情報を制す者はマジックを制す。
特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。
すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。
当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。
カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。
【『統率者(2015年版)』の全カードリストが公開される】
先週末には『統率者(2015年版)』の全ての収録カードが公開された。本セットでは対抗色がフィーチャーされており、各セットにつき15枚(総数56枚)の新規カードが収録されている。本セットに収録されるカードは「統率者戦」および「レガシー」「ヴィンテージ」で使用可能となるため、統率者プレイヤーのみならずともチェックしていたという方は多いのではないだろうか?
対抗色の「統率者」候補は選択肢自体が決して多いとは言えず、対抗色好きのプレイヤーにとっては垂涎の伝説のクリーチャーが目白押しとなっている。また、『テーロス』ブロックの《メレティスのダクソス》や『ミラディンの傷跡』ブロックの《背教の主導者、エズーリ》などが新規カードとして衝撃的な再登場を果たしており、ストーリー好きのプレイヤーにとっても要チェックだ。
「統率者戦」の詳しい遊び方やデッキ構築に関してはぜひ【こちらの記事】をご一読いただきたい。
主要な出来事はこのくらいだろうか。
さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。
1. 《風番いのロック》
今、「最優先で4枚揃えるべきカードは何か」と問われたとき、あなたならば何と答えるだろうか?
各々の回答があることだろうが、筆者ならばこのカードを推す。
そう、《風番いのロック》だ。
今、【アブザンビートダウン】をはじめとして【新興勢力の白黒トークン】などでも大活躍中の《風番いのロック》。しかるべきデッキでは4枚採用されうるカードであり、「強襲」を達成したならばうっかり1マナ軽くなってしまった《若き群れのドラゴン》と呼んでも過言ではない。
殊に《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》からの《風番いのロック》という4→5マナの挙動はもはやコンボと言っても差し支えないほどに強烈で、ZEN~SOM期の《精神を刻む者、ジェイス》からの《ギデオン・ジュラ》を彷彿とさせる。
4枚必要とされる神話レアがどうなるか、その記憶はすでに我々のミームに刻み込まれている。
前環境では《危険な櫃》を搭載した青黒コントロールなど環境に全体除去も多く見られ、そのポテンシャルを活かしきれなかった《風番いのロック》だが、現在のような殴り合い環境であればそのスペックは大いにライフレースの助けとなるだろう。環境大本命のムーブに寄与する1枚として、ぜひデッキに入れたいクリーチャーである。
2. 《放浪する森林》
【SCGO Philadelphia】で2位に入賞したAbzan Blueに採用されている『戦乱のゼンディカー』の新進気鋭のクリーチャー。
それが《放浪する森林》である。
2 《森》 2 《沼》 1 《平地》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《樹木茂る山麓》 3 《汚染された三角州》 2 《梢の眺望》 1 《大草原の川》 1 《燻る湿地》 1 《窪み渓谷》 -土地(25)- 4 《搭載歩行機械》 4 《始まりの木の管理人》 2 《棲み家の防御者》 4 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 4 《包囲サイ》 3 《放浪する森林》 2 《風番いのロック》 -クリーチャー(23)- |
2 《頑固な否認》 3 《ドロモカの命令》 4 《アブザンの魔除け》 3 《残忍な切断》 -呪文(12)- |
3 《絹包み》 2 《棲み家の防御者》 2 《払拭》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《悲劇的な傲慢》 1 《風番いのロック》 1 《ドロモカの命令》 1 《悪性の疫病》 1 《真面目な訪問者、ソリン》 -サイドボード(15)- |
純正の【アブザンビートダウン】に採用されるクリーチャーの中でも「収斂」4色で唱えられた《放浪する森林》を素で超えられるサイズのものはおらず、対戦相手の《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の返しにプレイしても強力で、ミラーマッチを強烈に意識したクリーチャー選択と言える。
警戒を持つため攻撃も行いやすく、前項の《風番いのロック》の「強襲」も達成しやすい。しかして【アブザンビートダウン】対策によく見られるサイドボードカードの《影響力の行使》も、《束縛なきテレパス、ジェイス/Jace, Telepath Unbound》の「+1」能力と組み合わせられでもしない限りは影響を受けない。
除去耐性のなさから《はじける破滅》や《究極の価格》で容易に除去されてしまうように思われるが、このAbzan Blueではメインボードから《頑固な否認》が搭載されているため一筋縄にはいかなそうだ。
《白蘭の騎士》入りのアブザンや今回のタッチ青型のアブザンなど、そのバリエーションも増している。はたして来週末の【GP神戸】の覇者となるのはどのデッキだろうか……。
3. 《モックス・ダイアモンド》
動きがあったのはスタンダードだけではない。レガシーフォーマットで開催された【GP Seattle-Tacoma】で優勝を収めたデッキは、なんと【土地単】だった!
そんな【土地単】デッキのキーとなるのがこの《モックス・ダイアモンド》だ。
《罰する火》などの強力なアドバンテージ・エンジンを有し、打ち消しの効かない《暗黒の深部》+《演劇の舞台》コンボによる突然死も狙え、Delver系のデッキに対してはほぼ無双と言えるほどの強さを誇るデッキである。
1 《森》 2 《Taiga》 2 《新緑の地下墓地》 1 《吹きさらしの荒野》 1 《樹木茂る山麓》 4 《燃え柳の木立ち》 2 《平穏な茂み》 4 《暗黒の深部》 4 《リシャーダの港》 4 《演劇の舞台》 4 《不毛の大地》 1 《裂け岩の扉》 3 《Maze of Ith》 1 《Glacial Chasm》 1 《The Tabernacle at Pendrell Vale》 -土地(35)- -クリーチャー(0)- |
4 《輪作》 4 《ギャンブル》 4 《壌土からの生命》 4 《罰する火》 4 《踏査》 1 《マナ結合》 4 《モックス・ダイアモンド》 -呪文(25)- |
4 《クローサの掌握》 4 《抵抗の宝球》 2 《窒息》 1 《ボジューカの沼》 1 《Karakas》 1 《溶鉄の渦》 -サイドボード(15)- |
一見すると《不毛の大地》が効果的なようにも思われるが、《壌土からの生命》によってすぐに土地を取り戻されてしまうので一時的な時間稼ぎにしかならない。《血染めの月》は有効だが、【GP Seattle-Tacoma】で優勝を収めたリストでは《血染めの月》対策としてサイドボードに《溶鉄の渦》が採用されている。
ちなみに【土地単】などという名前のデッキの割に実は土地事故がよく起こる。無色地形が20枚以上入っているため、色マナが出ない(物によっては無色マナすら出ない)といった事態が頻発するのだ。
もし、あなたの向かいに座る対戦相手が1ターン目に《モックス・ダイアモンド》をプレイしてきたら、初見では少々迷うかもしれないが《Force of Will》で対抗してもよいだろう。
いかがだっただろうか?
今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。
次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。
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- MTG Just Now! vol.19 -白蘭の騎士 etc.-
- MTG Just Now! vol.18 -絶え間ない飢餓、ウラモグ etc.-
- MTG Just Now! vol.17 -絹包み etc.-
- MTG Just Now! vol.16 -ゼンディカーの同盟者、ギデオン etc.-
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