7/22(金)、ついに最新エキスパンション『異界月』が発売されます。
多数の魅力的なカードの収録に、どのカード/デッキが強いのか、どのカードを買えばよいのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで第6期「神」の4人に、各フォーマットでの「注目カードトップ3」を聞いてみました!
晴れる屋が主催している、「神決定戦」という大会の暫定王者。
スタンダード・モダン・レガシー・ヴィンテージの4フォーマットで行われており、予選大会(挑戦者決定戦)と決勝大会(神決定戦)を勝ち抜いた者だけが「神」になることができる。
詳しくはこちらをご覧ください。→【神決定戦特設ページ】
各フォーマットのエキスパートであり第一人者でもある彼らの意見を、ぜひ参考にしてみてください。
それでは、どうぞ!
◆ 第6期スタンダード神 和田 寛也
『異界月』エキスパンション全体の印象
ファイレクシアが来ると思ってたらエルドラージがきてびっくりした!!あと、サリアが無事に(?)生きてて本当に良かった。
というのが今回のセットの感想です。
……さて、そんなどうでもいい話はさておき、今回も強力なカードがしっかりと収録されており、特に前環境では存在感を発揮できなかった「緑黒系昂揚デッキ」に関しては《墓後家蜘蛛、イシュカナ》《約束された終末、エムラクール》《最後の望み、リリアナ》などの強力なパーツが多く加わり、間違いなくスタンダードシーンでも活躍するだろうと考えています。
他にも、前環境スタンダードの覇者とも言える緑白トークンに対して有効なアプローチである「飛行」を強力に後押しするスピリットの追加や、白単人間の最終兵器である《異端聖戦士、サリア》などなど、新機軸だけでなく、既存のデッキを強化するカードも多く、非常に見どころの多いセットという印象です。
(※編注:和田 寛也選手は、所属されている【BIG MAGIC】ページ上にて新カード評価の記事を執筆されるということで、当記事では「強さ」ではなく「デザイン的に感心・感動したカード」を3枚選んでいただきました。【BIG MAGIC】に掲載予定の和田選手のレビューもお楽しみに!)
デザインが素晴らしい!『異界月』スタンダード注目カードトップ3!
■ 1位 《約束された終末、エムラクール》
過去の名カードを再登場させる、ということは一見簡単そうに見えて実は非常に難しいことなのではないでしょうか。
初代の風格を損なうことなく、それでいて期待の斜め上を行くデザインを模索しなくてはならないからです。
その点、この新エムラクールは
1.「滅殺」「《時間のねじれ》」に代わるまさかの「《精神隷属器》」
2.「ランプ」とは異なるアプローチを提示する「カードタイプ別コスト軽減能力」
3.『イニストラードを覆う影』のキーナンバーである「13」で構成されたコスト・パワー/タフネス
2.「ランプ」とは異なるアプローチを提示する「カードタイプ別コスト軽減能力」
3.『イニストラードを覆う影』のキーナンバーである「13」で構成されたコスト・パワー/タフネス
などの観点から、新たなエムラクール像をイニストラードの世界観と噛み合わせて提示することに成功した傑作なのではないか、と感じています。
■ 2位 《見事な再生》
今までありそうでなかった効果のカードという点から「なるほど」と思わされた1枚です。
普通に使うだけでは益体もないカードが、然るべきデッキ・絡み合うシナジーを見つけた瞬間に強力無比なカードに変化する、というカードゲームの面白さが伝わってくるようで、今までMTGに触れてきた経験からくる、絶対的な期待感をこのカードから感じています。
スタンダードで活躍できるかは全くの未知数ですが、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を擁するモダン以下の環境では《風景の変容》に続く新たな土地コンボデッキのキーカードになりえる1枚です。
■ 3位 《リリアナの誓い》
リリアナまさかのゲートウォッチに電撃加入という意外性もあいまって、意表を突かれた1枚です。
また、イラストとフレーバーテキストの相乗効果によって、従来のリリアナのイメージを変えるカードとなったとも言えるのではないでしょうか。
これまで多くのリリアナが描かれてきましたが、だいたいどれも「目からビーム」状態だったので少々敬遠してたのですが……今回のイラスト、正直結構好みです(小声)。
◆ 第6期モダン神 松田 幸雄
『異界月』エキスパンション全体の印象
もし違う次元にエルドラージが現れたらどうなるか?というテーマが面白いセットだと思います。色々なカードがエルドラージ化して、なんだかイニストラードっぽくないかも。
全体的に前回より強いカードがかなり出ましたね。ここでご紹介するカードも含めて、環境にどう影響するのかとても気になります。
「昂揚」カードも増えましたが、モダンの【ドレッジ】向きのカードが少ないのがちょっと残念です(まあ個人的には今でも十分強いので逆に良かったのですが)。
『異界月』モダン注目カードトップ3!
■ 1位 《最後の望み、リリアナ》
《ヴェールのリリアナ》に比べて総合的なカードパワーは落ちますが、使い勝手が良くなかなかに面白いカードです。
プラス能力は《未練ある魂》や《闇の腹心》といった低いタフネス持ちに強いし、《稲妻》と組み合わせてタフネス4を落としに行けるのも地味にえらい。
マイナス能力も《瞬唱の魔道士》や《タルモゴイフ》、《大爆発の魔道士》といった軽量かつ強力なクリーチャーと相性が良くなかなかに使えそうです。
大マイナスがイマイチなので、プラスとマイナスをどううまく使うかがポイントになりそうです。
どちらかといえば【ジャンド】より【グリクシス】のようなゆっくりしたコントロール向きのカードですね。
■ 2位 《異端聖戦士、サリア》
とにかく強いです。特殊地形やクリーチャーをタップインさせる能力を《極楽鳥》などの1マナクリーチャーから出せば、驚異的なパワーを発揮するでしょう。
相手のデッキによっては致命的なカードになりえます。サイズも優秀なのでガンガン戦闘をさせられるのも大きいです。
欠点は素早く戦場に出さないと効果が落ちてしまうのでマナ加速がないデッキに入れにくく、加速できても後手の時にかなり威力が下がることでしょうか。
■ 3位 《老いたる深海鬼》
今回登場した「現出」カードの中で最も使いやすいカードです。
「現出」はクリーチャーを生け贄にするとコストが削減される能力ですが、モダンは《台所の嫌がらせ屋》、《復活の声》など相性がいいカードがいくらでもいます。
【フェアリー】デッキでしか使えなかった《霧縛りの徒党》がどのデッキでも使えるようになったようなものです(だいぶ乱暴な解釈ですが)。これからのモダンでは不審な青マナを見たらタコを警戒しましょう。
ちなみに同セットの《異界の進化》と合わせると《大祖始》だって出せます(笑)
◆ 第6期レガシー神 川北 史朗
『異界月』エキスパンション全体の印象
新しいエキスパンションが出る度に何度も記載していますが、レガシーで使えそうなカードというのはそのエキスパンションの中ではほとんどありません。
ただし、今回の『異界月』では「お!これはレガシーでも使えるのでは?」というカードが多数収録され、環境の変化が乏しいレガシーに新しい風を与えてくれるという意味で、非常に楽しみにしているエキスパンションです。
また、今回の目玉でもある「合体カード」、面白いギミックでぜひやってみたいと思っているのですが、僕はレガシー以外のフォーマットはほとんどやらないので、厳しいな……。
まあ、そんな小言は置いておいて私が考えるレガシーで使える『異界月』ベスト3は以下の通りです!!
『異界月』レガシー注目カードトップ3!
■ 1位 《永遠の災い魔》
《食物連鎖》を使ったデッキって、ほとんど見ないけど実は地味に勝っているって知っていましたか?
晴れる屋さんのデッキ検索システムで、レガシー&アーキタイプ【食物連鎖】で調べるとわかります。TKC55さん、K_f_chikenさんという方が何度も好成績を残していて面白いですね!
《永遠の災い魔》は簡単に言うと、“一マナ軽くした青でない《霧虚ろのグリフィン》“です。
ある食物連鎖デッキを使ったプレイヤーさんに伺ったところ、この1マナ軽いというのは思いのほか、大きな意味があるそうです。中でも印象的だったのが《悪意の大梟》が場に出ているときにちょうど3マナを使いきり《食物連鎖》を出すことがよくあり、そこから《霧虚ろのグリフィン》だとコンボにつながらず負けることがよくあったそうです。
《永遠の災い魔》であれば、《悪意の大梟》からすぐに無限マナ(クリーチャー限定)ですね。
また、《稲妻》で落とされても《霧虚ろのグリフィン》の場合は墓地ですが、《永遠の災い魔》は追放領域なので、再びキャストできるのも魅力的ですね。地味な改善かもしれませんが、《食物連鎖》のコンボは個人的に大好きなので、この改善で【Lands】ぐらいは見るデッキに昇格して欲しいですね。
ちなみに、執筆時の晴れる屋さんで【《食物連鎖》の在庫はゼロ】になってます。目にしたら在庫切れになる前にぜひ購入の検討をしてみてはいかがでしょうか?
■ 2位 《騒乱の歓楽者》
見た瞬間に「UR【バーン】で使える!」と思いました。
《思考掃き》、場合によっては《留意》も入れて4枚体制にするか!など、URバーン使いにとってはデッキ構築で腕が鳴るのではないでしょうか?地味に果敢を持っているのもえらいですね。
■ 3位 《約束された終末、エムラクール》
「レガシーでの《タルモゴイフ》の平均サイズ(場にいてよく目にするサイズ)は?」と聞かれたときに、みなさんはいくつと答えるでしょうか?
僕は4/5と答えます。「ソーサリー」・「インスタント」・「クリーチャー」・「土地」で4/5です。
ということはレガシーにおいて《約束された終末、エムラクール》の平均コストは9マナ。10マナの《絶え間ない飢餓、ウラモグ》より強いのでは?と考える僕にとって、こいつは十分レガシー級です。
上述した《永遠の災い魔》と一緒に入れて緑単《食物連鎖》デッキを作ってみたいですね。この緑単食物連鎖デッキは《虚空の杯》《食物連鎖》が入るので、「ソーサリー」・「インスタント」・「クリーチャー」・「土地」・「アーティファクト」・「エンチャント」の全てが墓地にあれば《約束された終末、エムラクール》はわずか7マナ!《食物連鎖》がなくても容易に場に出ますね!!
上記の他にクリーチャータイプを除けばほとんど《呪い捕らえ》の上位互換である《霊廟の放浪者》、まだ使用方法がわからないけど何かと組み合わせれば強そうな《呪文捕らえ》、エルドラージデッキに1枚入りそうな《ガイアー岬の療養所》や《膨らんだ意識曲げ》、URバーンに入るかも?《詮索好きのホムンクルス》、デスタクやバントに入りそうな《異端聖戦士、サリア》など、レガシー視点で注目できるカードがいっぱいあります。
◆ 第6期ヴィンテージ神 森田 侑
『異界月』エキスパンション全体の印象
クリーチャーが全体的に強めで呪文が弱めな印象を受けます。
個人的にはマッドネスのついた強力な呪文を期待していたのですが、WotCも悪用を懸念したのか特に目につく呪文はなかったですね……。
その代わり、ヴィンテージに影響を与えうるクリーチャー達を数枚見かけたので今回の記事では、注目カードとしてそれらをピックアップさせていただきました。
《僧院の導師》、《搭載歩行機械》、《ヴリンの神童、ジェイス》、エルドラージ各種とヴィンテージ環境に次々と強力なクリーチャーがやってきていますが、ここで挙げたクリーチャーはヴィンテージに新たな歴史を刻むのか、楽しみです。
『異界月』ヴィンテージ注目カードトップ3!
■ 1位 《異端聖戦士、サリア》
ヴィンテージでもクリーチャーが鍵となるマッチアップが増えているため、他のフォーマットに負けず劣らず活躍すると予想しています。
例えば、今回の【第6期神決定戦】で私が使用した【白単エルドラージ】のミラーマッチになった際には、このカードがあるかないかでダメージレースに明確な差が出てしまいますし、また、《ドルイドの誓い》から出てきた生物や《僧院の導師》から出てきたトークンもタップされることでブロックを許さないため、今まで殴り切れなかった局面でも殴り勝てる場合も出てくるでしょう。
3マナとやや重く、1ターン目に出すことは難しいので、相手のマナ基盤を封じる能力はオマケ程度に考えた方が良いかもしれません。
■ 2位 《残忍な剥ぎ取り》
【墓荒らしデッキ】(BUGコントロール)に新たな採用候補がやってきました。
特に《黄金牙、タシグル》や《宝船の巡航》を搭載する(=《闇の腹心》を積まない)タイプだと空きがちな2マナ域を埋めつつ、墓地をより積極的に肥やすことができるため、複数枚搭載しても良いスペックを持っていると言えるでしょう。
メタゲームの推移により、【墓荒らしデッキ】を見かけることは減りましたが、自分が好きなデッキでもある(【AVC】でも使用しました)ので、今後の復活に期待ですね。
■ 3位 《狼の試作機》
ヴィンテージは《Mox Sapphire》などが使えるので、初速が非常に早いデッキを作れますが、そういった初速が早いデッキはハンドがすぐ尽きてしまいがちです。
特に【ベルチャー】や【The Spy】などはハンドが1ターン目になくなることも多いので、この手のデッキのサイドボードに忍ばせるのが面白そうです。(メインはコンボ特化にした方がいいのでサイドボードという位置づけです)
また、【茶単】なども序盤一気に展開して相手を押し潰す展開が多いため、このカードが機能する状況を作ることは容易でしょう。
「神」ならではの柔軟な発想と鋭い着眼点で、各フォーマットの『異界月』の注目カードをレビューしてもらいました。
彼らが、そして世界中のプレイヤーたちが、これらのカードをどう使うのか?
発売後に行われるプロツアー『異界月』や各フォーマットの大会結果をお楽しみに!!
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