Hareruya Prosとマジックの付き合い方
これまでHareruya Hopesたちを紹介してきたが、本稿では晴れる屋の看板選手であるHareruya Prosへのインタビューをお届けしよう。
今回のプレイヤーズツアーファイナルには、Hareruya Prosからも多くの選手たちが出場する。マジック・プロリーグ(以下MPL)に所属するハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguezやラファエル・レヴィ/Raphael Levy、ライバルズ・リーグ(以下MRL)に所属するグジェゴジュ・コヴァルスキ/Grzegorz Kowalski、プレイヤーズツアー・オンラインで好成績を残したアーネ・ハーシェンビス/Arne Huschenbethなど腕の確かなプレイヤーたちばかりだ。
なかでもピオトル・グロゴゥスキはMPLに、セバスティアン・ポッツォはMRLに所属しているため、ほかの選手よりも一歩抜きん出た選手といえるだろう。リーグ所属選手はマジックをどうとらえているのか、また、スタンダードをどのように攻略すべきかを中心にインタビューを実施した。
ピオトル・グロゴゥスキ(Twitter)
職業:ストリーマー
――MPLに所属して1年半近くが過ぎようとしていますね。レベルプロのときと比べてマジックとの関わり方に変化はありますか?
グロゴゥスキ「最近はストリーミングが主な職業になっているから、かなりの時間を費やしているよ。週に6回、1日あたり6時間ほどストリーミングをしている。だから俺はそれ以外の時間でマジックをプレイすることはほとんどないな」
――競技シーンがオンラインへ移行してますが、それについてどう思いますか?
グロゴゥスキ「テーブルトップのトーナメントがなくなり、しかも当分開催されないことは本当に寂しく思う。世界最高のプレイヤーたちが一堂に集まらないと、なかなかプロツアーだと実感できないな。組織化プレイは自体が好転するように努力しているが、社会情勢的にも難しいようだ」
グロゴゥスキ「この状況が続けば、今は楽しめているイベントでも将来的に思い出には残っていないかもしれない。MTGアリーナでプレイしていると、テーブルトップと比べて少し不安になるね」
グロゴゥスキ「余談だが、MTGアリーナにはオートタッパーのように便利なオプションがあるが、過信するあまり本来タップすべきでない土地をタップしてしまう操作ミスを誘発することもある。もし、そんなことが起きれば動揺してしまうのは間違いないね」
スタンダードの革命児
――プレイヤーズツアーオンラインで使用されたジャンドサクリファイスタッチ《霊気の疾風》には衝撃を受けました。規格外のカニスターブランドはどのようにして生み出されるのですか?
Registered Aether Gust Jund for the Arena PT
— Piotr 'kanister' Głogowski (@kanister_mtg) June 12, 2020
Will not stream the event, but I'll record the games and I'll be reviewing them on Monday's broadcast pic.twitter.com/nBVkLY88mm
グロゴゥスキ「《霊気の疾風》入りジャンドサクリファイスでの参加は基本的にはギャンブルだった。プレイヤーズツアー・オンラインではティムール再生がベストデッキだとわかっていたから、結果を追求していればこのデッキをプレイしていたかもしれない。だけど、今回は好成績を残さなくてもすでにグランドファイナルへの出場権はもってたんだ。だから俺は手に馴染み、より楽しいジャンドサクリファイスを選ぶことにしたのさ」
グロゴゥスキ「本来はもっとクラシックなジャンドサクリファイスを使うつもりだったが、大会直前のストリームで視聴者から『メインに《霊気の疾風》を4枚採用すればあらゆるデッキに効果的では?』というアイデアをもらったんだ。少し試してみて、それなりに効果があるように思えた」
グロゴゥスキ「この賭けはローリスク、ハイリターンで、試す価値は十分あると考えたんだ。結果が振るわなくても仕方がないが、もし成功すれば俺はスタンダードの革命児といわれただろう。トーナメントを終えての感想は、《霊気の疾風》はデッキを良くも悪くもしなかったってとこだがな」
――大会1週間前はどのような過ごし方をしていますか?生活の大部分を割いて、大会フォーマットに集中して取り組むのでしょうか?
グロゴゥスキ「主にストリームの間に準備をしている。ただプレイするだけではなく、夜にあれこれと思考を巡らせたり、プレイヤーと話すための時間も作ったりするね」
セバスティアン・ポッツォ(Twitter)
生活のすべてをマジックに
――MRLに加入したことで、マジックに対するスタンスに変化は生じましたか?
ポッツォ「僕はMRLに入る前から生活のすべてをマジックに捧げる決意を持っていたから、実際のところあまり変化はないんだ。ただし、最近はメジャーな大会の多くが中止に追い込まれたり形式を変更しているため、以前ほど時間を割かなくなっているけどね」
ポッツォ「だから今は1日あたりだいたい2~6時間前後プレイすることが多いかな。マジックがこれまで通りの環境に戻って、1日8時間以上プレイするモチベーションになればいいなと思っているよ」
――自分がMRL入りできた理由は何だと考えていますか?
ポッツォ「一貫性だろうね。ミシックチャンピオンシップⅥでトップ8に入ったことで、僕にMRLへの道が開けた。もちろんそれ以前の3つのミシックチャンピオンシップとMTGアリーナ予選でもミシックポイントを着実に稼いでいたけどね」
ポッツォ「現時点では意味をなさないポイントがたくさんあったけど、自分がトーナメントで勝ったときのためにしっかりとポイントをためていたんだ。多くのプレーヤーはいいスタートがきれなかったり、トップ8の芽がなくなったときはより悪いプレーをしてしまうからね」
スタンダードのコツ
――かつてスタンダードマスターを獲得されていましたね。スタンダードを攻略するコツを教えてください。
ポッツォ「多くのプレイヤーはほかのすべてのデッキを倒せるものを見つけようとするけど、大抵は最悪のデッキをプレイすることになってしまったり、準備不足で大会に挑むことになってしまっているね。僕からのアドバイスはメタの中心となっているデッキを恐れず使うべきだってことさ。そのデッキのマッチアップやサイドボードを理解して上手くプレイする方法を知っている限り、普通はほかのデッキにそれ以上の効果をあんまり期待できないからね」
――今大会の目標と意気込みをお願い致します。
ポッツォ「結果的にはグランドファイナルへの出場権を獲得できればいいけど、参加者は強豪揃いだから、大会後にいいプレーができたと納得できれば嬉しいね」
いよいよプレイヤーズツアーファイナル
2人のHareruya Prosたちの言葉からは、職業=マジックという確かな意思が見えるものだった。例えすぐ手が届かくとも、チャンスを掴み目的を達成するにはコツコツと勝ち続ける必要がある。マジックをプレイし、思考を止めず、勝ち続けた先にのみMPL/MRLの入り口は現れるのだ。
2人をはじめ、晴れる屋の選手たちはプレイヤーズツアーファイナルはもちろん、勝ち星を重ね次の扉へ向かっていくだろう。