情報を制す者はマジックを制す。
特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。
すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。
当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。
カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。
【ワールド・マジック・カップ2015がいよいよ開幕】
今週末にはいよいよ【ワールド・マジック・カップ2015】が開催される。スペイン・バルセロナの地で開催される今大会は、12月11日(金)18時から【ニコニコ生放送】にて中継も行われる予定だ。
【企画記事】WMCを戦う4人のプロフィールを公開しました!ちょっと変わったプライベートに迫る質問も……? 『ワールド・マジック・カップ2015 日本代表プロフィール』 https://t.co/HX0MLMopMG #mtgjp pic.twitter.com/Z6VBEyvdGE
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) 2015, 12月 7
開催に先立って、【選手たちのユニークなプロフィール】も公開され話題を呼んでいる。出場選手たちの休日の過ごし方などは非常に各選手の個性が出ており、必見だ。
我らがHareruya Prosから津村 健志も参加するので、ぜひご声援をいただければ幸いである。
主要な出来事はこのくらいだろうか。
さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。
1. 《ダク・フェイデン》
これから年末にかけては【The Last Sun 2015】に【Eternal Festival Tokyo 2015】、【Eternal Party’2015】とイベントが目白押しで、レガシープレイヤーにとってはまさに“師走”の月となりそうだ。
そんな中、SCGで少し変わったデッキが結果を残していた。
《ダク・フェイデン》入りの「UB Tezzeret」である。
2 《島》 1 《沼》 4 《Underground Sea》 2 《Volcanic Island》 4 《汚染された三角州》 4 《古えの墳墓》 3 《不毛の大地》 2 《裏切り者の都》 1 《アカデミーの廃墟》 -土地(23)- 4 《悪意の大梟》 1 《概念泥棒》 -クリーチャー(5)- |
2 《Transmute Artifact》 4 《Force of Will》 1 《The Abyss》 4 《虚空の杯》 4 《モックス・ダイアモンド》 2 《ディミーアの印鑑》 2 《罠の橋》 2 《飛行機械の鋳造所》 2 《弱者の剣》 1 《世界のるつぼ》 3 《ダク・フェイデン》 4 《ボーラスの工作員、テゼレット》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(32)- |
4 《虚空の力線》 2 《磁石のゴーレム》 2 《毒の濁流》 2 《血染めの月》 1 《コラガンの命令》 1 《誤った指図》 1 《The Abyss》 1 《三なる宝球》 1 《Helm of Obedience》 -サイドボード(15)- |
《ダク・フェイデン》は《時を越えた探索》が禁止されるまではその「+1」能力が「探査」と相性が良いこともあり稀に使われていたが、最近では《時を越えた探索》の禁止と《石鍛冶の神秘家》系のデッキが減っていることもあり、あまり見られなくなっていた。このデッキはそんな《ダク・フェイデン》をメインから3枚搭載し、さらに《概念泥棒》までも入れているという意欲作である。
最近ではBUGカスケードが復権してきていることで《祖先の幻視》など《概念泥棒》で盗み甲斐のあるスペルも増えている。さらに《渦まく知識》に対応してプレイすれば自分だけ3ドロー&対戦相手は手札2枚をライブラリートップに戻すという暴力的なアドバンテージを稼ぐこともできる。先述の《ダク・フェイデン》とのコンビネーションもまた凄まじい。
4マナという重さは目につくが《突然の衰微》の影響を受けることがない、というのはレガシーでは(特に最近のBUGデルバーの好調を鑑みるに)メリットともなりえるだろう。
また、《概念泥棒》も《ダク・フェイデン》もヴィンテージではよく見られるカードであり、今週末(12月13日・日)に開催される【ヴィンテージ神決定戦】は彼らの真の力を拝める機会になるかもしれない。ぜひともご覧いただければ幸いである。
2. 《集合した中隊》
何を今さら、と思われるかもしれないが、【先週ご紹介した】「おやつカンパニー」に続き、《集合した中隊》をフィーチャーした新機軸のデッキが結果を残している。
その独特なデッキリストをさっそくご覧いただこう。
2 《平地》 1 《森》 4 《湿地の干潟》 4 《吹きさらしの荒野》 2 《乾燥台地》 2 《神無き祭殿》 2 《寺院の庭》 1 《草むした墓》 2 《剃刀境の茂み》 -土地(20)- 4 《貴族の教主》 4 《カルテルの貴種》 4 《潮の虚ろの漕ぎ手》 2 《クァーサルの群れ魔道士》 4 《悪鬼の狩人》 4 《ちらつき鬼火》 2 《オレスコスの王、ブリマーズ》 2 《不毛の地の絞殺者》 -クリーチャー(30)- |
2 《雲隠れ》 4 《集合した中隊》 4 《霊気の薬瓶》 -呪文(10)- |
4 《コーの火歩き》 3 《流刑への道》 2 《戦争の報い、禍汰奇》 2 《大爆発の魔道士》 2 《オルゾフの司教》 2 《石覆い》 -サイドボード(15)- |
クリーチャーの死亡誘発型能力(PIG能力)に焦点を当てた「おやつカンパニー」に対し、このデッキではクリーチャーが戦場に出たときの誘発型能力(ETB能力)を使い倒してやろうという意思が感じられる。特にメインボードの《雲隠れ》やサイドボードの《石覆い》などはこのデッキの方向性を如実に示していると言えるだろう。(特に《雲隠れ》は【ナイトメア能力】とのシナジーもある。)
【一時的に追放するカード】と「昇華者」のコンビネーションについてはすでに【週刊デッキウォッチング vol.40 -白黒追放ビートダウン etc.-】などでも語られていたが、どうやら同様のコンセプトはモダンでも通用するようで、「Abzan Blink」にも採用されている。
このデッキの「昇華者」コンボの例を挙げると、《悪鬼の狩人》と《不毛の地の絞殺者》の組み合わせによる《終止》、《潮の虚ろの漕ぎ手》による《困窮》、《ちらつき鬼火》による《名誉回復》だろうか。いずれの場合もオマケのように《不毛の地の絞殺者》のETB能力である《最後の喘ぎ》が誘発するため、ハマったときのアドバンテージは凄まじいだろう。
モダン環境では“緑を使う=タルモゴイフが4枚入る”と思われがちだが、《集合した中隊》によって「おやつカンパニー」やこのデッキのような新たなコンセプトのデッキが生まれてきている。プレミアイベントのないこの時期に、まだまだ研究の余地がありそうなこのカードを使い倒してみるのも一興だろう。
いかがだっただろうか?
今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。
次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。
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