Translated by Kohei Kido
(掲載日 2020/02/10)
朝礼
みなさん、おはよう。
数日前にTwitterで私のボロスアグロのデッキリストを共有したところ、反響があった。デッキ内のカードやマッチアップについて多くの質問を受けたから、ボロスアグロについてデッキガイドを1つ書いてみることにした。今日は他のデッキとの相性や戦い方、さらにはメタゲームの変遷に合わせたデッキ調整の考え方についてお教えしよう。楽しんで聴講してくれたらうれしい。
デッキリスト
7 《山》
4 《針縁の小道》
2 《凱旋の神殿》
-土地 (21)- 4 《巨人落とし》
4 《堕ちたる者の案内者》
4 《義賊》
4 《歴戦の神聖刃》
4 《群れの番人》
1 《光輝王の野心家》
4 《砕骨の巨人》
4 《スカイクレイブの亡霊》
-クリーチャー (29)-
3 《ガラスの棺》
2 《傑士の神、レーデイン》
2 《悪斬の天使》
2 《アゴナスの雄牛》
2 《レッドキャップの乱闘》
1 《荒くれたちの笑い声》
-サイドボード (15)-
マッチアップガイド
まずはマッチアップガイドから行こう。
イゼットテンポ:有利
対イゼットテンポ
《歴戦の神聖刃》が最重要カードだ。イゼットカラーのデッキに対して破壊不能は強力なキーワードになる。相手が打ち消せるようになる前に着地させられることが多く、相手にとって除去困難なクリーチャーとして定着する。相手にも《厚かましい借り手》で手札に戻してから打ち消すことはできるが、2マナのカードに対処するために多くの労を割くことになる。
アグロとして立ち回ることを意識して相手を圧迫し続けることで相手に打ち消し呪文を構える余裕を作らせないようにしよう。相手がタップアウトしたタイミングで《スカルドの決戦》を唱えれば、相手に勝ち目はない。
ラクドスサクリファイス:互角
対ラクドスサクリファイス
ラクドスサクリファイス/ミッドレンジのデッキリストにはバリエーションがある。どれがメタゲーム内でメジャーになるのかはまだわからないね。相手にとって対処しづらい上に多くのバリューを引き出せるエンチャントがこちらの武器になる。
《スカルドの決戦》と《荒くれたちの笑い声》が選択肢としてある場合、相手に今すぐ対処したいのでなければ《スカルドの決戦》よりも先に《荒くれたちの笑い声》を使った方が良い。相手は多くの軽いマナコストの除去を駆使するデッキだからアグロプランに特化してもうまくいかないことが多い。ミッドレンジプランで相手を打ち倒すことを目指そう。今のボロスには容易なことだ。
ディミーアローグ(ルールス):微不利~微有利
対ディミーアローグ(ルールス)
ディミーアローグを使いこなすのはとても難しい。相手が相当上手いプレイヤーであれば相手が有利だろう。しかしどこかでミスをするとそこを容易に突くことができる。だから相手が完璧なプレイヤーではないならこちらに分がある。
相手はインスタントタイミングで動くデッキだから相手が何を出していて、何を手札に持っていそうなのか想定して動こう。《空飛ぶ思考盗み》が最大の脅威となることが多い。こちら側のクリーチャーの多くを効果的にブロックできるからだ。墓地の枚数にも気を配って7~8枚になるのを遅らせることができるなら、遅らせるようにしよう。
グルールアドベンチャー:とても有利
対グルールアドベンチャー
《巨人落とし》と《スカイクレイブの亡霊》は相手のアグロプランを止めるのに秀でている。そして《スカルドの決戦》は《グレートヘンジ》よりもミッドレンジのゲームプランで使うカードとして優れている。私は何度もグルールアドベンチャーにリソース勝ちした。相手の手札にあるかもしれない《エンバレスの宝剣》をケアせずに動いて敗北することだけは避けた方がいい。ロングゲームをしに行こう。
ナヤアドベンチャー:有利
対ナヤアドベンチャー
グルールアドベンチャーほど簡単な相手ではない。相手も《スカルドの決戦》を使っているからだ。反面、こちらの方がマナカーブを低く抑えているのは有利な要素となる。《スカルドの決戦》から多くのバリューを早く引き出せるようになるということを意味しているからだ。グルールのときほどロングゲームになったときに有利になれないからアグロとして立ち回ることを重視しよう。相手は3色でマナによってつまずきやすいからアグロプランを取りやすくなっている。
赤単:有利
対赤単
ボロスコントロールという考え方はどうだい?安全重視で立ち回るんだ。ライフレースをしかけなくていい。《エンバレスの宝剣》が最大の脅威となるから気をつけよう。《悪斬の天使》は試合を終わらせる力を持っているから試合を長引かせれば勝つ。そのうち天使を引き当てるし、《スカルドの決戦》も引いてくる助けになる。
ヨーリオン(白を含むデッキ):とても不利(エスパーヨーリオン想定)
対ヨーリオン(白を含むデッキ)
最悪の相手だ。《ガラスの棺》・《スカイクレイブの亡霊》・全体除去。これらに加えて《空を放浪するもの、ヨーリオン》がいるからボロスアグロを倒すのに最高の構成となっている。リスクを取ってでもビートダウンしに行こう。相手の引きがいいときに勝つことは難しい。だから全精力でアグロプランをしに行く。全体除去は引いていないと想定して、相手が土地を順調に置けない状況やタップインランドが多すぎるといった状況を咎めに行く。それで勝てることもある。でもヨーリオンデッキに安定して勝てるとは思わない方がいい。
ヨーリオン(白を含まないデッキ):互角~有利
対ヨーリオン(白を含まないデッキ)
現在は多様なヨーリオンデッキが存在している。一般論として相手がタッチ色も含めて多くの色を使っている方が戦いやすい。相手のマナ基盤が不安定になるからだ。白を使っていないヨーリオンはボロスアグロに対処する最高の武器を使えない状態だ。だから互角に戦えると言える。
ティムールランプ:とても有利
サイドボードの入れ替え無し
破壊不能のクリーチャーも使う高速アグロはティムールランプにとっての悪夢だ。サイドボード案としてメインデッキのままで問題ないとしたが、相手の全体除去と《発生の根本原理》を遅らせることができるから《傑士の神、レーデイン》を2枚サイドインしてもいいかもしれない。まだ私も試していないことだから、可能性としての提案だ。
3マナで2/3のクリーチャーは率直に言えばアグロとして最高のクリーチャーではない。だからメインデッキのままがいいということもあるだろう。難しいところだ。相手が《霜噛み》のために氷雪土地を使っているならぜひ《傑士の神、レーデイン》を使おう!
デッキとメタゲームの今後
みなさんご承知だと思うが、『カルドハイム』環境のスタンダードはまだまだ始まったばかりだ。メタゲームはすぐにかわるかもしれない。想定される変化に対して、どう対応すべきなのかお教えしよう。
メタゲームが高速化した場合
グルール/ボロス/赤単/白単/緑単と対戦することが多くなったと感じたら《義賊》はデッキリストから完全に抜いてしまっていい。コントロールとランプには強いカードだがアグロと対戦する時には無用の長物だ。《光輝王の野心家》と《無私の救助犬》を2枚ずつ足すといい。《エンバレスの宝剣》を1枚だけ《スカイクレイブの大鎚》にするのもいいかもしれないね。
メタゲームが低速化した場合
ヨーリオン不採用のコントロールデッキには元々強い構成だ。あまり足すものはないね。とにかくコントロールに強いデッキリストにしたいなら《スカイクレイブの亡霊》を3枚抜いて《光輝王の野心家》を代わりに増やすといい。でも66%以上の対戦相手がコントロールという状況にでもならない限り、私はそうしないだろう。
ボロスアグロのコツ
ゲームレンジは柔軟に
常にアグロとして立ち回る必要はない。《スカルドの決戦》と《群れの番人》を使えば簡単に長期戦にも勝利できる。
上記の点を踏まえて、そこまで積極的にマリガンしない方がいい。ミッドレンジ寄りの手札をキープしてもまったく問題ない。たとえば《土地4枚》《砕骨の巨人》《スカイクレイブの亡霊》《スカルドの決戦》はすばらしい手札だ。
デッキ内で最強のカードは《スカルドの決戦》だ。カードアドベンテージを得られる上に全体除去をケアするときにも最高のカードだ。全体除去を使う相手なら戦場に過剰に展開することは避けたい。そういうときに4ターン目の動きとして《スカルドの決戦》を使えるのはすばらしい。
序盤の動き方
《巨人落とし》は緑を用いないデッキに対しては1マナのクリーチャーとして用いて、緑を用いるデッキに対しては除去として温存しよう。先行で相手のデッキがわからないなら場に出してマナカーブ通りに動こう。
《群れの番人》の使い方
《スカルドの決戦》が第2章になったらメインフェイズに進行の停止を設定しよう!《群れの番人》を引いたら《スカルドの決戦》を使いまわすために「出来事」を使いたい。でも進行の停止を設定しないとMTGアリーナはそれをやらせてくれない。
説明がわからなかった人のために一応解説すると《スカルドの決戦》の3章誘発後にスタックで《群れの番人》の「出来事」を使いたいということだ。そうすれば3章の効果は享受しつつ、《スカルドの決戦》を手札に戻して再利用できる。すばらしいシナジーだ。
《群れの番人》関連のコンボを覚えておこう。まずは《スカルドの決戦》を使いまわしてさらに4枚のカードを得られる。
《スカイクレイブの亡霊》が出たときの追放する能力にスタックして「出来事」を使えば相手にトークンも与えずに永久に追放できる。
対戦相手の《厚かましい借り手》や《砕骨の巨人》の「出来事」の対象となったパーマネントに《群れの番人》の「出来事」を使えば除去をかわしつつ相手の呪文を対象不適正にして「当事者」のクリーチャーを使う機会を奪える。
終礼
いつもご聴講ありがとう。このデッキを楽しんで使ってくれると喜ばしいね。私は質問に答えるのが好きだから、他に質問があればTwitterで気軽に聞いてほしい。