情報を制す者はマジックを制す。
特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。
すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。
当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。
カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。
【第4期神決定戦】
先週末には【第4期神決定戦】が開催された。本試合は【ニコニコ生放送】でも中継されており、これをご覧になっていたという方も多いのではないだろうか?
『第4期神』の座を襲名・防衛したのは高橋 優太(スタンダード神)、市川 ユウキ(モダン神)、川北 史朗(レガシー神)の3名である。
まさに『神』の名にふさわしい、そうそうたるプレイヤーたちが並んでいる。さらに本日より試合のテキストカバレージや動画が順次アップロードされていく予定なので、当日の試合を見逃したという方はぜひチェックしていただきたい。
また、『第5期神挑戦者決定戦』はレガシーが10月12日(月・祝)、スタンダードが11月3日(月・祝)、モダンが11月28日(土)となっている。(詳細は【こちら】)
読者の方々にも、ぜひ『神』を目指して挑戦してみてほしい。
主要な出来事はこのくらいだろうか。
さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。
1. 洞察のランタン
先週開催された【GPオクラホマシティ】で優勝を飾り話題となったデッキのキーカード。
それがこの《洞察のランタン》だ。
1 《森》 4 《空僻地》 4 《ラノワールの荒原》 2 《黒割れの崖》 1 《銅線の地溝》 1 《氷の橋、天戸》 2 《アカデミーの廃墟》 2 《幽霊街》 -土地(17)- 3 《呪文滑り》 -クリーチャー(3)- |
4 《古きものの活性》 4 《コジレックの審問》 2 《外科的摘出》 2 《思考囲い》 2 《突然の衰微》 1 《ギラプールの霊気格子》 4 《オパールのモックス》 4 《写本裁断機》 4 《グール呼びの鈴》 4 《洞察のランタン》 3 《真髄の針》 2 《黄鉄の呪文爆弾》 4 《罠の橋》 -呪文(40)- |
3 《紅蓮地獄》 1 《自然の要求》 1 《古えの遺恨》 4 《太陽のしずく》 3 《溶接の壺》 2 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
《洞察のランタン》により対戦相手のデッキトップを検閲しつつ、有効牌は《グール呼びの鈴》や《写本裁断機》でシャットアウト。ひとたびこれが決まれば、対戦相手は延々と土地や無効牌を引き続けることになる。
その後はじっくりとライブラリーアウトを狙うか、《黄鉄の呪文爆弾》+《アカデミーの廃墟》によるダメージで勝利するプリズン系のデッキである。
より詳細なデッキの解説についてはHareruya Prosメンバーである津村健志の記事、【コガモダン vol.11 ~モダンの可能性を示したグランプリ・シャーロット2015~】および【ランタン・コントロールのその後】を参照されたし。
上記リストでは『マジック・オリジン』からの新カード《ギラプールの霊気格子》も採用されている。これにより盤面を制したりライフを攻めやすくなっているのはもちろん、苦手なプレインズウォーカーにも触ることもできるようになっている。
【GPシャーロット】でこのデッキがべスト16に残ったときには、誰もが「おもしろいデッキだけど一発屋だろうな」と思ったであろうこのアーキタイプ。今回GPを優勝したことで、その実力がマグレではないことが証明されたと言える。
モダン環境はますます難解で、興味深いものとなっている。もしモダンをプレイしたことのないプレイヤーは、ぜひ一度遊んでみるとよいだろう。必ずあなた好みのデッキが存在するはずだ。
2. 時を越えた探索
【第4期神決定戦】レガシーは「Grixis Delver」対「Grixis Control」という試合だった。
現神・川北 史朗と挑戦者・斉藤 伸夫による一進一退の熱い激戦、このマッチアップの鍵を握った1枚が《時を越えた探索》である。
スタンダードはもちろん、レガシーでも大活躍のこのカード。「探査」をフル活用すればわずか2マナで唱えることができ、もたらされる圧倒的なアドバンテージは絶大。1度通してしまえばゲームを決めてしまえるほどのパワーを持った強力なカードだ。
現在のレガシー環境ではこの《時を越えた探索》に対抗するべくメインボードから《紅蓮破》を採用したデッキが横行しているほど。実際【第4期レガシー神決定戦】の第4ゲームなどで、川北が劣勢の状況からこのカードを繰り出し勝利を収めている。
年末の【The Last Sun 2015】や来年の「GP千葉2016」など、国内ではレガシートーナメントも盛り上がってきている。
新規参入の敷居は少しばかり高いが、他に類を見ない圧倒的なカードパワーでの試合が楽しめるのがレガシーの魅力の一つだ。マジックが好きならば、ぜひ一度は遊んでみてほしい。
3. 電弧連鎖
『戦乱のゼンディカー』のカードプレビューが続々と公開されている。新しいカードやメカニズムを利用した新デッキを組みたくてうずうずしているというプレイヤーは筆者だけではないはずだ。
特に「同盟者」に注目しているというプレイヤーも多いのではないだろうか? 強力な【部族サポート土地】も公開され、強力なシナジーを形成する「同盟者」デッキがいよいよ形を成しそうだ。
そこで、筆者が考える「同盟者」デッキに適した至高の1枚をご紹介しよう。
それがこの《電弧連鎖》だ。
このカードを使用するとある特定の条件下で無限コンボを発生させることができる。そして、その条件を満たすのに「同盟者」という種族は非常にマッチしている。
その条件とは、下記の3つだ。
(1) 破壊不能と絆魂の両方を持ったクリーチャーを2体以上コントロールしている。
(2) (1)のクリーチャーに対しそれぞれ《電弧連鎖》をプレイする。
(3) 《電弧連鎖》の対象となったクリーチャーのどちらかがダメージを受ける。
(2) (1)のクリーチャーに対しそれぞれ《電弧連鎖》をプレイする。
(3) 《電弧連鎖》の対象となったクリーチャーのどちらかがダメージを受ける。
するとどうなるか? ここでは仮に(1)と(2)の条件を満たしたクリーチャー2体をそれぞれA・Bと呼び、(3)でAが1点のダメージを受けたとしよう。
● Aの《電弧連鎖》の能力が誘発し、Aを発生源として各プレイヤーおよびBを含む各クリーチャーに1点のダメージが入る。
● 絆魂の常在型能力(置換効果)によって、Aが与えた総ダメージ分だけAのコントローラーのライフが回復する。
● Bに1点のダメージが与えられたので《電弧連鎖》の能力が誘発し、Bを発生源として各プレイヤーおよびAを含む……(以下ループ)
● A・Bは破壊不能を持つのでいくらダメージを与えあっても死亡せず、自分は絆魂によってライフを回復し続けているので敗北しない。そして対戦相手はこの過程で無限にダメージを受ける。
● 絆魂の常在型能力(置換効果)によって、Aが与えた総ダメージ分だけAのコントローラーのライフが回復する。
● Bに1点のダメージが与えられたので《電弧連鎖》の能力が誘発し、Bを発生源として各プレイヤーおよびAを含む……(以下ループ)
● A・Bは破壊不能を持つのでいくらダメージを与えあっても死亡せず、自分は絆魂によってライフを回復し続けているので敗北しない。そして対戦相手はこの過程で無限にダメージを受ける。
つまり勝てるのだ。
もちろん筆者自身、こんな条件を簡単に満たせるわけがないというのは承知している。しかし、下の3枚のカードに注目してほしい。
そう、この条件はすべて「同盟者」たちで満たすことができるのだ。
もちろん、これら3枚のクリーチャーに加えて《電弧連鎖》の計4枚を揃えるのは容易ではない。しかし、『戦乱のゼンディカー』には「同盟者」を探すカードも存在している。それがこの《待ち伏せ隊長、ムンダ/Munda, Ambush Leader》だ。
基本的には「同盟者」ビートダウンとして動きつつ、盤面が拮抗してきたら《電弧連鎖》コンボで一瞬でライフを刈り取る。せっかく揃いつつあった戦力が《衰滅》されたなら、《墓所からの行進/March from the Tomb》で再展開も可能である。
横のシナジーと墓地利用で粘り強く戦い、劣勢からもコンボによる一撃死プランが取れるこのデッキ。「新環境に何を組んだらいいかわからない!」と嘆いているプレイヤーは、こんな少し軸をずらしたコンセプトからデッキをチューンしてみるのもいいかもしれない。
いかがだっただろうか?
今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。
次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。
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