最新のスタンダード大会結果!
こんにちは。晴れる屋メディアの紳さんです。
2025年、最初の「Just Nowスタンダード!」を更新していきます。最新の大会では、どんなデッキが活躍したのでしょうか。
1/09(木)『Standard Challenge 32』
まずは1/09(木)に開催された『Standard Challenge 32』の結果から。54名が参加しました。
開催日:2025年1月09日(木)
優勝 グルール果敢
準優勝 白単コントロール
3位 アゾリウスアグロ
4位 アゾリウス眼魔
5位 白緑ランプ
6位 ディミーアミッドレンジ
7位 エスパーピクシー
8位 ディミーアコントロール
ランプ、コントロール系のデッキが多く入賞するなか、優勝は《残響の力線》入りのグルール果敢でした。
グルール果敢
こちらが優勝したデッキのリストです。年初に開催された大型大会『Magic Spotlight: Foundations – SCG CON Atlanta』で優勝したグルール果敢に近しい構成ですが、こちらのリストではより《残響の力線》とのシナジーを活かし、《巨大化》が4枚採用されています。
ここ最近のグルール果敢は《探索するドルイド》などでリソースを獲得し、ロングゲームも見据えた構成が主流でした。
しかし、今大会で優勝したデッキは超攻撃的な構成です。《心火の英雄》のパワーを上げ、《無感情の売剣》の出来事面でさっさとゲームを終わらせることを一番の狙いとしています。
《残響の力線》を最大限強く使うことを意識し、《亭主の才能》は採用せず。代わりに《巨大化》が4枚採用されています。《巨怪の怒り》《裏の裏まで》と合わせて、1マナでパワーを+3するインスタント呪文が12枚体制ということですね。
とはいえ、ほとんどオールインのようなデッキですので、《苦痛ある選定》などですべてを失うリスクがある構成です。それも《蛇皮のヴェール》などで回避できれば勝利はかなり近づくことでしょう。
最近、採用率が上がっている《脚当ての補充兵》がサイドボードに4枚採用されています。単体除去を増量してくる相手に刺さりますね。
メインでは不採用の《探索するドルイド》もサイドボードに3枚採用。もしかしたら、サイド後は《残響の力線》をすべて抜いて堅実なゲームプランに舵を切ることも視野に入れているかもしれません。
あるいは、《残響の力線》が初手にくるまでマリガンを繰り返し、失ったリソースを《探索するドルイド》で取り戻すようなことを考えているのでしょうか。
『ダスクモーン:戦慄の館』発売直後には一世を風靡した《残響の力線》型ですが、「初手に来ないと辛い」という力線系カード特有の安定性の無さから使用者が減っていました。
しかし、ここにきて大会での優勝実績が増えているのは興味深いですね。エスパーピクシーやディミーアエンチャントのような軽量アクションが満載のコントロール風デッキの台頭が《残響の力線》型の支持を再び広げることになったのかもしれません。上振れ次第であらゆるデッキを粉砕できるのは魅力です。
1/11(土)『Standard Challenge 64』
つづいて、1/11(土)に開催された『Standard Challenge 64』の結果をチェックしていきましょう。86名が参加しました。
開催日:2025年1月11日(木)
優勝 アゾリウス全知
準優勝 グルール果敢
3位 オーバーロード
4位 ハツカネズミ
5位 アゾリウスアグロ
6位 オーバーロード
7位 グルール果敢
8位 ゴルガリミッドレンジ
アグロとオーバーロードが睨み合うなか、優勝は新生コンボ(リアニメイト?)デッキのアゾリウス全知でした。
アゾリウス全知
こちらが優勝したデッキのリストです。スタンダードの大会で《全知》デッキが優勝するのはいつぶりのことでしょうか。
狙いはとてもシンプルで、「切削」やルーティングによって墓地に《全知》を落とし、《アブエロの覚醒》で1/1クリーチャーの状態で《全知》をリアニメイトしてWIN!というものです。
ちなみにマジックというカードゲームにおいて「《全知》が着地したら勝ち」というのはプレイヤー同士の共通認識でありたいものですが、少しだけ説明させていただきます。
今回のデッキでは3枚のキーカード、《アルケヴィオスへの侵攻》と《機織りの季節》と《肝冷やしの手》を利用します。
《アブエロの覚醒》によって1/1クリーチャーの状態で戦場に《全知》が出た後は、以下のような手順で「ほぼ勝利」となります。
《全知》が戦場に出てからの動き
①手札から《アルケヴィオスへの侵攻》をプレイ。能力によってサイドボードにある《機織りの季節》を手札に加える。
②《機織りの季節》をプレイ。「あなたがコントロールしていてアーティファクトやクリーチャーである1つを選ぶ。それのコピーであるトークン1つを生成する。」と「土地でもトークンでもない各パーマネントをそれぞれオーナーの手札に戻す。」のモードを選ぶ。
③《機織りの季節》を解決。カードに書いてあるテキストの上から順番に解決するため、まず、コピートークンを生成する能力で《全知》のコピーを生成し、そのあと、土地でもトークンでもない各パーマネントがすべてバウンスされる。解決された《機織りの季節》は墓地へ。
④手札に戻った《アルケヴィオスへの侵攻》を再びプレイ。今度はサイドボードから《肝冷やしの手》を持ってくる。
⑤戦場にある《アルケヴィオスへの侵攻》を対象に《肝冷やしの手》をプレイ。《アルケヴィオスへの侵攻》が手札に戻り、「戦慄予示」を行う。解決された《肝冷やしの手》は墓地へ。
⑥手札に戻った《アルケヴィオスへの侵攻》を再びプレイ。墓地にある《肝冷やしの手》を回収する。
※この時点で⑤と⑥を好きなだけループし、「無限戦慄予示」が成立。
⑦2枚目以降の《アルケヴィオスへの侵攻》が「戦慄予示」によって裏面で戦場に出るまで、ループを繰り返す。
⑧2枚目以降の《アルケヴィオスへの侵攻》が確認できたら、《アルケヴィオスへの侵攻》によって墓地から回収するカードを《肝冷やしの手》ではなく《機織りの季節》に変える。
⑨墓地から回収した《機織りの季節》をプレイ。再び「あなたがコントロールしていてアーティファクトやクリーチャーである1つを選ぶ。それのコピーであるトークン1つを生成する。」と「土地でもトークンでもない各パーマネントをそれぞれオーナーの手札に戻す。」のモードを選ぶ。
⑩まず、コピートークンを生成する能力で「戦慄予示」によって戦場に出ている適当な2/2クリーチャーのコピーを生成する。そのあと、土地でもトークンでもない各パーマネントがすべてバウンスされるため、表向きの《アルケヴィオスへの侵攻》と「戦慄予示」によって戦場に出ている裏向きの《アルケヴィオスへの侵攻》が手札に戻る。
上述した手順によって、手札に2枚の《アルケヴィオスへの侵攻》が揃い、墓地に《機織りの季節》が置かれている状況ができあがります。
以降は《アルケヴィオスへの侵攻》Aをプレイして墓地の《機織りの季節》を回収、《アルケヴィオスへの侵攻》Bをプレイし墓地やサイドボードにある好きなインスタント・ソーサリー呪文を手札に加える(回収する)ことができます。
《機織りの季節》によって2/2のクリーチャーのコピートークンを生成しながら、延々と戦場にある《アルケヴィオスへの侵攻》A&Bを同時に手札に戻すことができ、やりたい放題です。
例えば、打ち消しや除去を好きなだけ手札に抱えてターンを返し、次の相手の動きをすべて妨害してから、再び返ってきたターンに2/2トークン全員で攻撃して勝利というのも確実なプランです。
あるいは、サイドボードに《稲妻波》や《稲妻の一撃》といったカードを忍ばせておけば、相手にターンを渡すことなく、自分のターンで火力呪文を無限に唱えて勝つことも可能です。
とはいえ、ただでさえ《機織りの季節》と《肝冷やしの手》で貴重なサイドボードの枠を2枚分占有しているため、火力呪文の採用までは過剰かもしれませんね。
実際、今大会で優勝したリストも火力呪文の採用はなく、ターンが返ってくるのを待つ構成となっておりました。打ち消しを構えていれば、ほぼ負けないということでしょう。
一度は使ってみたい《全知》。コンボデッキが好きな方、ぜひ、一度試してみてはいかがでしょうか。
1/12(日)『Standard Challenge 64』
最後に1/12(日)に開催された『Standard Challenge 64』の結果をチェックしていきましょう。90名が参加しました。
開催日:2025年1月12日(日)
優勝 エスパーピクシー
準優勝 ディミーアミッドレンジ
3位 アゾリウスアグロ
4位 シミックテラー
5位 グルール果敢
6位 アゾリウス全知
7位 ゴルガリミッドレンジ
8位 ディミーアミッドレンジ
ミッドレンジ系のデッキが活躍するなか、優勝は流行デッキの「エスパーピクシー」でした。
エスパーピクシー
昨年末に彗星の如く登場し、あっという間にトップティアまで駆け上がったのが「エスパーピクシー」と呼ばれるデッキです。
元々、《養育するピクシー》で《望み無き悪夢》や《逃げ場なし》を使い回すオルゾフカラーのデッキは一定数存在していましたが、これといった大会での実績はありませんでした。
しかし、カワウソコンボでメジャーになった《この町は狭すぎる》と《嵐追いの才能》のパッケージが輸入され、エスパーカラーになったことで人気が急上昇。
《養育するピクシー》のほかに《この町は狭すぎる》《孤立への恐怖》といったセルフバウンス要素が追加されたことでデッキの再現性が高くなり、バウンスする対象に《嵐追いの才能》が加わったことで能動的に攻め手を増やすという選択肢が生まれ、アグロからランプまであらゆるゲームレンジの相手と対等以上に戦えるようになりました。
また、エスパーピクシーの多くはメインもしくはサイドに《幽霊による庇護》が採用されています。
現スタンダード環境では実績的にもグルール果敢が一歩抜きんでている印象がありますが、《幽霊による庇護》はアグロ系のデッキにはこの上なく刺さるキーカードです。特に《呑気な物漁り》によって大幅強化したクリーチャーに付ければ、ライフレースを一気に逆転できるでしょう。
最近のリストでは《悪夢滅ぼし、魁渡》のおかげで全体クリーチャー除去にもある程度の耐性があり、かなりバランスがとれたデッキという印象です。
ちなみに最近、たまに見られるアレンジとしては「違和感」でドローが誘発する《精体の追跡者》や、使い回すことで墓地のクリーチャーを回収するエンジンとなる《解剖室》の採用例を確認できています。よりリソース獲得に重きを置いた構成ですね。
エスパーピクシーを巡ってはまだまだ研究の余地がありそうで、今後もシェアが拡大するにつれていろんなカードの採用が見られるのではないでしょうか。
おわりに
「出る杭は打たれる」という言葉がありますが、最近では《望み無き悪夢》対策として《強情なベイロス》や《萎れ葉のしもべ》を採用するデッキが増えています。
新デッキが活躍するとメタゲームが回り、対策として意外なカードに白羽の矢が立つのが面白いですね!
アゾリウス全知も今後、徐々に使用者が増えることが予想されますが、ダイナミックすぎて非常に対策しがいがあるデッキとなっております。まずはオーソドックスにサイドボードの墓地対策を増やしていくのが良さそうです。アゾリウス眼魔も同時に対策できますね。
さて、次はどんなデッキが活躍するでしょうか。次回の大会結果もお楽しみに!