『Unstable』先行プレビューカード公開!

晴れる屋メディアチーム

By Atsushi Ito

 マジックのカードには、様々な情報が記載されている。

 カード名。カードイラスト。マナ・コスト。カード・タイプ。エキスパンション・シンボル。カードによってはフレイバー・テキストもあるだろう。最近では偽造防止のホログラムも追加されるようになった。

 普段ゲームをする際には意識することはないが、わずか63mm×89mmの長方形の中にこれだけ多くの情報が、デザイン的な違和感もなく詰め込まれているというのは、ウィザーズ社の技術の賜物と言っていいだろう。

 さて、それらはゲーム中に参照できる情報であることもあれば、ゲーム中に参照できない情報もある。

 たとえばカード名は《翻弄する魔道士》《真髄の針》などでゲームの中で指定することはあるが、「エキスパンション・シンボルを~」とか「アーティスト名が~」といったカードとなると、私たちが通常目にしているような、普通のマジック:ザ・ギャザリング・・・・・・・・・・・・・・・・の世界には存在しない。

 だが他方で、マジックには確かに存在するのだ。「参照できない情報」を参照できる世界が。

World-Bottling KitDrawn TogetherCarnivorous Death-Parrot

 公式ジョークセット、『アングルード』『アンヒンジド』。大会では使えない銀色の特殊な枠のカードを収録したこれらのセットは、確かにマジック:ザ・ギャザリングの一部ではありながらも、「マジックらしさ」もしくは「マジックであること」そのものをネタにするような、斬新すぎるデザインの宝庫となっている。

 何せそこではジョークセットなのをいいことに、エキスパンション・シンボルやアーティスト名はもちろんフレイバー・テキストすらも、マジックのカードに記載されている情報なら何でも参照する対象だったのだ。

 ならば。『アンヒンジド』発売から13年が経った今なら、こんなカードが生まれても不思議ではないだろう。

 それでは紹介しよう。こちらが2017年12月8日(金) に発売となる『Unstable』に収録される予定のカード、《Druid of the Sacred Beaker》だ!

{2}{G}
クリーチャー ― 鹿・鳥・類人猿・ドルイド
{T}: あなたがコントロールしているパーマネントの中の交配研究所のすかし1つにつき{G}をあなたのマナ・プールに加える。
//他は同種の中で最強を目指す。彼女は脊索動物門の中で最強を目指す。
2/2

 「すかし1つにつき」。

 一言で言って何これ?という感じの効果だが、カードテキストにある “watermark” (すかし) とは画像を見ればわかるように、テキスト欄の中央に薄く印刷されているマークのことだ。

 マジック歴が長いプレイヤーにとっては、『ラヴニカ:ギルドの都』や『ラヴニカへの回帰』、『タルキール覇王譚』のカードにあった各ギルドや各氏族のシンボルマークを想起してもらうとわかりやすいかもしれない (ちなみにこの「すかし」の初出も『アングルード』の《Incoming!》とのこと (参照: リンク先は英語))。

稲妻のらせん死儀礼のシャーマン包囲サイIncoming!

 『Unstable』にはちょうどギルドや氏族のように、五種の陣営が存在する (参照: 『Unstable』のメカニズム) 。そのうちの一つが「交配研究所/Crossbreed Labs」であり、このカードが所属する陣営というわけだ。

 なので要は少し変わったクリーチャー・タイプみたいな感覚で、これと同じマークが「すかし」として入っている「交配研究所/Crossbreed Labs」陣営のカードを固めてデッキに入れることで、たとえばエルフデッキにおける《ティタニアの僧侶》のように1枚で大量のマナを生み出せるマナ・クリーチャーとして機能することだろう。

 ……にしても。カードの効果はともかくとして、「交配研究所/Crossbreed Labs」という名称に加えてこのカードのイラストとフレイバー・テキスト、そして何より「鹿・鳥・類人猿 (とドルイド)」と並んでいて「結局どれだよ!」というクリーチャー・タイプの数を見ると、かなりマッドな陣営のようである。

 とはいえ「終わりなき銀枠物語 その2」を読む限り、どの陣営もそれぞれ別の角度でマッドなので、『Unstable』をプレイするときは楽しそうな「からくり」作りに夢中になるあまり、正気を失わないように気をつけた方が良さそうだ。

 さて紹介したカードはもちろん、他にも美麗なフルアート基本地形も封入されている『Unstable』は、2017年12月8日(金)に発売予定だ。

 「終わりなき銀枠物語 その1」にも書かれているように、『Unstable』はマジックのデザイン領域を広げることを試みるという実験的なコンセプトも兼ねている。ここで試されたデザインが、将来のセットで何らかの形で反映されることになるかもしれないのだ。

 13年ぶりに発売したジョークセットを楽しみつつ、マジックの新たな可能性を体感してみて欲しい。

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