来る9月30日(金)に、いよいよ最新セット『カラデシュ』が発売されます。
「搭乗」や「エネルギー」という未知なる新キーワード能力やギミック、強大な機械巨人たち、主人公たる《反逆の先導者、チャンドラ》らプレインズウォーカー。
魅力的なカードが揃った『カラデシュ』を見ると、どのカードやデッキが強いのか、どのカードを買えばいいのか、悩んでしまう方も多いのではないでしょうか?
そこで各フォーマットを代表する実力者である第6期「神」の4人に、「『カラデシュ』で注目するカード トップ3」を聞いてみました!
晴れる屋が主催している、「神決定戦」という大会の暫定王者。
スタンダード・モダン・レガシー・ヴィンテージの4フォーマットそれぞれで行われており、予選大会(挑戦者決定戦)と決勝大会(神決定戦)を勝ち抜いた者だけが「神」になることができる。
詳しくはこちらをご覧ください。→【神決定戦特設ページ】
各フォーマットを熟知した者ならではの視点から、鋭い意見が飛び交いました。「神」の目には何が映り、彼らは何を考えたのでしょうか。
◆ 第6期スタンダード神 和田 寛也
『カラデシュ』カードセット全体の印象
「もう『カラデシュ』じゃなくて《生命の力、ニッサ》っていうタイトルでもいいんじゃないか……?」
と、リストを眺めてて一瞬本気で思ってしまい、途中から「先手5ターン目に《生命の力、ニッサ》出されても返せるかどうか」が評価基準になってしまったぐらい、ニッサが強いセットだな……と感じています。
……もちろん《生命の力、ニッサ》以外にも見所はあります。
特に《高速警備車》や《密売人の回転翼機》を始めとした「機体」は、《反射魔道士》や《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》といったソーサリータイミングでこちらの盤面に触れるカードに強く、好感が持てます。
また、前環境では辛酸を舐めさせられていたエンチャントや、置物系アーティファクトにも見所のあるカードがありそうです。
これにより、前環境ではなかなか姿を見ることができなかったデッキタイプにもお目にかかれそうで、最近マジックを始めた人にとっては、このゲームの奥深さに触れるきっかけとなるセットになるのかな、と密かに期待を寄せています。
さて、そんな綺羅星のごとく輝く『カラデシュ』の中から、私的に要注目の3枚はこちらになります。
『カラデシュ』スタンダード注目カードトップ3!
■ 1位 《査問長官》
1マナのカード1枚で6枚まで掘れる、というのはなかなかない効果でございまして、古くは《面晶体のカニ》や、モダンのドレッジでも活躍中の《叫び角笛》などなど、いずれも構築フォーマットで活躍してきた実績を誇るカードがその系譜に名を残しています。
そんな歴史に今!新たなる1ページが!!しかも墓地セットである『イニストラードを覆う影』の隣に!!!
……ということで、何やら新しいデッキ、新しい動きが生まれそうなこの1枚、今回の私的注目カード、第1位とさせて頂きました。
■ 2位 《金線の使い魔》
唐突に現れた、3マナ版《真面目な身代わり》と言っても良い一枚。
過去の様々なカードを置き去りにする高性能っぷりで、これ1枚からカラデシュ次元の文明力の高さが容易に窺えます。
「現出」「昂揚」そして「アーティファクト参照」と、様々なメカニズムや要素にガシィ!と噛み合った一枚で、今後一年半、様々なデッキにおける「潤滑油」としての活躍が期待できる一枚です。
■ 3位 《光り物集めの鶴》
《宮廷の軽騎兵》、《海門の神官》、そして《ボーラスの占い師》……
スタンダードの歴史を紐解くと、低コストのETB能力持ちクリーチャーは、常にスタンダードシーンで活躍してきた実績があります。
今回新たに登場した《光り物集めの鶴》は、1/3飛行というナイススペックに、これら先人の遺伝子が搭載された、高性能クリーチャー……!!
時には《空中生成エルドラージ》や《呪文捕らえ》の攻撃を優しく受け止め……時には《新緑の機械巨人》から受け取った+1/+1カウンターで《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を素早く仕留める……そんないぶし銀な活躍が期待できる一枚と言えるでしょう。
◆ ”第6期モダン神” 松田 幸雄
『カラデシュ』カードセット全体の印象
アーティファクトに焦点を置いたセットながら、過去作の『ミラディン』とはちょっと違って賑やかな世界って感じです。「エネルギー」や「搭乗」など、新しいキーワード能力がとても魅力的で面白いセットですね。
《機械巨人/Gearhulk》も派手で楽しい!でも、《領事の旗艦、スカイソブリン》にゾンビとか植物とかエルドラージとかが「搭乗」してる光景はなんだかシュール(笑)
『カラデシュ』モダン注目カードトップ3!
■ 1位 《花盛りの湿地》(と他4種)
新しく入った土地サイクルは、モダンにおいて非常に重要な価値があると言えます。
なぜなら高速環境のモダンでは、「1ターン目に《血染めのぬかるみ》から《血の墓所》をサーチして《思考囲い》をプレイ」など、5点ものライフを支払ってでも”色の安定+何かのアクション”を起こすシーンが頻繁にあるからです。
そんなときに『カラデシュ』の新しい土地があれば、ライフを大幅に節約することができます。
「ジャンド」や「アブザン」のような3色デッキにも投入できますが、やはり「ゴルガリ」や「ボロス」のような2色かつ敵対色のデッキで重宝されるカードになりそうです。
■ 2位 《顕在的防御》
《レインジャーの悪知恵》の上位互換!
たった1マナで呪禁を与えて敵の除去から守りながら、+2/+2も強化できるのは驚異的です。主に「感染」で使用されることになりそうですが、これだけ使いやすい効果だと、「Zoo」などクリーチャー主体のデッキにも投入される可能性もありますね。
用途がやや柔軟かつ+4/+4と強化値の高い《巨森の蔦》と枠を争うことになりそうです。
■ 3位 《サヒーリ・ライ》
『カラデシュ』のカードの中で1番マニアックなカードだと個人的に思います。
特に「-2」の速攻付きのコピーを出す能力からは非常に危険な匂いを感じます。例えば、墓地に2枚《サヒーリ・ライ》がある状態で《太陽のタイタン》を出したとしましょう。
1.まず《太陽のタイタン》の戦場に出た能力で《サヒーリ・ライ》Aを釣る。
↓
2.釣った《サヒーリ・ライ》Aの「-2」能力で《太陽のタイタン》をコピーして、戦場に出た能力で墓地にいる《サヒーリ・ライ》Bを釣る。
↓
3.能力を使い終わった《サヒーリ・ライ》Aは、《サヒーリ・ライ》Bが戦場に出たことでレジェンド・ルールによって墓地に落ちる。
↓
4.《サヒーリ・ライ》Bの「-2」能力で《太陽のタイタン》をコピーする。
↓
5.1に戻る。
↓
2.釣った《サヒーリ・ライ》Aの「-2」能力で《太陽のタイタン》をコピーして、戦場に出た能力で墓地にいる《サヒーリ・ライ》Bを釣る。
↓
3.能力を使い終わった《サヒーリ・ライ》Aは、《サヒーリ・ライ》Bが戦場に出たことでレジェンド・ルールによって墓地に落ちる。
↓
4.《サヒーリ・ライ》Bの「-2」能力で《太陽のタイタン》をコピーする。
↓
5.1に戻る。
なんと無限に《太陽のタイタン》が造られ続けるのです!しかも速攻付き!
つまり、「無限ダメージ!すごい!シナジー!」みたいなことができます。
それでも、こんな《サヒーリ・ライ》を使った新デッキに私は大いに期待してます!
え?《反逆の先導者、チャンドラ》?やめとけ!やめとけ!あいつは能力がどれも微妙なんだ。モダンで使っても強いんだか強くないんだか……
◆ ”第6期レガシー神” 川北 史朗
『カラデシュ』カードセット全体の印象
高度な機械文明が発達し、大胆かつ精巧な美しいアーティファクトが多数出てくる世界感が好きです。私はレガシーを始めたときに「親和」を使っていたので、アーティファクトには愛着があるんですよね。
『カラデシュ』にて初登場となるシステムの「搭乗」は、レガシーでも活躍する「装備品」と似ています。今後レガシーで活躍できるのかには注目したいですね。《石鍛冶の神秘家》のように、戦場に登場したときに「機体」を手札に持ってくる軽いカードが収録されればレガシーでも十分に活躍できると考えています。
『カラデシュ』レガシー注目カードトップ3!
■ 1位 《反逆の先導者、チャンドラ》
まさに「赤版《精神を刻む者、ジェイス》」!
私が最も好きなカードである《精神を刻む者、ジェイス》に対抗するチャンドラの登場です!すごくワクワクしますね。4つの能力すべてが強く、今すぐにでも使ってみたいカードです。現在この《反逆の先導者、チャンドラ》が使われるであろうデッキは、「ドラゴンストンピー」、「赤系ぺインター」、「ジャンド」ですかね。
ジェイスとチャンドラが夢の共存をはたす「青赤コントロール」なんてアーキタイプが出てきたら嬉しいですね。
■ 2位 《顕在的防御》
環境最強と謳われる「青白奇跡」に有利(!?)なデッキとして知られている「感染」で期待できる1枚です。
《巨森の蔦》と効果が似ていますが、調整の結果1~2枚入る可能性があるのでチョイスしました。
■ 3位 《生命の力、ニッサ》
「Nic Fit」に入りそうなカードです。《世界を目覚めさせる者、ニッサ》よりも忠誠値が高く、「+1」能力を使った次のターンには「-6」の奥義を使えるのがいいですね。
奥義は若干弱めですが、もともと長期戦を想定して構築されている「Nic Fit」にとって十分なアドバンテージを提供してくれる良いカードだと思います。
今回は「機体」を挙げませんでしたが、《密輸人の回転翼機》は「親和」に入れたら面白そうな動きをしそうですね。他にも《模範操縦士、デパラ》も”ワンチャンスあり”ですかね。友人が見つけたカードなんですが、実はレガシーには強いドワーフがいるんです。
この《ドワーフ徴募兵》は、なんと禁止カードに指定されている《ゴブリン徴募兵》と同じ能力をもっているんです。《模範操縦士、デパラ》の誘発能力に合わせて、《霊気の薬瓶》から《ドワーフ徴募兵》を出してマナを支払うと、好きなだけドワーフが手に入る!
◆ 第6期ヴィンテージ神 森田 侑
『カラデシュ』カードセット全体の印象
アーティファクト中心のブロックということで、アーティファクト及びアーティファクトを参照した面白いカードが多いように思います。
機体や「エネルギー」といった全く新しいギミックが環境に及ぼす影響は未知数で、評価も難しいのですが、強そうなカードがいくつか見られました。『ゲートウォッチの誓い』以後のエルドラージに引き続き、ヴィンテージ環境に「搭乗」しても不思議ではありません。
ヴィンテージには《Mishra's Workshop》という規格外の土地があるので、今回はアーティファクトばかりの名を挙げることになるかと思いましたが、意外にも3枚中1枚という結果に落ち着きました。(惜しくも次点となったカードはアーティファクトばかりでしたが)
『カラデシュ』ヴィンテージ注目カードトップ3!
■ 1位 《断片化》
緑には《自然の要求》。赤には《鋳塊かじり》など。1マナで置物に触れる優秀なカードがいくつかあったところ、白にも期待のカードが登場しました。
《解呪》と比較すると、ソーサリーであること、範囲が限定的であるところは劣りますが、《アメジストのとげ》や《抵抗の宝球》などを置いてくる相手には、コストが軽いというだけで《解呪》よりも効果的です。これから白を使うデッキのサイドボード要員として活躍するでしょう。
■ 2位 《領事の旗艦、スカイソブリン》
活躍に期待できる機体はいくつか見つかり、その中でも最も派手なカードを代表として選びました。「5マナは重いだろう」と思われるかもしれませんが、《Mishra's Workshop》を使うデッキでは、ゲームの早い段階からプレイすることができます。2ターン目に登場、3ターン目には攻撃という動きも珍しくありません。
3点ダメージを飛ばす能力、若干重めの「搭乗3」というコストを鑑みると、戦場への干渉手段が乏しくなりがちな「アグロ寄りの茶単」で採用されそうです。
■ 3位 《配分の領事、カンバール》
白と黒。若干ながら使いにくい色の組み合わせではありますが、「ストーム」を筆頭に、クリーチャーでない呪文を連鎖的に使うデッキに効果的です。エスパーカラーの「《僧院の導師》」や「5色人間」など、色の合うデッキにとっては有力な新戦力になるでしょう。
「神」ならではの柔軟な発想と鋭い着眼点から、各フォーマットの『カラデシュ』の注目カードをレビューしてもらいました。
彼らは、そして世界中のプレイヤーたちは、これらのカードをどう使うのでしょうか?
発売後に行われるプロツアー『カラデシュ』や、各フォーマットの大会結果をお楽しみに!!
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