Translated by Yoshihiko Ikawa
(掲載日 2018/01/25)
やぁ!グジェゴジュ・コヴァルスキだ。今週末は世界の2ヶ所(ヒューストンとロンドン)でリミテッドのグランプリが開催されるので、俺が今週身につけたシールドの経験値をみんなにシェアしようと思う。既にドラフトを何回も、そしてシールドも数回プレイしたが、この2つのフォーマットにはいくつか違いがあることがわかったんだ。
まず最初に、相変わらず、シールドの方が遅い。ドラフトデッキに比べるとシールドデッキはシナジーが薄くなり、それは『イクサランの相克』のように部族を軸としたフォーマットではかなり問題となってくるんだ。平均的に、ドラフトデッキよりもデッキに入っている除去の枚数は減り、マナカーブも悪くなる。
このフォーマットにおいて、俺が成功したデッキは以下の3パターンのアーキタイプのいずれかだった。
1. インパクトのある爆弾カード&除去を備えたデッキ
構築するのが最も簡単なアーキタイプだ…ツイていればな。もし3-4枚の優秀なレアが2-3色に固まっていて、除去も数枚あるようなら、それらを使えるようこのデッキタイプを選ぶだろう。
シールドにおいてこういったデッキはいつだって好成績を残すし、構築も簡単だ。『イクサランの相克』には《旅行者の護符》、《進化する未開地》、そして「宝物トークン」を生み出せるカードが沢山あるので、色をタッチするのがとても容易い。もしこれらのマナサポートが十分あるなら、素晴らしいレアや確定除去は常にタッチする価値があると言える。
《聳えるアルティサウルス》や《太陽冠のプテロドン》のような防御的なクリーチャーは、こういうデッキにおいては通常よりも良い働きをする。なぜならデッキのゴールは「爆弾カードでゲームを勝ち取れるまで生き残る」ことだからな。
一方、《ゴブリンの先駆者》のような攻撃的なクリーチャーの価値は低くなる。対戦相手の攻撃的な低マナ域と交換するために数枚は必要にはなるが。もし十分に除去スペルがあるならマナカーブについては優先度はそこまで高くないので、色のあっているすべての2マナ域をすべてデッキに入れる必要はないってことを覚えておいて欲しい。
2. 優秀で攻撃的なマナカーブとコンバットトリック/除去を備えたデッキ
ブッ壊れたレアを引けなかったら、これが次の選択肢となる。こういったデッキタイプは一般的に特別なレアや神話レアを必要としないからな。必要になるのは、できるだけ多くのパワーの高い軽量クリーチャーと、数枚のコンバットトリックや除去だ。
このアーキタイプは対戦相手に爆弾カードをプレイできるだけの猶予を与えないので、先に述べた「爆弾カード&除去デッキ」への優秀なカウンター・デッキでもある。赤白と赤黒が『イクサランの相克』シールドにおいてこの戦略の最良の組み合わせではあるが、プールに何があるか次第なのは明らかだな。
白、黒、そして赤には、デッキに1-2マナ域のクリーチャーが多いときに特に完璧な働きをする、コモンの3-4マナの除去が多数あるぞ。
3. 軽い回避能力持ちクリーチャーと、地上のブロッカー/テンポを取れる呪文が入ったデッキ
俺の考えだと、有力な戦略のラスト1つがこれだ。これらは、共にコモンである《帆凧の海賊》と《巧射艦隊の帆綱引き》を活用した青ベースのデッキがほとんどだ。
飛行クリーチャーやブロックされないクリーチャーを数体展開しつつ、対戦相手のカードを除去やバウンス、カウンターして、ダメージレースで差し切るのがデッキのゴールだ。
《財力ある船乗り》のようなカードは大歓迎だ。小型クリーチャーから地上を守ってくれるので、除去やバウンスをより巨大で価値の高い脅威のために温存しておくことができるようになるからな。
回避能力があるクリーチャーに絆魂を付与するオーラをつければ、ダメージレースが非常に有利になるし、攻撃的なデッキに対して速やかに蓋をすることができる。
シールドのコツ
まず新しいプールを開けたら、最初に色ごとにソートした上で、アンプレイアブルだと思うカードを排除するところからスタートする。しばしば1色ないし2色はプレイアブルなカードが数枚しかなく、それらの色を使うことを諦めることになる。もしその使わなそうな色の中にタッチする価値がありそうなカードがあれば、そのカードだけ抜き出して、残りは脇に退けることにしている。
そして、(プレイアブルな)それぞれの色ごとでクリーチャー/非クリーチャー別にソートして、それから点数で見たマナコスト順にソートする。その後に、シンプルにそれらの色の全ての組み合わせを試してみて、上で分類したどのタイプに当てはまるかをチェックするんだ。
もしそのデッキが攻撃的なデッキではなく、除去と一緒に十分なだけの回避能力持ちのクリーチャーも爆弾カードも使えないならば、きっとそのデッキは酷く負けることになるだろう。
サンプル・カードプール
俺がプレイした中で最も興味深かったプールの一つがこれだ。優秀なレアが大量にあるわけではなく、とはいえ酷すぎない、まともなプールだ。これぐらいが平均的なプールで、グランプリでも似たようなプールを引くことになるだろうから、一緒に考える例としてはちょうどいいんじゃないかと思うよ。
サンプル・カードプール
まず最初に俺がやったのは、使えるマナサポートの枚数を数えることだ。このプールには《旅行者の護符》が1枚、2色土地が1枚しかなく、《進化する未開地》は0枚だ。すなわち、このプールでは大抵は2色で組むことになるだろう。
ざっとプールを眺めた後に、このプールの緑は枚数が足りておらず、どの色と組んでも2色でデッキを組めそうにないことがすぐに分かった。特に爆弾カードも除去もなかったので、脇に退けることにした。
青も少し枚数が足りないが、緑に比べるとカード自体のクオリティは高い。2マナ以上の回避能力持ちの、有望なクリーチャーが3枚あるし、それらと一緒に使う2枚の《巧射艦隊の帆綱引き》もかなり良い働きをするだろう。青メインのデッキを今回のプールで組むならテンポ/回避能力で戦うアグロデッキになるので、完全にこの青を評価するには他の色を先にチェックする必要がありそうだな。
残りの3色は、俺達に多くの選択肢を残してくれている。どの組み合わせで組んでも2色のデッキが組めるほど十分にプレイアブルなので、この3色に注目して見ていくことにしよう。
まず最初に目に入るのが、6枚すべてのレアがマルドゥ・カラーだという事実だ。あいにく、その大部分は平凡だったり、単にダメなレアではあるが。
《光輝の運命》と《神殿アルティサウルス》はどちらも真価を発揮するには特別なデッキが必要になり、そうでない場合はアンプレイアブルだ。《巧射艦隊の追跡者》は単純に弱く、《ヴォーナの飢え》と《恐竜変化》は良いアンコモンと同じ程度のパワーレベルでしかない。どちらも色が合っていればデッキには入れるだろうが、プールにあったからといって喜んだりはしないな。
これらすべての要素から、俺は今回のプールでは「インパンクトのある爆弾カードと除去」プランは実行不可能だと分かった。残りの2つの戦略のうち、どちらで構築すべきか、引き続き考えていこう。
サンプルデッキ:その1
最初に俺が試したのは、白黒の組み合わせだ。マナカーブがよく、パッと見はこれで問題ないように見えた。
しかしよく見てみたら、肯定的な意見は崩れ去ることとなった。クリーチャーは(《薄暮の軍馬》の「昇殿」を除いて)小型~中型程度のサイズしかない。それだけでなく、回避能力持ちのクリーチャーも除去も少ないのだ。
このデッキでは、絆魂クリーチャーや地上を守る堅いクリーチャーの前に敗れるだろう。最後に、これは除去がないせいだが、爆弾カードが入っているデッキを倒す術がない。白黒は先に掲げた3つのどの戦略にもフィットしないので、明らかな罠だった!
サンプルデッキ:その2
次に構築したのは白赤だ。少なくともブッ壊れカードである《戦場の詩人、ファートリ》を含む数枚のレアを使えるので、白黒よりも期待できそうだ。
残念なことに、このデッキも素晴らしいデッキではなかった。確定除去がなく、飛行クリーチャーや回避能力持ちのクリーチャーへの対処手段にも欠けている。
だがそれでも良い点はある。2マナ域に《激怒》を付けたり、《歓喜する空渡り》《薄暮の賛美者》に絆魂オーラを付ければ、それだけで勝てることがあるのだ。
それ以外にも、《戦場の詩人、ファートリ》は極めて強力なカードなので、多くの場面で5ターン目に《戦場の詩人、ファートリ》をプレイするだけでゲームを終わらせてくれる可能性がある。
最後に、《神殿アルティサウルス》はこのデッキに多く採用されている恐竜たちを、戦闘においてほとんど破壊不能と同様にしてくれるんだ。
この白赤デッキは完璧とは程遠いところにいるが、だがそれでも、1番目のカテゴリーである「インパクトのある爆弾カードと除去デッキ」に分類できるだろう。
サンプルデッキ:その3
最後のコンビネーションは、俺がやりたかった赤黒だ。俺はこんな構築を思いついたんだ。
マナカーブは白赤のものとほとんど同じだが、小型のクリーチャーへの除去が優れている。
優秀なレアは平凡なクリーチャーに取って代わられていて、《戦場の詩人、ファートリ》をこのデッキに入れることは現実的に考えると難しい。多くのカードが(黒)(黒)のダブルシンボルを要求している上に、マナサポートは1枚しか使えない。ご存知の通り、コンバットトリックや除去、そしてマナカーブを整えたい攻撃的なデッキにとっては、完璧なシナリオではないだろう。
今回の場合は、白赤が一番良い選択肢だと思う。実際に俺は白赤でプレイして、最終的にシールドリーグをなんとか4-1することができた。これぐらいの恵まれないプールで4-1できたんだから、そう悪くはないよな。負けたマッチは《原初の死、テジマク》が入った青黒デッキで、《原初の死、テジマク》と土地6枚を引かれるだけで勝てる気がしなかった。
まとめ
今日はここまでだ。シールドの上達のコツは、回数をこなすことだ。もし君がMagic Onlineをプレイしておらず、近所のショップもプレリリース以外のシールドの大会を主催していないようなら、WEBにあるシールドプールジェネレーターを使って、時間の許す限り練習すると良いだろう。
練習をこなすことで完璧に近づいていく。シールドでデッキを組む際は、常に俺が上にあげた3つのアーキタイプのどれに当てはまるか自分自身に問いかけてみてほしい。また同時に、ゲームプランに沿わないランダムなクリーチャーをデッキに入れることを避けるように。そういったクリーチャーは本当に何もしないだけだ。
グランプリ・ロンドンやヒューストンに参加するみんな、幸運を祈ってるぜ!
それはまた次回。
グジェゴジュ
この記事内で掲載されたカード
ポーランド出身。
【グランプリ・リール2012】、【グランプリ・ブリュッセル2015】でトップ8入賞。【グランプリ・サンティアゴ2017】では見事準優勝を果たした。
その高い実力はプロツアーでも発揮され、多数の上位入賞、マネーフィニッシュを経験している。