◆総合勝率
順位 | 名前 | 総合成績 | 勝率 |
1位 | 中村 修平 | 18勝12敗 | 60% |
2位 | 齋藤 友晴 | 16勝14敗 | 53% |
2位 | 高橋 優太 | 16勝14敗 | 53% |
4位 | 井川 良彦 | 17勝16敗 | 52% |
5位 | 大澤 拓也 | 12勝12敗 | 50% |
6位 | 金川 俊哉 | 13勝14敗 | 48% |
6位 | 津村 健志 | 13勝14敗 | 48% |
8位 | 原根 健太 | 15勝18敗 | 45% |
9位 | 八十岡 翔太 | 12勝18敗 | 40% |
◆3-0アーキタイプまとめ
ドラフト | プレイヤー | アーキタイプ |
【1stドラフト】 | 原根 健太 | 青緑 |
【2ndドラフト】 | 大澤 拓也 | 赤緑 |
【3rdドラフト】 | 金川 俊哉 | 赤黒 |
【4thドラフト】 | 中村 修平 | 青白 |
【5thドラフト】 | 井川 良彦 | 青白 |
【6thドラフト】 | 津村 健志 | 青黒 |
【7thドラフト】 | 中村 修平 | 青緑 |
【8thドラフト】 | 高橋 優太 | 白赤 |
【9thドラフト】 | 齋藤 友晴 | 白赤 |
【10thドラフト】 | 八十岡 翔太 | 緑白 |
【11thドラフト】 | 齋藤 友晴 | 青白 |
◆2-0アーキタイプまとめ
赤黒:5回
青白:3回
白赤:3回
青黒:3回
白緑:3回
青緑:3回
青赤:1回
緑黒:1回
白黒:0回
赤緑:0回
青白:3回
白赤:3回
青黒:3回
白緑:3回
青緑:3回
青赤:1回
緑黒:1回
白黒:0回
赤緑:0回
◆0-2アーキタイプまとめ
白赤:4回
白緑:4回
赤黒:4回
緑黒:3回
青白:2回
青赤:2回
赤緑:1回
青黒:1回
白黒:1回
青緑:0回
白緑:4回
赤黒:4回
緑黒:3回
青白:2回
青赤:2回
赤緑:1回
青黒:1回
白黒:1回
青緑:0回
◆ 「環境の性質」
~コモンだけでは戦い抜けない、熾烈なシナジー環境~
~コモンだけでは戦い抜けない、熾烈なシナジー環境~
「機体」と「エネルギー・カウンター」に彩られた『カラデシュ』環境。それが『霊気紛争』によってどのように変化するのかはプロプレイヤーたちにとっても気になるところだっただろうが、実際にやってみると、そこには想像を絶する世界が待ち受けていた。
何せ、【私のインタビュー】や【八十岡のインタビュー】で散々述べられていたように、ドラフトにおいて『霊気紛争』のコモンは軒並み弱い。
2マナ域は《灰色熊》に毛が生えたような能力だし、そもそも枚数もそこまで多くない。そして3~4マナ域までいっても生物のサイズはさほど変わらず、「機体」も《改革派の貨物車》と違い、コモンではトランプルがないため、霊気装置トークンが並ぶこの環境では地上の突破力に欠ける。
『カラデシュ』の「亢進する~」シリーズが「霊気~者」シリーズに置き換わっていることもあり、あれだけスピード感に満ちていた環境が、『霊気紛争』によって圧倒的に低速化していたのだ。
このような環境においてはコモンクリーチャーのマナカーブによるバニラ押しビートダウンはほぼ成立せず、アンコモンやレアを駆使し、いかに強力なシステムを作り上げるかが重要となる。
すなわち『霊気紛争』は、3ターン目に《改革派の貨物車》を出せばそれだけで勝利に大きく近づいた『カラデシュ』×3の環境とは異なり、デッキ全体のシナジーやコンセプトを強く意識した、より精緻なトータルデザインが求められる環境なのである。
◆ 「環境の課題」
~いかなる戦略で同卓者と差をつけるのか?~
~いかなる戦略で同卓者と差をつけるのか?~
ところが、ここで問題が生じる。
それは、ピック難易度の増加である。
コモンだけでは勝てないのだから、卓の参加者はレアは無理にしても、アンコモンの受け入れをできるだけ広くするしかない。ということは、2パック目か、悪くすると3パック目まで、メインカラー (特に2色目) を保留することも正当化されるのである。
そのような観点から、当初は「1色を軸に、2~3色をつまむピック」する「受けドラフト」が有力かと注目されたものの、しかしそのようなやり方にもリスクは伴う。
なぜなら、「受けドラフト」はあくまで「上家か下家が色の合わない強力なレアやアンコモンを流してくれるだろう」といういわば楽観に依った戦略であり、コモンで積極的に色を決める価値がないとして全員がそのような「待ち戦略」をとってしまえば、もはや強力なレアやアンコモンが流れることは決してなく、自分のパックから引き当てるほかなくなってしまうからだ。
まして本番はプロツアー。Owen TurtenwaldやReid Dukeといった強豪たちが、よもや手ぬるいピックをするとは思えない。
ここにおいて求められるのは、戦略である。
これらの前提、共通認識を前にして、いかなる武器をプロツアーに持ち込むのか。その武器を見出すことこそが、合宿に参加したプロプレイヤーたちの課題となったのだ。
ここで合宿での推移に目を向けると、7回、8回とドラフトを重ねる中で、唯一コモンベースで見出された有力な戦略が青白飛行であった。
環境のクリーチャースペックが低いのに比して、コモンの飛行クリーチャーの性能は相対的に高い。
実際、【4th】、【5th】、【11th】と、飛行によるダメージレースの優位性をテーマにしたデッキが勝っている。そして、それらはほかのアーキタイプに比べて比較的コモンが (【5th】は例外にせよ) 多いのが特徴だった。
戦略があるとすれば、「爆弾を引けないときは飛行で勝て」というのがこの環境の一つのセオリーと言えるのかもしれない。
さらに、このような視点から見ると、八十岡 翔太の不調も頷ける。
10回参加したドラフトの中で、八十岡は一度も青白をドラフトしていない。
飛行とバウンスと除去を集めたら勝てるのは当たり前である。そんなわかりきっていることを合宿で試す必要はないと言わんばかりに、八十岡は前回の《歯車襲いの海蛇》のような、安いカードで勝てる戦略をあくまでも模索していた (ただ、あまりうまくはいっていなかったようだが)。
重要なのは合宿での勝利ではなく、プロツアーでの勝利である。ここでの敗北を布石にして、プロツアー『霊気紛争』では八十岡牧場が再び開園となる可能性も十分にあるのだ。
◆ 現段階での色の評価
◆ 3-0デッキのメインカラーになった回数
青:6回
白:6回
赤:4回
緑:4回
黒:2回
青:6回
白:6回
赤:4回
緑:4回
黒:2回
◆ 2-0デッキのメインカラーになった回数
青:10回
赤:9回
白:9回
黒:9回
緑:7回
青:10回
赤:9回
白:9回
黒:9回
緑:7回
◆ 0-2デッキのメインカラーになった回数
赤:11回
白:11回
黒:9回
緑:8回
青:5回
赤:11回
白:11回
黒:9回
緑:8回
青:5回
ここまでの整理からすると、飛行カラーの青と白を両方使うか、あるいはそのどちらかに地上クリーチャースペックの高い赤か緑を噛み合わせるのが常道ということになろう。
問題は黒の扱いである。
合宿の中で最も研究が進んでいなかった色が黒という色で、コモンは『カラデシュ』からクリーチャーのサイズと優秀なコンバットをすべて取っ払ったようなラインナップのため、弱い色なのは間違いないが、それにしてもあまりに勝てなさすぎるのである。
その意味で現段階での『霊気紛争』ドラフトは、黒の押し付け合いといった側面が強いのかもしれない。
だが、この環境において青白で勝つことは誰にとってもそう難しくはない。
だからこそ、黒を使った勝ち方を極めた者が、この環境の最終的な勝者となる可能性があるのだ。
◆ 舞台はプロツアーへ
しかし、これらはプロツアーに参加するプレイヤーのほぼ全員が共有しているであろう前提である。
この前提を踏まえて、プロプレイヤーたちはどのような「戦略」をもって『霊気紛争』ドラフトを攻略するのか?
上記の内容を踏まえつつ、プロツアーの初日と2日目の開幕3回戦、名だたる強豪たちのピックの内容を追って、ぜひその妙味を感得してもらいたい。
それでは、Hareruya Prosの面々がトップ8に残り、そして優勝することを祈りつつ、今回は筆をおかせていただく。
4月の『アモンケット』でまた会おう!
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