情報を制す者はマジックを制す。
特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。
すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。
当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。
カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。
【プロツアー『戦乱のゼンディカー』】
先週末には【プロツアー『戦乱のゼンディカー』】がアメリカ・ウィスコンシン州ミルウォーキーで開催された。
今大会で【アブザンビートダウン】を操り見事に優勝を収めたのは、BIGMAGIC所属プロ・瀧村 和幸(東京)! さらに準優勝は【WMCQ大阪】を制し、日本代表となった玉田 遼一(和歌山)! なんと今大会では、
5試合目までもつれ込んだ熱い決勝戦。もし見逃したという方がいらっしゃるなら、ぜひとも【ニコニコ生放送】のタイムシフトでご視聴いただきたいものである。
来月には【GP神戸】も開催される。恐らくこれは、これまでの日本国内GPと比べても世界的な注目度の高いグランプリとなるであろう。今から結果が楽しみである。
主要な出来事はこのくらいだろうか。
さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。
1. 《絹包み》
さて、【プロツアー『戦乱のゼンディカー』】で最も活躍したカードは何だろうか?
下馬評通り“プロツアー《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》“と揶揄されるほどギデオンが活躍していたことは間違いないが、あらゆるデッキに採用されていたカードという意味ではまず間違いなく《搭載歩行機械》が挙がるだろう。
そして、この《搭載歩行機械》への回答として、アブザンやジェスカイを始めとする多くの白いデッキにメインボードから採用されていた対策カードが《絹包み》だ。
万が一《絹包み》が破壊されることがあったとしても、《搭載歩行機械》は+1/+1カウンターが0個の状態で戦場に戻るため即座に墓地に落ち、トークンが残るといったこともない。現環境では数少ない、《搭載歩行機械》を後腐れなく完全に葬れる軽い除去カードだ。
《ドロモカの命令》のような裏目こそあるものの、《先頭に立つもの、アナフェンザ》や《死霧の猛禽》、《カマキリの乗り手》、《ヴリンの神童、ジェイス》といったクリーチャーも除去できる汎用性の高い除去カードとして、今後も多く見かけることになりそうだ。
ちなみに、《搭載歩行機械》を使う側へのアドバイスとしてはこのカードは《未達への旅》や《忘却の輪》ではないということだろうか。《絹包み》のETB能力の解決前に、《ドロモカの命令》などインスタントタイミングで《絹包み》を処理してやれば、《搭載歩行機械》は一瞬たりとも戦場から離れることはない。
言っている意味がよくわからないという方は、【MTG Wiki: ナイトメア能力】について読んでみるとよいだろう。誰もがジャッジになれるほどの知識を持つ必要はないだろうが、ルールやカードのテキストに精通していることで得をすることは多いはずだ。
2. 《異端の癒し手、リリアナ》
【プロツアー『戦乱のゼンディカー』】で一際異彩を放っていたデッキがあった。
8 《沼》 1 《島》 3 《窪み渓谷》 4 《汚染された三角州》 4 《血染めのぬかるみ》 2 《溢れかえる岸辺》 1 《領事の鋳造所》 -土地(23)- 4 《搭載歩行機械》 4 《血に染まりし勇者》 4 《シディシの信者》 4 《スゥルタイの使者》 4 《ズーラポートの殺し屋》 4 《異端の癒し手、リリアナ》 4 《ナントゥーコの鞘虫》 4 《つむじ風のならず者》 -クリーチャー(32)- |
4 《残忍な切断》 1 《吸血の儀式》 -呪文(5)- |
3 《強迫》 3 《軽蔑的な一撃》 3 《完全無視》 2 《魂の略奪者》 2 《究極の価格》 1 《否認》 1 《吸血の儀式》 -サイドボード(15)- |
それがこの『青黒アリストクラッツ』だ。
デッキ名にあるアリストクラッツって何?と思った方も多いであろう。本家のアリストクラッツ(「The Aristocrats」)はISD~RTR期に活躍していたスタンダードのデッキで、《ファルケンラスの貴種》と《カルテルの貴種》という2つの生贄エンジン、貴種(Aristocrat)を軸に攻めるアグロコンボである。
数々のシナジーを武器に華麗に戦うこの「The Aristocrats」には未だに根強いファンが多く、似たような動きをする今回の「青黒アリストクラッツ」にもその名が受け継がれたという流れだ。
【デッキテク】も公開されているので、面白いデッキを回してみたい!という方は、ぜひ組んでみてはいかがだろうか?
3. 《はじける破滅》
【プロツアー『戦乱のゼンディカー』】で最も高い2日目進出率を誇った【アタルカレッド】に次いで多くのプレイヤーが選択し、上位に入賞したデッキが【多色ジェスカイ】(ダークジェスカイ)だ。
従来のジェスカイに比べ、黒を足したことによって環境最強の除去カードと名高い《はじける破滅》を採用することができるのが最大の強みである。
他にも《ヴリンの神童、ジェイス》と相性の良い《コラガンの命令》が採用されていたり、トップ4に入賞した【Jon Finkelのリスト】などでは《黄金牙、タシグル》の採用も見られた。
環境に明確に弱点と呼べるアーキタイプが存在しないこのダークジェスカイ。【GP神戸】でも台風の目となることは間違いないだろう。
いかがだっただろうか?
今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。
次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。
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