(※本記事はスイスラウンド中に取材したものです)
アゾリウスのなにか
先週、ミシックチャンピオンシップ Ⅶの幕が閉じ、『エルドレインの王権』環境のスタンダードも残すところあと数ヵ月となった。
環境終盤では目新しいデッキに出会うことは稀だが、会場を見て歩いていると久々に見たカードに思わず二度見してまった。そのカードとは……
盤面を制圧していたのは《永遠神オケチラ》だった。珍しいなあ、と思いながらゲームをよくみていると、そのほかにも見慣れない青と白のカードが相手を圧倒していた。そんなアゾリウスミッドレンジを使う横川 裕太にデッキについてインタビューを行った。
《永遠神オケチラ》の降臨
――なかなか見慣れないデッキですね。どういった動きをするんでしょうか?
「序盤は《幽体の船乗り》や《徴税人》でクロックをかけていき、《ドビンの拒否権》や《時を解す者、テフェリー》で妨害します。フィニッシャーとして《永遠神オケチラ》がいる感じですね」
――どうしてこのような形になったんでしょうか?
「最初はアゾリウスコントロールを使っていて、サイドプランとして《永遠神オケチラ》を入れていたんです。何度も対戦するうちに、このカード毎回どんな相手にもサイドインしてるなってことに気づいて、じゃあメインでいいじゃんとなりました」
――最近まであまり見ないカードでしたよね。
「そうですね。ただ『エルドレインの王権』で登場した出来事クリーチャーのおかげで、このカードの価値が大きく上がりました」
――といいますと?
「序盤に《巨人落とし》や《厚かましい借り手》で盤面を捌いたあとに、クリーチャーとして唱えられるんですよね。除去とクリーチャーという2つの役割を1枚で行なえるので、《永遠神オケチラ》の能力を生かしやすくなっています」
――なるほど。《惑乱スプライト》をスタンダードでみるのは初めてかもしれません。
「まだ今日一度も活躍してないんですが(笑)、《朽ちゆくレギサウルス》や《真夜中の死神》など低マナ域のマストカウンターなカードを打ち消せますし、飛行クロックはやっぱり優秀ですね」
「あと今コントロールの優位性がないと感じています。前までは相手の動きを捌いた後に《ドミナリアの英雄、テフェリー》などプレインズウォーカーで蓋ができて、相手の除去を完全に腐らせることができたんですよね。でもいまは《厚かましい借り手》や《裏切りの工作員》といった細い勝ち手段になったうえに、除去があたってしまう。であればメインからクリーチャーをいれちゃおうと」
――そんな発想のもと生まれたデッキなんですね。確かに、こうしてみると結構優秀なクリーチャーが揃っていますね。
「青白のカードはいま環境にあってると思います。軽い除去が環境に少なくて、システムクリーチャーが生き残りやすいんですよね。《徴税人》は最近増えたフラッシュにはもちろん、サクリファイス系デッキの《魔女のかまど》や《パンくずの道標》に制限をかけることができます。《幽体の船乗り》は言わずもがな、《巨人落とし》なんかも致命的な脅威を除去しつつ、クリーチャー面でも実質除去として活躍してくれます」
――土地が27枚と少し多めに見えるんですが、これはなにか理由があるんでしょうか?
「今のスタンダードって《世界を揺るがす者、ニッサ》とか《フェイに呪われた王、コルヴォルド》といったマウントをとるカードが多くて、土地が止まると絶対に負けるんですよね。なので構築するうえでスクリューしないように、ある程度フラッドさせるよう組んだ方が良いと考えています」
――土地はあるだけいいと。
「そうですね。『《永遠神オケチラ》+クリーチャー』のダブルアクションを実現させたいですし、《幽体の船乗り》や《老いたる者、ガドウィック》、《ヴァントレス城》とマナの使い道はたくさん用意してありますからね」――どんなデッキに有利ですか?
「フラッシュ系にはかなり有利ですね。《時を解す者、テフェリー》が効果的ですし、《幽体の船乗り》で相手の《厚かましい借り手》を簡単に討ち取ることもできます。なにより《永遠神オケチラ》と《老いたる者、ガドウィック》が通りさえすれば盤面で負けることはほとんどないです」
――では、最後にこのデッキの魅力を教えてください!
「なんといっても《永遠神オケチラ》です!改めて使ってみるとこのカードの強さに驚くと思うので、是非使ってみてください!」
――ありがとうございます!
アゾリウスコントロールを回す中で訪れた逆転の発想。今まであまり使われることのなかったカードにスポットライトを当て、見事デッキへと昇華させた。
横川 裕太のアゾリウスミッドレンジ、お試しあれ。