情報を制す者はマジックを制す。
特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。
すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。
当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。
カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。
【グランプリ・神戸2015】
※画像は【マジック:ザ・ギャザリング英語公式サイト】より引用させていただきました。 |
蓋を開けてみればアブザンを選択したプレイヤーの中でもトップ8に残ったのは1人のみで、他にはエスパーカラーのコントロールデッキやトークン戦略を用いたデッキなど、しっかりとアブザンアグロへの対策が施されたデッキが勝ち残ったようだ。
年末には【ワールド・マジック・カップ2015】や、晴れる屋主催の招待制イベント【The Last Sun 2015】なども開催される。今年のトリを飾るこれらのイベントで勝ち残るのは果たしてどのデッキになるか。要注目である。
主要な出来事はこのくらいだろうか。
さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。
1. 《アタルカの命令》
【GP神戸】の【決勝戦】で、諸藤 拓馬に劇的な勝利をもたらしたカード。
それがこの《アタルカの命令》だ。
【プロツアー『タルキール龍紀伝』のトップ5カード】でも最高のカードとして紹介されていたこの呪文は【今大会のトップ5カード】でもベストカードに挙げられている。
《道の探求者》や《包囲サイ》によるライフ回復を阻害しつつ3点ダメージを飛ばしたり、《軍族童の突発》などでクリーチャーが横並びしている状況から全体強化のモードで対戦相手のライフをごっそりと削るなど、見かけ以上に便利なこのカードはアタルカレッドにおいてはまさに切り札と呼べる1枚である。
スタンダードのみならず、モダンなど下の環境でも使われている《アタルカの命令》は今後も多くのトーナメントシーンで見かけることになるだろう。
2. 《僧院の導師》
【GP神戸】で注目を集めたのは《アタルカの命令》だけではない。
モダンやレガシー、ヴィンテージなど、下の環境で八面六臂の大活躍を見せる《僧院の導師》はいよいよスタンダードでも牙を剥いた。
2 《平地》 2 《沼》 1 《島》 2 《大草原の川》 1 《窪み渓谷》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 1 《進化する未開地》 4 《コイロスの洞窟》 4 《乱脈な気孔》 -土地(25)- 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《道の探求者》 4 《僧院の導師》 2 《龍王オジュタイ》 -クリーチャー(14)- |
4 《強迫》 2 《蔑み》 2 《勇敢な姿勢》 1 《絹包み》 1 《究極の価格》 2 《破滅の道》 2 《残忍な切断》 2 《宝船の巡航》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 1 《真面目な訪問者、ソリン》 -呪文(21)- |
2 《白蘭の騎士》 2 《層雲の踊り手》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《自傷疵》 2 《正義のうねり》 1 《払拭》 1 《究極の価格》 1 《次元の激高》 1 《見えざるものの熟達》 1 《絹包み》 -サイドボード(15)- |
BIGMAGICのユニフォーム契約プレイヤー、高尾 翔太(東京)が持ち込んだこのデッキ。手札破壊や軽い除去呪文で着実に1対1交換を繰り返していき、《宝船の巡航》のもたらすアドバンテージや《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》のようなプレインズウォーカーでマウントを取りに行くこのデッキでは非クリーチャー呪文も多く採用されており、《僧院の導師》の誘発型能力もトリガーさせやすい。
また、ご存知中村 修平(大阪)もエスパードラゴンのサイドボードに《僧院の導師》を採用しており、【トップ8プロフィール】では“入れておいてよかったカード”として、3枚の《僧院の導師》を挙げている。
話を聞いてる感じいよいよメンターがスタンでもヤバい。
まさに持ってない人は今これを買え!
— くーやん (@kuuyanbm) 2015, 11月 22
BIGMAGICのMTGマネージャーであり【くーやんの「今」、これを買え!】でもお馴染みの日下部 恭平(大阪)をして「今これを買え」と言わしめるクリーチャーである。今後ますます需要の高まりそうな《僧院の導師》、なるべく早いうちに揃えたほうがよさそうだ。
3. 《欠片の双子》
【GP神戸】と時を同じくして、アメリカ・ペンシルベニア州ピッツバーグでは、モダン・フォーマットにて【GP ピッツバーグ】が開催されていた。
そこでトップ8に3名が進出という高いパフォーマンスを発揮していたのが《欠片の双子》コンボだ。
【モダン・フォーマット発足初期】から現在に至るまで、常に“3ターン目《詐欺師の総督》or《やっかい児》→4ターン目《欠片の双子》“のプレッシャーで環境に睨みを効かせてきた《欠片の双子》コンボ。コンボデッキでありながら《稲妻》や《瞬唱の魔道士》、《ヴェンディリオン三人衆》といったユーティリティカードが詰め合わされており、クロック・パーミッションとして立ち回ることもできるこのデッキは愛好家も多い。
最近では《欠片の双子》コンボが苦手としていた緑黒系デッキの隆盛や《精力の護符》コンボのような新アーキタイプの台頭、《引き裂く流弾》をはじめとする対策カードが増えたことなどを受け、若干押され気味のアーキタイプだったが、そのおかげでかえってガードが下がっていたのか今大会の勝ち組デッキとなったようだ。
今週末開催される【第5期モダン神挑戦者決定戦】や、2016年2月5-7日にかけてアメリカ・ジョージア州アトランタで開催されるプロツアー『ゲートウォッチの誓い』でも活躍に期待されるアーキタイプである。
また、まだ先の話ではあるがPPTQのシーズンが移り変われば再び国内でのモダン・フォーマットも盛り上がることだろう。ご興味がある方は、ぜひ一つデッキを組んでみてはいかがだろうか?
いかがだっただろうか?
今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。
次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。
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