お久しぶりです!ずいぶんと間が空いてしまって申し訳ございません。
今日は先週の【ワールド・マジック・カップ2016 東京予選】で使ったモダンの「ドレッジ」デッキの解説をお届けさせていただきます。
【モダンデッキ案内 -ドレッジ-】を執筆させていただいた時点では分からなかったことも多少なりとも分かるようになってきたので、その辺りをお伝えできればと思います。
それでは、「ドレッジ」の調整記をご覧ください。
■ デッキリスト
■ 「ドレッジ」デッキの勝ち手段
● プランA・《ナルコメーバ》/《恐血鬼》/《秘蔵の縫合体》
このデッキのメインの勝ち手段。メインボードは無限に襲い掛かる《恐血鬼》、《秘蔵の縫合体》を対処されることは稀で、これだけで押し切ってしまえることもしばしば。《恐血鬼》が入ったデッキを使う際には、セットランドは他の全ての行動の後にするように心がけましょう。
なお、対戦相手のデッキさえ判明してしまえばサイドボード後に《ナルコメーバ》と《恐血鬼》の両方を残す必要はありません。
例えば「感染」や「親和」のように全力で攻めてくるデッキに対しては、対戦相手の攻勢を抑え込んだ後に勝つことがほとんどなので、ブロッカーとして機能しない《恐血鬼》は真っ先にサイドアウトします。
また、追放除去がない「ジャンド」のようなデッキに対しては、《恐血鬼》と《秘蔵の縫合体》の組み合わせで十分なので、《ナルコメーバ》は2~4枚抜いてしまって構いません。ただし、《神々の憤怒》が入ったリストは例外で、そういったデッキに対しては《恐血鬼》をできるだけ墓地に温存しておきたいので、《ナルコメーバ》と《秘蔵の縫合体》で《神々の憤怒》を誘えるように《ナルコメーバ》を多めに残すようにしています。
それ以外に《ナルコメーバ》と《恐血鬼》を2種類とも残すのは、トップスピードが重要な対コンボデッキ (《風景の変容》など) のみです。
● プランB・《ゴルガリの墓トロール》
このデッキの勝ち手段その2。《恐血鬼》たちと同様に、「発掘」能力を駆使して何度でも蘇ることができますし、サイドボード後の《墓掘りの檻》を乗り越えられる点が秀逸です。「ドレッジ」デッキに対しては、「手札は弱いけど《墓掘りの檻》があるからキープ」という事案がそこそこの頻度で発生するので、そういった展開ならば《壌土からの生命》から《ゴルガリの墓トロール》を連打するだけで勝ててしまいます。
《臭い草のインプ》もブロッカーとしてはかなり強いので、《ゴルガリの墓トロール》ほどの頻度ではありませんが、「感染」や「親和」相手には良くキャストしますね。
● プランC・《燃焼》
プランAとプランB、どちらのプランでも輝くのが《燃焼》です。《壌土からの生命》があればXの値が5~9を超えることも珍しくなく、とても2マナとは思えない凄まじい効果を発揮します。そして、《燃焼》が優れているもうひとつの理由は、このカードが立派なキープ基準になることです。
《燃焼》は対象を取らずに、X=0でキャストすることができます。つまり1ターン目にX=0でキャストしておけば、2ターン目に手札を捨てるツールとして活用できるので、対戦相手のクリーチャーを一掃しつつ墓地にカードを溜めることができるんです。基本的にはいつでも墓地にあってほしいと思うカードですし、前述の通り初手にあっても良い働きをするので、もしかすると4枚でもいいかもしれません。
無理やり大量のダメージをねじ込めるので、どんな相手に対してもサイドボード後に減らすことはあっても絶対に0枚することはありません。
■ 「ドレッジ」を選択した理由
ドレッジを選択した理由は、端的に言ってしまえば墓地対策を3枚以上取るのが難しいと思ったからです。
ご存知のように、モダン環境にはスタンダード以上に強いデッキの種類がたくさんあります。「ドレッジ」はその中でも上位に入るほどのデッキパワーがあり、なおかつ【ワールド・マジック・カップ2016 東京予選】の1週間前に開催された【第7期モダン神挑戦者決定戦】で優勝というこれ以上なく目立つ結果を残しました。
しかし、いざ実際にサイドボードを作るとなると、墓地対策は多くても2枚、かなり無理をして3枚程度だろうと予想されましたし、《墓掘りの檻》・《安らかなる眠り》・《虚空の力線》に対しては、こちらも《自然の要求》を筆頭に同数以上の「墓地対策の対策」を搭載することができます。
また、モダンはドローサポートがレガシーのように潤沢ではないため、サイドボードカードを毎ゲーム高確率で引けるわけではありません。
特に初手を含めて8~10枚程度しか引けない序盤はその傾向が顕著であり、墓地対策が登場するまでに《ナルコメーバ》・《恐血鬼》・《秘蔵の縫合体》を戦場に出してさえしまえれば、墓地対策を無視して勝つこともできます。
「ドレッジ」はフェアデッキには最強クラスに強い反面で、こちらよりも速度がうえのコンボデッキを苦手としますが、Magic Onlineで練習していた感じではコンボデッキは少なかったため、上記の理由と合わせてデッキは「ドレッジ」に決定しました。
■ マナベース ~フェッチランド型 or 5色ランド型~
一口に「ドレッジ」と言っても、構成にはいくつかの違いが見受けられます。それが最も顕著なのは土地構成で、フェッチランドがたくさん入った【オーソドックスな形】と、《真鍮の都》・《マナの合流点》・《宝石鉱山》が全力投入された【5色ランド型】のふたつに分かれます。
このふたつの間で最も大きな違いは、(1)《壌土からの生命》 (=《燃焼》) の強さと(2)《暗黒破》の運用のしやすさでした。
「ドレッジ」デッキはあまり土地が必要ないデッキというイメージがあるかもしれませんが、モダンの「ドレッジ」デッキは最低でも土地が2枚は必要です。《恐血鬼》を戦場に戻すには土地が必要ですし、このデッキの強さの根源とも言うべき《燃焼》を「フラッシュバック」でキャストするためにも土地は2枚必要だからです。
そして、これら2種類のカードの力を最大限に発揮させてくれるのが《壌土からの生命》です。土地カードをほぼ無限に供給してくれる《壌土からの生命》は、このデッキの縁の下の力持ちと言える存在。どちらのバージョンでも安定した燃料供給役として活躍してくれますが、当然ながらフェッチランドが多いリストの方が回収できる土地の枚数が多いです。
この枚数の差は《燃焼》の威力にダイレクトに響いてくるので、《壌土からの生命》、それに伴い序盤から《燃焼》が強く運用できる点はフェッチランド型の明確な利点だと思います。
続いて《暗黒破》の運用のしやすさについて。5色ランド型がその名の通りどんな色マナでも出せるのに対し、フェッチランド型は色マナに優先順位があります。基本的には《壌土からの生命》をキャストするために緑マナを最優先でサーチするので、黒マナを出せるのは《壌土からの生命》をキャストできた後、または初手から緑マナと黒マナが確定しているほど土地の総数に余裕があるときのみです。
そのため、フェッチランド型では序盤から《暗黒破》を連打したり、1ターンに2枚同時にキャストしたりするのは難しいので、《暗黒破》ではなく《稲妻の斧》を採用。
《暗黒破》は、《燃焼》では対処ができない《ちらつき蛾の生息地》と《墨蛾の生息地》に触れる点や、「感染」デッキに対して劇的に作用する点が評価できましたが、最終的に《燃焼》の威力と安定性を加味してフェッチランド型を選択しました。
最後に、どちらのリストにも採用されている《ダクムーアの回収場》に関しては、1ランドキープを肯定するために必要不可欠なカードです。
仮に《ダクムーアの回収場》がデッキに入っていなければ、土地1枚の初手から「発掘」を続けた際に《壌土からの生命》をキャストすることも、《燃焼》を「フラッシュバック」することもかないません。しかし《ダクムーアの回収場》さえあれば土地1枚からでもガンガン「発掘」して最終的に《壌土からの生命》へと繋げることができるので、土地1枚からでも円滑に動くために2枚はあった方がいいと思います。
■ 《燃え立つ調査》 or 《叫び角笛》
このふたつの比較は、1枚でキープ基準になるかどうかです。《燃え立つ調査》は墓地に「発掘」カードがある状態ならば最高に近いカードですが、ディスカードがランダムなのでこれ単体ではキープ基準とまではいきません。 (※後手ならば「発掘」カードをナチュラルディスカードからスタートできますが、それを踏まえてもキープ基準とは呼びづらいです)
一方で、《叫び角笛》なら1枚でキープできます。こちらもある程度落ち方に展開を左右されるものの、1回目のドローまでに4枚落とせるなら十分なキープ基準と言えます。《燃え立つ調査》はミラーマッチでキャストできない点も大きな減点材料でした。
なお、《叫び角笛》と《傲慢な新生子》を対戦相手のターンに起動する場合には、「ターン終了時」ではなく「第2メインフェイズ中」に使うようにしましょう。そうしなければ《ナルコメーバ》と《秘蔵の縫合体》が出てしまった際に、《秘蔵の縫合体》が帰ってくるのがこちらのターン終了時になってしまいますからね。
また、《叫び角笛》の使用法として、墓地に《臭い草のインプ》や《ゴルガリの墓トロール》がある場合にはアップキープに起動しないことを覚えておきましょう。
理由としては《臭い草のインプ》や《ゴルガリの墓トロール》以上の「発掘」を持つカードは存在しませんし、その状況なら「発掘」で《ナルコメーバ》が落ちたときに誘発型能力の解決前に《叫び角笛》を起動し、《秘蔵の縫合体》を探しにいく方が建設的です。
それと、このカードは一応対戦相手を対象に取ることができます。普段はそんな無意味な使い方はしませんが、対戦相手のデッキが《引き裂かれし永劫、エムラクール》の入った「《御霊の復讐》」だった場合のみ対戦相手にも使うことがあります。
対戦相手が《御霊の復讐》を唱えた際に《叫び角笛》でライブラリーから《引き裂かれし永劫、エムラクール》を落とすことに成功すると、《引き裂かれし永劫、エムラクール》の能力で墓地がなくなり《御霊の復讐》を実質的に打ち消すことができるからです。
■ ~サイドボード関連のTIPS~
・墓地対策の対策は、《漁る軟泥》まで対処できる点を踏まえると《突然の衰微》が最も汎用性が高いと思います。しかし今回は《虚空の力線》が出てきてもおかしくないタイミングかつ「ジャンド」が少ないと予想されたので、《虚空の力線》に対処できる《自然の要求》を優先しました。メインボードで《稲妻の斧》を採用しているので、多少なりとも《漁る軟泥》耐性が上がっていることも判断材料のひとつでした。
・ミラーマッチ対策は4枚取れるなら《虚空の力線》が最強です。ただし現実問題としてそんなにスペースは取れないと思うので、《壌土からの生命》で拾える《ボジューカの沼》か、「発掘」の過程で見つかる《記憶の旅》が好ましいと思います。
単体性能ではインスタントタイミングで使える《記憶の旅》に軍配があがるものの、《ボジューカの沼》は《瞬唱の魔道士》が入ったデッキに対して良い働きをしていたので1枚ずつにしました。
・《秘蔵の縫合体》を普通にキャストしている場合じゃないマッチ (コンボデッキ相手など) で、なおかつ《ボジューカの沼》をサイドインする場合には、《蒸気孔》を抜くようにしていました。
・同じデッキで参加した瀧村 (和幸) さんと相談して、冗談半分で入れた《突撃の地鳴り》は最強でした。クリーチャーを全てシャットアウトしてくれ、《墓掘りの檻》を無視して勝てるので、もしかするとメインの勝ち手段にしてもいいのではないかと思うほど強かったです。今回は試す時間がありませんでしたが、次回までにはメインに3~4枚入れた形を試してみようと思っています。
・《復讐に燃えたファラオ》なし。《ティムールの激闘》を無効化できるので「Super Crazy Zoo」にかなり強いパーツですが、現実世界に「Super Crazy Zoo」はほとんどいないだろうということで不採用にしました。
■ 【ワールド・マジック・カップ2016 東京予選】簡易レポート
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | BYE | |
Round 2 | バーン 【中道 大輔さん (ビデオ)】 | 〇〇 |
Round 3 | ジェスカイコントロール | 〇×〇 |
Round 4 | 感染 Hareruya Pros・金川 俊哉さん | ×〇〇 |
Round 5 | アドグレイス | ×× |
Round 6 | バーン | ×〇〇 |
Round 7 | ジェスカイ《紅蓮術士の昇天》 | 〇〇 |
Round 8 | 親和 | ×〇〇 |
Round 9 | 《御霊の復讐》 【山本 賢太郎さん (ビデオ)】 | 〇〇 |
8勝1敗で予選ラウンドを通過!
自分で即座に気付けるほどのking of oyaoyaをやらかしてしまったものの、幸いにも苦手なコンボデッキにはほとんど当たらず、なんとか1敗で乗り切ることができました。
日本代表まで残りみっつ!
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
準々決勝 | 《風景の変容》 【竹下 徹さん (テキスト)】 | 〇×× |
……完全敗北。
悔やまれるのは2本目で、サイドボード後に《燃焼》を1枚まで減らして《骨までの齧りつき》にしたんですが、もしそれが《燃焼》だったら勝っていました。
《骨までの齧りつき》は土地が7枚の《風景の変容》を確実にかわせるので《燃焼》と交換しましたが、デッキの構造上手札からではなく墓地にある=対戦相手に見えている状態なので奇襲性は皆無です。
必要な土地が7枚から8枚になるので確実に1ターン稼げる点は評価できるものの、それならば1ターン速く勝てる《燃焼》の方が優れているのは明白でした。この辺りは経験の浅さが出てしまったと反省しております。
これで残るチャンスは9月に開催される名古屋予選のみ。それまでにはたくさん時間があるので、今回のようなミスはなくしたいですね。
なお、「ドレッジ」は今後もモダンで活躍し続けると思いますが、こちらよりも速いコンボデッキがどれくらい増えるかで価値が決まるのではないかと思います。
■ 今シーズン最後のプロツアーへ
さてさて、今シーズンも残すところグランプリ1回、プロツアー1回で終了となりました。
シーズン序盤は【ワールド・マジック・カップ2015】のブーストもあって好調なスタートでしたが、気が付けば鳴かず飛ばずのままシーズンも終盤に……。
8月6日~8日に開催される、今シーズン最後のプロツアーで11勝5敗以上を達成すれば、目標としていたゴールドレベルに到達することができます。
前回のプロツアー前には【Team Cygames様の構築合宿】に参加させていただき、かなり感触が良かった+今回も同様の企画に参加させていただけるということで、練習からしっかりがんばりたいと思います!
それでは、また次回のブログで!
コガモ
この記事内で掲載されたカード
Twitterでつぶやく
Facebookでシェアする