Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2021/05/24)
朝礼:王者の退場
みなさん、おはよう。グジェゴジュ・コヴァルスキ/Grzegorz Kowalskiだ。
もう知っているとは思うが、《タッサの神託者》がヒストリックで禁止された。これが環境に意味するところは大きい。
この2枚コンボは1枚がインスタントスピードであり、運が良ければ3ターン目に決まり、そうでなくても4ターン目には決まる。しかも一瞬で決着をつけるチャンスを虎視眈々と狙う”フェア”なコントロールとしても立ち回れた。明らかにヒストリック環境を歪めていたデッキだろう。
このオラクルパクトは明らかに最強のデッキであり、以前まで活躍していたデッキの一部は環境から追い出されていた(ゴブリン、ジャンド、エルフなどの能動的なアーキタイプは、オラクルパクトに対して十分な妨害がなく、勝ち目がなかった)。
しかし、もうこの状況から解放された。明確なベストデッキがない、開かれたメタゲームに戻るのだ。ではこれから使うべきデッキとはなんだろう?私なりのおすすめを今回の講義で紹介していこう。
ジェスカイコントロール
コントロールデッキはオラクルパクトの対策に必死になる必要はなくなり、アグロやミッドレンジにも目を向けられるようになった。
《渦まく知識》と《稲妻のらせん》が加わったため、ジェスカイコントロールはTier1の筆頭候補だろうと考えている。どんなコントロールにとっても《思考囲い》は最大の敵だったが、《渦まく知識》がある今、手札の切り札をライブラリートップに隠すことができる。手札破壊の思うようにはさせない。
ジェスカイコントロールの構築方法は2つある。どちらを選ぶべきかはメタゲームの発展次第だろう。アゾリウスコントロール/ジェスカイコントロール/イゼットフェニックスが多いのであれば、《サメ台風》型がおすすめだ。直線的なデッキやアグロデッキが多い場合は、《マグマ・オパス》/《奔流の機械巨人》型を選択する。現時点でのそれぞれの構成を紹介しよう。
《奔流の機械巨人》型
《サメ台風》型
オルゾフオーラ
《汚れた契約》が実装されるまでは、オルゾフオーラこそが最強の直線的なデッキだった。そのオルゾフオーラは『ストリクスヘイヴン:魔法学院』で非常に強力なカード、《コジレックの審問》を手に入れている。オラクルパクトさえいなければ、オーラは環境で然るべき立ち位置を取り戻すだろう。
細部を詰めるのは新しいメタゲームが見えてからだが、まずはこのようなリストから始めるだろう。クリーチャーデッキを意識した構成にしてある。しかし、メタゲームがコントロール寄りになっていった場合は《死の重み》や《ぬかるみの捕縛》の枠に《コジレックの審問》や《立身/出世》を追加することを検討しよう。
このデッキが得意とするのは(セレズニアカンパニーを除く)クリーチャーデッキやジェスカイコントロールだ。他方、《スカイクレイブの亡霊》を採用するデッキやジャンドには弱い。
セレズニアカンパニー
3つ目のおすすめはセレズニアカンパニーだ。メタゲームがクリーチャーデッキに向かえば素晴らしい選択となるだろう。得意とする相手は戦闘で勝とうとするデッキ全般だ(ここにはオルゾフオーラも含まれるが、この点は非常に重要だと考えている)。その反面、ジェスカイコントロールやイゼットフェニックスには苦戦を強いられるだろう。
ジャンドフード
ジャンドフードは『カルドハイム』期に私が愛用していたデッキだ。リーグウィークエンドでも『カルドハイム』チャンピオンシップでも私を支えてくれた。オラクルパクトに勝つには速度が足りなさ過ぎたが、もう勝ち目のないマッチアップはなくなった。《フェイに呪われた王、コルヴォルド》をまた使えるぞ!
この構成は何かに対して特別強いわけではないが、どんなデッキに対しても勝てるチャンスがあるように組んである。コントロールとの相性を改善したいのであれば、《致命的な一押し》は0枚にして《思考囲い》を4枚にしよう。アグロに有利に戦いたければ、《思考囲い》を抜いて《初子さらい》を4枚にする。
まずは上記のリストから始めていこうと思っている。調整するのはメタゲームの様相を理解してからだ。
終礼
現時点でプレイヤーたちがどんなデッキを選択するのかはわからない。だからこそ重要なのは、現時点で優れたデッキを知り、それらを使うべきタイミングを知ることだと思う。
今回の講義でその知識は授けたので、プレイヤーたちの動向を注意してみていれば、状況にあった最善のデッキを選べることだろう。ぜひ参考にしてみて欲しい。
ではまた次回の講義で。