こんばんは、塚本です。
『カラデシュ』が発売されてからというもの、僕の心をつかんで離さないカードが1枚あります。僕はカードプールの広いフォーマットが好きで、使えるカードの種類が少ないスタンダードは苦手です。そんな僕ですらスタンダードのデッキを組んでしまうほどに魅了されています。
あらゆるフォーマットでの可能性を追求するために、日夜を問わず様々なデッキを夢想する毎日。「とにかく大好き!」と感情が止まらないカードが今回の主役です。
《霊気池の驚異》。
コンボ好きにはたまらない1枚ですね!今回はさっそくこの新しいおもちゃを使って遊ぼうと思います。
◆ 座礁
最初はワクワクしながら「どんなデッキを作ろうか」と夢いっぱいの航路を考えていたのですが、デッキ作成に取り掛かると、いきなり暗礁に乗り上げてしまいました。このカードを目一杯楽しむためには、3つのステップを踏まなければいけないことに気が付いたからです。
ステップ1.エネルギーの確保
『カラデシュ』から新しいリソースとして登場した「エネルギー・カウンター」。このカウンターを6つ貯めなければ《霊気池の驚異》の能力は起動できません。統率者戦ではこれがとても難しいのです。
他の構築フォーマットならばエネルギーを確保する質のいいカードを沢山採用できますが、1種類1枚しか使えない統率者戦では選り好みをする余裕はなく、ある程度のカードパワーは妥協してでも採用しないといけません。エネルギーを得るカードを増やすために多色化も避けられないでしょう。
そこで過去のギミックから補助として機能するものを探しました。間接的にエネルギー・カウンターを確保するカードの枚数を増やすためです。幸い「増殖」という相性のいい能力を発見できましたが、「増殖」をもつカードの種類が少なかったことは誤算でした。つまり、更なるエネルギーを得るためには、デッキにもう一工夫を加えないと機能しないようなのです。そこでドローやサーチ呪文に頼ることにして、デッキに青を含めることが確定しました。
ステップ2.キーカードが少ない
《霊気池の驚異》を主役にするのは間違いないのですが、勝敗を決定付けるカードがデッキにたった1枚しか入っていないことは不安です。その1枚を対処されるとリカバリが難しく、相手の対応も簡単になります。なるべくなら《霊気池の驚異》と同じ方向性をもつ追加の勝ち手段を探さなければいけませんでした。
デッキの重くて強いカードのコストを踏み倒そう!そんなコンセプトのカードを探してみたところ、《霊気池の驚異》と同じくらい楽しそうなカードを2種類も見つけることができました。
《精神の願望》は「ストーム」の数を稼げば稼ぐほど効力を増します。《霊気池の驚異》と《精神の願望》。この2枚をキーカードにしたデッキを作ろうとカードを並べてみると100枚近くの候補が見つかりました。これで一気にデッキの方向性が固まってきましたよ!
また、《精神の願望》を探す過程で見つけた《予想外の結果》は【まつがん氏も認める由緒正しきおもちゃ】なので、デッキを彩るアイテムとしてぜひとも採用したいところです。何が起こるかは誰にも予想できないカードなので、カウンター呪文を握った対戦相手はそれを打ち消すべきか迷うことでしょう。ジャブとしては最適な1枚です。
ステップ3.”当たり”の水準
統率者戦は多人数で行うため、性質上「この1枚のカードを唱えたら勝ち!」という必勝パターンはなかなかありません。かといって、2枚コンボを目指すならば《霊気池の驚異》を2回以上起動しなければいけなくなりますし、《精神の願望》からその2枚が同時にヒットすることも、いささか難易度の高いハードルです。
そこで「唱えたら勝ち!」な必殺の1枚を探すのではなく、じわじわと有利を作り上げるようなカードを探し出して採用する方針にしました。
《霊気池の驚異》、《精神の願望》、《予想外の結果》。これらキーカードは、どれも戦場に出すのではなく“プレイする”ことができます。つまり各種エルドラージの持つ潜在能力をフルに使えるのです。そこで、基本的にはこれらエルドラージたちを“当たり”として、なるべく多く採用することにしました。
こうして3つのステップすべてを満たしたので、デッキに入りそうなカードを見繕いつつ、さっそくデッキの雛型を作っていきましょう!
◆ エネルギー!そして「ストーム」!
《霊気池の驚異》を元にエネルギー・カウンター生み出すカードを選出していくわけですが、上記の通り、選り好みするほどの数が存在するわけではないので、比較的エネルギー・カウンターを生み出せるカードの多い色である青・赤・緑を中心に「増殖」を持った呪文と一緒に選んでいきます。
そうして選ばれたカードたちがコレ!
クリーチャー: 17
インスタント、ソーサリー: 6
アーティファクト: 8
エンチャント: 2
現時点で33枚のカードが選出され、デッキの約1/3の枠が埋まったことになります。そして次に《精神の願望》《予想外の結果》を軸としたカードの選出に移ります。
クリーチャー: 8
インスタント、ソーサリー: 16
アーティファクト: 7
エンチャント: 2
こうして同じように《精神の願望》を始めとした「ストーム」系のパーツ+《霊気池の驚異》と相性の良いカード33枚が選出されました。後は適当な土地33枚と統率者1枚を選べばデッキは完成です!!
◆ ユニットごとの構想
こうしてデッキの雛型が作成できたので、テストプレイとして一人回しを繰り返してデッキの感触を確かめた結果分かったことがあります。
良い点
・当たりを引いたときに気持ちいい!
・エネルギーは確保できるし、新しいカードをたくさん使えて嬉しい。
悪い点
・エネルギーを生むカードが「ストーム」を稼ぐ役割にならない。
・《霊気池の驚異》自身のエネルギーを生む効果が機能しにくい。
・ふたつのギミックを足しているので、ドローカードなどの潤滑油的な部分が少なくデッキが回りにくい。
・当たりを引いたときに気持ちいい!
・エネルギーは確保できるし、新しいカードをたくさん使えて嬉しい。
悪い点
・エネルギーを生むカードが「ストーム」を稼ぐ役割にならない。
・《霊気池の驚異》自身のエネルギーを生む効果が機能しにくい。
・ふたつのギミックを足しているので、ドローカードなどの潤滑油的な部分が少なくデッキが回りにくい。
良い点として感じているふたつが飽きやすい要素で、悪い点はデッキ全体の統一感がなくシナジーが薄いということですね。エネルギーのパーツと「ストーム」のパーツは別々に主役として選ぶならいいので、どちらかの33枚を主役にするほうがよさそう。なので今回は《霊気池の驚異》を主役として、それを補助する残りの33枚を選び直すことにしました!!
しかし、「ストーム」部分の33枚をそのまま残しておくことで、すぐに別のデッキに組み替えられるという術を発見!!これを今後『ユニットシフト構造』として自分の中で定着させようと思いました!
要は……
・ユニットA: 約33枚
土地及びマナソース。
・ユニットB: 約33枚
デッキの核となるコンセプティブなカード群。
・ユニットC: 約33枚
Bパーツのサポートとなるカード群。追加のマナソースやドロー、サーチ呪文。そして相手のへの妨害、及び相手の妨害対策のカウンターやパーマネント破壊呪文。
土地及びマナソース。
・ユニットB: 約33枚
デッキの核となるコンセプティブなカード群。
・ユニットC: 約33枚
Bパーツのサポートとなるカード群。追加のマナソースやドロー、サーチ呪文。そして相手のへの妨害、及び相手の妨害対策のカウンターやパーマネント破壊呪文。
となるわけです。枚数は前後しますし、極端にコンボカードに依存する場合はこの形態をとれなくなりますが、全体のシナジーを活かして戦うようなデッキではユニットの交換によってデッキが別の顔を見せるようになる面白い発想だと感じました。
今回はエネルギー・カウンターが主体で、かつクリーチャーを多用するのでユニットCにはクリーチャーでの戦闘に影響を及ぼすアーティファクトを中心に選出してみました。その結果がこちら!
ユニットC: 33枚
クリーチャー: 17
インスタント、ソーサリー: 7
アーティファクト: 5
エンチャント: 2
プレインズウォーカー: 2
ユニットBが真新しいカードばかりということもあってか、ユニットCでも意識して『カラデシュ』のカードを採用しました!特に《サヒーリ・ライ》の「-2」の能力は強力で、スタンダードではお馴染み《新緑の機械巨人》をコピーするだけで大量打点を与えることができる爽快感の強いコンボに倣って、《マイアの戦闘球》を始めとしたコピーすると楽しいクリーチャーも沢山採用。
また、ユニットB、Cともにほとんどのカードがモダンなので、これから統率者戦を始めたいという人にはぴったりです!無理にこのリストに合わせずとも、まずは自分の好きなカードを入れて遊んでみることがそのまま楽しさに繋がるのでおススメです!
◆ 最後に統率者とユニットAは?
結論から言えば青赤緑の伝説のクリーチャーであれば何でも大丈夫!ただ《大渦の放浪者》だけは《霊気池の驚異》でめくれる当たりとしてライブラリーの中に居てほしいので、統率者には設定したくないですね。しかし、すでにデッキの中に3色の伝説のクリーチャーが多数採用されているので《二つ反射のリクー》を統率者に当てるのが無難かもしれません。そこそこシナジーありますし。
そして最後に土地やマナソース群であるユニットAですが、ここは自分の手持ちのカードに合わせて青赤緑が難なく出る構成なら大丈夫なので、統率者における最低限押さえておきたいポイントだけ伝えておきます。
毎回デッキリストで土地の欄もしっかり埋めていますが、特に意識するのは墓地の枚数を参照する「スレッショルド」や「探査」といった呪文、そして「上陸」のような土地と組み合わせてシナジーを生むようなカードが多い場合は《溢れかえる岸辺》を始めとしたフェッチランドは入れられるだけ入れておきたいですね。今回は《霊気池の驚異》や《獣性を築く者》がエネルギー・カウンターを供給しやすいようになるべく多く採用したほうが望ましいです。
そして対戦相手がデッキの構造を攻めてくる場合がありますので基本地形を入れ忘れてはいけません。一番効果的でポピュラーな対策カードは《血染めの月》なので、今回のデッキでは《山》の枚数は1枚でいいでしょう。《島》《森》に関してはダブルシンボルの呪文を唱える際や、同じ色の呪文で2アクション取れるように最低2枚は欲しいですね。あくまで最低限の枚数なだけで、無理にそれ以外を特殊地形で埋める必要もないので、迷ったときはとりあえず基本土地の枚数を増やすのが吉です!
加えて、自分のデッキの色の数も採用する土地に影響がでます。3色以上でしたら《真鍮の都》のような色がたくさん出せるような土地を積極的に採用し、2色以下のデッキでしたら《ケッシグの狼の地》のような色マナは出せなくとも別の効果が付いている土地を積極的に採用するようにしましょう。そうすることによって色事故やマナフラット時の解決策となります。
最後の要素は特定のデッキで効果を発揮しそうな土地についてです。今回は「増殖」という能力を使うので、《菌類の到達地》のようなカウンターを貯めた分のマナを出す能力の土地を入れると効果が倍増します。クリーチャーのパワーが大きくなることや大量のダメージを与えられることに着目して《苔汁の橋》《背骨岩の小山》を入れるのもいいでしょう。このようにデッキに合ったカードを見つけることがデッキ全体のパワーアップに繋がるので、色マナを整えること以外も意識しましょう。
こうしてユニットごとにデッキを組むことにより「ユニットCの改善が必要だな……」「ついにユニットAをタイプ2にさせる相手が現れたか……!」といった中二心を昂らせる台詞を呟けるチャンスができたので、積極的に使っていきたいと思います。
今回は大体こんな感じでーす。続く。
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