高橋純也のデッキ予報 vol.23 -バントカンパニーバックビルディング現象-

高橋 純也



 こんにちは。らっしゅです。

 【プロツアー『異界月』】が終わり、2つのグランプリを経て、スタンダード環境の姿が見えてきました。

 「バントカンパニー」「黒緑系昂揚」「黒白コントロール」「青赤《熱病の幻視》」「現出系」「白系人間」などなど。一見すると多くのデッキタイプがしのぎを削る環境にも思えたのですが、その実、それらのシェア率に注目すると「バントカンパニー」一色であることがわかりました。

 今週の連載では、先週末に開催されたRPTQ、Star City Games Invitationals、MOPTQで注目を浴びたトピックを紹介していきます。このまま環境は「バントカンパニー」に支配されてしまうのでしょうか?この先を見通す鍵を探してみましょう。

 この連載では、登場人物の紹介を省いて話題を進めることがあります。「あれ?このデッキってなんだっけ?」と手が止まってしまった方は、【Kenta Hiroki】の連載をご覧ください。現環境に登場する様々なデッキが丁寧に解説されています。





【話題1】多様化する「バントカンパニー」

 先週末に晴れる屋トーナメントセンターで開催された【プロツアー『カラデシュ』地域予選in東京】では【参加者の38.6%が「バントカンパニー」を使用する】という極端な状況が繰り広げられていました。この人気は偶然ではなく、同日に開催された【プロツアー『カラデシュ』地域予選inアノアデザイン】においても【参加者の過半数以上が使っていた】ようです。

 また、海外やMagic Onlineの様子に目を向けても、どこも「バントカンパニー」だらけの様子です。MOPTQではTop8の6名が、SCGInviでは好成績者15名中9名が「バントカンパニー」を使っていたのです。このように「バントカンパニー」が強力かつ人気のデッキであることは、もはや地域を越えた共通認識となっています。

 しかし、一括りに「バントカンパニー」と呼んでいますが、最近では様々なヴァリエーションが生まれつつあります。安定性、膠着戦の打開策、《ドロモカの命令》の評価、サイドボードとの兼ね合い。こういったいくつかの要素から何を優先するかによって「バントカンパニー」の構成は多岐化しているのです。


・安定性



_Stream「バントカンパニー」
Standard PTQ #10010523(6-1)

5 《平地》
4 《森》
1 《島》
4 《大草原の川》
3 《梢の眺望》
4 《進化する未開地》
3 《ヤヴィマヤの沿岸》
2 《伐採地の滝》

-土地 (26)-

4 《薄暮見の徴募兵》
4 《森の代言者》
2 《ヴリンの神童、ジェイス》
2 《無私の霊魂》
4 《反射魔道士》
4 《呪文捕らえ》
4 《不屈の追跡者》
2 《巨森の予見者、ニッサ》

-クリーチャー (26)-
4 《ドロモカの命令》
4 《集合した中隊》

-呪文 (8)-
3 《石の宣告》
3 《否認》
3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
2 《意思の激突》
2 《即時却下》
2 《実地研究者、タミヨウ》

-サイドボード (15)-
hareruya



 直近のMOPTQを6-1と好成績で切り抜けている_Streamの「バントカンパニー」は、強力なデッキタイプのポテンシャルを活かすために安定性を重視した構成を選んでいます。《集合した中隊》で捲れない呪文枠を4枚の《ドロモカの命令》だけに留めて、流行の《大天使アヴァシン》の採用は見送っているようです。

 「バントカンパニー」というデッキタイプが抱えるジレンマの1つには、《集合した中隊》で捲れない呪文枠が限定されている”ことが挙げられます。この呪文枠を増やすほどに《集合した中隊》の成功率が下がるため、該当する候補は常に、《集合した中隊》の成功率を下げてまで採用すべき呪文なのかと問われるのです。


集合した中隊


 昨今はミラーマッチが多いことから、この呪文枠は2枚の《大天使アヴァシン》と4枚の《ドロモカの命令》といった6~8枚で構成されることが多かったのですが、_Streamのリストでは4枚の《ドロモカの命令》だけに抑えられています。リスクを抑えて「バントカンパニー」という素材の良さを活かした構築です。


・膠着戦の打開策



abyloser123「バントカンパニー」
Standard PTQ #10010523(7-0)

3 《森》
3 《島》
3 《平地》
3 《大草原の川》
4 《進化する未開地》
4 《ヤヴィマヤの沿岸》
3 《要塞化した村》
2 《伐採地の滝》

-土地 (25)-

4 《薄暮見の徴募兵》
4 《森の代言者》
2 《無私の霊魂》
4 《反射魔道士》
4 《呪文捕らえ》
3 《不屈の追跡者》
2 《巨森の予見者、ニッサ》
2 《大天使アヴァシン》
2 《老いたる深海鬼》

-クリーチャー (27)-
2 《ドロモカの命令》
4 《集合した中隊》
1 《オジュタイの命令》
1 《実地研究者、タミヨウ》

-呪文 (8)-
3 《石の宣告》
3 《実地研究者、タミヨウ》
2 《ヴリンの神童、ジェイス》
2 《否認》
2 《即時却下》
1 《無私の霊魂》
1 《過去に学ぶ》
1 《実地研究者、タミヨウ》

-サイドボード (15)-
hareruya



 _Streamとは真逆の選択をしたのは、MOPTQで7-0したabyloser123の「バントカンパニー」です。土地が25枚しかないことに加えて、《集合した中隊》から捲れない呪文もたっぷり8枚も採用されています。

 安定性の観点からは文句ばかりが飛び出す構成ですが、こと膠着するゲーム展開を想定するならば、これ以上の選択はありません。《大天使アヴァシン》《老いたる深海鬼》《実地研究者、タミヨウ》と、採用されている特徴的なカードのそれぞれは、1枚でも膠着した戦況を打開するだけの力を秘めているのです。


大天使アヴァシン老いたる深海鬼実地研究者、タミヨウ


 特に《老いたる深海鬼》は、2枚の《大天使アヴァシン》までは一般的な現状において、とても良いアクセントになります。一般的な「バントカンパニー」は中長期戦を《不屈の追跡者》などがもたらす物量をもって戦いますが、同時に物量でしか打開できないという問題も抱えているのです。こうして生まれる構造的な膠着は、結局のところ、1枚のカードがもたらすスケールによってしか解決されません。

 《変位エルドラージ》《老いたる深海鬼》《大天使アヴァシン》など1枚で戦況を一変させるカードは、安定性こそ損なうものの、膠着戦がどれだけ頻出するかによっては相応のリターンをもたらすのです。



Kent Ketter「バントカンパニー」
StarCityGames.com Classic on 8/21/2016(10位)

5 《平地》
3 《森》
1 《島》
1 《荒地》
3 《大草原の川》
4 《進化する未開地》
4 《ヤヴィマヤの沿岸》
3 《要塞化した村》
2 《伐採地の滝》

-土地 (26)-

4 《無私の霊魂》
4 《森の代言者》
3 《薄暮見の徴募兵》
4 《反射魔道士》
4 《不屈の追跡者》
3 《変位エルドラージ》
2 《巨森の予見者、ニッサ》
2 《大天使アヴァシン》

-クリーチャー (26)-
3 《ドロモカの命令》
4 《集合した中隊》
1 《オジュタイの命令》

-呪文 (8)-
3 《呪文捕らえ》
2 《意思の激突》
2 《否認》
2 《過去に学ぶ》
2 《悲劇的な傲慢》
2 《実地研究者、タミヨウ》
1 《ドロモカの命令》
1 《停滞の罠》

-サイドボード (15)-
hareruya



 Kent Ketterの「バントカンパニー」(原案はAndrew Tenjum)は、そもそも膠着を想定しています。強力なテンポをもたらす《呪文捕らえ》の代わりに《変位エルドラージ》を採用した構成です。この2枚の交代の是非はともかくとして、アイデアの着眼点は素晴らしいものです。


変位エルドラージ


 環境当初に登場した《跳ねる混成体》を採用したテンポ型は消えて、最近では中長期戦を戦うために《不屈の追跡者》《巨森の予見者、ニッサ》を採用した形が一般的になっています。そのため、デッキタイプの方向性としては、一時的な戦況の優位よりも消耗戦を打開する物量やシステムが求められてる傾向にあります。特にミラーマッチが増えている今、《変位エルドラージ》は最高の選択肢の1枚だと考えられるのです。

 ただ、問題としては、代わりに抜いた《呪文捕らえ》がただただ強力なカードだということです。たしかに流行からは浮いているカードではありますが、現在の「バントカンパニー」の驚異的な中盤戦の強さを担ってもいます。そのため、《変位エルドラージ》と交換する枠として本当にふさわしいのかはわかりません。いずれにしても、どのようなゲーム展開を描き、どの時間帯にデッキのピークを持っていくかについては、これからはより検討されるべき話題になりそうです。


呪文捕らえ



《ドロモカの命令》の評価



Jadine Klomparens「バントカンパニー」
StarCityGames.com Invitational on 8/19/2016(準優勝)

4 《森》
4 《平地》
2 《島》
4 《大草原の川》
3 《梢の眺望》
4 《進化する未開地》
3 《ヤヴィマヤの沿岸》
2 《伐採地の滝》

-土地 (26)-

4 《薄暮見の徴募兵》
4 《無私の霊魂》
4 《森の代言者》
4 《反射魔道士》
4 《呪文捕らえ》
4 《不屈の追跡者》
2 《巨森の予見者、ニッサ》
1 《異端聖戦士、サリア》
1 《大天使アヴァシン》

-クリーチャー (28)-
2 《石の宣告》
4 《集合した中隊》

-呪文 (6)-
4 《首絞め》
2 《老いたる深海鬼》
2 《否認》
2 《オジュタイの命令》
2 《悲劇的な傲慢》
1 《異端聖戦士、サリア》
1 《保護者、リンヴァーラ》
1 《実地研究者、タミヨウ》

-サイドボード (15)-
hareruya



 【先週の連載】でも少しお話しましたが、《ドロモカの命令》の評価が揺れていることについてです。シェアが高まるばかりの「バントカンパニー」ですが、同時に「ジャンド昂揚」といった苦手なデッキタイプも増えています。そういったデッキタイプの特徴として、《ドロモカの命令》が効きにくいことが挙げられるのです。


ドロモカの命令


 ミラーマッチでは強力なものの、他のマッチアップでは弱い。万能性が買われたはずの《ドロモカの命令》は、いつしかピーキーさを抱えたカードになりました。

 そこで0枚まで削ったのがSCGInviで準優勝したJadine Klomparensの「バントカンパニー」でした。《石の宣告》《墓後家蜘蛛、イシュカナ》にもミラーマッチにおいても安定した効果を見せる除去なので、《ドロモカの命令》の不安定さを憂慮した末の選択肢としては最適です。


石の宣告




Seth Manfield「バントカンパニー」
StarCityGames.com Classic on 8/21/2016(14位)

5 《平地》
4 《森》
1 《島》
4 《大草原の川》
3 《梢の眺望》
4 《進化する未開地》
3 《ヤヴィマヤの沿岸》
2 《伐採地の滝》

-土地 (26)-

4 《薄暮見の徴募兵》
4 《森の代言者》
3 《無私の霊魂》
4 《反射魔道士》
4 《呪文捕らえ》
3 《不屈の追跡者》
2 《巨森の予見者、ニッサ》
2 《大天使アヴァシン》

-クリーチャー (26)-
2 《ドロモカの命令》
4 《集合した中隊》
2 《オジュタイの命令》

-呪文 (8)-
2 《ヴリンの神童、ジェイス》
2 《石の宣告》
2 《ドロモカの命令》
2 《否認》
1 《不屈の追跡者》
1 《支配の天使》
1 《老いたる深海鬼》
1 《悲劇的な傲慢》
1 《実地研究者、タミヨウ》

-サイドボード (15)-
hareruya



 Seth Manfieldも《ドロモカの命令》を減らした構築をしています。代わりに採用されている《オジュタイの命令》は、現環境に蔓延る《墓後家蜘蛛、イシュカナ》を咎めるには最高の1枚です。


オジュタイの命令


 ミラーマッチでは強力なカードとは言えないものの、最近は《大天使アヴァシン》が採用されているため、そこへのピンポイントな回答として評価できます。


・サイドボードとの兼ね合い

 現状の「バントカンパニー」のサイドボーディングには様々な意見が飛び交い、特にミラーマッチについては錯綜しています。古典的な《集合した中隊》を抜く手法、《悲劇的な傲慢》を前提に《ドロモカの命令》を抜く手法、相手の《悲劇的な傲慢》《大天使アヴァシン》のためのカウンターだけ採用する手法など。《集合した中隊》のデッキ構築に与える制限から、様々な戦略が候補にあがり検討されているのです。

 この戦略が定まらないかぎりは75枚の雛形が決まることもありません。戦略の数だけデッキリストが生まれるため、現状の「バントカンパニー」の構成が多岐化している要因の1つには、サイドボード後のゲームプランについての意見が割れていることがあるのです。

 「黒系コントロール」に《無私の霊魂》《ドロモカの命令》《大天使アヴァシン》を抜くのは、全世界のプレイヤーが行っているサイドボーディングですが、ミラーマッチや「現出系」への戦略はまだまだ割れています。


無私の霊魂ドロモカの命令大天使アヴァシン


 このサイドボード戦略だけでなく、これまでに紹介した様々な要素の評価に目処が立つまでは、様々な構成の「バントカンパニー」が試され、登場し続けることでしょう。1枚1枚の採用理由以前の問題として、マッチアップごとの戦略についても議論の余地が残されています。



【話題2】先週末に活躍した2つの懐かしいデッキタイプ

 「バントカンパニー」やら「ジャンド昂揚」やらと、決まったデッキタイプの名前ばかりが聞こえますが、先週末のトーナメントではいくつかの懐かしい名前が好成績を収めていました。

・緑白トークン



覚前 輝也「白緑トークン」
プロツアー『カラデシュ』地域予選inアノアデザイン(Top4)

8 《森》
8 《平地》
4 《梢の眺望》
4 《要塞化した村》
1 《ウェストヴェイルの修道院》

-土地 (25)-

4 《搭載歩行機械》
4 《首絞め》
4 《森の代言者》
3 《大天使アヴァシン》

-クリーチャー (15)-
4 《ドロモカの命令》
2 《悲劇的な傲慢》
4 《ニッサの誓い》
2 《停滞の罠》
4 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-呪文 (20)-
3 《棲み家の防御者》
3 《不屈の追跡者》
2 《狩猟の統率者、スーラク》
2 《石の宣告》
1 《大天使アヴァシン》
1 《保護者、リンヴァーラ》
1 《悲劇的な傲慢》
1 《隔離の場》
1 《停滞の罠》

-サイドボード (15)-
hareruya



 かつての環境の覇者がしばらくぶりに姿を見せました。プロツアー『カラデシュ』地域予選inアノアデザインでは、【Team Cygames】の覚前 輝也を含めた2人の通過者を出す大金星をあげています。

 これは【Hareruya Pros】の原根 健太がシェアしたデッキだったらしく、その経緯や調整過程について、先日公開された【大会レポート】のなかで詳しく語られています。この連載の【vol.20】にて紹介したOsyp Lebedowiczのリストからの変遷については、こちらをご覧ください。



 《呪文捕らえ》への脆弱性から数を減らしたデッキタイプでしたが、今回は「バントカンパニー」が会場の半分を占めるトーナメントにも関わらず結果を残しました。《首絞め》によって生まれ変わった「緑白トークン」の真価は、再び計り直す必要がありそうです。


首絞め


 もともと「黒系コントロール」には強力なデッキタイプなので、苦手とされていた「バントカンパニー」とのマッチアップが改善されたとあれば、かつてのように環境を支配する日も遠くはないでしょう。


・エスパーコントロール



Shaheen Soorani「エスパーコントロール」
StarCityGames.com Invitational on 8/19/2016(18位)

5 《沼》
2 《島》
1 《平地》
4 《大草原の川》
4 《窪み渓谷》
2 《進化する未開地》
4 《詰まった河口》
4 《乱脈な気孔》

-土地 (26)-

4 《ヴリンの神童、ジェイス》
1 《約束された終末、エムラクール》

-クリーチャー (5)-
4 《闇の掌握》
3 《精神背信》
1 《究極の価格》
1 《苦渋の破棄》
1 《久遠の闇からの誘引》
1 《破滅の道》
4 《衰滅》
2 《闇の誓願》
1 《シルムガルの命令》
1 《罪人への急襲》
4 《ジェイスの誓い》
1 《最後の望み、リリアナ》
2 《卓絶のナーセット》
1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》
2 《死の宿敵、ソリン》

-呪文 (29)-
2 《ゲトの裏切り者、カリタス》
2 《強迫》
2 《否認》
2 《無限の抹消》
1 《深水の大喰らい》
1 《龍王シルムガル》
1 《約束された終末、エムラクール》
1 《殺害》
1 《破滅の道》
1 《即時却下》
1 《最後の望み、リリアナ》

-サイドボード (15)-
hareruya



 先週末のSCGInviのスタンダードラウンドを8-0で踏破したのは、Shaheen Sooraniの「エスパーコントロール」でした。かつてはコントロールの代名詞でもあった青黒白のカラーリングは、いつしか懐かしく感じるほどにトーナメントシーンでは見られなくなってしまいました。

 その主なる原因は、《ヴリンの神童、ジェイス》以外の青いカードがパッとしないことです。カウンターもドローも弱体化した今では、特にその2点を強みとしていたエスパーは煽りをくっています。

 そんな風潮のなか突然現れたこのデッキの構造は、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の代わりに《ヴリンの神童、ジェイス》を採用した「黒白コントロール」ともいうべきものです。ピーキーな《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》に対して、除去には弱いが安定した《ヴリンの神童、ジェイス》といった比較がされます。


ヴリンの神童、ジェイス


 《精神背信》からの《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》といった簡単な展開はないものの、青が加わったことで《約束された終末、エムラクール》《罪人への急襲》といった決定力のある「昂揚系」のカードを使えるようになりました。ドロー能力とスケールに乏しい「黒白コントロール」は一度優位に立っても勝ち試合を取りこぼしてしまうことが多々ありましたが、「エスパーコントロール」は優位を手放さないだけの終盤の強さをもっています。


約束された終末、エムラクール罪人への急襲


 Shaheen Sooraniがエスパー大好きっ子として知られているだけに、現状のデッキの評価は”好事家のオリジナルデッキ”程度に留まっていますが、「青い昂揚デッキ」として期待したいデッキタイプです。これまでの「青い昂揚デッキ」といえば「現出系」を筆頭とした青緑ベースのものが主流で、それらはデッキの問題点として、中長期戦を戦う割には戦場のコントロール能力が足りていないという問題を抱えていました。

 現環境でコントロール能力に長けた昂揚デッキは、どれも「ジャンド昂揚」のように活躍できる可能性を秘めています。「スゥルタイコントロール」は「黒緑昂揚」の下位互換として落ち着いてしまったようですが、「エスパーコントロール」には黒青ベースという独自性ゆえの強みがあり、発展の余地は多く残されているように思えます。懐かしい構造ながらも新しいデッキタイプのこれからには注目したいところです。



【まとめ】一段落ついてからが本番

 「バントカンパニー」は細部の調整へと視点が移り、他のデッキタイプも未だ見ぬ構成ではなく、古き好きアイデアを掘り起こしはじめました。『異界月』後のスタンダード環境の大枠も固まってきたのかもしれません。

 依然として、はたまた更に数を増やしている「バントカンパニー」に待ったをかけるデッキタイプは未だ見えません。しばらくはスタンダードの大型イベントが開催されないため、デッキの進歩が滞る可能性は高いのですが、「緑白トークン」のように掘り起こされたデッキタイプが突如として活躍する展開もありえます。

 「バントカンパニー」の最良の構成はどれか?

 発掘された「緑白トークン」や「エスパーコントロール」の真価とは?

 まだまだスタンダード環境には解かれるべき謎が残されています。その答えに注目しつつ今週末に備えましょう。

 それではまた来週お会いしましょう。



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