神が選ぶ『イクサランの相克』注目カードトップ3!

晴れる屋メディアチーム

 いよいよ今週末の1月19日(金)に、最新セット『イクサランの相克』が発売されます。

光輝の勇者、ファートリ再燃するフェニックスオラーズカの暴君、クメーナ

 新しいキーワード能力「昇殿」に加えて新たな変身カードたち、またさらに強力になった「恐竜」「海賊」「吸血鬼」「マーフォーク」といった種族ベースのカード群など。

 魅力的なカードが揃った『イクサランの相克』を見ると、どのカードやデッキが強いのか、どのカードを買えばいいのか、悩んでしまう方も多いのではないでしょうか?

 そこで各フォーマットを代表する実力者である第9期「神」の5人に、「『イクサランの相克』で注目するカード トップ3」を聞いてみました!

■ 「神」とは?

晴れる屋が主催している、「神決定戦」という大会の暫定王者。
スタンダード・フロンティア・モダン・ヴィンテージ・レガシーの5フォーマットそれぞれで行われており、予選大会 (挑戦者決定戦) と決勝大会 (神決定戦) を勝ち抜いた者だけが「神」になることができる。

詳しくはこちらをご覧ください。→神決定戦特設ページ

 各フォーマットを熟知した者ならではの視点から、鋭い意見が飛び交いました。「神」の目には何が映り、彼らは何を考えたのでしょうか。

◆ 第9期スタンダード神 岡井 俊樹

『イクサランの相克』カードセット全体の印象

 最初見たときは、2マナの全体強化クリーチャー (《マーフォークの霧縛り》《軍団の副官》) や1マナパワー2クリーチャー (《空渡りの野心家》《勇敢な海賊》など) の登場で『イクサラン』単体ではカード不足感があった部族テーマがデッキになるようにはなったものの、エネルギーデッキの高性能なクリーチャーや除去を超えて押しきるにはやや力不足のような印象を持ちました。

マーフォークの霧縛り軍団の副官勇敢な海賊

 しかし、先日の禁止改定によってスタンダードのパワーバランスは全く分からなくなり、アグロの王者赤単の弱体化も合わさって部族アグロのような新アーキタイプのポジションがどの程度であるかは予想が困難になり、実際に使ったり使われたりして感触を確かめたいと思えるほど期待が持てるようになりました。

 また、前回に引き続き裏面が土地になる両面カードが収録されていますが、『イクサラン』での《軍団の上陸》《アズカンタの探索》《宝物の地図》のように、強力であっても一見しただけでは変身させやすさや裏面の強さが評価しにくいため、今回もデッキ構築力が試されるようなカードたちになりそうです。

『イクサランの相克』スタンダード注目カードトップ3!

1位 《翡翠光のレインジャー》

翡翠光のレインジャー

 世界は亡き《ならず者の精製屋》に代わる出し得アドバンテージクリーチャーに飢えています。このカードはカードアドバンテージは「土地が手札に加わること」でしか獲得できません。典型的なスペル対土地の比率が6:4のデッキであれば約16%で土地2枚、48%で土地1枚が手札に加わるので期待値は0.8枚程度ですが、全てスペルであれば3マナで4/3と悪くないサイズ、キーカードを探すために2枚掘り進めたり土地を1枚加えながら不要なスペルを弾くなど、1枚ドローより価値の高い働きをしてくれることも多々ありそうなので、かなり優秀なクリーチャーであると思います。

 加えてマーフォークであることによる部族シナジーや《巻きつき蛇》とのカウンターシナジーもあるので、より強力に運用することのできるデッキもありそうです。マーフォークシナジー満載なデッキでなくとも、《マーフォークの枝渡り》《銀エラの達人》などの出し得クリーチャーをセットで出張させることも可能かもしれませんね。

 4枚目以降の土地を得ることによる恩恵のあるミッドレンジ寄りのデッキでは活躍できると思うので、緑のミッドレンジ好きの方はぜひ使ってみてください。

2位 《再燃するフェニックス》

再燃するフェニックス

 赤単やエネルギーデッキに採用できそうなためプレビュー当初から大注目だったカードですが、弱体化後もそれらのデッキからチューンアップした派生デッキはもちろんその他様々な赤いデッキ活躍しそうで期待が膨らむカードです。

 赤いアグロデッキでは《熱烈の神ハゾレト》では突破できない地上をすり抜けてダメージを稼げますし、エネルギーデッキでは4ターン目に安全に着地できないケースが増えそうな上に突破力が低下した《逆毛ハイドラ》に代わる4マナ域として採用されそうです。

 白いコントロールの《燻蒸》に強く、余った火力で《残骸の漂着》《ヴラスカの侮辱》などの追放除去も避けられたり、困ったら《熱烈の神ハゾレト》をチャンプブロックし続けることもできるので、攻防ともに高いポテンシャルを持つカードだと思います。

3位 《雷群れの渡り》

雷群れの渡り

 天敵赤単の弱体化に加えて《不屈の自然》が帰ってきたことで再びランプ系のデッキが成立するのではという期待を込めての1枚です。

 2マナで唱えるためには「恐竜」が必要ですが、同じく土地を伸ばすことのできる《群棲する猛竜》や優秀な中継ぎの《切り裂き顎の猛竜》に加え、《原初の死、テジマク》《原初の災厄、ザカマ》のようにマナを伸ばした後に捲り返しが狙えるカードも登場したので、「恐竜」縛りがあってもコンセプトのブレないランプデッキが構築できそうです。

 『イクサラン』時点では前評判に反して伸び悩んでしまった「恐竜」の反撃の狼煙となることを期待しましょう。

◆ 第9期フロンティア神 松本 友樹

『イクサランの相克』カードセット全体の印象

 お久しぶりです。BIG MAGIC所属プロ、松本 友樹です。

 『イクサランの相克』はスタンダードではとても大きな影響を与えるでしょうが、フロンティアではそれほどではありません。しかしながら、決して無視をすることができないセットでもあります。これまでフロンティアに存在しなかった強烈なメタカードから、新たなデッキを組む気にさせてくれるカードなど、試してみたいカードはいくつもあります。

 それでは、そんな気になるカードを見ていきましょう。

『イクサランの相克』フロンティア注目カードトップ3!

1位 《血染めの太陽》

血染めの太陽

 フェッチランドを強烈に咎める1枚。

 フロンティアは他フォーマットでは片っ端から禁止されるほどの強力な「探査」呪文の存在に加え、《血染めの月》のような強力な特殊地形対策がないことから、非常にたくさんのフェッチランドを使う傾向にあります。モダンでは3色デッキですらフェッチランドを10枚以上採用することは少ないのに対し、フロンティアでは2色ですら10枚程度はカジュアルに採用されていました。そんなデッキはこれ1枚で大ピンチ間違いなしです。

 自分もフェッチランドを使わない上に特殊地形の効果が消えても構わないようなデッキはほぼ存在しないので、一体どんなデッキがこのカードを使うかは難しいところですが……3~4色や《時を越えた探索》デッキが跋扈するフロンティアにおいて、このカードが与えるインパクトはきっと大きなものになるものと思います。

2位 《胆力の道》

胆力の道制覇の塔、メッツァーリ

 表面は力不足ですが変身してしまえば土地の中では最強クラス。

 赤白のアグロデッキは現状フロンティアでほとんど活躍していません。それは赤白にするメリットがこれまでほとんどなかったからです。強力な赤白のスペルがない中、対抗色のフェッチランドが存在しないフロンティアにおいて、あえて赤白を組む理由はほとんどありませんでした。

 このカードはそんな赤白のデッキを組む気にさせてくれる1枚です。ちなみに《ゴブリンの熟練扇動者》がいると全てのゴブリンが速攻を持ちます。相性良いですね!

3位 《ハダーナの登臨》

ハダーナの登臨オラーズカの翼神殿

 フロンティアといえば+1/+1カウンター!というほど、《硬化した鱗》《巻きつき蛇》デッキが流行したタイミングがありました。

 最近ではその流行も下火になってきていますが、このカードを見れば再び彼らも元気になるに違いありません。《巻きつき蛇》なら4/5、6/7と大きくなって変身して能力を使えば12点!ですし、たった一回の誘発で変身することも非常に簡単です。

 《硬化した鱗》デッキはサイズを膨れあげさせることはできるものの、回避能力持ちが少なく突破力が低いのが問題点でした。このカードは+1/+1カウンターシナジーを強烈に後押ししつつ、足りない点を補ってくれるカードです。当然3色になると土地事故のリスクは増えてしまいますが、それでも頑張って使いたいと思えるくらいの一枚でしょう。

◆ 第9期モダン神 松田 幸雄

『イクサランの相克』カードセット全体の印象

 今回も色々と魅力的なカードが登場しましたが特に部族系のカードが大きく印象に残りました。

凶兆艦隊の向こう見ず戦凧の匪賊風雲艦隊の疾走者

 特にイクサラン発の部族、「海賊」はかなり強化されたと思います。モダンでもいくつか「海賊」が活躍しそうですね (もっとも「海賊」としてではなく「人間」デッキから出てくる方が多そうですが)。

『イクサランの相克』モダン注目カードトップ3!

1位 《血染めの太陽》

血染めの太陽

 土地に制限をかけるカードとしては《血染めの月》の方が強力ですが、こっちも面白い性能です。フェッチランドを完璧に封印できるのは《血染めの月》にはできない使い方です。

 素早く設置すると威力がかなり高まるカードなので、緑赤土地破壊や白赤プリズンデッキに使われそうです。またマナ能力には制限がないので、ウルザトロンデッキが《幽霊街》《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》への対策に採用することもありえそうです。

2位 《マーフォークの霧縛り》

マーフォークの霧縛り

 モダンの緑青マーフォークデッキ期待の1枚。《アトランティスの王》《真珠三叉矛の達人》と合わせれば2マナのロードがなんと12枚も使えます!これだけ安定してロードを出せる部族はマーフォークだけでしょう。

 また、《オラーズカの暴君、クメーナ》《深根の精鋭》など、新たに増えたマーフォークもなかなか良いものが多いので、『イクサランの相克』後のマーフォークには要注目です。

3位 《原初の飢え、ガルタ》

原初の飢え、ガルタ

 D (でかい)

(クリーチャーの数が並びやすい《集合した中隊》を起点としたデッキだとかなり早く出せます。特にエルフデッキだと強く使えます。また《滋養の群れ》で追放すれば12点回復できるので、グリセルシュートにも入るかもしれません)

◆ 第9期ヴィンテージ神 森田 侑

『イクサランの相克』カードセット全体の印象

 最初に目についたのは《原初の災厄、ザカマ》をはじめとしたドデカい「恐竜」たちです。「恐竜」という種族の宿命なのか、除去耐性が低いものが多いのですが、能力は派手なものが多く、《殺戮の暴君》(※オースのサイドボードによく採用されています) に引き続いて「恐竜」がヴィンテージに襲撃してくることに期待したいです。

 また、前セットから引き続いて

《血染めの月》《血染めの太陽》
《トレイリアのアカデミー》《カトラカンの宝物庫》

 といった過去の名カード達がリメイクされて帰ってきている点も見逃せません。

『イクサランの相克』ヴィンテージ注目カードトップ3!

1位 《不滅の太陽》

不滅の太陽

 MUDには《強制の門》《ニンの杖》などの息切れ防止要員が採用されることがありましたが、この手のカードは《ダク・フェイデン》の能力でコントロールを奪われると悲惨なことになるので、主に同型対決を想定したサイドボード要員でした。

 一方、今回出たこのカードは自身にプレインズウォーカー対策がついているためメインに挿しても問題なく、ドロー補助以外の能力も強力なので、今後のMUDでメインボード採用候補になるでしょう。

2位 《血染めの太陽》

血染めの太陽

 どちらかというとレガシーやモダン向けのカードに見えますが、ヴィンテージ環境でも《ミシュラの工廠》《不毛の大地》《Bazaar of Baghdad》など標的には事欠かないので、赤の混じったコントロールのサイドボードに採用されうるのではないでしょうか。

 ただ贅沢を言うようですが環境の速さを考えると、場に出たときのドローは不要なので土地1+Moxから出せる2マナであって欲しかったところです。

3位 《凶兆艦隊の向こう見ず》

凶兆艦隊の向こう見ず

 2マナクリーチャーの枠にはより汎用性が高く相手に依存しない《瞬唱の魔道士》がいますが、《墓掘りの檻》に引っかからない、再利用されたら困る呪文を追放できる、色 (赤単などで採用可能) など《瞬唱の魔道士》にはない点で差別化は可能ですので、

 出す
  ↓
 相手の墓地の《Ancestral Recall》を唱える
  ↓
 ☆昇天☆

 という動きを夢見たいところです。

◆ 第9期レガシー神 川北 史朗

『イクサランの相克』カードセット全体の印象

 もうすぐ『イクサランの相克』の発売が近づいてきました。今回はレガシーにも影響しそうなカードが多めな印象で、環境にも影響を与えそうですね。

 部族はマーフォークが注目ですね。レガシーでマーフォークを愛しているプレイヤーにとってはワクワクしたのではないでしょうか?(残念ながら使えそうなマーフォークは《銀エラの達人》くらいでしたが……)

 それでは早速『イクサランの相克』注目カードベスト3に入りたいと思います。

『イクサランの相克』レガシー注目カードトップ3!

1位 《血染めの太陽》

血染めの太陽

 HareruyaWayfinderでも紹介されていましたが、ドラゴンストンピィには間違いなく入ると考えます。《月の大魔術師》《血染めの太陽》《血染めの月》の12枚体制ですね。《裏切り者の都》は追加の土地がセットされても生け贄に捧げる必要がなく、場に出ると1枚引くという効果も、息切れしやすい ドラゴンストンピィには合っていますね。

 他にも赤単スニークや赤エルドラージにも入りそうです。

2位 《凶兆艦隊の向こう見ず》

凶兆艦隊の向こう見ず

 赤瞬唱と言われている?カードですね。《瞬唱の魔道士》と違い瞬速を持っていないのでレガシーでの採用は厳しいと思われましたが、このカードを2枚採用した白赤デス&タックスが早速Magic Onlineの競技リーグで5-0していました。瞬速を持っていなければ《霊気の薬瓶》で疑似的に持たせれば良いという大胆な発想ですね。

 こちらの記事に書きたいことがほとんど書かれてしまっているので書かれていない点についてのコメントになりますが、デスタクはデルバーデッキに比較的有利と言われている割に、デルバーが除去できずに負けてしまうことがよくあります。そこで《凶兆艦隊の向こう見ず》があれば、相手の《稲妻》を利用して除去できる可能性が高くなり、負け筋を減らせます。

3位 《沈黙の墓石》

沈黙の墓石

 ANTのサイドボードとして注目されているカードです。《死儀礼のシャーマン》《瞬唱の魔道士》《外科的摘出》に対する解答ですね。

 現在は《地の封印》がよく採用されていますが、緑が不要でかつ軽いので、今後は《沈黙の墓石》が採用されるかもしれません。

 ほか、上記3枚以外にも《アゾールの門口》に注目しています。引きムラがある赤単スニークやドラゴンストンピィにいかがでしょうか?


 「神」ならではの柔軟な発想と鋭い着眼点から、各フォーマットの『イクサランの相克』の注目カードをレビューしてもらいました。

 彼らは、そして世界中のプレイヤーたちは、これらのカードをどう使うのでしょうか?

 発売後に開催される各フォーマットの大会結果をお楽しみに!!

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