(スマートフォンの方は【こちら】)
【プロツアー『ゲートウォッチの誓い』】は、モダン環境にとてつもない衝撃をもたらした。
エルドラージ。
【トップ8のうちの6つがエルドラージデッキ】という異常事態。
カードプールの広さと禁止改定があるがゆえの「環境の多様性の担保」がおそらく売りであっただろう、モダンというフォーマットにとって、それは環境始まって以来の未曽有の危機だった。
《ウギンの目》や《エルドラージの寺院》を禁止すべきとの声も多い。事実、先週のSCGは【ベスト16のうち11個がエルドラージデッキ】と猛威を振るっている。
だが、ここでは禁止すべき/すべきでないといった議論には立ち入らない。
少なくとも、結論を出すにはまだ早いように思うからだ。
確かにエルドラージは強力なデッキだ。8枚の2マナランドを使って極めて早いターンに脅威を送り出してくるし、《虚空の杯》で行動を制限したりもしてくる。
その圧倒的で暴力的な展開力と当たったときの絶望感は、マジックの背景世界ストーリーにおいてゼンディカー次元を襲うエルドラージを想起させるほどだ。
しかし、エルドラージは本当に最強のデッキなのだろうか?
結論を急ぐ前に、エルドラージと、それに伴う周囲のデッキの状況について、もっとよく知る必要があるのではないか。
そこで今回は、モダンでエルドラージを使いたいという人に向けたいくつかのエルドラージデッキの簡単な紹介と、エルドラージ以外のデッキが使いたいという人に向けた今注目されているデッキの紹介をしていこうと思う。
■ 1. エルドラージデッキを使う
これは最も簡単な選択肢だが、同時に最も難しい選択肢でもある。
なぜなら一口に「エルドラージを使う」といっても、「じゃあどのエルドラージデッキを使うのか?」という問題が新たに浮上してくるからだ。
信じがたいことに、プロツアーから2週間以上が経った今もエルドラージデッキのレシピは固まりきっていない。
「無色エルドラージ」「青赤エルドラージ」「赤緑エルドラージ」「青白エルドラージ」など、どれも《難題の予見者》と《現実を砕くもの》を採用しているという点は概ね変わらないものの、その他のカードの構成次第で様々なタイプが存在するのだ。
プロツアーが終わってから今までの期間は、多くのモダンプレイヤーにとって「ベストなエルドラージデッキとは何かを追求する」というのがテーマだった。そしてその果てしない探求の旅は、今もまだ終わっていない。
それでは、実際にどのエルドラージデッキを使うべきなのか?
ここでは現時点で存在するエルドラージデッキの代表的なレシピとそれぞれの特性を概観していく。
・無色エルドラージ
始まりにして至高。Channel Fireballが生み出し、【プロツアー『ゲートウォッチの誓い』】のトップ8に3人ものプレイヤーを送り込んだベストデッキがこれだ。
2 《荒地》 3 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 4 《ちらつき蛾の生息地》 3 《変わり谷》 4 《幽霊街》 4 《エルドラージの寺院》 4 《ウギンの目》 -土地(24)- 4 《果てしなきもの》 4 《エルドラージのミミック》 2 《呪文滑り》 4 《猿人の指導霊》 4 《作り変えるもの》 4 《難題の予見者》 4 《現実を砕くもの》 -クリーチャー(26)- |
4 《四肢切断》 4 《虚空の杯》 2 《漸増爆弾》 -呪文(10)- |
4 《大祖始の遺産》 3 《忘却蒔き》 3 《はらわた撃ち》 2 《真髄の針》 1 《呪文滑り》 1 《漸増爆弾》 1 《歪める嘆き》 -サイドボード(15)- |
プロツアー当時は「雑多なデッキが混在するモダン環境を生き抜く」ことが必須条件だったため、《欠片の双子》禁止直後ということもありメタ上位だけでなくTier2~3のデッキにも満遍なく刺さる《虚空の杯》をフィーチャーしたのは極めて効果的な選択だったと言える。
しかし、プロツアーから2週間以上が経過した現在ではメタゲーム事情が多少異なっており、この「無色エルドラージ」の優位性は薄れてしまってきている。
その原因はエルドラージ同型戦の増加にある。
エルドラージデッキの同型戦は、《エルドラージの寺院》《ウギンの目》から《エルドラージのミミック》《難題の予見者》《現実を砕くもの》を高速で展開する点は互いに同一であるため、その他のスロットのカードパワー、特に「《難題の予見者》や《現実を砕くもの》を排除するカード」や「長期戦を視野に入れたカード」の有無で勝敗が決まってくる。
その点この「無色エルドラージ」は《虚空の杯》や《猿人の指導霊》など同型戦であまり意味をなさないカードにスロットを割いてしまっており、同型戦での優位が見込める要素が少ないのだ。
無色ということで《幽霊街》が多めに積めることもあり、相手の《エルドラージの寺院》《ウギンの目》を割っての妨害や、自分の土地を割って《荒地》をサーチできることによる《血染めの月》耐性など、他の種類のエルドラージデッキにできないこともできたりはするのだが、立ち位置としては「《虚空の杯》が効く雑多なデッキには強いものの、同型対決では最も弱い」ということにならざるをえないだろう。
・青赤エルドラージ
【プロツアー『ゲートウォッチの誓い』】の優勝デッキにして、異形のネクストレベル・エルドラージ。
ただでさえ展開力に勝るエルドラージに《空中生成エルドラージ》《不快な集合体》《破滅を導くもの》《希望を溺れさせるもの》といった一見リミテッドレベルに過ぎないカードが加わったことで、《エルドラージの寺院》《ウギンの目》の恩恵を最大限生かして横並べすることが可能となった。
2 《島》 2 《蒸気孔》 4 《沸騰する小湖》 4 《シヴの浅瀬》 3 《魂の洞窟》 1 《宝石の洞窟》 4 《エルドラージの寺院》 4 《ウギンの目》 -土地(24)- 4 《果てしなきもの》 4 《エルドラージのミミック》 4 《空中生成エルドラージ》 2 《破滅を導くもの》 4 《不快な集合体》 3 《エルドラージの寸借者》 4 《難題の予見者》 4 《現実を砕くもの》 4 《希望を溺れさせるもの》 -クリーチャー(33)- |
3 《四肢切断》 -呪文(3)- |
3 《頑固な否認》 3 《ハーキルの召還術》 2 《はらわた撃ち》 2 《虚空の杯》 2 《大祖始の遺産》 1 《呪文滑り》 1 《漸増爆弾》 1 《精霊龍の墓》 -サイドボード(15)- |
「無色エルドラージ」と比べると、このデッキは実質的な3色デッキであるために各色の強力なエルドラージを選抜できており、《猿人の指導霊》の分だけ初速は劣るものの、総合的なデッキパワーが高いのが魅力だ。
だが何より重要なのは、エルドラージデッキ同士のぶつかり合いにおいては、《難題の予見者》すらも容易く受け止める《不快な集合体》と、《現実を砕くもの》を一時的に排除できる《希望を溺れさせるもの》が圧倒的に強いため、「青赤エルドラージ」には同型戦における優位性があるという点だ。
またモダンにおいては対戦相手からは本当に強力なクリーチャーが数体だけ出てくるか、さもなければ全くクリーチャーが出てこない場合が大半のため、《エルドラージの寸借者》はいぶし銀の仕事をする。他にも色を足したことで《頑固な否認》《ハーキルの召還術》などサイドボードが充実している点も見逃せない。
補色が赤である点は《血染めの月》を置かれた際に有利に働く上に、《不快な集合体》は追加の《現実を砕くもの》となる。エルドラージ同型で5/5トランプルに殴られるとリスクを承知でダブルブロックするしかないが、そこに《四肢切断》を合わせればイージーウィンだ。総じて「エルドラージ同型に強い」のがこの形の主な魅力と言えるだろう。
・赤緑エルドラージ
プロツアーの2日目と同日に開催されたMOPTQで華々しく優勝を飾ったエルドラージ界の異端児。
《古きものの活性》による安定性の向上と、そこから探し出せる《コジレックの帰還》+《世界を壊すもの》コンボで横並べ系のクリーチャーデッキに対して鬼のように強いのが売りだ。
1 《森》 1 《山》 1 《踏み鳴らされる地》 2 《樹木茂る山麓》 4 《燃え柳の木立ち》 4 《カープルーザンの森》 4 《エルドラージの寺院》 1 《幽霊街》 4 《ウギンの目》 2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(24)- 4 《果てしなきもの》 4 《エルドラージのミミック》 4 《作り変えるもの》 4 《難題の予見者》 4 《現実を砕くもの》 4 《世界を壊すもの》 -クリーチャー(24)- |
4 《古きものの活性》 4 《コジレックの帰還》 4 《精神石》 -呪文(12)- |
4 《稲妻》 3 《自然の要求》 3 《古えの遺恨》 3 《大祖始の遺産》 2 《塵への崩壊》 -サイドボード(15)- |
《世界を壊すもの》が4枚フル投入されているので、エルドラージ対策として最近日の目を浴びてきた《罠の橋》《崇拝》などの置き物にも困ることはない。
ただ《世界を壊すもの》が7マナと重い上に、通常はマナカーブの頂点に位置している《現実を砕くもの》のマナコストと2つも離れているので、《精神石》で間を埋めているとはいえ、そもそもこのカードを4枚搭載することがエルドラージ・ビートダウンの構造として許容されているのかは疑問がある。
どちらかというと、ビートダウンだけなら本来的には不要なはずの《コジレックの帰還》《世界を壊すもの》コンボを《古きものの活性》という接着剤の力で無理矢理放り込まれているという、いわば本質的に歪さを抱えたデッキなのだ。
とはいえその歪さのおかげで、《コジレックの帰還》が単体で苦手な【親和】デッキ相手に強い上に《コジレックの帰還》+《世界を壊すもの》のコンボは決まれば必殺、同型戦でもほぼすべてのエルドラージが全体5点で流れるという切り札となりうるほどの威力があるため、たとえ過剰なクリーチャーメタや生物の横並べなどによって「エルドラージを倒しにきたデッキ」を組んだとしても、逆に大抵この「赤緑エルドラージ」相手だけは良くて五分・悪くて不利になるという複雑なポジションに立てているのもまた事実だ。要は「赤緑エルドラージ」は「エルドラージメタのデッキに強い」のだ。
ただやはりそのために単体除去のスロットを犠牲にしているため、《難題の予見者》《現実を砕くもの》に触る手段が少なくエルドラージ同型戦での相手のぶん回りに対応できないというのでは、安定性の面からすると欠点が多いということになるのかもしれない。
・青白エルドラージ
エルドラージデッキ同型戦の増加を受けて最近広まりだしたバージョン。プロツアーから2週間、現時点での一つの到達点がこのデッキだ。
1 《島》 1 《平地》 2 《神聖なる泉》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《アダーカー荒原》 2 《魂の洞窟》 2 《コイロスの洞窟》 4 《エルドラージの寺院》 4 《ウギンの目》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(25)- 4 《果てしなきもの》 4 《エルドラージのミミック》 4 《空中生成エルドラージ》 4 《変位エルドラージ》 4 《難題の予見者》 4 《現実を砕くもの》 4 《希望を溺れさせるもの》 -クリーチャー(28)- |
4 《流刑への道》 3 《四肢切断》 -呪文(7)- |
3 《頑固な否認》 3 《安らかなる眠り》 3 《石のような静寂》 2 《はらわた撃ち》 2 《解呪》 2 《崇拝》 -サイドボード(15)- |
《変位エルドラージ》《流刑への道》といった豊富なクリーチャー対策を搭載することで、《難題の予見者》《現実を砕くもの》にハメ殺されることも少ない。また《空中生成エルドラージ》や《希望を溺れさせるもの》と《変位エルドラージ》とのプチコンボは長期戦になってもリソースを稼げるため、エルドラージデッキ同型戦において差をつけられる。
他にも補色を白にしたことで、サイドボードにも《石のような静寂》・《崇拝》・《安らかなる眠り》など多彩かつ強力なものが採れている (エルドラージに限っては親和対策は実は《石のような静寂》より《ハーキルの召還術》の方がいいのではないかという説もあるが)。
「同型戦での優位と、対【親和】戦で相性が(まだしも)良い」という点で、今エルドラージを使うならこの「青白エルドラージ」か、あるいは「青赤エルドラージ」を使うのが無難ではないかと思う。
■ 2. エルドラージ以外のデッキを使う
この段落を読むにあたって理解して欲しい前提としては、今の環境で「エルドラージ以外のデッキを使う」ためにはある程度覚悟がいるということだ。
エルドラージは強い。ぶん回ると手が付けられない上に、以下のうち2つ以上の条件を満たすデッキに対してはほぼ自動的に相性が良くなるため、平常の回りでも既存のデッキの多くに対して有利がつく。
・4キルできない
・《難題の予見者》と《現実を砕くもの》をテンポよく除去/対処することができない
・代替の効きづらい特定のパーツに頼ったコンボデッキで、《難題の予見者》を出されるとキルターンが2ターン以上減速する
・軽いマナ域で回避能力のないクリーチャー数体の戦闘に勝利手段を頼っている
・《難題の予見者》と《現実を砕くもの》をテンポよく除去/対処することができない
・代替の効きづらい特定のパーツに頼ったコンボデッキで、《難題の予見者》を出されるとキルターンが2ターン以上減速する
・軽いマナ域で回避能力のないクリーチャー数体の戦闘に勝利手段を頼っている
だが、エルドラージに対抗する手段が全くない、というわけではない。
ただその手段となるデッキが、今まで常にモダンの上位メタを占めていたデッキたち……バーンや、感染、GBジャンク系といったこれまでのレギュラー陣の顔ぶれとあまりにもかけ離れているため、プレイヤーがその変化に対応しきれていないといった要素もあるように思う。
そこでここでは、エルドラージを攻略する鍵となりそうなデッキをいくつか紹介しておこう。
・【親和】
1 《山》 4 《空僻地》 4 《墨蛾の生息地》 4 《ちらつき蛾の生息地》 4 《ダークスティールの城塞》 -土地(17)- 4 《羽ばたき飛行機械》 3 《メムナイト》 4 《信号の邪魔者》 4 《大霊堂のスカージ》 4 《電結の荒廃者》 2 《鋼の監視者》 1 《呪文滑り》 2 《刻まれた勇者》 1 《エーテリウムの達人》 -クリーチャー(25)- |
4 《感電破》 2 《急送》 4 《オパールのモックス》 4 《バネ葉の太鼓》 4 《頭蓋囲い》 -呪文(18)- |
3 《古えの遺恨》 2 《思考囲い》 2 《鞭打ち炎》 2 《ギラプールの霊気格子》 2 《罠の橋》 1 《呪文滑り》 1 《四肢切断》 1 《虚空の杯》 1 《倦怠の宝珠》 -サイドボード(15)- |
【プロツアー『ゲートウォッチの誓い』】で、エルドラージ以外のデッキで唯一トップ8に入ったアーキタイプがこの【親和】だ。既存のトップメタのデッキの中でも、このデッキだけは変わらない強さを持っている。
エルドラージと比べると速度はほぼ同じかやや早いくらいだが、エルドラージと違ってクリーチャーの大半に回避能力があるため、メイン戦で相性が良いのがエルドラージの対抗馬筆頭たるゆえんである。デッキ構造自体も《感電破》に加えて《急送》を採用してエルドラージに対抗するなど、環境に適応した細かな変化がある。
ただ、環境が「エルドラージ」「親和」「その他」と単純化できる構造になってしまったため、対策が容易な【親和】の側はエルドラージと同等かそれ以上に「その他」のデッキからメタられやすくなっていることに注意が必要だ。
・【マーフォーク】
16 《島》 4 《変わり谷》 -土地(20)- 4 《銀エラの達人》 4 《潮流の先駆け》 4 《アトランティスの王》 4 《真珠三叉矛の達人》 2 《幻影の像》 4 《メロウの騎兵》 2 《大いなる玻璃紡ぎ、綺羅》 4 《誘惑蒔き》 -クリーチャー(28)- |
2 《蒸気の絡みつき》 2 《四肢切断》 4 《広がりゆく海》 4 《霊気の薬瓶》 -呪文(12)- |
4 《ハーキルの召還術》 3 《白鳥の歌》 2 《呪文滑り》 2 《はらわた撃ち》 2 《商人の巻物》 1 《残響する真実》 1 《大祖始の遺産》 -サイドボード(15)- |
メインに《広がりゆく海》がフル搭載されているためナチュラルに《エルドラージの寺院》《ウギンの目》をメタれるという点と、《潮流の先駆け》がどこまでいっても基本的には地上のバニラクリーチャーであるエルドラージに刺さるため、エルドラージとの直対に限っていえば戦える部類のデッキだ。
↑のレシピは私が調整したもので、通常の形とは異なりエルドラージと親和に弱い《呪い捕らえ》を抜き、《霊気の薬瓶》から飛び出して《難題の予見者》をコピーできる《幻影の像》や、《四肢切断》《希望を溺れさせるもの》などに強い《大いなる玻璃紡ぎ、綺羅》、そして対エルドラージの切り札である《誘惑蒔き》をフィーチャーした形となっている。
ただ他方で、マーフォークが生来親和を苦手としている点や、またエルドラージの中でも「赤緑エルドラージ」に当たると《コジレックの帰還》で全てが崩壊するなど、弱点も多い。加えて、たとえば↑のレシピのように対エルドラージを意識して《呪い捕らえ》を抜いた形にすると、エルドラージや親和以外の「その他」のデッキに対して弱くなってしまうという弊害もある。
マーフォークを使う際は、どこまでエルドラージを意識するか、どこまでそれ以外のデッキを意識するかの線引きと、それに合わせた適切なデッキ構築が必要になる、ということになりそうだ。
・【リビングエンド】
2 《沼》 1 《森》 1 《血の墓所》 1 《草むした墓》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《新緑の地下墓地》 1 《燃え柳の木立ち》 4 《黒割れの崖》 3 《銅線の地溝》 -土地(18)- 4 《大爆発の魔道士》 3 《猿人の指導霊》 3 《意思切る者》 4 《通りの悪霊》 4 《死の一撃のミノタウルス》 4 《巨怪なオサムシ》 3 《叫び大口》 2 《ジャングルの織り手》 -クリーチャー(27)- |
3 《死せる生》 4 《暴力的な突発》 4 《悪魔の戦慄》 4 《内にいる獣》 -呪文(15)- |
4 《斑の猪》 3 《フェアリーの忌み者》 2 《鋳塊かじり》 2 《神々の憤怒》 1 《叫び大口》 1 《骨までの齧りつき》 1 《クローサの掌握》 -サイドボード(15)- |
エルドラージがどれだけ早いデッキであっても、所詮クリーチャーデッキであるという事実に変わりはない。そしてクリーチャーデッキである以上、3ターン目の《生ける屍》に抗う術はないのだ。
代替の効きづらい特定のパーツに頼ったコンボデッキは《難題の予見者》1枚で沈んでしまう。だが【リビングエンド】は豊富なサイクリングカードと8枚のほぼ等価値な「続唱」カードを搭載しているため、構造的に手札破壊が効きづらい。
さらに《大爆発の魔道士》《内にいる獣》がナチュラルに《エルドラージの寺院》《ウギンの目》を対策している。さらに極めつけは《叫び大口》だ。わずか2マナでほぼ全てのエルドラージを屠れるこのカードは、エルドラージ時代に突入したことで大きく価値を上げた1枚と言える。
《欠片の双子》が禁止される前の【リビングエンド】は、「デッキパワーは高いのだが、モダンはクリーチャーデッキばかりではなく自分より早いコンボもたくさんいるため、なんだかんだで勝てないのであまり使いたくないデッキ」という微妙なポジションだった。だがエルドラージが跋扈し中途半端なコンボが軒並み死滅した現在は、【リビングエンド】にとってそこら中に餌が転がっているような状況だ。今こそこのデッキの使い時と言えるだろう。
・【青白コントロール】
5 《島》 3 《平地》 2 《神聖なる泉》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《天界の列柱》 2 《氷河の城砦》 1 《秘教の門》 4 《幽霊街》 1 《地盤の際》 -土地(26)- 4 《前兆の壁》 3 《台所の嫌がらせ屋》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 4 《修復の天使》 2 《太陽のタイタン》 -クリーチャー(15)- |
4 《流刑への道》 3 《呪文嵌め》 3 《広がりゆく海》 3 《至高の評決》 3 《謎めいた命令》 2 《拘留の宝球》 1 《ギデオン・ジュラ》 -呪文(19)- |
3 《否認》 2 《エイヴンの思考検閲者》 2 《石のような静寂》 2 《不忠の糸》 2 《大祖始の遺産》 1 《エレンドラ谷の大魔導師》 1 《世界のるつぼ》 1 《減衰のマトリックス》 1 《太陽の勇者、エルズペス》 -サイドボード(15)- |
エルドラージに対しては、《死せる生》が有効なのと同様に、《流刑への道》《前兆の壁》《台所の嫌がらせ屋》《謎めいた命令》といった防御で場を固めてからの《至高の評決》もまた有効な戦略である。
とりわけ、単体除去に加えて《前兆の壁》《謎めいた命令》のような「キャントリップドローから全体除去をトップデッキするチャンスがある」デッキは、早いターンの「《難題の予見者》嵌め」を跳ね返しやすい。
これまではモダンのメタゲームが多様すぎたためにコントロールは成立しづらかったが、【世界選手権2015】に渡辺 雄也が持ち込んだこともある由緒正しいアーキタイプでもある。ナチュラルにエルドラージ耐性があるコントロールデッキとして、今後地位の向上が狙えそうなデッキだ。
■ 3. 終わりに
見てのとおり、エルドラージはモダンの勢力図を大きく塗り替えた。
だが、それならそれでやりようはある。エルドラージが現在進行形で「最強のエルドラージ」を追求しているように、エルドラージ以外のデッキも、「最強のエルドラージキラー」を模索すべき段階にあるのだ。
今週末には【第6期モダン神挑戦者決定戦】が開催される。
はたしてエルドラージの進撃は続くのか。それとも、エルドラージを乗り越える新たなテクニックが開発されるのか。
結果を楽しみにしつつ、今回はここで締めさせていただこう。
エルドラージ時代に立ち向かう人々に、幸多からんことを!
この記事内で掲載されたカード
Twitterでつぶやく
Facebookでシェアする