井川良彦のGPシドニー・プロツアー『異界月』・プロツアー『カラデシュ』地域予選レポート

井川 良彦



こんにちは、井川です。

【グランプリ・シドニー2016】【プロツアー『異界月』】【プロツアー『カラデシュ』地域予選】と4週間で3イベントに出場しましたので、それぞれの簡単なレポートです。



【グランプリ・シドニー2016】

プロポイントの都合上、トップ8以上でないとほとんど価値のなかったこの大会。

Team Cygames主催による合宿に招待いただいていたので、合宿に参加するついでにGPも参加したのですが、シールドの練習はほぼプレリリースの経験のみ。

「簡単で強いパックをください!」とお願いをしてみるものの、手元に来たのは色がかなり散っている難しいプール。





飛行が多くプランがわかりやすい白青飛行にしたのですが、





友人たちに見せたところ、除去が優秀な赤黒タッチ緑のほうがいいのではと。

これは手痛い構築ミスです。

対戦相手のデッキの色によって、「緑系など線が太い⇒飛行とテンポで押す白青のまま、白系など速いデッキ⇒除去で捌ける赤黒にチェンジ」みたいな感じで使い分けることに決めましたが、結果は2Bye後に《州民を滅ぼすもの》に踏み潰されたり3ターン目《異端聖戦士、サリア》に瞬殺されたりで5-3。

最終ラウンドでシルバーレベルまであと一歩の平見(友徳)くんに当たったのでトスって終了。初日落ちでした。



【プロツアー『異界月』】

泣いても笑ってもこれがシーズン最後の大会。今シーズンの目標であるゴールドレベルには10点(11勝5敗)以上の成績が必要なので、気合を入れて臨みます。

今回のTeam Cygames合宿に集まったのは、総勢12名のプロプレイヤーたち。新デッキ作成、既存のデッキのブラッシュアップなど、役割分担しながら調整を進めました。

この場を借りて、改めて御礼申し上げます。Cygames様、ありがとうございました!

今回の調整過程については、こちらのCygames様の記事を読んでいただければよくわかるかと思います。


【PTEMN】Team Cygamesシドニー合宿からプロツアーまで【Day0】 (外部リンク)


僕が最終的に使うことになったのは、行弘(賢)原案の「赤緑昂揚」。「先手後手で多少はブレるがバントカンパニーに五分以上、そして黒系には圧倒的に有利」というテストプレイの結果を信じることにしました。



井川 良彦「赤緑昂揚」
プロツアー『異界月』

7 《森》
5 《山》
2 《燃えがらの林間地》
4 《進化する未開地》
4 《獲物道》
2 《見捨てられた神々の神殿》

-土地 (24)-

4 《搭載歩行機械》
3 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
1 《世界を壊すもの》
3 《約束された終末、エムラクール》

-クリーチャー (11)-
4 《焦熱の衝動》
4 《ウルヴェンワルド横断》
4 《苦しめる声》
4 《ニッサの巡礼》
4 《集団的抵抗》
3 《コジレックの帰還》
2 《炎呼び、チャンドラ》

-呪文 (25)-
3 《稲妻織り》
3 《不屈の追跡者》
3 《ゴブリンの闇住まい》
2 《龍王アタルカ》
2 《龍詞の咆哮》
1 《世界を壊すもの》
1 《面晶体の記録庫》

-サイドボード (15)-
hareruya


墓後家蜘蛛、イシュカナ集団的抵抗約束された終末、エムラクール


製作者の行弘をはじめ、ナベ(渡辺雄也)、やまけん(山本賢太郎)、覚前(輝也)、まっきー(三原槙仁)、井上(徹)くん、そして僕の総勢7名が使用。日本勢でこれだけの人数が同じデッキを使用するのは、近年ではかなり珍しいですね。調整チームが機能した結果だと思います。

デッキの解説については、行弘のレポートをどうぞ。


行弘賢のPT異界月TOP8入賞レポート! (外部リンク)


◎Day 1

・1stドラフト


初手は《ギサとゲラルフ》!……があるものの青と黒の優良カードが大量にあったため、手広く《憑依された死体》から。

黒単ピックをすすめていると、どうやら赤も青も枯れている模様。遅い順目で流れてきた白の飛行軍団を保留気味に取ったのが功を奏し、最終的にはそこそこな白黒に。





少し線は細いものの、トップアンコモンの1枚である《憑依された死体》が2枚ある上に確定除去が多いので、2-1したいな、というところでしたが、


ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 1青赤 ××
Round 2黒緑 〇×〇
Round 3青黒 ××


1-2。


・初日スタンダード


ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 4黒緑「昂揚」 ×〇〇
Round 5青黒ゾンビ 〇××
Round 6白単人間 ×〇×
Round 74色「現出」 〇〇
Round 8バントカンパニー 〇〇


3-2。

初日は4-4と、早くも崖っぷちです。



◎Day 2

・2ndドラフト


いまさらですが、今回のリミテッドではかなりレアリティの差が激しく、初手はなるべくレアを取りたい、というのが共通認識でした。

前日の夜には「明日の初手は《折れた刃、ギセラ》がいい、いや《最後の望み、リリアナ》がいい」といった冗談話もしていたほどです。

もちろんレアならなんでも良いわけではなく、《無害な申し出》とかは引きたくないねー」といった話も当然出るわけで。

そして2ndドラフトで僕が引いたレアは、


無害な申し出見事な再生詰まった河口


《無害な申し出》《見事な再生》《詰まった河口》


Oh……



ということで、できたデッキはこちら。





うまくまとめましたが、少しパワー不足は否めません。上振れて2-1といったところでしょうか。


ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 9黒赤 ×〇×
Round 10黒赤 ×〇〇
Round 11青緑 ××


1-2。井川の冒険は終わってしまった!


・2日目スタンダード


ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 12白黒コン 〇〇
Round 13バントカンパニー 〇〇
Round 144色「現出」 〇〇
Round 15スゥルタイコン 〇××
Round 164色「現出」 ×〇×


3-2。

最終成績8-8のノーマネーでフィニッシュでした。



◎敗因


今回の敗因は明確で、ドラフトの理解不足でした。

レアリティのカードパワーに差があるのは顕著でしたが、そこを補う工夫・戦略がつかめなかったこと。また合宿後はほとんどの時間を構築に割いたため、ドラフトを行っていなかったのも致命的でした。

発売から2週間でプロツアーと期間は短いですが、それは全参加者が同じです。今回が特別だったわけでもなく、これまでも概ね変わらないでしょう。

構築の合宿中でも1日1回はドラフトをやる/見るなど、構築とドラフトの練習バランスをもう少し最適化して、次のPTは臨みたいですね。


2015-2016シーズン最終成績

獲得プロポイント:26 シルバーレベル。




【プロツアー『カラデシュ』地域予選】

心機一転、新シーズンです。

プロツアーの権利はシルバーレベル分の1つしかないので、ここはぜひとも権利を獲得したいところ。

ですが、【グランプリ・リミニ2016】が直前週にあるので、その結果を見てから1週間でやりこもうと思ったところで、突然の体調不良。





月・火・木と寝込む羽目になってしまい、実質的な練習は金夜からの1日だけとなってしまいました。これは困った。

新しいデッキを作ることは当然無理なので、直近の大会結果を見て一番強いデッキを素直に使うことに。

そう、バントカンパニーです。

記事を読み漁ったり、複数回マジックオンラインのリーグに出たりして、最終的には以下の形になりました。



井川 良彦「バントカンパニー」
プロツアー『カラデシュ』地域予選

4 《森》
4 《平地》
1 《島》
4 《大草原の川》
1 《梢の眺望》
4 《進化する未開地》
4 《ヤヴィマヤの沿岸》
2 《要塞化した村》
2 《伐採地の滝》

-土地 (26)-

4 《森の代言者》
3 《無私の霊魂》
3 《薄暮見の徴募兵》
2 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《反射魔道士》
4 《呪文捕らえ》
3 《不屈の追跡者》
2 《巨森の予見者、ニッサ》
1 《老いたる深海鬼》

-クリーチャー (26)-
3 《ドロモカの命令》
1 《石の宣告》
4 《集合した中隊》

-呪文 (8)-
2 《意思の激突》
2 《石の宣告》
2 《即時却下》
2 《悲劇的な傲慢》
2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
1 《ヴリンの神童、ジェイス》
1 《巨森の予見者、ニッサ》
1 《不屈の追跡者》
1 《老いたる深海鬼》
1 《否認》

-サイドボード (15)-
hareruya



すでにいろいろな記事で解説されていると思いますのでおおまかな説明は省いて、メインの《石の宣告》についてだけ簡単に解説します。


石の宣告


ミラーマッチが多いので《オジュタイの命令》を採用したくない⇒《墓後家蜘蛛、イシュカナ》が厳しい⇒じゃあ除去枠に《石の宣告》を採用しよう!

という単純な発想がスタート地点でしたが、バントカンパニー同型のメインボード(G1)で非常に強力なのが嬉しい誤算でした。

ミラーマッチは《悲劇的な傲慢》のような劇的なカードが採用されていないためグダりやすく、大量のクリーチャーが睨み合いになることも珍しくありません。

そこで光り輝くのがこの《石の宣告》です。

《ドロモカの命令》だと所詮単体除去なので膠着した盤面を突破することは不可能ですが、《石の宣告》は一気に天秤を傾けてくれます。《森の代言者》《反射魔道士》あたりはよく複数体並ぶので、それらを一気に2-3体(ジェイスのフラッシュバックがあれば5-6体とか!)追放して殴り勝つことができるのです!

もちろん《ドロモカの命令》の方が強い瞬間も多々ありますが、《ヴリンの神童、ジェイス》を採用しているリストでしたら1枚入れてみると良いかと思います。


閑話休題。

丸一日のバントカンパニー練習を経て、RPTQ当日になりました。

マジックオンラインのメタゲームは「バント、バントまたバント」といった有様だったためミラーマッチは練習が足りたものの、黒系には練習が足りていない状況ですが、結果は……


ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 1バントカンパニー 〇〇
Round 2バントカンパニー 〇×〇
Round 3【青赤タコビジョン】 〇〇
Round 4バントカンパニー 〇〇


ミラーマッチの連戦を制して4-0!これはいけるか!?


ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 5スゥルタイコン ××
Round 6白黒コン ×〇×
Round 7バントカンパニー ××


危惧していたとおり黒系に連敗してしまい、最終的には4-3。涙。


リアルでの実戦経験が乏しかったこともあり一日を通してミスも多かったですし、R6のG3という勝負所では「《不屈の追跡者》がいる盤面で《精霊信者の賢人、ニッサ》の『+1』能力とセットランドを混同してしまい(既にセットランドしたと思い)、手札の土地を置かないまま負ける」というありえないような超凡ミスをして死んだので、負けて当然でした。

東京・大阪とも非常に多くの友人・強豪たちが突破してめでたいですが、彼らに負けないようもっと強くなりたいですね。





さて、今週末は【グランプリ・広州2016】です。

プロツアーの権利が最低限しかない身にとって、アジアGPは数少ないPTへの道でもあります。

2016-2017シーズンのプレミアイベント一発目、気合入れて頑張ってきます。


井川



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