第10期神決定戦を激戦の末に勝利した、5人の神たち。各フォーマットにおいて卓越した技術を持った彼らのことは、神決定戦、そして記事への寄稿や生放送への出演などでご存知の方も多いかもしれない。
だが神決定戦が今週末に迫った今、彼らのことをもっと知ってほしい、より神決定戦に興味を持ってほしい、そう考えている。
そこで、我々は今回の第11期神決定戦を控える神たちへと書面インタビューを行った。タイトルホルダーとして、各フォーマットの頂点として君臨している彼らは、どういったプレイヤーなのか? ぜひご覧いただきたい。
スタンダード神:岡井 俊樹
Q1. 前回の神決定戦ではBIGsの光安さんとの赤単ミラーマッチを制し、防衛を果たしましたね。あの一戦、そして防衛の瞬間を振り返って、感想をお聞かせください。
「デッキを読み当てて、構成もかなり歪めていただけあって勝ったときは嬉しさと同時に少しほっとしました」
Q2. スタンダードのメタゲームは、目まぐるしく動いていきますよね。どのようにメタゲームを把握し、そしてデッキを選んでいるのですか?
「毎週末、海外まで含めると様々な大会の上位入賞のデッキリストが挙がりますが、ずっと目を通しているとやはり大きな流れのようなものが見えてくるなと思います。しかし、実際に自分がデッキを選ぶときはメタゲーム上ポジションだけでなく多くのマッチアップでゲーム感を掴んでいるか、デッキが十分な完成度になっているか等も考慮していくのでそのバランスは非常に難しいです。自分はどちらかというとポジション以外の部分も重く見ている方かもしれません」
Q3. 挑戦者である伊藤さんに対する印象をお聞かせください。
「環境に合わせて独自のチューンアップを施したミッドレンジを組んでいることが多いという印象ですね。また、サイドボードなどでクリティカルなカードを探すのが好きで、多少リスクはありつつも勝負を傾けられる、意外なカードを採用していることがそこそこあると思っています」
フロンティア神:木原 惇希
Q1. フロンティアはじめ、スタンダードからレガシーまで様々なフォーマットでご活躍されている木原さんですが、複数のフォーマットで応用できるような勝利するための秘訣があればお聞かせください。
「勝利の秘訣かは怪しいですが、僕はどのフォーマットでもその環境を理解することと、環境に存在するデッキの動きを全て頭に入れることをとにかく大切にしています。『彼を知り己を知れば百戦殆からず』」
Q2. フロンティアは未だメタゲームに関する情報などが他のフォーマットと比べて少ないですが、木原さんがフロンティアのデッキを作成される際にはどういった点を意識していますか?
「フロンティアはとにかく情報が少なく、相手を想像するのが難しいので、自分の好きなカード(《時を越えた探索》・《ヴリンの神童、ジェイス》・《中略》など)をふんだんに使うことを意識してデッキを作ります」
Q3. 挑戦者の石渡さんはフォーマットの黎明期からフロンティアをプレイし続けているそうです。手強い相手だとは思いますが、自信のほどはいかがでしょうか?
「自信はまったくないです!フロンティアの大会に出た回数は多分4~5回程度しかないですし、前回の神決定戦以降1回もフロンティアをプレイしていないので、環境理解度の差と引き出しの多さでは明らかに挑戦者の方が有利でしょう。彼についての情報をこちらがまったく持っていないというのもかなりのハンデになっていると思います」
モダン神:渡邉 真木
Q1. 前回の神決定戦での見事な勝利、そしてモダン神就任、改めておめでとうございます。決定戦を振り返り、当時の感想をお聞かせください。
「信じられなかったです。前回はデッキ選択を噛み合わせることはできましたが、2ゲーム目、3ゲーム目と連取されて、終盤は『もう負けたな』と思いながらやっていましたし、最終ゲームで《コーの精霊の踊り手》が焼かれたときはただただ絶望しました。最後、《林間隠れの斥候》のトップデックから逆転して勝ったときは今までの努力が報われたようでとても嬉しかったです」
Q2. 渡邉さんといえば「《死せる生》」の使い手として有名ですね。数多くのデッキが存在するモダンの中で、1つのデッキを使い続けるメリット、デメリット、使い込んだ上で得られたものはありますか?
「実は昨年のグランプリ・神戸2017が終わったあたりから『《死せる生》』の使用頻度が少しずつ下がっていって、最近に至ってはほとんど使ってないんですよね……。ですが、一つのデッキを使い続けることには確実にメリットがあると思います。一番大きなメリットは慣れによって思考時間が短縮され最適解にたどり着きやすくなるので、格上のプレイヤーとも同じレベルで勝負できるようになることですね。」
Q3. モダン神挑戦者決定戦にご出演いただき、小田さんが挑戦権を獲得した一戦を解説していただきました。小田さんの印象をお聞かせください。また、それを踏まえた上で意気込みをお聞かせください。
「小田さんについては、クリーチャーデッキや除去デッキなどを好む、真っ当なマジックをするプレイヤーという印象ですね。そのようなデッキで結果を残されているということは、私よりも確実にマジックが上手いと思いますので(笑)、神という立場に奢ることなく、今回も『弱者の戦術』で神決定戦に挑みます」
ヴィンテージ神:飯野 彬
Q1. ヴィンテージといえば高額カード。中でも特にパワー9の値段は桁違いですが、飯野さんが初めて手に入れたパワー9は何でしたか? また、そのときのことを覚えていますか?
「《Black Lotus》です。当時私が購入したものは状態が悪かったので数万円程度でしたが、状態の良いものでも10万円前後の値段だったと思います。今となっては信じられない破格ですが。ちなみに、私が唯一持ってないパワー9が《Timetwister》なのですが、こちらも信じられないくらい高騰してしまいましたね」
Q2. (アンティ関連のカードなどを除き)マジック史上ありとあらゆるカードを使えるヴィンテージですが、飯野さんが考えるヴィンテージで最も”壊れてる”マジックのカードは何ですか?
「《Mishra's Workshop》です。このカードがヴィンテージで4枚使えるせいで、レガシーでは4枚使える《三なる宝球》・《虚空の杯》・《磁石のゴーレム》・《アメジストのとげ》が制限をくらったと考えれば、いかに諸悪の根源であるかお分かりになると思います」
Q3. 今回が飯野さんにとって初めての神防衛戦となりますが、挑戦者である鳥海さんにはどういった印象をお持ちでしょうか?
「これまで鳥海さんとは対戦することが多かったですが、それらのプレイを見る限りでは、いつも丁寧で冷静沈着な思考をお持ちでありながら、時に豪快で押し通す力量も併せ持っている方だなという印象があります」
レガシー神:有田 浩一朗
Q1. 前回の第10期レガシー神決定戦について、どう感じたか、またレガシー神になって何が変わったかなど、簡単にお聞かせください。
「神になって驚いたことが3つありました。
・5月頃に横浜で開催されたBMOで、毎ラウンド対戦相手の方から『おめでとうございます』と言っていただいたたこと。
・スタンダード神挑戦者決定戦で参加費を払おうとしたところ、参加費が無料だった上にByeまでついてきたこと。
・チームRPTQで参加費が返ってきたこと。
あとは、神決定戦に向けてANT以外のデッキに触れる機会が増えました」
Q2. レガシーだけでなくヴィンテージにも造詣が深い、嘉藤 裕樹さんとの対戦となります。神決定戦に向けて意識して取り組んだことなどはありますか?
「レガシーよりヴィンテージの大会で結果を出していることが多いようでしたので、ヴィンテージ環境を調べることが多かったです。《意志の力》と《闇の腹心》って共存するんですね……」
Q3. あの川北 史朗さんを初めて倒した「2人目のレガシー神」として今回注目が集まります。初となる防衛戦のプレッシャーのほどはいかがですか?
「『2人目のレガシー神』としてのプレッシャーはあまりないですが、前回同様やはり勝ちたいという気持ちは強いですね。なので、緊張はすると思います」
彼らが今回上座で挑戦者を待つ、5人のプレイヤーだ。彼らの人となりやマジックのプレイスタイルについて理解していただけたかと思う。
果たして彼らは選りすぐりの強豪である「挑戦者」を返り討ちにし、「神」の座を防衛することができるのか!? 彼らと挑戦者たちが繰り広げるであろう激戦の模様はYouTubeLiveにて実況解説つきでお届けする予定だ。ぜひこれを機会にチャンネル登録をしていただき、神決定戦を見届けてもらいたい。