神が選ぶ『イクサラン』注目カードトップ3!

晴れる屋メディアチーム

 いよいよ今週末の9月29日(金)に、最新セット『イクサラン』が発売されます。

狡猾な漂流者、ジェイス殺戮の暴君太陽の化身、ギシャス

 「探検」「激昂」といった新しいキーワード能力に、「恐竜」「海賊」「吸血鬼」「マーフォーク」といった種族ベースのカード群など。

 魅力的なカードが揃った『イクサラン』を見ると、どのカードやデッキが強いのか、どのカードを買えばいいのか、悩んでしまう方も多いのではないでしょうか?

 そこで各フォーマットを代表する実力者である第9期「神」の5人に、「『イクサラン』で注目するカード トップ3」を聞いてみました!

■ 「神」とは?

晴れる屋が主催している、「神決定戦」という大会の暫定王者。
スタンダード・フロンティア・モダン・ヴィンテージ・レガシーの5フォーマットそれぞれで行われており、予選大会 (挑戦者決定戦) と決勝大会 (神決定戦) を勝ち抜いた者だけが「神」になることができる。

詳しくはこちらをご覧ください。→神決定戦特設ページ

 各フォーマットを熟知した者ならではの視点から、鋭い意見が飛び交いました。「神」の目には何が映り、彼らは何を考えたのでしょうか。

◆ 第9期スタンダード神 岡井 俊樹

『イクサラン』カードセット全体の印象

 まず、目につくのはなんといっても「恐竜」ですね。「海賊」、「マーフォーク」、「吸血鬼」と部族プッシュが目立つセットですが、「恐竜」はインパクトもカードの質も頭一つ抜けている感じがします。ローテーションで去る大活躍した「ゾンビ」、「人間」に代わる強力な部族デッキとなるか注目ですね。

 また、再録カードである《選択》《呪文貫き》《強迫》《稲妻の一撃》といった軽く優秀なスペルたちや新たな友好2色土地・通称M10ランドなどは、様々なデッキに採用されるため構築に変化がありそうです。

 特に、対抗色のクリーチャー化土地がスタン落ちするのと合わせて対抗色とのマナベースの強さが逆転しそうなので、目立たなかった友好3色のデッキが活躍するかもしれません。

『イクサラン』スタンダード注目カードトップ3!

1位 《秘宝探究者、ヴラスカ》

秘宝探究者、ヴラスカ

 「+2」でトークン生成、「-3」で除去、「-10」で勝てる奥義と、プレインズウォーカーとしては無難に役に立つ能力を取りそろえたようなカードですが、6マナマルチだけあってかなり強力な仕上がり。

 トークン生成は「+2」なので、「+2」能力から入られると高い初期忠誠度と合わさって忠誠度8と、プレインズウォーカー除去がないと対処する気も失せるような堅さを誇りますが、奥義が強烈な上に2ターンしか猶予がないため、放置して勝つのも困難。

 さらには奥義の能力がゲームに勝つではなく「ライフを1にする」なので、上から能力を読んでいったときに「なんでトークン威迫なんだよ……」と思ったら実は役に立つ秀逸なデザイン。そして、よくある小マイナス除去能力も置物に対処可能、連打可能、おまけ (宝物) 付きと地味に超優秀。

 これに限りませんが、フルタップで宝物・トークンから《致命的な一押し》を打つときのちょいドヤ感はたまらなそうですね。

2位 《航路の作成》

航路の作成

 スタンダードでは《苦しめる声》より使い勝手のいいカードなので、《王神の贈り物》デッキのように墓地を活用するコンボデッキのエンジンパーツとして見かけることになりそうな1枚。似た役割をもつ優等生《機知の勇者》と色・マナコストともに丁度良く一緒に採用されることでしょう。

 2マナと軽く他のスペルと連打しやすいため、《電招の塔》や生まれ変わった《紅蓮術師のゴーグル》こと《原初の呪物》といったスペルコンボデッキも面白いかもしれません。

 また、「強襲」ボーナスを達成するとこのカードはなんと2マナ2ドローとスタンダードではダントツの効率の高いドロースペルとなります。殴るデッキでソーサリードローとなると既存のマナカーブ通りのミッドレンジには合わなそうですが、マルドゥ機体の《苦い真理》のようにサイドボードからの軽いアドバンテージ源としてもいいかもしれませんね。

3位 《残骸の漂着》

残骸の漂着

 4マナインスタントで全体除去になりうる派手なカード。殴る側としても全部すっ飛ばされてはどうしようもないので戦闘が難しくなってしまうため、存在そのものが青白系コントロールにとって追い風であり、《天才の片鱗》《奔流の機械巨人》と合わせて上手く立ち回れそうです。

 追放除去なので従来の全体除去で採用されていた《燻蒸》では対処できなかった《熱烈の神ハゾレト》や各種機体などにも効くため、一筋縄では倒せなさそうなコントロールデッキがより一層構築できるかもしれません。土地を渡すデメリットも、クリーチャー化土地や《不屈の追跡者》といった強力なマナフラッド受けがいなくなるため、意外と小さく感じそうです。

◆ 第9期フロンティア神 松本 友樹

『イクサラン』カードセット全体の印象

 皆さんお久しぶりです。BIG MAGIC所属プロ、松本 友樹です。

 今回のカードリストを見てみたところ、「フロンティア」にうってつけのカードだらけで正直上位3枚のカードを選ぶのが大変でした。今回の記事ではこのような結果となっていますが、「フロンティア」で活躍しそうなカードはもっとたくさんあります。特に「変身」を持つカードはうまく使いこなせれば大活躍間違いなし、です。

 「フロンティア」唯一の特殊土地対策である《廃墟の地》も間違いなく使われるでしょう。

 そんな中で選ばれた上位3枚は、その他のカードと比べて「現在のフロンティア環境」で明確な役割を持ち、すぐさま影響するカードです。

 前置きも長くなってきましたので、そろそろ見ていきましょう。

『イクサラン』フロンティア注目カードトップ3!

1位 《呪文貫き》

呪文貫き

 このカードの登場をずっと待ち続けていたデッキがあります。「ジェスカイフライング」「ジェスカイアグロ」と呼ばれる青・赤・白3色のビートダウンデッキです。

 軽量除去かつ本体火力の《稲妻の一撃》《乱撃斬》で盤面をいなし、《密輸人の回転翼機》《カマキリの乗り手》といった飛行クロックでライフを詰め、《呪文捕らえ》で除去や相手のクロックを封殺する……。かつて、フロンティアを支配していたデッキでした。しかし、《時を越えた探索》を最大限うまく扱える青系コントロールデッキの台頭により、その地位は過去のものとなっていたのです。

 そんな「ジェスカイ」を再び環境の上位に押し上げるマスターピースがこの1枚です。相手の除去や《時を越えた探索》のような強力な「探査」呪文をわずか1マナで対処する上に、自身の《時を越えた探索》《宝船の巡航》を実質フリースペルとして唱えることができます。

 圧倒的なテンポ獲得能力でもって、これまで不利だった相手との相性を劇的に改善できるわけです。この《呪文貫き》は間違いなく、フロンティアの世界を大きく変えることでしょう。

2位 《選択》

選択

 《呪文貫き》の登場で青系コントロールは死滅してしまうのでしょうか?いいえ、決してそんなことはありません。この《選択》の登場により、青系コントロールもまた大きく強化されました。

 《時を越えた探索》を使えるコントロールといえば、最も強くイメージされるのは挑戦者決定戦で現モダン神である松田さんが使用した青黒コントロールでしょう。このデッキは《時を越えた探索》+除去・カウンターというアクションを中盤に取ることで、相手との差を大きく付けることができるデッキです。

 しかしこのデッキにも問題はありました。それが低コストのドロースペルの不在です。

 《巧みな軍略》も決して弱いカードではありませんが、除去やカウンターと両立しない2マナのソーサリーです。しかし代わりがないためこのカードを使うしかなかったのです。

 そこに登場したのがこの《選択》です。序盤は軽量の除去や土地を探し、中盤からは《時を越えた探索》《奔流の機械巨人》を探しつつ実質フリースペルとなるこのカードの価値は計り知れません。この《選択》も間違いなく、フロンティアで広くプレイされるカードとなるでしょう。

3位 《殺戮の暴君》

殺戮の暴君

 これまでの話ではフロンティア環境は《時を越えた探索》で支配されてしまうかのように見えます。この《殺戮の暴君》が登場しなければ、実際にそうなっていたかもしれません。

 「強くなるために努力するのは女々しいこと」と言わんばかりの単純明快さ。「でかい=つよい」を極限まで研ぎ澄ませたようなスペックは、あの手この手で相手との差を広げようとする青系コントロールを一発で黙らせることができるほどのものです。《奔流の機械巨人》を上回る戦闘力に、《不許可》《衰滅》も受け付けない無敵っぷりは圧巻の一言。

 これまで青系コントロールに苦しめられていた緑を使えるあらゆるデッキは、このカードをサイドボードに数枚しのばせるだけで、相性を劇的に改善できるでしょう。青一色に染まると思われたフロンティアに登場した圧倒的なアンチカード《殺戮の暴君》も、間違いなく活躍してくれる1枚です。

◆ 第9期モダン神 松田 幸雄

『イクサラン』カードセット全体の印象

 『イクサラン』はプレインズウォーカーのルールが変わったところが大きいです。

 《試練に臨むギデオン》の紋章を得て違う《ギデオン・ジュラ》で守る、みたいなことも楽しそうですしね。新しいデッキがいろいろ生まれそうで楽しみです。

『イクサラン』モダン注目カードトップ3!

1位 《魔術遠眼鏡》

魔術遠眼鏡

 《真髄の針》と効果は一緒ですが手札を見れる効果が非常に大きいです。これは一種の手札破壊のように使えるでしょう。特に《解放された者、カーン》《ヴェールのリリアナ》など、強力なプレインズウォーカーが場に出る前に指定してしまえば無力化させることができます。

 ありそうな状況としては、エルフのような部族デッキがウルザトロンデッキ相手に使用して《精霊龍、ウギン》《忘却石》などを封印してしまえば相手の計算を大きく狂わせたりできそうです (もし手札が《全ては塵》だったりするとダメですが)。

 メインからの採用は難しいですが、サイドで使われるいいカードになると思います。

2位 《人質取り》

人質取り

 青黒のカードながらクリーチャーとアーティファクトの両方に対応できるなかなか優秀な1枚です。マナを払えば永続的に奪える効果も、モダンでは《タルモゴイフ》《死の影》などの軽量かつ強力なものが多いので、リターンが大きい。除去耐性が低い点が難点ですが、そこは青黒らしく打ち消しやハンデスでうまくバックアップしてカバーしましょう。

 多色になりますが、対戦相手のターン終了時に《召喚の調べ》で呼び出して返しの自分のターンに奪う能力を使ってしまうのも、隙がなくて面白そうですね。

3位 《選択》

選択

 懐かしいカードが帰ってきました。『インベイジョン』以来の登場です。

 ライバルの《血清の幻視》と比べるとライブラリーを掘る枚数はあちらの方に軍配が上がりますが、インスタントの使いやすさは目を見張るものがあります《マナ漏出》《瞬唱の魔道士》など瞬速のムーブと相性が良く、コントロールデッキではこちらが使われるでしょう。

おまけ 《呪文詐欺》

呪文詐欺

 《グルマグのアンコウ》とか重い呪文消して《頭蓋囲い》つけて殴れば簡単に勝てる。《エーテリウムの達人》も簡単に2桁パワーだ!

 コストの重さは《鼓舞する彫像》でカバーすれば打てる。すごい!《Mana Drain》本当にすごいんだ!

◆ 第9期ヴィンテージ神 森田 侑

『イクサラン』カードセット全体の印象

 プレビュー当初の「あのヴラスカが海賊に!」という印象が強すぎてコメントに困るところです(笑)

 メカニズムとしては新しいタイプの両面カード (土地になる両面カード) に注目したいところですが、今回のセットでは悠長なカードが多く、ヴィンテージでの活躍は難しそうなのが残念なところです。

 今回は出ませんでしたが、折角「恐竜」が主要部族の1つなので、次回は《ドルイドの誓い》から出したくなる強力な恐竜に期待したいところです。 ※できればアーティファクトの恐竜でお願いします (多分出ません)

『イクサラン』ヴィンテージ注目カードトップ3!

1位 《魔術遠眼鏡》

魔術遠眼鏡

 先日《アメジストのとげ》が制限され、MUDが弱体化しましたが、今後その空いた枠に入ってくるであろうカードが出てきました。

 《Time Vault》などの相手のキーカードを止めることができるのはもちろんですが、《ファイレクシアの破棄者》と異なり土地を指定できるので《Bazaar of Baghdad》をメインから無理なく対策できるほか、相手のハンドのフェッチランドを指定してマナ拘束するなど、多方面での活躍が期待できます。

 最低限ハンドを見れるので腐ることは少なく、MUD以外の他のデッキでも採用の余地はありますが、2マナという重さが足かせになる局面 (特に《Bazaar of Baghdad》を指定するとき) があるので、より軽い《真髄の針》と使い分けるケースがあることも覚えておきましょう。

2位 《歩哨のトーテム像》

歩哨のトーテム像

 ヴィンテージで見かける墓地追放アーティファクトは《トーモッドの墓所》《大祖始の遺産》など特に優秀なものしか使われていませんが、アドバンテージの面では《大祖始の遺産》《歩哨のトーテム像》《トーモッドの墓所》、コストの面では《トーモッドの墓所》《歩哨のトーテム像》《大祖始の遺産》と、このカードは上記アーティファクトと比較しても遜色ないと言えます。

 今後ヴィンテージの各デッキで使われていくと予想していますが、追放範囲、コストから《大祖始の遺産》に近いカードと考えているので、まずサイドに《大祖始の遺産》をよく差すMUD辺りから使われ始めるのではないでしょうか。

3位 《深根の勇者》

深根の勇者

 《クウィリーオンのドライアド》とよく似た能力ですが、誘発条件が「クリーチャーでない呪文」となっているため、Moxenと《逆説的な結果》の組み合わせなどで一気に育てることができます

 似た能力でより制圧力の高い《マナ喰らいのハイドラ》という競合相手がいるので、こちらば2マナという軽さを生かしたいところです。

 そもそも《僧院の導師》を各種Tutorで持ってきた方が強そうという点は考えないようにしましょう……

◆ 第9期レガシー神 川北 史朗

『イクサラン』カードセット全体の印象

 今回はレガシーでも活躍してくれそうなカードがいつもよりたくさん収録されて嬉しいですね。あと面白そうな効果を持ったカードも多数あり、なかでも「両面カード」は統率者戦などで今後活躍していきそうですね。

 あと、海賊と恐竜というコンセプトが良いですね。HareruyaCOMBATで原根さんと齋藤さんの恐竜VS海賊の動画は楽しませて頂きました。

『イクサラン』レガシー注目カードトップ3!

1位 《航路の作成》

航路の作成

 こういうカード待ってました!色々な可能性を感じるカードです。

 レガシーには手札を捨てても有効に効果を発揮してくれる色々なギミックがあり、「マッドネス」「フラッシュバック」「リア二メイト」「発掘」など、新しいデッキが出てくるのを期待しています。思い付く実用レベルなデッキとして、《未練ある魂》《陰謀団式療法》《僧院の導師》などの青白黒のデッキですかね。

 個人的には《実物提示教育》《直観》《補充》《全知》《航路の作成》を4枚ずつ入れた新しいショーテル全知デッキを作りたいと考えています(笑) マッドネスデッキで《復讐蔦》との相性も良さそうですね。

2位 《魔術遠眼鏡》

魔術遠眼鏡

 1マナの差が大きいレガシーでは賛否別れるカードですね。私は1マナ重くても十分使えるカードだと思います。

 今まで《虚空の杯》《真髄の針》の併用をしたくてできなかったデッキに入ると思います。「ドラゴンストンピィ」や「12post」などにいかがでしょうか。

3位 《手付かずの領土》

手付かずの領土

 これは友人のアイデアでしたが、面白い考え方だなと思って選びました。ほとんど《魂の洞窟》の下位互換カードに見えますが、このカードが出たことで、今まで採用されなかった有色のエルドラージに可能性が出てきました。《希望を溺れさせるもの》《静寂を担うもの》《空中生成エルドラージ》《卑小な回収者》《変位エルドラージ》《エルドラージの寸借者》《世界を壊すもの》といっぱいありますね!!

 他にも《廃墟の地》《危険な航海》《歩哨のトーテム像》《形成師の聖域》など、『イクサラン』はレガシーで使えそうなカードが盛りだくさんです。


 「神」ならではの柔軟な発想と鋭い着眼点から、各フォーマットの『イクサラン』の注目カードをレビューしてもらいました。

 彼らは、そして世界中のプレイヤーたちは、これらのカードをどう使うのでしょうか?

 発売後に行われる世界選手権や、各フォーマットの大会結果をお楽しみに!!

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