これで安心!九印のマジック入門講座 vol.3 ~インスタントはいつ唱える?~

三輪 祐介

三輪 祐介

 皆さん、今日もインスタントを唱えてますか? 九印えらりこと三輪です。

 マジックの基本的なプレイングについて解説するマジック入門講座、短期集中連載も折り返しの第3回となりました。今回はマジックの最もおもしろい要素の一つ、インスタントについてお話ししようと思います。

「そちらのターンエンドに……」

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 マジックを遊び慣れているプレイヤーと対戦した時に、「そっちのターンエンドに〇〇を唱えます」と言われたことはありますか? あるいはゲーム中、自分で「そちらのエンドに〇〇を唱えます」と言ったことは?

 どちらもない? 大丈夫です。今回の記事を読み終えれば、きっとあなたも「そちらのターンエンドに……」と言いたくなるはずです!

そもそも「ターンエンドに」って何?

 さて、プレイヤーが使う「ターンエンドに……」という言葉は、「対戦相手の最終フェイズの終了ステップの間に……」という意味です。

    ターン進行の流れ

  • 開始フェイズ
  • アンタップ・ステップ
  • アップキープ・ステップ
  • ドロー・ステップ
  • 戦闘前メイン・フェイズ
  • 戦闘フェイズ
  • 戦闘開始ステップ
  • 攻撃クリーチャー指定ステップ
  • ブロック・クリーチャー指定ステップ
  • 戦闘ダメージ・ステップ
  • 戦闘終了ステップ
  • 戦闘後メイン・フェイズ
  • 最終フェイズ
  • 終了ステップ
  • クリンナップ・ステップ

 マジックは自分と相手が交互にターンを進めるゲームで、一つのターンは複数のフェイズとステップでそれぞれ区切られています。そして終了ステップは、そのターン中、プレイヤーが能動的に呪文や能力を使用できる最後のタイミングなのです。そこを過ぎれば、ターンを終了するための手続きが行われて、次のプレイヤーのターンが始まることになります。

 そしてインスタントは、この対戦相手の終了ステップの間に唱えられることが多い呪文なんです。

 いろんな人とマジックを遊ぶ機会があった方は、「この人、自身のターンには土地を置くだけで何もしないのに、こっちのターンエンドにインスタントを使ってくることが多いなあ」と感じたことがあるかもしれません。

 なぜそうなるのでしょうか? まずはインスタントがどんな特徴を持つカードなのか、もう一度おさらいしてみましょう。

いつでも唱えられるインスタント

 クリーチャー、エンチャント、アーティファクト、プレインズウォーカー、ソーサリー。これらの呪文は、「自分のターンのメイン・フェイズで、誰も呪文を唱えていなくて、解決待ちの能力もない」ときだけ唱えられます。

 では、インスタントはいつなら唱えられるでしょうか?

 正解は、あなたが優先権を持っているときならいつでもです。

 でも、この答えでは「優先権って何? いつ手に入るの? 無くなるの?」と疑問を感じてしまうかもしれませんね。優先権について詳しく知りたい方は上述の動画をご覧いただくとして、ここではもう少し大雑把に表現してみます。

 インスタントは、だいたいいつでも唱えられます。

 そんなに大雑把で大丈夫かって? ええ、もちろん唱えられないタイミングもあるのですが、インスタントを唱えることができないタイミングというものは、ほとんど考慮に入れなくていいほど少ないのです。

 さて、ではそんな”だいたいいつでも唱えられる”便利なインスタントを相手のターンのエンドに唱えるのはどのようなときなのでしょうか? 次の項目では、その状況と理由について考えていきましょう。

インスタントはいつ使うべき?

 「いつでも唱えられるなら、別に自分のターンの間にすぐ使ってもいいのでは?」

 「なぜ対戦相手のターンエンドまでわざわざ待つの?」

 なぜ、対戦相手の終了ステップまでインスタントを使うのを我慢するのでしょうか。カードによってはターンエンドではなく、戦闘中や相手の呪文・能力に対応して使うようデザインされているものもありますが、それだって、唱えられるようになったらすぐ使ってしまってもかまわないのでは?

選択根の罠ギデオンの叱責

 それらインスタントを先に使っておくのではなく、ぎりぎりまで待ってから使うほうがいい、大きな2つの理由について説明していきます。

じゃんけんで先にチョキを出しておく人はいない

 あなたはじゃんけんのときに、先に手を出しておきますか? 「わたしはチョキを出しておくよ。さあ、じゃんけんぽん! ああ、グーを出されて負けちゃった!」

 普通のじゃんけんで、わざとそうする人はいないでしょう。しかし、インスタントを使うとき、気づかないうちにそうしてしまうことがあるんです。こんな状況を考えてみてください。

 今はあなたのターンで、手札から《島》を出しました。これで戦場に出した《島》は2枚になります。そしてあなたの手札には《予期》《本質の散乱》《否認》があります。

 さて、カードが引きたくなったあなたは《島》を2つタップしてすぐさま《予期》を唱えます。そして何かしらの欲しいカードを手札に加えて、ターンを終了します。

予期をプレイします

 いや、ちょっと待ってください。本当にそれでいいですか?

 マジックは、呪文を唱えるためにマナを必要とします。マナは土地から出すものです。すべての土地がタップしているということは……? そう、わざわざ対戦相手に「次に自分のターンが来てアンタップするまで、手札の何かを使って行動することはない」と教えていることになるのです!

 手札は相手に見えない情報。そこから突然何かが飛び出してくるのかこないのか、それを考えながら行動するところにマジックの駆け引きがあります。しかし見えない手札と唱えるためのマナ、その両方がなければ、相手に脅威を警戒させることはできません。チョキを先に出したまま動かない状態であれば、対戦相手は安心してグーを出せるでしょう。それと同じように、このターンは邪魔されないと分かれば、相手は自由に行動できます。

 《風雲船長ラネリー》のような速攻持ちクリーチャーを出されて、すぐに攻撃されるかもしれません。《ベナリア史》を出されて、トークンの対処に追われるかもしれません。プレインズウォーカーである《狡猾な漂流者、ジェイス》が登場する可能性もあります!

風雲船長ラネリーベナリア史狡猾な漂流者、ジェイス

危 険(Dangerous)

 クリーチャーやソーサリーなどの他の呪文は、自分のメイン・フェイズにしか唱えられないので、手を明かすことになります。しかしインスタントは、じゃんけんで先に手を出しておく必要がないように、あなたのターンのメイン・フェイズに焦って使う必要はないのです。先に手を出せば自分が不利になる……それなら、ぎりぎりまで何を出すかは隠しておきましょう。

 戦闘後のメイン・フェイズが終わり、終了ステップまで進めば、もう相手はクリーチャー呪文やソーサリー呪文を唱えることはできませんし、戦闘もありません。ここまでくれば、《予期》を使って手の内をさらしても、ほぼ安全でしょう。相手もインスタントしか使えませんし、仮に何かしてくるとしても、こちらはこの後すぐに自分のターンになって土地がアンタップするので、相手とは違い無防備な状態をさらし続けることもありません。

予期

 このように、対戦相手の終了ステップというタイミングは有利な状況なので、インスタントを利用する最適な場面と言えます。これが相手のターンエンドにインスタントを唱える大きな理由の一つです。

 さて、インスタントを慌てて自分のターンに使わず、相手のターンエンドまで待つ理由についてはお分かりいただけたでしょうか? 次は、これを踏まえてさきほどの例について考えていきましょう。

後出しじゃんけんで勝とう

 上で「インスタントは呪文や能力の解決前に唱えられる」と書きました。そして、「他の呪文は、メイン・フェイズにしか唱えられないので手を明かすことになる」とも書きました。

 何か気づくことはありませんか?

 クリーチャーやソーサリーなどの呪文は、メイン・フェイズに自分から動いて唱えなければならない。そして、インスタントだけがそれを見てから動いて、先に解決できる……相手がグーかチョキかパーかを見てから、出す手を決められるんです!

 先ほどの手札の例をもう一度出しましょう。《島》が2枚出ていて、手札は《予期》《本質の散乱》《否認》でしたね。ただし今回は、自分のターンには何も唱えず、相手にターンを渡します。

予期、本質の散乱、否認を持っている

 マナと手札を温存したため、このターンはじゃんけんの勝ちが決まります。どういうことかって?

 対戦相手が強力なクリーチャーを唱えてきたら、対応して《本質の散乱》を使って打ち消せます。そしてクリーチャー以外の呪文、たとえば厄介なソーサリーや手ごわいプレインズウォーカーを唱えてきたら、《否認》すればいいのです。もしこのターンは何もしてこなかったなら、スキの少ない終了ステップで《予期》を唱えて、必要なカードを探せます!

本質の散乱否認予期

 自分のターンにマナを温存できたので、対戦相手の動きに合わせて柔軟な対応ができるようになりました。インスタントは呪文や能力の解決前にも使うことができるので、相手の動きに合わせて使うのが一番安全かつ確実で、相手がグーを出すのを見てからパーを出す、いわゆる後出しじゃんけんが許されます。これがインスタントをぎりぎりまで待ってから使うほうがいいもう一つの大きな理由です。

 打ち消し系のインスタントの話に限らず、たとえばこのようにお互いがインスタントを唱えられる状況でも、ぎりぎりまで待ったほうがいいでしょう。

パンプアップで打ち消し!?

 あなたは2/2の《陰謀団の福音者》で攻撃します。対戦相手はそれに対して《稲妻の一撃》を使ってきました。このままでは《陰謀団の福音者》が倒されてしまいます。そこで、対応してインスタントである《剛力化》を……

 そうです、これはマジック入門講座の第1回、パンプアップ呪文についての話で出てきましたね。

 相手が先に火力呪文を使うと、対応してこちらが使ったパンプアップ呪文が先に解決されてクリーチャーが生き残ります。そしてこちらが先にパンプアップ呪文を使うと、相手が対応して火力呪文でクリーチャーを倒してしまいます。インスタントのパンプアップ呪文も焦って使うことはないですよ、というお話でした。

 このようにインスタントは、相手の手が分かってから出せるじゃんけんの必勝の策として使えます。であれば、自分のターンに動いてその機会をつぶす手はありませんよね。

おわりに

 今回覚えてほしいのは、「インスタントを唱えるのはギリギリまで待つ」のが基本だということです。もちろんあえて(・・・)自分のターンのメインフェイズなどにインスタントを唱えたほうがいい状況もありますが、そういった応用はまた機会があればお話ししたいと思います。

 インスタントの最大の魅力はその奇襲性。これをうまく活用するには、とにかくマナと手札を残して最高のタイミングをうかがいましょう。そうやって構えていれば、相手もこちらの手札にインスタントの妨害手段があるのではないかと考えて、思い切った行動が取れなくなるでしょうね。

 そうそう、起動型能力(「コスト:効果」の形で書かれた能力)も、特別な制限がない限りインスタントと同じくいつでも使えます。手札にあるインスタントとは違い、相手にも見えている情報ではありますが、上で述べた通り、ギリギリまで待ってから起動するのが効果的です。たとえばクリーチャーのパワーを上げる起動型能力は、ブロックされるかされないかが決定してから使っても遅くありません!

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 今回の記事はここまでとなります。このインスタントの記事が役に立った、あるいは始めたばかりのプレイヤーに見せたい記事だと感じてもらえたなら、ぜひTwitterやFacebookなどで宣伝していただければと思います。

 インスタントで後の先を、そして勝利をつかみ取ってください!

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