MTG Just Now! vol.23 -聖トラフトの霊 etc.-

晴れる屋メディアチーム


 情報を制す者はマジックを制す。

 特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。

 すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。

 当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。


 カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。



【第5期モダン神挑戦者決定戦】

 去る11月28日(土)には【第5期モダン神挑戦者決定戦】が開催された。

 数々の有名プレイヤーも参加する中、見事に優勝を収めたのは「トリコ(ジェスカイ)トラフト」を操る佐藤 啓輔(東京)!



 手に汗握る激戦の数々は動画及びカバレージにて見ることができる。神挑戦者の座を巡るプレイヤーたちの熱気が少しでも伝われば幸いだ。

 他にもデッキテク強豪プレイヤーへのクイックインタビューなど盛りだくさんのコンテンツをぜひご覧あれ!



 主要な出来事はこのくらいだろうか。

 さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。



1. 《聖トラフトの霊》

 【第5期モダン神挑戦者決定戦】を制した佐藤 啓輔の使用デッキ、「トリコトラフト」。


聖トラフトの霊


 そのデッキ名にもあるエースアタッカーが《聖トラフトの霊》である。

 『イニストラード』出身のこのカード。登場時のスタンダードでは「青白デルバー」のフィニッシャーとして活躍し、そのスペックの高さから瞬く間にレガシーなど下の環境でも使われ始めたというクリーチャーである。当然モダンでも強力で、《稲妻》《突然の衰微》を握りしめながら《聖トラフトの霊》に殴りきられてしまったことのある方も多いのではないだろうか。

 ちなみにHareruya Pros・八十岡 翔太が【「マナバーン2016」】誌上にて嫌いなカードに挙げていたカードでもある。気になる方はぜひ本誌を買って確かめてみてほしい。

 「マナバーン2013」でも“なんで印刷されちゃったんだか全然分からない、禁止されるべき”とまで言われている。一部の人からはとことん嫌われているカード、というのも《聖トラフトの霊》の特徴の一つだろう。


聖トラフトの霊


 また、2014年のワールド・マジック・カップ予選で参加者に配布されたイラスト違いの《聖トラフトの霊》も存在する。アーティストは《炎樹族の使者》《断片無き工作員》のイラストを手掛けたIzzy氏だ。幻想的で荘厳な雰囲気の漂う美麗なアートとなっている。

 余談だが、レガシーでは《もみ消し》によって《聖トラフトの霊》の遅延誘発型能力を打ち消すことで天使トークンを戦場に残すことができる。ゲーム後半に腐った《もみ消し》の使い道として《聖トラフトの霊》を使う側はもちろん、使われる側も覚えておくとよいテクニックだ。



2. 《臓物の予見者》

 【第5期モダン神挑戦者決定戦】のファイナリストである行弘 賢が持ち込んだデッキ、「おやつカンパニー」。


臓物の予見者


 そのキーカードとなるのがこの《臓物の予見者》だ。


行弘 賢「おやつカンパニー」
第5期モダン神挑戦者決定戦 (2位)

1 《森》
1 《平地》
1 《沼》
2 《神無き祭殿》
1 《草むした墓》
1 《寺院の庭》
1 《ドライアドの東屋》
4 《吹きさらしの荒野》
3 《湿地の干潟》
3 《新緑の地下墓地》
2 《剃刀境の茂み》
1 《孤立した礼拝堂》

-土地(21)-

4 《臓物の予見者》
4 《宿命の旅人》
3 《膨れ鞘》
4 《血の芸術家》
4 《復活の声》
3 《潮の虚ろの漕ぎ手》
3 《ズーラポートの殺し屋》
2 《カルテルの貴種》

-クリーチャー(27)-
2 《流刑への道》
4 《戦列への復帰》
2 《集合した中隊》
4 《アブザンの隆盛》

-呪文(12)-
4 《ブレンタンの炉の世話人》
3 《精神染み》
2 《オルゾフの司教》
2 《突然の衰微》
2 《ヴェールのリリアナ》
2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-サイドボード(15)-
hareruya



 パッと見の印象だとこのカードの潜在的な強さは分かりにくいかもしれないが、スタンダードでも“サクり台”である《ナントゥーコの鞘虫》を活用したデッキとして「青黒ハスク」や「《先祖の結集》コンボ」のようなデッキが活躍していたことは記憶に新しいだろう。


 任意のタイミングでクリーチャーを死亡させることができるというのは時として凄まじいシナジーを生むことがある。たとえば「おやつカンパニー」にも採用されている《潮の虚ろの漕ぎ手》などは、ETB能力を解決する前に《臓物の予見者》で生け贄に捧げることで対戦相手の手札のカードを1枚永久追放できるのだ。(参照: 【MTG Wiki: ナイトメア能力】)


潮の虚ろの漕ぎ手オルゾフの司教


 あるいはサイドボードの《オルゾフの司教》をインスタントタイミングで生け贄に捧げるのも強力だ。仮に自分が《臓物の予見者》を、対戦相手が《メムナイト》《刻まれた勇者》をコントロールしている状況で《オルゾフの司教》をプレイすれば、以下の方法によってその両方を倒すことができる。


(1). 《オルゾフの司教》のETB能力で「-1/-1」のモードを選択する。

(2). ETB能力が解決される前に《オルゾフの司教》を生け贄に捧げる。

(3). 「憑依」能力が誘発し、対戦相手の《メムナイト》を対象に「憑依」させる。

(4). スタックに積まれた「-1/-1」能力が解決される。

(5). 対戦相手の《メムナイト》が死亡する。

(6). 《オルゾフの司教》の誘発型能力がスタックに乗る。(モードは「-1/-1」)

(7). 合計で「-2/-2」修正を受けた《刻まれた勇者》が死亡する。



 他にも《宿命の旅人》を生け贄に捧げて飛行クリーチャーをブロックしたり、その見かけ以上に戦略の幅を広げる《臓物の予見者》。きっと使えば使うほど病みつきになっていくことだろう。






 いかがだっただろうか?

 今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。

 次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。



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