こんにちは!
先週末に幸運にもMOCS Playoff (Magic Online Champion Ship予選) で優勝することができたので、今日はそこで使用した「5色人間」デッキの調整記をお届けしたいと思います。
MOCS Playoff 抜けました!初めてなのですごく嬉しい&楽しみ
— 津村 健志 (@KenjiTsumura) 2018年5月5日
2-1 Bogle
2-0 Tron
2-1 Jeskai
2-1 Mardu
0-2 Tron
2-1 Grixis Shadow
2-0 Bogle
2-0 Bogle
Top 8
2-1 Mardu
2-0 Amulet Titan
2-1 5C Human pic.twitter.com/YpSZwlRxfE
初めにMOCS Playoffがどんな大会かを簡単にご説明させていただきますと、Magic Online上で最も権威ある大会の予選に該当します。MOCS本戦は予選を抜けたプレイヤーやごく一部の招待選手しか参加できない狭き門で、Magic Onlineをプレイしている多くのプレイヤーにとって最大の目標となる大会です。
MOCSで2度の優勝を成し遂げている “超人” ドミトリー・ブタコフ選手
かくいう僕もずっと前から参加することを夢見ていたものの、やはり強豪揃いの予選を抜けるのは並大抵のことではなく、これまでに挑戦してきたMOCS Playoffでは優勝どころかトップ8にも残れずじまいでした。
しかし、この度ついに念願が叶いMOCS本戦に参加できることになったのです。本戦は来年に開催ということでまだ先の話にはなりますが、なかなか参加できる大会ではないので全力で練習して本戦を楽しんできたいと思います。
さて、少し脱線してしまいましたが、それでは「5色人間」デッキの調整記をご覧ください。
デッキリスト
4 《古代の聖塔》
4 《魂の洞窟》
4 《手付かずの領土》
4 《地平線の梢》
2 《金属海の沿岸》
-土地 (19)- 4 《貴族の教主》
4 《教区の勇者》
4 《幻影の像》
4 《サリアの副官》
4 《帆凧の掠め盗り》
4 《翻弄する魔道士》
3 《スレイベンの守護者、サリア》
4 《反射魔道士》
4 《カマキリの乗り手》
2 《修復の天使》
-クリーチャー (37)-
2 《戦争の報い、禍汰奇》
2 《凶兆艦隊の向こう見ず》
2 《イゼットの静電術師》
2 《罪の収集者》
2 《再利用の賢者》
2 《はらわた撃ち》
1 《四肢切断》
-サイドボード (15)-
5色人間ってどんなデッキ?
このデッキは「人間・クリーチャー」によるシナジーを利用し、爆発的な打点と対戦相手の妨害を同時にこなしてしまうデッキです。
クリーチャー以外の呪文が《霊気の薬瓶》しか入っていないので誤解されやすいかもしれませんが、「5色人間」は環境内でも屈指の干渉力と対応力を兼ね備えています。
これらのクリーチャーは対戦相手の自由を奪います。《帆凧の掠め盗り》から《翻弄する魔道士》という動きは「5色人間」デッキの立派な勝ち手段のひとつで、展開次第では対戦相手に全くアクションさせずに勝利することすらあるほどです。
《スレイベンの守護者、サリア》はモダンのみならずレガシーでも大活躍の1枚で、このデッキのようにクリーチャーしか入っていないアーキタイプであれば、その制約は対戦相手のみに影響を及ぼすことになります。
そして、これら3種類のカードを展開するたびに《教区の勇者》はその力を増しますし、上記クリーチャーを展開したあとに《サリアの副官》を出せば “相手の妨害をしつつ高い打点を作り出す” ことが可能になるというわけですね。
そのため、「5色人間」はコンボデッキなどに対して非常に高い勝率を誇ります。もとより打点の高いデッキなので、対戦相手が少しでももたつけばそれを見逃すことはありませんし、上記カードを駆使して強引にそういった展開に持ち込むのがこのデッキの描く青写真です。
ここまで紹介してきたカードが主に除去呪文やコンボパーツを弾いてくれるのに対し、《反射魔道士》はクリーチャー対策を一身に背負う存在です。スタンダードで禁止にされていたカードパワーはさすがの一言で、こいつさえいれば《タルモゴイフ》や《聖遺の騎士》、《グルマグのアンコウ》といったサイズの大きなクリーチャーを容易に退けることができます。
《反射魔道士》で戻したクリーチャーを、《翻弄する魔道士》で指定してキャストさせなくするテクニックもよく使います。
そして、ここまで紹介してきたカードと恐ろしい相互作用を生み出すのが《幻影の像》です。《サリアの副官》や《反射魔道士》をコピーして盤面のリードを保つも良し、《帆凧の掠め盗り》や《翻弄する魔道士》をコピーして更なる時間を稼いでも良しと、ありとあらゆる面で役に立つ1枚です。
《幻影の像》が秀逸な点として、メインボードだけでなくサイドボードのクリーチャーの水増しとして使える点が挙げられます。特に《凶兆艦隊の向こう見ず》・《罪の収集者》・《再利用の賢者》といったカードはサイドインするマッチアップにおいては何枚でも欲しい類のカードなので、《幻影の像》のようにカードパワーに秀でているものでその役割をも補完してくれる存在はありがたい限りです。
簡潔にまとめると、「5色人間」デッキは高い打点を前提としたうえで、ありとあらゆる妨害手段を兼ねた “最高峰のクロックパーミッション” という認識です。
デッキを選んだ経緯
今回のMOCS Playoffに向け、「5色人間」では15回ほどMagic Onlineのリーグに参加しましたが、その全てが4勝1敗か5勝0敗でした。MOCS Playoffの予選に当たる大会でも6勝2敗で、4月21日付のモダンチャレンジのみ4勝3敗と振るいませんでしたが、全体的な勝率は驚くべきものです。
もちろん、上記成績はデッキリストに色々と変更を加えたり、新しいカードを試しながらの成果です。それでもこれだけ勝率が高かったのは、それほどまでにこのデッキの基盤が強く地力が高い証明ではないかと思います。デッキの感触も非常に良かったため「5色人間」を使うこと自体は早々に決めていたので、途中からは主に苦手なデッキを克服するためのサイドボードのカード選択に注力していました。
ここからはメインボードの自由枠と、サイドボードをどのように作ったかをお届けします。
メインボードの自由枠 (クリーチャー3枚と土地1枚)
「5色人間」は確定スロットとされる枠が非常に多く、メインボードで自由にできる枠はほんの僅かです。人によって多少のバラツキはありますが、《幻影の像》の4枚目、《修復の天使》の枠2枚以外はほとんど固定パーツとされています。
《幻影の像》の枚数
個人的に《幻影の像》は4枚必須だと思っています。先ほどもお伝えしたようにサイドボードのカードに化けるられるのも非常に強力ですし、このカードの弱点らしい弱点は初手にたくさんあったときにマリガンする要素になりやすいくらいのものだと思います。
除去が多い相手には減らしたりもしますが、メインボードに関しては4枚を推奨します。
《修復の天使》の枠2枚
この2枚の枠は人によって異なります。最も一般的なフォーメーションは《ケッシグの不満分子》と《闇の腹心》を1枚ずつ採用する形ですね。
《ケッシグの不満分子》は、このデッキの高い打点にさらに磨きをかけてくれる1枚です。コンボデッキとのスピード勝負においても非常に頼りになりますし、《幻影の像》との組み合わせは驚異的の一言。除去が多いデッキに対して脆弱だという弱点こそありますが、それを差し引いても《ケッシグの不満分子》はデッキの戦略に合致した強力なカードであり、最後の最後まで2枚目の天使と枠を争っていました。
ではもう一方の《闇の腹心》はと言いますと、ぼんやり採用されていた感が否めません。どんな相手に対しても決して弱いカードではないのですが、1枚しか入っていないので序盤に引けることは稀ですし、それでいて中盤から終盤に引いた際に弱いのが懸念材料でした。それに3マナのカードが多いデッキなので、意外と《闇の腹心》から受けるダメージが大きかったのもマイナス要素でした。
この枠には《反復の学部長、ナバン》など様々なカードを試してみたものの、そんな折に目に留まったのが《修復の天使》を2枚採用したこちらのリストです。
4 《古代の聖塔》
4 《魂の洞窟》
4 《手付かずの領土》
3 《地平線の梢》
2 《金属海の沿岸》
-土地 (19)- 4 《貴族の教主》
4 《教区の勇者》
4 《幻影の像》
4 《サリアの副官》
4 《帆凧の掠め盗り》
4 《翻弄する魔道士》
3 《スレイベンの守護者、サリア》
4 《反射魔道士》
4 《カマキリの乗り手》
2 《修復の天使》
-クリーチャー (37)-
2 《戦争の報い、禍汰奇》
2 《イゼットの静電術師》
2 《再利用の賢者》
2 《はらわた撃ち》
2 《減衰球》
1 《凶兆艦隊の向こう見ず》
1 《罪の収集者》
1 《四肢切断》
-サイドボード (15)-
《修復の天使》自体は少し前から1枚採用が目立つようになっていましたが、個人的には4マナのカードを入れることには反対で試してすらいませんでした。なぜならば土地が少ないこのデッキで円滑に4マナを用意できるとは思えませんし、《修復の天使》のためだけに《霊気の薬瓶》の蓄積カウンターを4にするような展開も決して理想的だとは言えないからです。
ですが、このくらいの感想は「5色人間」を使ったことがある人ならばすぐに思い付くはずです。肝心なのは、それにもかかわらず《修復の天使》を1枚から2枚に増量している人がいて、そのプレイヤーが5勝0敗という結果を残した事実です。
少なくとも《修復の天使》を試さないままでPlayoffに挑むのはもったいないと思ったので、まずは実際に引いて感触を確かめやすいように、多めに2枚のリストから調整を始めました。
すると、《修復の天使》は事前の予想を覆す望外の結果をもたらしてくれました。
《修復の天使》のここがすごい!
《修復の天使》にはいくつかの明確な利点があり、個人的に最も感銘を受けたのは下記3点です。
ひとつめはテキストを読むだけなので割合しますが、《幻影の像》と同じくサイドボードのカードを再利用できる点が特に嬉しいですね。《修復の天使》は追加の《幻影の像》のような役割を持ち、なおかつ《カマキリの乗り手》にも当たり負けしない貴重な航空戦力といったイメージです。
ふたつめの項目は少し分かりづらいかもしれませんが、「5色人間」に《カマキリの乗り手》が4枚入っていることにより、対戦相手は除去をキャストするタイミングが必然的にこちらの戦闘フェイズ中 (=こちらがマナをアンタップしたあと) になるということです。対戦相手としては、除去を使うなら打点が最も高く飛んでいる《カマキリの乗り手》に当てたいでしょうし、従来の「5色人間」のリストだとそのタイミングで除去呪文をキャストして損をすることがありませんでしたからね。
そして、このセオリーが浸透しているおかげでこちらは《修復の天使》を悠々と構えることができてしまうというわけです。そこで除去呪文を回避してしまえば、対戦相手は除去呪文とそれに費やしたマナを丸々損してしまうことになりますし、こちらは3/4飛行の戦力を追加しているので両者のテンポ差は信じられないほどに開いてしまいます。
MOCS Playoff前後の時点では《修復の天使》がほとんど警戒されていなかったので、対戦相手がこのセオリーを破ることもありませんでしたし、《修復の天使》のおかげで「ジャンド」や「マルドゥ・パイロマンサー」といったデッキに対して少し戦いやすくなったと感じました。
今後《修復の天使》の入ったリストが一般的になるようであれば、対「5色人間」での除去を打つタイミングにも変化が生じるでしょうし、それに伴い《修復の天使》の評価が少し下がる可能性もあるかもしれませんが、少なくとも現時点では除去デッキに対して非常に頼りになる1枚です。
最後の項目は例によってリミテッドのようで申し訳ないですが、ミラーマッチや対「親和」では飛行クリーチャーの数や質は非常に重要で、《修復の天使》はその中で最上級の性能を誇ります。それが《反射魔道士》を再利用しながら登場するわけですから、その重さに十分に見合うだけの価値があると判断しました。
特にミラーマッチはサイドボード後を含めて差が付けづらいと感じていたので、メインボードから多少なりとも有効なカードを採用できることは手放しで歓迎できる変化でした。
《修復の天使》を使う際の注意点
《修復の天使》を使う際にひとつだけ気を付けなければいけないのは、 “戦場に天使以外をコピーした《幻影の像》だけがいるとき” です。
《修復の天使》はその優しさゆえか、最終的に能力を使用するか否かにかかわらずとりあえずクリーチャーを対象に取ってしまいます。そのため、戦場に《幻影の像》しかいない場合は、それが天使クリーチャーでない限りは強制的に対象に取って死んでしまいます。
他にクリーチャーがいればそちらを対象にすればいいので何ら問題はありませんし、これまでに1回も起こったことはないので過度に気にする必要はないかもしれませんが、念のため覚えておいていただければと思います。
《修復の天使》と《ケッシグの不満分子》の優劣
個人的に1枚目の《修復の天使》は確定で採用すべきだと考えていますが、2枚目の《修復の天使》か《ケッシグの不満分子》かは難しい問題ですね。
《修復の天使》を増やせばミラーマッチや「親和」、それに「ジャンド」や「マルドゥ・パイロマンサー」といった除去デッキに強くなります。対する《ケッシグの不満分子》はコンボデッキ相手とのスピード勝負であったり、盤面が膠着しやすい「白緑カンパニー」に対する打開策として役立ちます。
この枠でどんなデッキに強くしたいか次第ではありますが、ここまでお伝えしてきたように「5色人間」はデッキ全体としてコンボデッキに強いこと、ミラーマッチで差を付けたかったことを理由に、この度は2枚目の《修復の天使》を優先しました。
土地構成
最後に、他に人によって異なる部分が土地構成です。あまり大きな違いではないかもしれませんが、《地平線の梢》が3枚に減って《平地》が2枚になっているリストがあります。
《平地》を増やす主な目的は、《流刑への道》と《廃墟の地》への耐性を上げることです。ただし、このデッキのマナフラッドは本当に致命的なので、個人的には《地平線の梢》は4枚の方がいいと考えています。白マナしか出ない土地をこれ以上増やしてしまうと《カマキリの乗り手》をキャストできなくなることもあるので、他の土地を削って《平地》を増やすわけにもいきません。
したがって、土地構成は今の19枚が最適だと思います。
サイドボードのカード選択
サイドボードは上記11枚は確定だと思っていたので、残りの4枚のスロットで苦手な相手を減らす構築ができるようにと考えていました。まずは確定だと思っていた11枚の採用理由をお伝えした後に、残る4枚の枠をどのように決めたかをご覧いただきたいと思います。
《オーリオックのチャンピオン》2枚
主にサイドインするデッキ : 「バーン」、「グリクシス・シャドウ」、「ジャンド」、「赤黒《虚ろな者》」
《オーリオックのチャンピオン》はもともとは「バーン」対策という意味合いが大きかったと思いますが、除去呪文が効かないので赤黒系のデッキにもサイドインしています。
特に「グリクシス・シャドウ」に対しては、《死の影》・《グルマグのアンコウ》を完璧に抑え込んでくれるので頼りになります。サイドボードに《仕組まれた爆薬》か《コジレックの帰還》を採られていない限りは死なないので、《ティムールの激闘》だけ警戒すれば良くなります。
「ジャンド」に対しては展開に依存するところも大きいですが、《オーリオックのチャンピオン》を《幻影の像》でコピーして《サリアの副官》で育てるのが1番簡単な勝ちパターンなので、今現在はサイドインするようにしています。
《戦争の報い、禍汰奇》2枚
主にサイドインするデッキ : 「親和」、「《クラーク族の鉄工所》コンボ」、「ランタン・コントロール」
ご存知古来のアーティファクト対策カード。《古代の聖塔》が入っている都合もあり、《石のような静寂》は唱えられないタイミングもあるので《戦争の報い、禍汰奇》を優先しています。《戦争の報い、禍汰奇》であれば、《霊気の薬瓶》と難なく併用できるというメリットもありますね。
《再利用の賢者》2枚
主にサイドインするデッキ : 「親和」、「白緑オーラ」、「《クラーク族の鉄工所》コンボ」、「ランタン・コントロール」、「《精力の護符》」、「マルドゥ・パイロマンサー」含む《血染めの月》の入ったデッキ
こちらも追加のアーティファクト対策で、《ヴィティアの背教者》や《人質取り》なんかと枠を争うスロットです。《再利用の賢者》は「人間・クリーチャー」ではないものの、このカードならではの魅力はもちろんエンチャントに触れる点です。
エンチャントに触れないと《血染めの月》や《ギラプールの霊気格子》で完封されてしまいますし、何よりも「白緑オーラ」に絶対に勝てなくなってしまいます。
そのため、サイドボードのアーティファクト/エンチャント対策カードの中で最も優先順位が高いカードですね。
《イゼットの静電術師》2枚
主にサイドインするデッキ : 「5色人間」、「親和」、「マルドゥ・パイロマンサー」、「白緑カンパニー」、「エルフ」、「青赤ストーム」
小型クリーチャーが満載の「親和」と「白緑カンパニー」、トークンが満載の「マルドゥ・パイロマンサー」にサイドインするのは比較的分かりやすいかと思います。
ミラーマッチでは登場が速ければ《教区の勇者》や《サリアの副官》を牽制することができますし、《幻影の像》を無理なく対処できるのでサイドインするようになりました。《幻影の像》はミラーマッチでかなり重要なカードなので、特に後者の理由が大きいですね。
「青赤ストーム」は例によって《巣穴からの総出》対策です。
《罪の収集者》2枚
主にサイドインするデッキ : 「マルドゥ・パイロマンサー」、「ジェスカイ・コントロール」、コンボデッキ全般
主に除去満載のデッキや、コンボデッキを対策するカードです。とはいえ、特定のコンボデッキに対しては他の専用カードの方が強いので、0~2枚を行ったり来たりしていたのですが、除去満載のデッキに強いことを評価して最終的に2枚に戻りました。
メインボードの自由枠を《修復の天使》にしたので、以前よりも使いやすくなった点も2枚にした理由のひとつです。
《四肢切断》1枚
主にサイドインするデッキ : 「5色人間」、「親和」、「赤黒《虚ろな者》」、「マルドゥ・パイロマンサー」、「ジャンド」、《集合した中隊》の入ったデッキ
ずっと2枚で調整していましたが、ミラーマッチや「親和」戦で2枚引いた際のライフの損失が気になったので1枚に減らしました。「ジャンド」と《集合した中隊》の入ったデッキを意識するなら2枚目を採用します。
残る4枚の枠 -苦手なデッキと対策方法-
残りの4枚の枠は、何度も大会に参戦するうちに苦手と感じるデッキの傾向が分かってきたので、それを改善できるカードにしようと考えていました。調整の中で僕が相性が悪いと感じた、または2回以上負けたアーキタイプは下記のようなものが挙げられます。
こちらを展開力やサイズで上回るデッキ : 「親和」、「白緑カンパニー」、「エルフ」など
「5色人間」デッキはクリーチャー対策が《反射魔道士》頼みなこともあり、それが序盤になければ押しつぶされてしまうようなマッチアップは苦手です。しかしながら、サイドボードをしっかりと用意しているおかげか「親和」には8~10回ほど当たって1敗しかしていませんし、真に相性が悪いのは後者ふたつのみだと感じています。
そのため、それらふたつのデッキに対してはある程度クリティカルなサイドボードを2枚用意しようと考えていました。その候補は《はらわた撃ち》と《墓掘りの檻》です。
前者は初手にないと効果が薄いものの、こちらの展開を阻害しない0マナのカードであり、ミラーマッチや対「親和」でも使えるのが利点です。もう一方の《墓掘りの檻》は《集合した中隊》と《召喚の調べ》を全て無効化してくれ、それほど相性が良くないとされる「発掘」対策にもなるのが強みになります。
《墓掘りの檻》の方が賞味期限が長く、なおかつ単純に効果が大きいので、「白緑カンパニー」と「エルフ」だけを見るなら《墓掘りの檻》の方が優れている印象でしたが、それでもなお《はらわた撃ち》を優先したのはミラーマッチと対「親和」でもサイドインできることを重要視したためです。
今現在は「発掘」は数が少なく、その一方でミラーマッチと「親和」は環境のトップとも言える存在ですからね。
除去デッキ : 「マルドゥ」、「ジェスカイ」、「ジャンド」
この手の除去デッキは無策で挑むとかなり相性が悪いと思わるので、こちらもクリティカルなサイドボードが必要です。色々と試した中で最も感触が良かったのは、《凶兆艦隊の向こう見ず》でした。
みなさんもご存知の通り “対戦相手の墓地からカードを唱えられる” 能力ももちろん強力なのですが、「マルドゥ・パイロマンサー」や「ジェスカイ・コントロール」に対しては “墓地からカードを追放できる” ことも非常に重要です。前者は「フラッシュバック」呪文や《騒乱の歓楽者》で、後者は《瞬唱の魔道士》で墓地を使いますからね。
蓄積カウンターが2つの《霊気の薬瓶》さえあれば、《瞬唱の魔道士》で対象に取られた呪文をそれに対応して《凶兆艦隊の向こう見ず》で奪うことができるので、手札に《凶兆艦隊の向こう見ず》がある場合には常に目を光らせておきましょう。
また、対戦相手の《コラガンの命令》、《謎めいた命令》で戦場や墓地にある《凶兆艦隊の向こう見ず》を再利用するプレイは非常に効果的なので、こちらも常に頭の片隅においておくといいでしょう。
この枠には《無私の霊魂》や《ザスリッドの屍術師》なんかが採用されていることが多いですが、これらのクリーチャーを除去されてから全体除去呪文という流れであったり、《残骸の漂着》の前に無力だったり、少しムラがあるのかなという印象。《ザスリッドの屍術師》は《神々の憤怒》もダメですしね。
異次元 : 「白緑オーラ」
「白緑オーラ」はかなり相性が悪いと思いますが、それでいて《自然に帰れ》のような本物の専用サイドボードを用意しないと勝率が改善しないマッチアップなので無視することにしました。
ただし、MOCS Playoffでは3戦全勝でしたし、そのうちの1人の方が「今日は『5色人間』に3回も負けたよ」と仰っていたので、もしかすると僕が思っているほど相性は悪くないのかもしれません。
《霊気の薬瓶》関連の豆知識
《霊気の薬瓶》はこのデッキのキーカードです。土地が1枚しかなくても《霊気の薬瓶》さえあれば概ねキープしますし、多くのマッチアップにおいて最も初手にあってほしいカードです。ここまでは他の《霊気の薬瓶》が入ったデッキと何ら違いはありませんが、「5色人間」ならではの注意点がいくつかあるので、そちらをご覧ください。
蓄積カウンターは基本的に2で固定
《霊気の薬瓶》はマナコストを踏み倒してクリーチャーを出せるので、蓄積カウンターを3にして3マナのクリーチャーを出す方がお得に見えるかもしれませんが、このデッキのクリーチャーのラインナップを見れば実はそうではないと気が付きます。
2マナのクリーチャーは《霊気の薬瓶》を駆使してインスタントタイミングで出すことに大きな意味を持ち、3マナのクリーチャーはそうではないからです。
まず3マナのクリーチャーは《反射魔道士》と《カマキリの乗り手》しかありませんが、これらはソーサリータイミングとインスタントタイミングで出すことにさほど違いがありません。《反射魔道士》のみインスタントタイミングで輝く瞬間があるものの、そのおまけ能力の都合上、メインフェイズで出すのと大きな差はないですよね。
一方で、2マナのクリーチャーはどうでしょうか?
いずれもソーサリータイミングとインスタントタイミングでは大きな違いがあることが分かります。
《帆凧の掠め盗り》とそれに変身できる《幻影の像》は対戦相手のドロー後に出すことが多いですし、《サリアの副官》は《稲妻》のようなダメージ除去呪文を避けたり、コンバットトリックとしても使用できます。《翻弄する魔道士》も《瞬唱の魔道士》対策として使用したりできるので、こちらもインスタントタイミングで出すことに大きな意味を持ちますね。
蓄積カウンターを3にする展開としては、手札に3枚目の土地がないけれども3マナのカードがたくさんきてしまったり、サイドボード後に2マナのカードを減らして3マナのカードを増やしたときなんかが挙げられますが、基本的に蓄積カウンターが2のままの方が相手にかかるプレッシャーが大きいことを覚えておきましょう。
《霊気の薬瓶》の空起動
このデッキには《翻弄する魔道士》が入っているので、ときに手札に何もなくとも蓄積カウンターが2つの《霊気の薬瓶》を起動することに意味があります。
《翻弄する魔道士》は “戦場に出たとき” ではなく、 “戦場に出るに際し” カード名を指定します。これが何を意味するかと言いますと、蓄積カウンターが2つの《霊気の薬瓶》を起動し、対戦相手がその能力の解決を了承すれば《翻弄する魔道士》が出るまでに対戦相手は呪文を唱えるタイミングがないということです。これは《翻弄する魔道士》をコピーできる《幻影の像》でも同様です。
例えば《帆凧の掠め盗り》で相手の手札を知っている場合には、蓄積カウンターが2つの《霊気の薬瓶》を起動するだけで、相手は《翻弄する魔道士》が出てくる可能性を考慮して、その時点で呪文を唱えるかどうかを決めなければならないのです。
というわけで、このデッキでは《霊気の薬瓶》の空起動に一定以上の意味があることを覚えておいてください。ただし、空起動にもリスクがないわけではないので、毎ターンブラフのためだけに空起動すべきではないことにもご注意ください。
例えば空起動してしまったせいで、《霊気の薬瓶》を構えておけば《サリアの副官》で守れるはずだったクリーチャーが火力呪文で焼かれてしまっては本末転倒ですよね。相手にしっかりと選択を迫れる状況で、なおかつこちらにとってリスクがない、またはリスクが小さい場合にのみ空起動するようにしましょう。
マリガン基準
僕の放送をご覧いただいている方ならご存知かもしれませんが、僕は基本的にどんなデッキ/フォーマットでもマリガンが下手です。一期一会の精神でついついどんな手札もキープしてしまいがちですが、それが原因で大惨事を招いてしまわないように、「5色人間」を使う際には大雑把な自分ルールを設けることにしました。
※下記事例は、対戦相手のデッキを知らない前提です。
《霊気の薬瓶》がある場合
土地が4枚以下なら基本的にキープ。
土地が《古代の聖塔》しかなく、他に1マナのアクションがないならマリガン。
後手で1マナのカードがない場合
2マナ域が《サリアの副官》と《幻影の像》しかないならマリガン。
《翻弄する魔道士》しかない場合は、3ターン目のアクションが《カマキリの乗り手》以外ならマリガンを考慮。
土地が1枚
《霊気の薬瓶》が出せるならキープ。
《教区の勇者》しか1マナのカードがない場合はマリガン。《教区の勇者》が複数枚あっても同様。
《貴族の教主》から円滑に動ける場合はキープしても良い。
土地が5枚
基本的には先手・後手を問わずマリガン。
先手かつ、2枚の呪文が《スレイベンの守護者、サリア》→《カマキリの乗り手》くらい強力でようやく少し悩むくらい。
簡易マッチアップガイド
5色人間ミラーマッチ
片方が《教区の勇者》と《サリアの副官》を連打しない限り地上は膠着するので、飛行クリーチャーの数が重要になります。
《カマキリの乗り手》をすぐに出すと《幻影の像》×2で返されてひどい目にあったりするので、《帆凧の掠め盗り》で相手の手札に《幻影の像》が複数枚あることを確認している場合は《カマキリの乗り手》の展開を遅らせることも検討しましょう。
対 ミラーマッチ
繰り返しになりますが、飛行クリーチャーは大切なので《帆凧の掠め盗り》は残しています。《翻弄する魔道士》は “相手だけ《霊気の薬瓶》” という状態で最弱なこともあり、《帆凧の掠め盗り》よりも率先してサイドアウトしています。
親和
最も簡単な負けパターンは、1~2ターン目の《鋼の監視者》です。メインボードではそれを防ぐ術がないので、《反射魔道士》と《幻影の像》・《修復の天使》が間に合うことを祈りましょう。
《翻弄する魔道士》で指定するカードは、《鋼の監視者》、《頭蓋囲い》が多く、すでにいずれかが着地してしまった場合には《刻まれた勇者》を指定しましょう。
対 親和
マルドゥ・パイロマンサー
マルドゥ・パイロマンサー調整記内でも述べたように、個人的には「マルドゥ・パイロマンサー」が圧倒的に有利というほどではなく、接戦に近い印象です。
《翻弄する魔道士》で指定するカードは《稲妻》・《未練ある魂》・《騒乱の歓楽者》・《信仰無き物あさり》が多く、《霊気の薬瓶》がある場合には《コラガンの命令》を指定することもあります。
《幻影の像》で《騒乱の歓楽者》をコピーするのは非常に強力なので、ゲームが長期化しそうなときには《幻影の像》を温存するプランも検討してみてください。
対 マルドゥ・パイロマンサー
ジャンド
「ジャンド」の負けパターンは、消耗戦の後に《タルモゴイフ》か《漁る軟泥》が残ってしまうことです。
お互いのライフがイーブンの状態でそのような展開になってしまうと概ね負けてしまうので、序盤にライフを詰めておいて相手が殴り返すまでに時間がかかるようにできると理想的です。
対 ジャンド
「ジャンド」は《血編み髪のエルフ》やプレインズウォーカーがあってソーサリーとインスタント呪文の割合が少し低いので、《罪の収集者》はサイドインしていません。
《凶兆艦隊の向こう見ず》は手札破壊呪文か除去呪文を奪い、《タルモゴイフ》と《漁る軟泥》を対処するカードとして活用しましょう。
グリクシス・シャドウ
基本的なゲーム運びは「ジャンド」と同じですが、《オーリオックのチャンピオン》が除去が効かないのみならず、フィニッシャーまで抑え込める点が相違点です。
《死の影》の入ったデッキなので、中途半端な攻撃は《死の影》の登場を速めてしまうだけの危険性があるため、1点や2点の攻撃はあえて控えた方がいいこともあります。対戦相手がフィニッシャーをなかなか出してこない場合は、(1)単純にフィニッシャーを引いていない、(2)フィニッシャーが《死の影》しかなくライフが減らせないという状況がほとんどですので、対戦相手のライフが13以上でフィニッシャーを出してこない場合には攻撃しないことを検討しましょう。
対 グリクシス・シャドウ
ジェスカイ・コントロール
「ジェスカイ・コントロール」側の、全体除去呪文とプレインズウォーカーの枚数次第といった印象のマッチアップ。
2マナのクリーチャーをインスタントタイミングで出すことに大きな意味があるので、他のマッチアップ以上に《霊気の薬瓶》の蓄積カウンターを2つで維持しておきたいところですが、《天界の列柱》を《反射魔道士》で退けたい場合にのみ蓄積カウンターを3つに増やしましょう。
また、 “《瞬唱の魔道士》 対 《霊気の薬瓶》+《翻弄する魔道士》” という構図が頻発するゲームでもあるので、空起動も含めて《霊気の薬瓶》を上手く使えるように練習しておきましょう。
対 ジェスカイ・コントロール
サイドボード後に気を付けるべくは、《凶兆艦隊の向こう見ず》の使い方ですね。僕自身もまだまだ未熟ですが、《謎めいた命令》で《凶兆艦隊の向こう見ず》を手札に戻して再利用するプランは常に意識しておきましょう。
トロン
「トロン」は五分五分か少し不利なマッチアップだと思います。
基本的なプランとしては、《帆凧の掠め盗り》と《翻弄する魔道士》、《幻影の像》の組み合わせで「ウルザランド」を揃えるカードを抑え込むか、それが実現できそうになければ《忘却石》や《精霊龍、ウギン》といった全体除去呪文を封じ込め、《ワームとぐろエンジン》を《反射魔道士》で戻してフィニッシュに持ち込めれば、といったところです。
稀に《幻影の像》で《ワームとぐろエンジン》をコピーするような展開もありますが、基本的に《ワームとぐろエンジン》が残った状態でゲームが続いていると負けてしまうので、《幻影の像》は《ワームとぐろエンジン》が登場する前にゲームが終わらせられるような使い方をしましょう。
なお、このマッチは展開力よりもダメージを優先すべきなので、1ターン目に《霊気の薬瓶》よりも《教区の勇者》を優先して出すべき数少ないマッチアップです。サイドボード後も含めて《教区の勇者》から出した方がいい展開が多々あるので、効率良くダメージを刻んでいけるプランを優先するといいでしょう。
対 トロン
ここ最近は「トロン」の数が少ないと感じていたので対策カードを減らしていますが、「トロン」に勝ちたいなら《減衰球》を採用しましょう。《減衰球》さえあれば、それを破壊するカードと《忘却石》以外はほぼ全て無視できるので、試合運びがグッと楽になります。
その場合は、《幻影の像》と《反射魔道士》を1枚ずつサイドアウトします。
白緑オーラ
前述の通り相性は悪いと思います。キープ基準となるのは《スレイベンの守護者、サリア》が1番で、次いで《帆凧の掠め盗り》や《翻弄する魔道士》が続きます。
《翻弄する魔道士》は基本的に《夜明けの宝冠》を指定しますが、もしすでに《夜明けの宝冠》が付いてしまっている場合には《怨恨》や《グリフの加護》など、チャンプブロックを妨害する類のカードを指定しましょう。
対 白緑オーラ
白緑カンパニー
おそらく練習中に1番負けたデッキです。このマッチだけを見るなら《四肢切断》を2枚にしたいのですが、他のマッチアップで2枚目をサイドインしづらいので1枚に抑えてるというのが実情です。
対 白緑カンパニー
サイドアウトするカードは《翻弄する魔道士》ではなく《帆凧の掠め盗り》でもいいですが、手札を見るカードを減らして《翻弄する魔道士》を残すのが不安なこと、このマッチでも飛行クリーチャーが重宝することを加味して《帆凧の掠め盗り》を優先しています。
サイドボード後はほぼほぼ《流刑への道》が入ってくるので、メインボードよりも《帆凧の掠め盗り》が外れづらいのも理由のひとつです。
青赤ストーム
呪文過多のコンボデッキということで少し有利だと思いますが、このデッキと「トロン」をしっかりと意識するならやはり《減衰球》があると安心ですね。
対 青赤ストーム
赤黒《虚ろな者》
ここ最近全く当たらないので試行回数が少なくて不安ですが、五分五分くらいのマッチだと思います。サイド後の《渋面の溶岩使い》だけは簡単に負けてしまうのでもう少し除去を増やしたいところですが、《四肢切断》以外はあまりにも用途が狭いのでサイドインしていません。
対 赤黒《虚ろな者》
おわりに
「5色人間」調整記は以上となります。MOCSに参戦できるのが思っていた以上に嬉しかったようで、いまだにニヤニヤが止まりません(笑)
それと、お祝いのメッセージをくださったみなさまは本当にありがとうございました!申し訳ないことに個々での返信はできませんでしたが、みなさまからのメッセージもMOCSに参戦できるのと同じくらいに嬉しかったです!
MOCS本戦まではまだまだ時間があるので、それまでの大会でも結果が付いてくるようにがんばりたいと思います!
それでは、また次回のブログでお会いしましょう!
コガモ