情報を制す者はマジックを制す。
特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。
すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。
当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。
カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。
【『戦乱のゼンディカー』全収録カード公開】
9月18日の日本時間深夜、ついに『戦乱のゼンディカー』の全収録カードが公開された。
環境に影響を与えそうなカードも多く公開されており、チラ裏だが筆者も《幽霊火の刃》を4枚積んだジャンド中隊エルドラージや《マラキールの解放者、ドラーナ/Drana, Liberator of Malakir》を採用したハンガーバックドラーナなどを試してみている。
今週末に控えるプレリリースイベントも全国のカードショップおよび 【晴れる屋】 にて開催されるので、ぜひ皆さんお誘いあわせの上ご参加いただければ幸いである。
【ワールド・マジック・カップ2015名古屋予選】
8月22-23日に開催された【ワールド・マジック・カップ予選(WMCQ)大阪】、9月5-6日に開催された【WMCQ東京】に続いて、先週末には【WMCQ名古屋】が開催された。
渡辺 雄也(神奈川/前年度プロポイント日本1位)、玉田 遼一(和歌山/【WMCQ大阪】突破)、楊 塑予(東京/【WMCQ東京】突破)の3名に続いて日本代表の座を獲得したのは、Hareruya Pros所属の殿堂プレイヤーである津村 健志(東京)!
【WMCQ】
改めて、ワールド・マジック・カップ2015名古屋予選
優勝、そして日本代表の座を勝ち取ったのは、
津村 健志 選手です!
おめでとうございます!WMCでの活躍を期待いたします!
#mtgjp #WMCQ pic.twitter.com/X9QDthD5oH
— ホビーステーション名駅店 (@hbst_meieki) 2015, 9月 20
これにて12月11-13日にスペイン・バルセロナで開催されるワールド・マジック・カップ2015本戦へと出場するメンバーが出揃った。
3年間連続で初日敗退の苦渋を舐めてきた日本代表チームだったが、今年は雪辱を果たすことができるか。日本代表チームを応援してゆこう。
主要な出来事はこのくらいだろうか。
さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。
1. 聖遺の騎士
先週最も世間を騒がせたカードといえばこれを除いてほかにないだろう。
「なぜ今さら《聖遺の騎士》?」と思うプレイヤーの方もいらっしゃるかもしれない。それには、『戦乱のゼンディカー』で公開されたあるエンチャントが大きく影響している。
果たしてこのエンチャントが《聖遺の騎士》とどのように関係するのか。下記の図をご覧いただきたい。
このように、《聖遺の騎士》の起動型能力で土地を戦場に出し、《珊瑚兜への撤退/Retreat to Coralhelm》の能力を誘発させる。森タイプか平地タイプを持った土地を戦場に出すことでこの動きをループさせることができるので、(森か平地がなくなるまで)《聖遺の騎士》をパンプアップし続けることができるのだ。
さらに上図のコンボは《極楽鳥》や《貴族の教主》といったマナクリーチャーを経由することで掟破りの3ターンキルも可能である。
同じくエンチャントを利用したコンボデッキである【欠片の双子コンボ】などと比べると《聖遺の騎士》単体でのフィニッシュ力が高いこと、《珊瑚兜への撤退/Retreat to Coralhelm》を先置きできることなどが差となるだろう。
眉唾モノだが、世界中で話題となっているこのコンボ。『戦乱のゼンディカー』リリース後は、しばしば見かけるようになるかもしれない。
2. 硬化した鱗
《マラキールの解放者、ドラーナ/Drana, Liberator of Malakir》のカードプレビューが公開されたとき、誰もが(?)思い浮かべたであろうこのコンボ。
ここで思い起こされる《硬化した鱗》といえば【Dig.cards】所属のシルバーレベル・プロである行弘 賢選手が【プロツアー『マジック・オリジン』】に持ち込んだデッキが話題となったことは記憶に新しい。
7 《森》 5 《平地》 4 《吹きさらしの荒野》 3 《マナの合流点》 4 《豊潤の神殿》 -土地(23)- 4 《搭載歩行機械》 4 《名誉ある教主》 2 《鱗の召使い》 4 《毅然さの化身》 4 《アブザンの鷹匠》 4 《マナ喰らいのハイドラ》 -クリーチャー(22)- |
2 《神々の思し召し》 4 《ドロモカの命令》 4 《硬化した鱗》 3 《城塞の包囲》 2 《英雄の導師、アジャニ》 -呪文(15)- |
3 《巨森の予見者、ニッサ》 3 《スズメバチの巣》 3 《勇敢な姿勢》 2 《神聖なる月光》 1 《不動のアジャニ》 1 《英雄の導師、アジャニ》 2 《太陽の勇者、エルズペス》 -サイドボード(15)- |
『タルキール覇王譚』当初は見向きもされないレアといった不遇な扱いを受けていたが、『マジック・オリジン』で《搭載歩行機械》と《マナ喰らいのハイドラ》の登場によりスポットが当てられ、徐々に構築でも姿を見せるようになってきた《硬化した鱗》。
『戦乱のゼンディカー』で新たに追加される戦力は、果たして《硬化した鱗》とともに使われることになるだろうか。これからの活躍に期待が高まる1枚である。
3. 包囲サイ
【WMCQ名古屋】で優勝を収めたHareruya Pros所属の津村 健志選手が使用していたデッキは「ハンガーバック・アブザン」(【白黒緑ビートダウン】)だった。
3 《森》 2 《平地》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《砂草原の城塞》 4 《疾病の神殿》 2 《静寂の神殿》 3 《ラノワールの荒原》 3 《コイロスの洞窟》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(26)- 4 《棲み家の防御者》 4 《羊毛鬣のライオン》 3 《搭載歩行機械》 3 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 1 《巨森の予見者、ニッサ》 4 《包囲サイ》 1 《黄金牙、タシグル》 -クリーチャー(20)- |
2 《思考囲い》 3 《ドロモカの命令》 1 《究極の価格》 3 《アブザンの魔除け》 2 《英雄の破滅》 1 《真面目な訪問者、ソリン》 1 《英雄の導師、アジャニ》 1 《太陽の勇者、エルズペス》 -呪文(14)- |
2 《アラシンの僧侶》 2 《思考囲い》 2 《異端の輝き》 2 《究極の価格》 2 《悲劇的な傲慢》 1 《自傷疵》 1 《正義のうねり》 1 《霊気のほころび》 1 《ドロモカの命令》 1 《太陽の勇者、エルズペス》 -サイドボード(15)- |
『タルキール覇王譚』リリース後から常にメタゲームの上位に君臨し続け、アグロ~コントロールまで環境に合わせて進化を遂げてきたアブザンデッキは、THS~KTK期のスタンダードを締めくくる【WMCQ名古屋】の覇者に相応しいアーキタイプと言えるだろう。
『テーロス』ブロックがローテーション落ちすることで、《思考囲い》や《羊毛鬣のライオン》、《胆汁病》といった一部のカードは姿を消すことになるが、それら以外のほとんどの主要パーツが残るアブザンは今後も強力なアーキタイプの筆頭であり続けるだろう。
その主力である《包囲サイ》とは、これからも顔を合わせることになりそうだ。
いかがだっただろうか?
今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。
次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。
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