はじめに
みなさんこんにちは。晴れる屋メディアチームの富澤です。
先週に『団結のドミナリア』の全カードリストが公開されました。再録された《ヴェールのリリアナ》に各種レジェンドクリーチャー、ロードとどれから使おうかと目移りしています。発売は来週の9日ですが、それまでにデッキを完成させておきましょう。
ところで、『団結のドミナリア』には懐かしのキーワード能力が再録されているのをご存じでしょうか?それは「版図/Domain」です!
今回の情報局では、『団結のドミナリア』に再登場する「版図」にスポットを当てていきます。
「版図/Domain」とは?
「版図/Domain」とはインベイジョン・ブロックで登場した自身がコントロールしている基本土地タイプの種類数を参照するキーワード能力です。
エンチャント
版図 ― プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは、自分がコントロールする土地の中の基本土地タイプ1種につき、カードを1枚引く。
テキストにある「基本土地タイプ」は、平地、島、沼、山、森の5つです。《連合戦略》の場合、コントロールしている基本土地タイプごとに引けるカードが1枚ずつ増えていきます。仮に島しかないなら1枚ですが、5種類すべて揃っていれば5ドロー。《連絡》もびっくりな仕様です。
「版図」の基本土地タイプとは土地カードの《平地》だけではなく、基本土地タイプの平地も踏めます。つまり、《神聖なる泉》は「平地」「島」の2つの基本土地タイプを持っており、1枚で2種類分カウントされます。
「版図」はデュアルランドやショックランドに代表される複数の基本土地タイプを持つ土地と非常に相性の良いカード能力。「版図」戦略における土地カードは呪文を唱えるための色マナ供給役にとどまらず、カードの効果にも直結します。
過去の版図デッキ
時はさかのぼること2007年、モダンの前身となった構築フォーマットであるエクステンデッドが舞台。同年、フェッチランド+ショックランドのマナベースシステムに「版図」要素を組み込んだアグロデッキが産声をあげます。
それこそがフランスを代表するプロプレイヤーであるラファエル・レヴィ/Raphael Levy氏を2度のグランプリチャンプへと導いた高速アグロデッキ、ドメインZooです。ナヤカラーをベースにショックランドから青と黒を供給することで、安定性を損なわずに「版図」の効果を最大限まで引き出せるように構築されていました。
「版図」要素である《ガイアの力》は《ボロスの速太刀》と組み合わせることで、常軌を逸した破壊力を演出しました。基本土地タイプがすべてが揃っているならば瞬間的に12点叩き出す一種のコンボだったのです。そこへ《部族の炎》が合わせれば計17点。仮に相手がフェッチランドからショックランドをアンタップインしていたならピッタリ0点となる計算でした。
そして、今。『団結のドミナリア』に「版図」が再録されたことで、スタンダードでも3ターンキルが実現しようとしているのです。
『団結のドミナリア』の版図の可能性
目についたのは、プレビュー初回に流れてきた1枚のクリーチャーでした。
《ニショーバの喧嘩屋》はかつての《マトカの暴動者》と似たクリーチャーですが、マナコストが1マナ軽くなった代わりにタフネスが固定化されています。クリーチャーのマナコストは攻撃回数と直結するため、アグロベースのデッキでは軽いカードほど好まれます。《ニショーバの喧嘩屋》は3ターン目から攻勢をかけられ、トランプルもあることからかなりダメージを稼いでくれそうに思えました。
幸いなことに現在のスタンダードには《ジェトミアの庭》のような3つの基本土地タイプを持つカードが存在しています。《ジェトミアの庭》+《島》で2ターン目にして《ニショーバの喧嘩屋》は4/3。規格外のスペックです。
そして3日後。
《ガイアの力》の再録が発表されたことで、私の脳内はお祭り騒ぎとなります。ちょうど前日に《双業火》が公開されたこともあり、すべてのパーツが揃いました。かつてのエクステンデッド同様、3ターンキルを狙えるドメインデッキが生まれつつあったのです。
3ターンキルの条件は次の通りです。
マナとマナの発生源が別になるように3種類の基本土地タイプを持つ土地を置き、続く2ターンで残る2種類の土地を用意します。このとき2ターン目に《ニショーバの喧嘩屋》をプレイすることを忘れずに。
むかえた3ターン目。《ニショーバの喧嘩屋》で攻撃後、ライフを書き換えようとする対戦相手を制して《ガイアの力》と《双業火》を二段攻撃付与で打ち込めば…10/8、トランプル、二段攻撃!一撃でゲームエンドとなるわけです。
3ターンキルを目指して
主軸となるコンボこそ見つかったものの、課題は山積みでした。現状主力ダメージソースとなるクリーチャーが《ニショーバの喧嘩屋》しかおらず、早くも不安定さを露呈していました。代用カードが見つかれば、キープ基準も緩くなり《ニショーバの喧嘩屋》を引けないorマナが出ない場合にも備えることができます。
そこで目を付けたのは、低コストで二段攻撃を持つクリーチャーです。パイオニアで活躍中の《照光の巨匠》を筆頭に、《蜥蜴丸》などが該当しました。改めて言うまでもなく、単体では《照光の巨匠》がもっとも優れており、《ガイアの力》とのシナジーを考えて一択かと思われました。
しかし、《蜥蜴丸》は「装備」コストこそかかるものの、《双業火》の代用品にもなれるカード。《ニショーバの喧嘩屋》に装備すればわずか2ターンでライフを削りきってくれます。マナベースやほかのカードとの噛みあいまで考慮すると《蜥蜴丸》のほうがデッキには合っています。
《蜥蜴丸》などとダブって引いてしまうと無駄になると思われた《双業火》ですが、テキストを見るとコピーモードがあると判明。これにより《ガイアの力》をコピーすれば+10/+10修正、つまり一撃で20点削れることに気がつきました。《ガイアの力》と《双業火》があれば二段攻撃持ちはすべてフィニッシャーとなります。
こうなると《ガイアの力》の代用パーツも欲しくなりますが、思いのほか早く見つかりました。英雄譚の《ウェザーシード盟約》です。
マナコストとカードタイプ的に《ガイアの力》の下位互換と思われましたが、足りない基本土地をフェッチして「版図」に貢献することに加えて、「先読」のおかげで状況に応じてモードを使い分けできる器用なカードです。クリーチャー不足ならばII章から入り、クロックを用意できます。
1/1とはいえ攻撃に行くときはIII章解決後、つまり1ターン限定で6/6まで成長しています。トークン自身が《ニショーバの喧嘩屋》の代用となり、《ガイアの力》と《双業火》があれば、一撃20点ダメージ。条件次第で《ウェザーシード盟約》から4ターンキルも夢ではありません。
これだけでも十分ワクワクしていた私が歓喜の悲鳴を上げることになったのは、翌日のアンドレア・メングッチ/Andrea Mengucci氏のツイートでした。
🚨Preview card alert!🚨
— Andrea Mengucci (@Mengu09) August 24, 2022
This is Thran Portal: your new Fastland to fix Standard manabases! It's a mix between a Pathway, a fastland and Mana Confluence… and even a Gate for all your synergies!
Thanks @wizards_magicIT for the free preview! 🤗🇮🇹#mtgdominaria pic.twitter.com/3xOTWKAmws
「え?基本土地タイプを得るファストランド?」
一見すると1色しかでない《マナの合流点》ですが、重要なのは基本土地タイプを持っていること。限定的とはいえ、《スランの門》は不足している基本土地タイプをアンタップ状態で補充してくれるのです。
3キルプラン、代用カード、マナベース。ドメインに必要なすべてが揃った瞬間でした。
ドメインZoo 2022
完成したのは3キルコンボを内蔵したグルールベースのドメインデッキです。当初の過剰な3ターンキル構想からはやや離れて安定性を重視したかたちとなりましたが、それでも4~5キルは狙えます。
基本土地タイプがすべて揃っている前提にはなりますが、《ニショーバの喧嘩屋》《ガイアの力》《双業火》の3枚は、開幕3ターンでゲームに終止符を打ってくれます。
コンボパーツ以外は、「版図」戦略と相性の良いカードを集めてみました。《力線の束縛》はあらゆる構築フォーマットで期待される除去カード。このデッキでは1~2マナでプレイできます。
アグロデッキをベースにしつつも、コンセプトは上振れ狙いの「版図」コンボです。《無謀なる衝動》はコンボパーツを確保する狙いでの採用であり、フェッチランドのないスタンダードにおいて、土地を揃える助けにもなります。
鬼門はマナベース。一時は3ターンキルに固執するあまり、メインカラーを減らし過ぎた歪な構築となってしまいました。フェッチランドなき環境では、安定して5種類の基本土地タイプを集めるのは至難の業なのです。
そこで土地総数を24枚まで増やし、安定第一に再構築してみました。アグロで24枚は多く感じるかもしれませんが、土地も戦略を担うパーツの一種であり、このデッキでは土地を多く引きすぎるよりも「版図」がキレイに揃わないほうが問題となります。マナベースの条件は2ターン目までにかを含む4色を用意しつつ、それでいて3ターンキル可能なもの。
1ターン目は完璧にタップイン処理に当てるとすると、最大10枚くらいの3色土地を許容できそうです。そこで安定性を重視しつつ、ブン回りパターンを残すべく、《ジェトミアの庭》《ジアトラの試練場》《ラフィーンの塔》の3種類を採用することに。《ラフィーンの塔》は安定性にまったく寄与しませんが、《スランの門》と採用枚数の多い《森》か《山》があれば一番綺麗に5種類の基本土地タイプが揃う3色土地です。
構築当初は事故を極端に嫌い、《島》《沼》を不採用としていました。しかし、《ウェザーシード盟約》からフェッチする場合にこれらがあるかどうかでダメージ量が変わることに気がつきました。幸い土地は多めに入っているため、メインカラーへの影響は少ないと判断しています。理論上ですが、メインカラーのとを15枚以上確保しつつ、島と沼が7枚ずつ入ったことになります。
スタンダードへと生まれ変わったドメインZooの真価、お試しあれ。
ボロスダブスト
ドメインZooの調整中に、二段攻撃へ寄せた構築もあり得るのではと思い完成したのがコチラのデッキ。環境に存在する2マナの二段攻撃持ちを採用し、2ターン目に二段攻撃持ち、3ターン目に《天使火の覚醒》、4ターン目に《ガイアの力》や《ウェザーシード盟約》で勝利を目指します。
3キルは難しいものの、《天使火の覚醒》のように二段攻撃と相性の良いカードが多く、オーラデッキのような使用感があります。脆いものの爽快感のある楽しい構築です。
おわりに
今回は新しい「版図」カードに注目してきました。ドメインZoo 2022がどこまで安定して3ターンキルを決められるのか、早く試したいですね。最適なマナベースを求めて、新スタンダードの旅の始まりです。
なお、2022年9月9日(金)発売予定の『団結のドミナリア』ですが、現在晴れる屋ではブースターBOX、シングルカードともに予約受付中となっております!ぜひ、ご活用ください!!
また、『団結のドミナリア』の特設ページがオープンしました!こちらからも各種商品の予約ができるだけでなく、『団結のドミナリア』に関する記事や動画がまとめてご覧いただけますので、ぜひご活用ください!