トップ8デッキリスト雑感

晴れる屋

By Atsushi Ito


Christopher Fennell「白黒ゾンビ」
プロツアー『アモンケット』(スイスラウンド1位)

10 《沼》
6 《平地》
4 《秘密の中庭》
4 《乱脈な気孔》

-土地 (24)-

4 《墓所破り》
4 《戦慄の放浪者》
4 《むら気な召使い》
2 《束縛のミイラ》
4 《戦墓の巨人》
4 《呪われた者の王》

-クリーチャー (22)-
4 《致命的な一押し》
4 《闇の救済》
2 《苦渋の破棄》
4 《リリアナの支配》

-呪文 (14)-
4 《屑鉄場のたかり屋》
4 《精神背信》
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
2 《石の宣告》
1 《苦渋の破棄》

-サイドボード (15)-
hareruya


 チーム「Lingering Souls」のゾンビは白をタッチしており、黒単と比較するとマナベース上《無情な死者》を採用できない代わりに《むら気な召使い》《束縛のミイラ》で2マナ域を埋めている。

 《苦渋の破棄》は最速のビートダウンが使うカードとしては最強のユーティリティカードで、《霊気池の驚異》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》すらもワンアクションで対処できるのは黒単にはない強みと言えよう。

むら気な召使い苦渋の破棄ゼンディカーの同盟者、ギデオン

 また、サイドボードの《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》はゾンビ対策の全体除去への対抗策として最適だ。

 齋藤 友晴が予言したように、今後はゾンビも対策される側に回る。そうなったとき、このように多色化した形の方が対策に強く、生き残る確率が高いことから、これからはこの白黒の形の方を見る機会が増えていきそうだ。


行弘 賢「黒緑エネルギー」
プロツアー『アモンケット』(スイスラウンド2位)

5 《森》
3 《沼》
4 《花盛りの湿地》
4 《風切る泥沼》
4 《霊気拠点》

-土地 (20)-

4 《歩行バリスタ》
4 《緑地帯の暴れ者》
4 《牙長獣の仔》
4 《巻きつき蛇》
3 《光袖会の収集者》
4 《ピーマの改革派、リシュカー》
4 《ホネツツキ》

-クリーチャー (27)-
4 《霊気との調和》
4 《致命的な一押し》
2 《闇の掌握》
3 《キランの真意号》

-呪文 (13)-
4 《顕在的防御》
3 《刻み角》
2 《不屈の追跡者》
2 《没収》
1 《闇の掌握》
1 《心臓露呈》
1 《キランの真意号》
1 《生命の力、ニッサ》

-サイドボード (15)-
hareruya


 「黒緑マスター」行弘のデッキはトップ8で霊気池・ゾンビ以外の唯一のデッキで、しかも普通の黒緑エネルギーと大きく違う点が2スロットも存在している。

 《新緑の機械巨人》などの《ピーマの改革派、リシュカー》が用意したマナの先になるカードやフラッドの受けを用意せず、《ホネツツキ》《キランの真意号》が採用されているのだ。

ホネツツキキランの真意号歩行バリスタ

 おそらく《霊気池の驚異》とスピード勝負するための軽めのマナカーブかつゾンビ耐性をつけるための飛行クリーチャーという意図だろう。

 それにしても《ホネツツキ》とは一見奇妙にも思えるが、私が見たゲームでは後手2ターン目に《歩行バリスタ》を「X=0」でプレイしてクリーチャーを墓地に落としつつ《ホネツツキ》を一挙に2体召喚していた。こうした《歩行バリスタ》の使い道は行弘いわく「ダークリチュアル」(《暗黒の儀式》) とのこと。

 黒緑は《霊気池の驚異》が苦手という定説を覆しうるほどに前のめりなこの構築は、黒緑の復権を促す契機となるかもしれない。


Marc Tobiasch「ティムール・霊気池の驚異」
プロツアー『アモンケット』(スイスラウンド3位)

4 《森》
2 《山》
1 《島》
1 《燃えがらの林間地》
3 《進化する未開地》
4 《植物の聖域》
4 《霊気拠点》
2 《尖塔断の運河》

-土地 (21)-

4 《導路の召使い》
1 《守られた霊気泥棒》
4 《ならず者の精製屋》
4 《つむじ風の巨匠》
2 《不屈の追跡者》
4 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》

-クリーチャー (19)-
4 《霊気との調和》
2 《マグマのしぶき》
4 《蓄霊稲妻》
3 《織木師の組細工》
4 《霊気池の驚異》
3 《反逆の先導者、チャンドラ》

-呪文 (20)-
3 《否認》
2 《払拭》
2 《焼夷流》
2 《天才の片鱗》
2 《慮外な押収》
1 《不屈の追跡者》
1 《マグマのしぶき》
1 《造反者の解放》
1 《炎呼び、チャンドラ》

-サイドボード (15)-
hareruya


 メインから《不屈の追跡者》《反逆の先導者、チャンドラ》のパッケージが入っているこのリストは、「《霊気池の驚異》を引かない限りちょっとマリガンしたミッドレンジという程度の動きしかしない」というこのデッキの特性を逆手にとり、よりミッドレンジとしてタフであろうとしているように思われる。

不屈の追跡者反逆の先導者、チャンドラ絶え間ない飢餓、ウラモグ

 また、《織木師の組細工》を3枚に減らしてまで《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を4枚にしているところからすると、かなり同型戦を見越した構築と言うことができるだろう。


Christian Calcano「黒単ゾンビ」
プロツアー『アモンケット』(スイスラウンド4位)

22 《沼》
2 《ウェストヴェイルの修道院》

-土地 (24)-

4 《墓所破り》
4 《戦慄の放浪者》
4 《金属ミミック》
4 《無情な死者》
4 《戦墓の巨人》
4 《呪われた者の王》

-クリーチャー (24)-
4 《闇の救済》
3 《致命的な一押し》
3 《闇の掌握》
2 《リリアナの支配》

-呪文 (12)-
4 《精神背信》
2 《屑鉄場のたかり屋》
2 《豪華の王、ゴンティ》
2 《失われた遺産》
2 《リリアナの支配》
2 《最後の望み、リリアナ》
1 《闇の掌握》

-サイドボード (15)-
hareruya


 カルカノのリストは齋藤 友晴と同様の「MTG Mint Card」製なので、詳しくは齋藤のDeck Techを参照して欲しい。

ウェストヴェイルの修道院無情な死者闇の掌握

 白黒との比較で言うなら、黒単のメリットは単色の安定性から来るテンポの良さと《無情な死者》のカードパワー、《闇の掌握》の有無、そして《ウェストヴェイルの修道院》にある。

 今後は同型戦も見据える必要があり、カードの取捨選択がよりシビアになっていきそうだ。


Martin Müller「ティムール・霊気池の驚異」
プロツアー『アモンケット』(スイスラウンド5位)

6 《森》
2 《山》
1 《島》
1 《隠れた茂み》
4 《霊気拠点》
4 《尖塔断の運河》
2 《伐採地の滝》
2 《獲物道》
1 《植物の聖域》

-土地 (23)-

4 《導路の召使い》
4 《ならず者の精製屋》
4 《つむじ風の巨匠》
3 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》

-クリーチャー (15)-
4 《霊気との調和》
4 《蓄霊稲妻》
2 《霊気溶融》
4 《織木師の組細工》
4 《霊気池の驚異》
4 《炎呼び、チャンドラ》

-呪文 (22)-
4 《不屈の追跡者》
3 《否認》
2 《刻み角》
2 《終止符のスフィンクス》
2 《焼けつく双陽》
2 《慮外な押収》

-サイドボード (15)-
hareruya


 こちらもデッキテクをご参照あれ。

炎呼び、チャンドラ霊気池の驚異焼けつく双陽

 ゾンビがポテンシャルを示したプロツアーとなったことを加味すると、《炎呼び、チャンドラ》、そして《焼けつく双陽》を採用できるこの形の方が、青ベースの《霊気池の驚異》よりも環境にフィットしそうだ。


Gerry Thompson「黒単ゾンビ」
プロツアー『アモンケット』(スイスラウンド6位)

22 《沼》
2 《ウェストヴェイルの修道院》

-土地 (24)-

4 《墓所破り》
4 《戦慄の放浪者》
4 《金属ミミック》
4 《無情な死者》
4 《戦墓の巨人》
4 《呪われた者の王》

-クリーチャー (24)-
4 《闇の救済》
2 《致命的な一押し》
3 《闇の掌握》
3 《リリアナの支配》

-呪文 (12)-
3 《屑鉄場のたかり屋》
3 《最後の望み、リリアナ》
2 《豪華の王、ゴンティ》
2 《精神背信》
2 《失われた遺産》
2 《霊気圏の収集艇》
1 《闇の掌握》

-サイドボード (15)-
hareruya


 カルカノのリストとの違いはメインは《リリアナの支配》1枚のみ。この5マナのエンチャントの評価は難しいが、《霊気池の驚異》が主なライバルとなることを考えると、腐りがちな除去よりも毎ターンゾンビをしっかり展開して《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を圧倒できるように構築した方が無難だろう。

リリアナの支配霊気圏の収集艇

 サイドボードは他のゾンビ2人には入っていない《霊気圏の収集艇》が目を引くが、おそらく機体のサイド後のコントロールプランを咎める方策と思われる。


Eric Froehlich「ティムール・霊気池の驚異」
プロツアー『アモンケット』(スイスラウンド7位)

5 《森》
2 《島》
1 《山》
1 《隠れた茂み》
4 《植物の聖域》
4 《霊気拠点》
4 《尖塔断の運河》
1 《伐採地の滝》

-土地 (22)-

4 《ならず者の精製屋》
3 《つむじ風の巨匠》
1 《奔流の機械巨人》
4 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》

-クリーチャー (12)-
4 《霊気との調和》
2 《マグマのしぶき》
4 《検閲》
4 《蓄霊稲妻》
4 《織木師の組細工》
4 《霊気池の驚異》
4 《天才の片鱗》

-呪文 (26)-
3 《不屈の追跡者》
3 《否認》
2 《払拭》
2 《光輝の炎》
2 《霊気溶融》
1 《奔流の機械巨人》
1 《儀礼的拒否》
1 《炎呼び、チャンドラ》

-サイドボード (15)-
hareruya


 メインは土地以外はMOPTQで優勝したレシピと1枚しか違わないが、サイドに《光輝の炎》《炎呼び、チャンドラ》が追加されており、ゾンビを意識していたことがわかる。

光輝の炎検閲

 《検閲》は評価が難しいカードだが、《霊気池の驚異》を引いていないときは4マナ以上の呪文を消せない限りほぼサイクリングで、引いているときは時間稼ぎに用いるといった使い方になると思われる。


渡辺 雄也「ティムール・霊気池の驚異」
プロツアー『アモンケット』(スイスラウンド8位)

5 《森》
1 《島》
1 《山》
4 《霊気拠点》
4 《植物の聖域》
4 《尖塔断の運河》
2 《伐採地の滝》
1 《見捨てられた神々の神殿》

-土地 (22)-

4 《ならず者の精製屋》
2 《つむじ風の巨匠》
1 《奔流の機械巨人》
3 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》

-クリーチャー (10)-
4 《霊気との調和》
4 《蓄霊稲妻》
3 《検閲》
3 《造反者の解放》
1 《否認》
1 《コジレックの帰還》
4 《天才の片鱗》
4 《織木師の組細工》
4 《霊気池の驚異》

-呪文 (28)-
4 《不屈の追跡者》
3 《逆毛ハイドラ》
3 《否認》
2 《守られた霊気泥棒》
2 《光輝の炎》
1 《払拭》

-サイドボード (15)-
hareruya


 ゾンビをそこまで警戒していなかったのか、軽い除去を《蓄霊稲妻》に絞り、その分のスロットを《造反者の解放》に充てている点に特徴がある。

造反者の解放見捨てられた神々の神殿逆毛ハイドラ

 また、《見捨てられた神々の神殿》《絶え間ない飢餓、ウラモグ》の素プレイを1ターン早める小技もある。

 サイドの《逆毛ハイドラ》《霊気池の驚異》が対処されても勝てるフィニッシャーであり、脇の《不屈の追跡者》をある程度成長させた後で《コジレックの帰還》《光輝の炎》をプレイするとブロッカーを薙ぎ払っての一撃死も狙える。

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