵》や《トレストの使者、レオヴォルド》のようなマナ拘束のきついカードを相手は必要としているから、一度落ち着いたあとに盤面をロックするためには必要なんだ。
《悪意の大梟》は最後に決まったサイドカードだ。大抵はEldrazi相手に、《血染めの月》《悪魔の布告》《悪意の大梟》《コラガンの命令》をそれぞれ2枚ずつ・計8枚をサイドインする。あらゆる角度からの攻撃に対しての防御網だ。Eldrazi相手には素晴らしい活躍を見せる一方、Delverのような他のマッチ相手では大した活躍はしない。GPベガスでボコボコだったEldraziが10%以上いる、なんて事態にならない限り、もう使うことはないだろうな。
GPベガスのレポート&サイドボーディング
俺の記事をこれまで読んでくれているなら、俺が「ラウンド毎の大会レポート」が好きじゃないのは知ってるだろう。だが今回は、自分の流儀を曲げて大会レポートをお送りしようと思う。様々なマッチアップを解説する上では、この形式が最良の方法に思えたんでな。
俺は3Byeを持っていたから、DredgeやBurnのような強い奴があまり使いたがらないゆえに好成績を残しづらい、いくつかのマッチアップを無視することができた。レガシーGPに2500人オーバーもの参加者が来たこともそうだが、すべての大会がスムーズに進行していて、そして週末を通して対戦相手がみんなフレンドリーなやつらだったのが印象的だった。レガシーは最高のフォーマットってだけでなく、プレイしているコミュニティも最高なんだな。
Round 4: Storm (Won 2-1)
ANTはどんなマッチアップ相手でも簡単に負けない非常に強力なデッキではあるが、こちらのアクションがすべて相手に対して効率的な妨害であることを考えると、このマッチアップは比較的有利と言えるだろう。
サイドインするのは《対抗呪文》《紅蓮破》そして《外科的摘出》といったところだ。サイド後は《巣穴からの総出》での勝利も狙ってくるから《仕組まれた爆薬》は抜かないようにな。
まず《稲妻》は真っ先にサイドアウトだ。また《グルマグのアンコウ》も2枚は減らしてしまって構わない。相手を倒すための脅威は1枚引けばいいし、少量の《巣穴からの総出》に対抗できる分《若き紅蓮術士》の方が優秀だからな。《外科的摘出》は《炎の中の過去》を防ぐためか、もしくは相手の手札を知っている状態で追加の手札破壊としてプレイするのが中心だ。《苦悶の触手》を頑張って追放しようなんてマヌケなことはしないようにな。それだけで勝てるわけじゃないし、手札破壊におまけもついてる貴重な呪文をそんな風に使うもんじゃない。
重要なトリックを必ず念頭に入れておいてくれ。《陰謀団式療法》をケアして、対戦相手は有効なカードを《渦まく知識》や《思案》でライブラリートップに積み込みがちだが、《外科的摘出》はそいつらをシャッフルさせることができるんだ。
《陰謀団式療法》に対応して《渦まく知識》を打たれたときなんて、相手の《渦まく知識》が解決した後に《外科的摘出》をプレイして、シャッフルさせた上に手札を覗いて、完全な情報で《陰謀団式療法》をコールできる。これを成功させれば、一瞬でゲームに勝利した上に、マジックが上手く見えるよな。
Round 5: Lands (Won 2-1)
このマッチのメインボードを取ることはほとんど不可能に近い。だが、ごくまれに2体の《グルマグのアンコウ》によって勝利することもあるだろう(1体は《イス卿の迷路》されるだろうが、2体分の《The Tabernacle at Pendrell Vale》を払う余裕はあるもんな)。
サイド後は結構マシになる。相手の《暗黒の深部》コンボは《悪魔の布告》できるし、《外科的摘出》で《壌土からの生命》や《罰する火》を潰すこともできる。そしてなにより俺たちには《血染めの月》がある。《若き紅蓮術士》はこのマッチアップでは何もしないのでサイドアウト。目指すべきゲームプランは《血染めの月》を解決させ、定着させることによる勝利だ。
Round 6: Show & Tell (Won 2-0)
最高に相性がいいマッチアップの1つだ。俺たちのプランは相手を簡単に踏みつぶせるし、サイド後だって大したことはされない。《血染めの月》は簡単にケアできるし、相手の《若き紅蓮術士》よりこっちの《若き紅蓮術士》の方が明らかに強いからな。サイドボードの《悪魔の布告》が万一の事態をカバーしてくれる。
このマッチアップは相性がとても良いから、シンプルにドローを増やして確率の分散を減らすために《苦い真理》をサイドインするかな。
Round 7: Grixis Delver (Won 2-1)
複数枚の《真の名の宿敵》と《グルマグのアンコウ》を擁しているので、このバージョンのDelverはこのマッチアップにおける「遅い側」といえるだろう。大抵のDelver相手は、フェッチで基本地形を揃えて早いターンに負けないようにしてロングゲームに持ち込めば、最終的に相手が《もみ消し》や《目くらまし》のようなカードが腐ってこっちが勝つんだが、今回はそうもいかない。ロングゲームに持ち込みすぎると不利になることを認識することが重要だ。
最終的にはトップデッキ合戦になるから、手札破壊は不要だ。サイド後はキャントリップと脅威と除去だけのデッキにチューンナップしよう。また、ジェイスたちや《意志の力》のように出すための下準備だったりコストが重いようなカードは抜いてしまおう。Delverはそんなカードを許しちゃくれない。
Round 8: UW Control (Lost 1-2)
Delverとのマッチアップ同様に、このマッチも非常に腕が出るマッチであり、大抵は強いプレイヤーが勝つことが多いように感じている。いいことだよな。ちなみに俺は負けた。対戦相手のサム・ルーカスはプレイが正確かつ早く、3ゲーム目の《終末》を巡る攻防は称賛に値する物だった。
このマッチの難しいところは、どう振舞えばいいのか明確じゃないってとこだ。Grixis側がアグロに振る舞うかそうじゃないのかは脅威と解答をどんなバランスで引いているかに依存するし、UW Control側のプレイヤーも《予報》(コントロール側に回りたいなら)と《僧院の導師》(もし意識されてないと思うなら)という二種類の戦略をベースにしている。《精神を刻む者、ジェイス》はどちら側に回ろうともフィニッシャーになりうるが、既にほとんど勝っているような盤面でない限り、《紅蓮破》を前にして着地させるのは不可能だろうな。
サイドボードは分かりやすい。《稲妻》を《苦い真理》や《対抗呪文》、《紅蓮破》に変えるんだ。このラウンドでは《グルマグのアンコウ》を4枚とも残したが、これはミスだったように思う。マッチアップは少しだけグリクシス側が有利だと思っていて、そして主な負けパターンは脅威を複数枚引いた上で、それらがまとめて《終末》されることだ。ロングゲームになったときは大抵勝っていたように感じるので、その方向でゲームを進められるように3枚目の《対抗呪文》をサイドボードに用意すべきだろうな。
Round 9: Grixis Delver (Won 2-1)
少し7回戦目の繰り返しになるが、今回の相手は少し前のめりなバージョンだったので、俺がやるべきことは死なないようにするだけだった。《もみ消し》を喰らわないようにケアして、そういうカードが手札に腐らせるようにするんだ(《渦まく知識》をカウンターしたりね!)。デッキには基本地形が3枚も入ってるから、たどり着くのは簡単だし、毎ラウンドこのマッチアップに当たりたいぐらいだ。
Round 10: Grixis Delver (Lost 1-2)
グリクシスデルバーには相性がいいって言ったばかりだが、まったく同じような相手に負けちまった。相手の手札が0のときに《思案》で見た「《グルマグのアンコウ》1枚と不要なカード2枚」をシャッフルしたんだが、強欲すぎた。《グルマグのアンコウ》さえあれば、不要なカードを2枚引いたとしてもそのゲームを勝てただろうにな。みんなも知ってる通り、このゲームは下手な奴は勝てないゲームなんだ。
Round 11: Elves (Won 2-1)
これは相性が悪いマッチアップのうちの1つだ。手札破壊は特段有効ではなく、後手の場合は《稲妻》ですら大したことをしない。相手の場に《ワイアウッドの共生虫》がいれば《グルマグのアンコウ》は無限にブロックされる。だが、勝てる見込みがまったくないわけじゃないぜ。《自然の秩序》、《垣間見る自然》そして《孔蹄のビヒモス》さえ通さなければ、《若き紅蓮術士》は単体で盤面を制圧してくれる。
これらの理由から、相手のコンボをシンプルにカウンターしたり手札破壊できるように、サイド後は純粋な「《若き紅蓮術士》デッキ」にする必要がある。相手が《エルフの幻想家》でちょっとしたバリューを得ても気にしちゃいけない、どうせランダムな1/1クリーチャーを引くだけだ。そいつらは好きにさせておいて、カウンターはもっと重要なカードに温存するんだ。ああ、あとは相手からキツいアクションがあるかもしれないが、思い切って2ターン目に《若き紅蓮術士》をプレイすることを心掛けるようにな。
Round 12: Infect (Won 2-1)
こっちが大量の手札破壊があるせいでパンプ呪文を手札に貯めることもできないから、相手は積極的に動かざるをえない。てことで、こっちはただ単に相手がやろうとしていることに対して対応して動くだけだ。クリーチャーを守れる呪文を捨てさせて、まずは盤面を更地にするんだ。そして《強大化》のような効果の大きいパンプ呪文を捨てさせれば、もうゲームはもらったようなもんだ。
このマッチで難しいことは何もないさ、ただ正しくプレイするだけだ。ああ、どうでもいいパンプ呪文が大量に入ってるおかげで、簡単にガス欠にさせられるだろうから、長期戦を心配する必要もないぜ。
Round 13: Reanimator (Won 2-0)
Show&Tell戦と同じように、こっちは相手を倒すべき武器を全部持っている。だがReanimatorは爆発力が半端なく厳しい戦いになることが予想されるので、不確かなハンドはマリガンすべきだし、後手で《意志の力》《外科的摘出》のどちらもないときもマリガンすべきだ(実際、どちらかを探すためにマリガンしたけど、両方とも手札に来たぜ。運も実力のうちってな)。繰り返しになるが、《悪魔の布告》は最悪の事態を防いでくれる優秀なカードだ。
Round 14: UW control (Won 2-0)
8回戦に続き再び当たったが、今回は《グルマグのアンコウ》を減らしたし、俺が思うに対戦相手はちょっとサイドボードをミスっちまったようだ。《血染めの月》は本当に簡単に勝てるな。
Round 15: Elves (Won 2-0)
※画像は MAGIC: THE GATHERINGより引用しました。
最後の相手はレイド・デュークだ。俺たちはこの段階で15位と16位で、どっちが勝ってもトップ8に入れないだろうことは分かっていた。
後手で迎えた1ゲーム目の勝率は30%程度しかなかっただろうが、《ギタクシア派の調査》《陰謀団式療法》が揃っている素晴らしい初手が来たおかげで、《若き紅蓮術士》を着地させる前に相手の手札を2枚落とすことによって1ゲーム目を勝利した。
2ゲーム目のポイントとなったのは、デュークが《エルフの幻想家》+《ワイアウッドの共生虫》を揃えている間も、俺が《意志の力》をずっと我慢したことかな。《若き紅蓮術士》が大量にトークンを生んでくれてたから、大した問題じゃなかったんだ。そして彼が笑えるぐらいに不運で、俺が《若き紅蓮術士》《若き紅蓮術士》《稲妻》ってドローしている間に、《垣間見る自然》《垣間見る自然》《大祖始》って引いてしまったんだ。
結局のところ、このElvesとのマッチアップはあまり良くないし、2回も勝てたのは間違いなくツイていたおかげではある。だが、《若き紅蓮術士》がいるときは全体除去よりカウンター呪文の方が強いっていう考えは間違ってなかったと思うぜ。
今後について
俺はこのデッキに感銘を受けたし、今のレガシー環境においてベストなコントロールデッキだと感じている。長いことトーナメントに出ているが、プロツアー以外のイベントでこんなに素晴らしいと思ったのはこれが初めてだ。
今のレガシーはとても良い環境だし、このデッキはレガシーの中心メタとなれる柔軟性を持っているので、今後もこのデッキを使い続けるだろう。
では、また次回な。
Pierre Dagen
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