コマンダー塚本の統率者戦最前線! vol.17 -共闘戦線!!-

塚本 樹詩



 皆さんこんばんは、塚本です。

 『マジック:ザ・ギャザリング ― 統率者(2016年版)』に関する情報が少しずつ解禁されて、新しいギミックや先行カードプレビューと、統率者戦ユーザーにとって楽しい時間がきましたね!晴れる屋にも『統率者2016』の先行カードプレビュー記事が公開されています。「まだ見てないよ」という方はぜひともチェックを!


 新たなるキーワード能力は『共闘』!僕の第一印象では、統率者が2体いることによって、より統率者を主役にしたデッキが組みやすくなりそうだと思いました。マナコストの重い『共闘』をもつ統率者でも、軽い統率者と組み合わせることによって、マナが揃うまでの手数を確保してくれそうです。また、何よりカード2枚分ということで消耗戦にも強そうなお得な要素満載の能力に感じました!

 今回は、そんな素敵な能力『共闘』にスポットライトを当ててデッキを組みました!



◆ みんなで協力して闘う、それこそが『共闘』!

 WotC社から”共に闘おう”という意思を受け取った僕はさっそく、デッキ全体が一丸となって戦うに相応しい内容を考えてみました。クリーチャー同士が手を取り合って戦う。なんて素晴らしいことでしょう!しかし、そもそも協力して戦おうなんてものは、ある程度の知性がないと無理なのです。ゾンビやゴブリン、類人猿なんてもっての外!死や恐怖による統治のもとに集う群れに『共闘』という文字はありません。やはり知性をもった人間やエルフが適していると言えますね。


ベナリアの勇士


 そう!《ベナリアの勇士》のような『バンド』をもつクリーチャーこそが『共闘』しようという意思を持った者!WotC社は遥か昔から『共闘』をさせようとしていたのです!


● 超要約!『バンド』とは?

・『バンド』は戦闘のルールを変更する常在型能力である。
・『バンド』をもつクリーチャーは、『バンド』を持たないクリーチャー1体までと「攻撃バンド」を組んで攻撃できる。
・「攻撃バンド」に属する攻撃クリーチャーがブロックされると、その「攻撃バンド」に属するクリーチャーすべてが同じ防御クリーチャーにブロックされた扱いになる。
・『バンド』をもつクリーチャーが関わる戦闘は戦闘ダメージの割り振りを自由に行える。要するに戦闘が超有利になる能力である。
・非常にややこしい能力なので闇に葬られた。1990年代を最後に『バンド』を持つカードは収録されていない。

より詳しく『バンド』について知りたい方は、【MTG Wiki:バンド】をご覧ください。


Baton of Moraleチャザックの兜


 『バンド』は既に失われし能力のように見えますが(編注:失われています)、現代のクリーチャーに『バンド』を与えるカードはあります!


Seafarer's QuayCathedral of Serra


 伝説のクリーチャーに「他の伝説のクリーチャーと『バンド』できるようになる」サイクルカードは各色に用意されているのです!現代でも共闘することは難しくないのです!

 こうしてWotC社からのメッセージを受け取った僕は、まず『バンド』をもつクリーチャーを洗い出しました。その結果、現代スペックには逆立ちしても勝てないようなラインナップがずらりと並びました。しかし!ここで諦めるわけにはいきません。幸い「攻撃バンド」を組む際に、『バンド』を持たないクリーチャーでも1体まで加えることができるので、そこは外国人の強力な助っ人を用意するスポーツチームのように、現代スペックの強力なクリーチャーで補強していきましょう!


集団的祝福永遠の見守り


 『バンド』を持つクリーチャーは低いマナ域に集中していたため、横並びの戦略と相性のいいカードを用意しました。こうすれば弱点である個々のスペックの低さを補うことができるはずです。攻防に参加できるようになる警戒は『バンド』と相性がいいので、《永遠の見守り》に限らず、全体に警戒を与えるカードは積極的に採用していきたいところです。

 こうしてデッキに必要な要素は揃いました。まとめてみると、

● 『バンド』デッキに必要なもの

・『バンド』をもつクリーチャーはスペックは低いが、軽いので横並びで攻める。
・全体強化のカードを使って横並び戦略を補強する。
・現代スペックの強力なクリーチャーで「バンド」内の攻撃力の底上げを図る。
・余裕があれば『バンド』を与えるカードで現代スペックの『バンド』クリーチャーを作れるようにする。

 この4点を基本方針としてデッキを作っていきましょう!



◆ デッキの色を決めよう!

 キーワード能力としての『共闘』はまだ収録されていないので、2色の『共闘』もちによる4色デッキを作ることはできません。そこで『バンド』を持ったカードに注目してみました。どうやら『バンド』持ちは白、青、緑を中心に収録されているようなので、このバントの3色で作ることにしましょう!バントカラーは知性の象徴みたいな色の組み合わせですし、バントでバンドを組んだってちょっと面白いくないですか?


Ragnar


 《隠された領域のローン》《浄火の戦術家、デリーヴィー》など優秀な統率者の多いバントカラーですが、今回は”ある狙い”に沿ったクリーチャーということで《Ragnar》を採用!その狙いとは、人間シナジーです!


小村の隊長サリアの副官


 『バンド』をもつクリーチャーのほとんどは人間なので、種族シナジーを駆使しない手はありません。そこで統率者にも人間である《Ragnar》を用意しましょう。能力もおまけ程度ですが、たまーーーに役に立ちます。

 こうしてデッキの方針が決まり、統率者も決まりました。あとは細部のパーツを選んでいきましょう。今回はクリーチャーで攻めることが基本方針なので、なるべく安定した展開力が欲しいのです。そこで、金太郎飴のようなデッキ内容にしないと戦略が成立しません。


吸血の教示者師範の占い独楽


 統率者戦では定番の《吸血の教示者》《師範の占い独楽》のような特定のコンボパーツやキーカードを探し当てるのに便利なカードは、デッキ内のスロットを割くだけでなくマナも要求します。序盤から攻めるデッキにとって、展開力に直結するマナはとても貴重なもの。今回のようにアグレッシブかつコンボ要素の少ない構築では、こういった一見すると便利なカードを入れないことも重要なテクニックになります。



◆ 人間の知性の塊、それが共闘戦線!


《Ragnar》

1 《Ragnar》

-統率者 (1)-

10 《平地》
4 《森》
2 《島》
1 《繁殖池》
1 《神聖なる泉》
1 《Savannah》
1 《寺院の庭》
1 《Tropical Island》
1 《Tundra》
1 《乾燥台地》
1 《溢れかえる岸辺》
1 《湿地の干潟》
1 《霧深い雨林》
1 《汚染された三角州》
1 《沸騰する小湖》
1 《新緑の地下墓地》
1 《吹きさらしの荒野》
1 《樹木茂る山麓》
1 《統率の塔》
1 《ペンデルヘイヴン》
1 《風立ての高地》
1 《Cathedral of Serra》
1 《ムーアランドの憑依地》
1 《ウェストヴェイルの修道院》

-土地 (37)-

1 《アヴァシンの巡礼者》
1 《ベナリアの勇士》
1 《献身的な世話人》
1 《アクロスの英雄、キテオン》
1 《月皇ミケウス》
1 《ルーンの母》
1 《貴族の教主》
1 《セラの高位僧》
1 《破城槌》
1 《敬愛される司祭》
1 《薄暮見の徴募兵》
1 《小村の隊長》
1 《Icatian Infantry》
1 《Kjeldoran Knight》
1 《Kjeldoran Warrior》
1 《白蘭の騎士》
1 《アヴァブルックの町長》
1 《メサ・ペガサス》
1 《長槍兵》
1 《サッフィー・エリクスドッター》
1 《無私の霊魂》
1 《サリアの副官》
1 《森林狼》
1 《盾持ち》
1 《Soraya the Falconer》
1 《遊牧の民の長ピアナ》
1 《トレストの密偵長、エドリック》
1 《野生の獣使い》
1 《気高き象》
1 《Master of the Hunt》
1 《優雅な鷺の勇者》
1 《Icatian Skirmishers》
1 《ウォー・エレファント》
1 《アーイシャ・タナカ》
1 《月皇の司令官、オドリック》
1 《イーオスのレインジャー》
1 《伏竜 孔明》
1 《Urza's Engine》

-クリーチャー (38)-
1 《剣を鍬に》
1 《荒野の確保》
1 《Errand of Duty》
1 《Formation》
1 《戦列への復帰》
1 《鼓舞する呼び声》
1 《大衆への呼びかけ》
1 《霊の通り路》
1 《奇妙な幕間》
1 《鏡編み》
1 《圧倒する暴走》
1 《チャザックの兜》
1 《Baton of Morale》
1 《梅澤の十手》
1 《旗印》
1 《頑強な決意》
1 《永遠の見守り》
1 《Nature's Blessing》
1 《対立》
1 《制圧の輝き》
1 《集団的祝福》
1 《黄金のたてがみのアジャニ》
1 《野生語りのガラク》
1 《実地研究者、タミヨウ》

-呪文 (24)-
hareruya



対立制圧の輝き


 横並び戦略は《永遠の見守り》とはもちろん、《対立》《制圧の輝き》とも相性抜群です。さらに《冬の宝珠》《静態の宝珠》を入れて相手を締め上げるのもいいですね。


奇妙な幕間戦列への復帰


 全体除去に弱いので、それを使われたときの対処手段も準備しておきましょう。《奇妙な幕間》のように使われたときに有効な呪文だけでなく、《戦列への復帰》のように後引きしても役立つ呪文も用意しておくのがポイントです!


メサ・ペガサスウォー・エレファント


 これこそ真の『共闘』!WotC社からのメッセージ!確かに受け取った!





『統率者戦2016』で『バンド』の復活と見つけたり!






塚本:「テキストに『バンド』を含むカードは……0枚だと……なぜだ!なぜなんだ……WotC……」



 つづく!


この記事内で掲載されたカード


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